「ShopifyとNetSuiteは、どうつなげばいいのか。費用はどのくらいかかるのか」
ECの受注が増えてきた会社から、よく受ける問いです。
Shopify×NetSuite連携とは、ECで受けた注文や在庫・商品・顧客のデータを、基幹システムのNetSuiteと自動でそろえる仕組みです。
Shopifyはネットショップを作るサービス、NetSuiteはOracleが提供するクラウドERPです。
つなぐ手段は、公式コネクタ・iPaaS・アプリの3つです。
費用は、ツールの利用料より、連携の設計と開発の量で大きく開きます。
では、3つのうちどれを選べばよいのか。
決め手はツールの性能ではありません。
何を・どこまで・どちら向きにつなぐかです。
この記事で分かること
- ShopifyとNetSuiteをつなぐと何が変わるか
- 連携の3つの手段(公式コネクタ・iPaaS・アプリ)の違いと、費用が開く理由
- 自社に合う手段の見分け方と、つながない方がよい場合
- これから連携する会社と、いま連携を見直したい会社の進め方
- よくある3つの失敗と避け方
ERPは、会計・販売・在庫などの基幹業務のデータを一つにまとめるシステムです。
連携は、片方のシステムの変更を、もう片方に自動で反映させる仕組みを指します。
ShopifyとNetSuiteを連携すると何ができるのか
連携する4つのデータ
| データ | 主な向き | 連携で変わること |
|---|---|---|
| 受注 | Shopify → NetSuite | 注文が自動で取り込まれ、手入力がなくなる |
| 在庫 | NetSuite → Shopify | 販売ページの在庫数が基幹の在庫とそろう |
| 商品・価格 | NetSuite → Shopify | 新商品や価格の変更を二度入力しなくてよい |
| 顧客 | 双方向(設計次第) | ECの購買と、請求・入金の情報をつなげる |
注文から発送、請求、会計までを、一つの流れで扱えるようになります。
それぞれのデータで、どちらのシステムを「正」にするかも、ここで決めておきます。
なくなる手作業
連携がないと、ECの受注データを出力して基幹システムに取り込む作業が毎日発生します。
CSVの形式が違えば手で直し、新商品が出るたびに両方のシステムに登録します。
連携すると、こうした作業が要らなくなり、入力ミスや反映の遅れも防げます。
BtoBでもEC連携が広がる理由
企業間の取引(BtoB)でも、ECの利用は広がっています。
経済産業省の令和6年度の調査では、BtoB-ECの市場規模は514.4兆円です。
BtoBのEC化率は43.1%で、前年から3.1ポイント上がりました。
(出典:経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査」、2025年8月発表、2026年9月確認)
ECで注文を受ければ、電話・FAX・メールでの受注をWebで完結でき、24時間注文を受けられます。
受注や出荷の状況も、すぐに把握できます。
BtoBでは「取引先ごとに違う商品や価格を見せたい」という要望がよくあります。
Shopifyのヘルプでは、B2Bの機能として、会社プロフィールとカスタムカタログで企業向けに販売できると説明しています。
お客様ごとに、価格・通貨・商品・支払や配送の方法を合わせられます。
B2Bの機能は、B2Bをサポートするプランに含まれます(出典:Shopify公式ヘルプ、2026年9月確認)。
ERPに登録した商品・価格・顧客のデータをECで使えば、出し分けの設定を一か所で管理できます。
Shopify×NetSuite連携の3つの手段
| 比較軸 | ① NetSuite Connector(Oracle公式) | ② iPaaS型(Celigo・Boomiなど) | ③ サードパーティ製アプリ |
|---|---|---|---|
| 連携データ | 商品・価格・在庫・受注・フルフィルメント(B2C/B2B/POS) | 設計次第で柔軟に対応 | 注文・在庫・価格・商品など(アプリで差) |
| 作り込みやすさ | 標準の範囲は手早い/超える部分はパートナー支援 | 高い(複雑な要件向き) | 限定的 |
| 利用料の目安 | 月額199.92ドル〜(B2C Standard) | 要見積(規模・要件による) | アプリごとにプランが異なる |
| 向くケース | 標準的な連携を早く始めたい | 業務が複雑・複数チャネルを統合 | 小規模・シンプルな同期 |
※①の価格は、Shopify App Storeの「NetSuite ERP Connector」の掲載です。B2B・POSは別のプランです。
(出典:Shopify App Store、2026年9月確認)為替・プランで変わるため、契約前にご確認ください。
iPaaS(アイパース)は、複数のシステムをつなぐためのクラウドのサービスです。
フルフィルメントは、受注から出荷・配送までの一連の作業のことです。
NetSuite Connector(Oracle公式)
Oracle NetSuiteが公式に提供する連携ツールです。
商品・価格・在庫・受注・フルフィルメントのデータを、ShopifyのB2C・B2B・POSとの間で同期します。
標準的な連携を、比較的早く始められます(出典:Shopify App Store、2026年9月確認)。
iPaaS型(Celigo・Boomiなど)
設計の自由度が高く、複雑な業務や複数のシステムの統合に向きます。
一方で、設計と構築には専門の知識が要ります。
製品ごとの違いは、Celigo vs Boomi vs Workatoで扱っています。
サードパーティ製アプリ
Shopifyのアプリストアには、開発元ごとに料金プランが異なる連携アプリがあります。
無料の試用期間を設けたものもあります(出典:Shopify App Store、2026年9月確認)。
小規模でシンプルな同期から始めたい場合の選択肢です。
機能とサポートの範囲は、アプリごとに違います。
売上の分析や在庫の点検をAIに任せたいなら、どの手段でも、同じ定義のデータが一か所にそろうように項目をそろえておきます。
費用は、利用料より「連携の開発」で開く
表の利用料は、費用のごく一部です。
実際の金額を大きく動かすのは、連携の設計と開発の量です。
NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットが支援したNetSuite導入の費用で見てみます。
他社SaaSや顧客独自のシステムとの連携開発があった100名程度の事例は、2億円程度(うち開発約7割)でした。
連携開発もアドオン開発もない3名程度の事例は、150万円程度・1.5か月です。
4つの事例の全体は、NetSuiteの料金・費用・ライセンス体系で紹介しています。
費用を左右する要因は、機能範囲、開発(特に外部システムとの連携)、社内の体制、ユーザー数の4つです。
Shopify連携は、このうち2つ目の「開発」にそのまま効いてきます。
公式コネクタの標準の範囲で収まれば軽く、独自の項目や複数の販路をつなぐほど重くなります。
判断の物差し|どの手段が合うか、つながない方がよいか
手段の選び方
冒頭の「どれを選べばよいか」は、次の3つで決まります。
- 連携する業務の範囲と複雑さ(何を・どこまで・どちら向きに)
- 社内で対応できる人がいるか
- かけられる予算
標準的な連携を早く始めたいなら公式コネクタ。
複雑な統合ならiPaaS、小規模ならアプリが大まかな目安です。
目安を図にすると、次のとおりです。
Shopify×NetSuiteが向いている会社
- ECの受注が増え、基幹システムへの入力が毎日の負担になっている
- 実店舗・卸・ECなど、複数の販路の在庫を一つで見たい
- 取引先ごとの価格や掛け売りを、ERP側で管理したい
別の選択肢が合う会社
| 状態 | 合う選択肢 |
|---|---|
| ECの受注が少なく、会計ソフトで足りている | Shopifyと会計ソフトのまま運用。NetSuiteはまだ早い |
| EC・在庫・会計を小さな予算で一つにまとめたい | Odooなど、ほかのERPも比べる |
| つなぎたい部分がごく一部で、標準の手段が合わない | 連携部分だけを個別に開発する(AIを使ったスクラッチ開発を含む) |
| 業務の流れやマスタの持ち方が決まっていない | いまはつながない。先に業務を整理する |
ERPの比べ方は、ERP・クラウドERPの比較やOdooとNetSuiteの比較で扱っています。
これから連携する会社と、いま連携を見直したい会社
これから連携する会社
次の順番で進めると、手戻りが少なくなります。
- つなぐデータと向きを決める(1-1の表を自社用に埋める)
- マスタの「正」をどちらに置くかを決める
- 効果の大きい範囲から始める(多くは受注と在庫)
- 手段を選ぶ(公式コネクタ・iPaaS・アプリ)
- 同期の頻度とエラー時の担当を決めて、本番に移る
稼働前には、次の運用ルールを文書にしておきます。
| 決めること | 例 |
|---|---|
| 同期の頻度 | 在庫は15分ごと、商品は1日1回など、データごとに決める |
| エラーの知らせ方 | 失敗した同期を、担当者にメールやチャットで知らせる |
| 担当と代わりの人 | エラーを見る人と、休みの日に代わる人を決める |
| 手で直すときの決まり | 直すのは正のデータの側だけにする |
例の数字は考え方を示すためのもので、適切な頻度は件数と手段で変わります。
ほかのECモールもつなぐ場合は、NetSuite EC連携の全体設計も参考になります。
いま連携していて、見直したい会社
アプリの同期できる項目が足りず、手作業が残っている。
連携を作った担当者やパートナーが離れ、エラーの原因が分からない。
販路が増え、連携の数が増えすぎた。
見直しのきっかけは、多くの場合このどれかです。
このときは、ツールを替える前にいまのデータの流れを図に描き直すことから始めます。
iPaaSやアプリの契約の更新時期は、見直しの好機です。
作り方の考え方は、NetSuiteの連携を「内包・連携・再販」で切り分ける判断軸で扱っています。
よくある3つの失敗
失敗1:ツール選びから入ってしまう
起きること:どの連携ツールがよいかの比較から始め、入れたものの使いこなせない。
原因:連携すべき業務の範囲や、データの流れが整理されないまま進んだ。
避け方:先に「何を・どこまで・どちら向きにつなぐか」を業務の設計で決めます。
ツール選びは、その後です。
失敗2:最初から全部つなごうとする
起きること:商品・在庫・受注・顧客・会計を一度につなごうとして、設計が複雑になる。不具合の原因を切り分けられない。
原因:効果の大きさと難しさを比べずに、範囲を決めた。
避け方:効果の大きい範囲から段階的に始めます。
まずは在庫と受注の連携から、が現実的です。
失敗3:マスタの正と運用ルールを決めずに本番を迎える
起きること:連携後も両方でマスタを手で直し、在庫数や価格がずれる。エラーに誰も気づかず、受注漏れが後から見つかる。
原因:どちらのデータが正しいか、同期の頻度、エラー時の担当が決まっていない。
避け方:マスタの正と連携の向きを最初に決めます。
同期の頻度、エラーの知らせ方、運用の担当を、稼働前に文書にします。
ベンチャーネットならこう見る|連携の担い手を3つに分ける
ベンチャーネットは、NetSuite・Odoo・AIスクラッチ開発を扱い、SAPからのリプレイスにも対応しています。
ベンチャーネットの仕事は、ゼロからの導入より、他社のあとの引き継ぎ・立て直しと、他システムとの連携が多くを占めます。
Shopify連携の相談も、その一つです。
担い手の分担|日本オラクル・ベンチャーネット・自社
連携の費用と責任は、誰が何を担うかで分けると見通しがよくなります。
| 担い手 | 担うこと |
|---|---|
| 日本オラクル | NetSuiteのライセンス・トレーニング・製品サポート |
| ベンチャーネット | 要件定義・設定・カスタマイズ・アドオン開発・既存システムとの連携・保守・PM |
| 自社 | 正のデータの決定、同期エラーの一次対応、受入テスト |
要件を伺うのは、営業ではなく導入コンサルタントです。
「どの項目を、どちら向きに、何分おきに」を、伝言ゲームにせずに決めるためです。
契約は請負契約に対応しています(準委任も相談可)。
常駐はせず、国内のチームがリモートで進めます。
相談の最初に伺う3つ
- いま毎日している手作業は何か:誰が、何分かけて、どのデータを写しているか
- 正のデータはどちらか:商品・価格・在庫・顧客ごとに決まっているか
- 1日の受注件数と販路の数:件数と販路で、必要な手段が変わる
手作業が少なく、正のデータも決まっていない段階なら、つなぐ前に業務を整えることをおすすめします。
その場合は、そのままお伝えします。
今日できること|受注1件の流れを書き出す
昨日の受注を1件選び、次の表を埋めてみてください。1時間ほどでできます。
| 時点 | 使ったシステム | 手で写した項目 | かかった時間 |
|---|---|---|---|
| (例)受注 | Shopify | 注文番号・商品・数量 | 3分 |
受注・在庫の引当・出荷・請求・入金の順に書き出します。
手で写した項目が多い場所が、連携で最初につなぐ候補です。
あわせて、商品・価格・在庫の「正」がどちらのシステムかも書き込みます。
よくある質問
Q1. ShopifyとNetSuiteは、どんな方法で連携できますか
公式コネクタ・iPaaS型・サードパーティ製アプリの3つです
連携の範囲、社内の体制、予算に応じて選びます。
標準的な連携なら公式コネクタ、複雑な統合ならiPaaS、小規模ならアプリが目安です。
Q2. NetSuite Connectorは日本でも使えますか
日本企業向けに提供が発表されています
Oracleは2024年7月、日本企業向けにNetSuite Connector for Shopifyを発表しました。
(出典:日本オラクル公式ニュースリリース、2026年9月確認)
ShopifyのB2C・B2B・POSとの間で、商品・在庫・受注などを同期できます。
自社の契約での条件は、アカウントの担当に確認してください。
Q3. 連携の設定や開発は、自社だけでできますか
標準の範囲なら始めやすいです
業務に合わせた設計や作り込みには、専門の知識が要ります。
正のデータの決定とエラーの一次対応は自社、設計と開発はパートナー、という分け方が一つの目安です。
Q4. 連携にかかる費用はどれくらいですか
ツールの利用料に加えて設計・構築の費用がかかり開発の量で大きく変わります
公式コネクタの利用料は月額199.92ドル〜(B2C Standard)です。
導入全体の費用は、機能範囲・開発(特に外部連携)・社内の体制・ユーザー数で決まります。
ベンチャーネットが支援したNetSuite導入では、150万円程度から2億円程度まで幅がありました(第3章3-4)。
Q5. ShopifyのB2B機能は、どのプランでも使えますか
B2B機能をサポートするプランに含まれます
Shopifyのヘルプでは、会社プロフィールやカスタムカタログで企業向けに販売できると説明しています。
自社のプランで使えるかは、契約前にShopifyにご確認ください。
Q6. すでにアプリで連携していますが、見直すべきですか
手作業が残っているなら見直す価値があります
同期できない項目のために手作業が残っている、エラーの原因が分からない、といった場合です。
まず、いまのデータの流れを図に描き直すことから始めます。
まとめ|連携は手段、目的は経営データの一元化
- 連携の手段は、公式コネクタ・iPaaS型・アプリの3つ
- 選ぶ前に「何を・どこまで・どちら向きにつなぐか」を決める
- 費用は利用料より、連携の設計と開発の量で開く
- マスタの正と、エラー時の担当を稼働前に決める
- 受注が少ない段階では、つながない選択もある
「どうつなげばいいのか」の答えは、ツールの一覧の中にはありません。
昨日の受注1件を書き出し、手で写している項目を数えてみてください。
そこが、最初につなぐ場所です。
もう少し詳しく知りたい方へ
Shopify連携の進め方は、受注の件数や販路、いまのシステムによって変わります。
「どこまで自社で、どこからパートナーに」の整理から、ご相談をお受けしています。

コメント
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