間接部門は「コスト」か「資産」か|NetSuiteで間接費を最適化し、価値を最大化する方法

「間接部門は、売上を生まない。だからコストはできるだけ削りたい」。

そう考える経営者は少なくありません。経理も人事も総務も、直接お金を稼ぐわけではないからです。

でも、本当にそうでしょうか。

間接費をやみくもに削った結果、現場が疲弊し、ミスや退職が増える。そんな例は珍しくありません。

大切なのは「削減」そのものではなく、「価値の可視化と適正化」です。

この記事では、間接部門をコストではなく経営資産として捉え直す考え方と、NetSuiteを使った間接費の見える化・最適化の進め方を解説します。

この記事で分かること

  • 間接部門を「コスト」ではなく「経営資産」として捉え直す視点
  • NetSuiteで間接部門の活動と費用を「見える化」「適正化」する進め方
  • 間接部門コスト削減でやりがちな4つの誤解と、その回避のしかた

読了時間の目安:約7分

目次

間接部門とは?直接部門との違い

間接部門とは、経理・人事・総務・法務・ITなど、会社全体を支える管理部門のことです。商品やサービスを直接売る営業・製造などの「直接部門」と対になります。

両者の違いを整理すると、次のようになります。

観点直接部門間接部門
主な役割商品・サービスを売り、直接売上をつくる経理・人事・総務・IT など、全社を支える
代表例営業/製造経理/人事/総務/情報システム
呼び方プロフィットセンター(利益を生む部門)コストセンター(費用が発生する部門)
成果の見えやすさ売上高など数字で見えやすい貢献が見えづらく、評価が難しい
陥りやすい落とし穴「見えない」がゆえに、削減対象にされやすい

ここで一つ、強調しておきたいことがあります。

間接部門は「コストセンター」と呼ばれます。費用が発生する部門、という意味です。

でも、コストセンター=削っていい部門、ではありません。

経理が正確な資金管理をすれば、資金繰りや経営判断の質が上がります。人事が良い人材を採れば、事業の成長に直結します。

間接部門は、会社の屋台骨です。見えづらいだけで、価値を生んでいないわけではないのです。

なぜ今、間接部門の「最適化」が重要なのか

人手不足とコスト増が同時に進む今、間接部門のあり方を見直す企業が増えています。少ない人数で、より大きな価値を出すことが求められているからです。

ここで言葉を一つ、整理しておきます。

  • 削減:とにかく費用を減らすこと
  • 適正化:ムダを省き、必要なところには適切に配分すること

この記事がおすすめするのは「削減」ではなく「適正化」です。

なぜなら、間接費をただ削るだけでは、現場の士気や業務品質が下がりかねないからです。

たとえば消耗品費を一律カットすれば、必要な備品まで足りなくなります。研修費を削れば、人が育たなくなります。

大事なのは、何にどれだけ使っているかを把握したうえで、ムダだけを見極めて減らすこと。

そのためには、間接部門の活動と費用を「見える化」する仕組みが欠かせません。

NetSuiteで間接部門の活動を「見える化」する

間接部門の価値を正しく評価するには、まず活動を見える化することが出発点です。ここで役立つのが、NetSuiteのようなクラウドERPです。

ERP(Enterprise Resource Planning)とは、会社全体の仕事を一つのシステムでまとめて管理する仕組みのことです。

NetSuiteは、Oracle社が提供するクラウド型のERPです。世界220地域・43,000社以上で利用されています(2026年4月時点)。

NetSuiteを導入すると、間接部門のこんな活動が見えるようになります。

  • 調達:発注 → 検収 → 支払いまでの流れを一元管理
  • 経費:部門別・用途別の支出をリアルタイムで把握
  • 工数:誰がどの業務にどれだけ時間を使っているかを記録

たとえば調達なら、発注から支払いまでの進み具合や、どこで止まっているかがすぐ分かります。

担当者の業務負荷や、調達でどれだけコストを抑えられたかも数字で見えます。

こうした見える化は、間接部門の目標設定とふり返り(PDCA)を回す土台になります。PDCAとは、計画→実行→確認→改善をくり返す進め方のことです。

「がんばっているのに評価されない」という間接部門の悩みも、活動が数字で見えれば変わっていきます。

NetSuiteで何がどこまで見えるのか、実際の画面で確かめることもできます。

NetSuiteで間接費を「適正化」する

活動が見えるようになったら、次は間接費の適正化です。間接費とは、特定の商品やサービスに直接ひも付かない費用のことを指します。

光熱費、通信費、消耗品費などが代表例です。複数の部門にまたがって発生するため、実態がつかみにくいのが特徴です。

NetSuiteを使うと、この間接費の中身を細かく把握できます。

  • 部門ごとの消耗品費を見て、過剰な在庫がないか確認する
  • 出張旅費を分析し、出張ルールの見直しにつなげる
  • 用途別に費用を分け、ムダな支出を特定する

ここで大切なのは、削ること自体が目的ではない、という点です。

実態を把握し、ムダを見極めたうえで、適切な水準に整える。これが「適正化」です。

なお、間接費の具体的な削減手法や原価管理のポイントについては、別記事で詳しく解説しています。

本記事では「間接部門という組織をどう活かすか」に焦点を当て、費用の削減手法は上記の記事に譲ります。

やりがちな失敗|間接部門コスト削減「4つの誤解」

ここからは、間接部門のコストに向き合うとき、経営者がやりがちな「4つの誤解」を整理します。

最初にお伝えしておきたいことがあります。

これは、間接部門を責める話ではありません。経営者がつい持ってしまう「見方のクセ」の話です。

ベンチャーネットは、間接部門の最適化を「人減らし」ではなく「価値の可視化」と考えています。だからこそ、失敗を予防する視点を正直に共有させていただきます。

誤解①:間接部門は「コスト」だから削ればいい

よくある現象

  • 「間接部門は稼がないから、まず削減」と考える
  • 数字で見えない費用から、一律にカットしていく

なぜ失敗するか

見えないものを根拠なく削ると、必要な費用まで削ってしまいます。

その結果、現場が疲弊し、業務品質が下がり、人が離れていきます。削ったコスト以上の損失を招くことも珍しくありません。

どう回避するか

削る前に、「何にどれだけ使っているか」を見える化しましょう。

ムダを見極めてから減らす。削減ではなく適正化という順番が大切です。

誤解②:人を減らせば効率化できる

よくある現象

  • 間接部門の人数を減らせば、コストが下がると考える
  • 業務量はそのままで、人だけを減らす

なぜ失敗するか

仕事の量が変わらないまま人を減らせば、残った人に負担が集中します。

特定の人しか分からない業務(属人化)が増え、その人が抜けると業務が止まるリスクも高まります。

どう回避するか

人を減らす前に、まず業務の見える化と標準化を進めましょう。

「そもそも要らない作業」を減らせば、同じ人数でも余裕が生まれます。

誤解③:間接費は「どんぶり勘定」でいい

よくある現象

  • 間接費を部門・用途別に分けず、まとめて管理している
  • 「だいたいこれくらい」で予算を組んでいる

なぜ失敗するか

費用をひとまとめにすると、どこにムダがあるのか特定できません。

打ち手を打とうにも、根拠となる数字がないため、判断が勘に頼りがちになります。

どう回避するか

部門別・プロジェクト別に費用を見える化しましょう。

どこにいくら使っているかが分かれば、打ち手を絞り込めます。NetSuiteのようなERPが、この分解を支えます。

誤解④:間接部門の改善は「現場任せ・情シス任せ」

よくある現象

  • 「間接部門のことは現場で」と経営層が関与しない
  • システム導入を情報システム部だけに任せる

なぜ失敗するか

間接部門の最適化は、部門をまたぐ全社のテーマです。

一部門に丸投げすると、部門間の壁にぶつかり、調整が進まなくなります。

どう回避するか

経営テーマとして、経営層自身が関与しましょう。

全社の仕組みづくりと捉えることで、はじめて間接部門の最適化は前に進みます。

これら4つの誤解に共通するのは、間接部門を「数字で見えないまま、削る対象」として扱ってしまうことです。

裏を返せば、見える化さえできれば、削るのではなく活かす道が開けるということです。

間接部門の価値を最大化する|「削る」のではなく「活かす」

最後に、この記事で最もお伝えしたいことを整理します。

間接部門の最適化とは、「人を減らすこと」でも「費用を削ること」でもありません。

見えなかった価値を、見える形にして活かすことです。

経理も人事も総務も、会社を動かす大事な仲間です。直接売上を立てなくても、会社はこの人たちなしには回りません。

だからこそ、支えてくれる仲間を「コスト」として削るのではなく、力を発揮できる環境を整える視点が大切です。

NetSuiteは、その環境づくりを支える道具です。

間接部門の活動と費用を見える化し、ムダを適正化し、一人ひとりが本来の力を発揮できるようにする。それが、間接部門の価値を最大化する道筋です。

とはいえ、どこから手をつければいいか、最初は迷うものです。

NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットは、間接部門の見える化から一緒に整理するお手伝いをしています。

「自社の間接部門は、コストになっているか、資産になっているか」。一度ご相談いただければ、現状の整理から伴走させてください。

よくある質問(FAQ)

Q1. そもそも間接費とは何ですか?どこまでが間接費ですか?

間接費とは、特定の商品やサービスに直接ひも付かない費用のことです。

光熱費、通信費、消耗品費、間接部門の人件費などが該当します。一つの製品の原価として直接計算できず、複数の部門や活動にまたがって発生するのが特徴です。逆に、ある製品の材料費のように直接ひも付く費用は「直接費」と呼ばれます。どこまでを間接費とするかは会社によって線引きが異なるため、まずは自社の費用を分類するところから始めると整理しやすくなります。

Q2. 間接費を削減すると、現場に悪影響は出ませんか?

やみくもに削減すれば、悪影響が出ることがあります。だからこそ、削減ではなく「適正化」をおすすめしています。

たとえば消耗品費を一律カットすれば、必要な備品まで不足します。研修費を削れば人が育たず、長い目で見て損失になることもあります。大切なのは、何にどれだけ使っているかを見える化したうえで、ムダだけを見極めて減らすことです。必要なところには適切に配分する。この考え方なら、コストを抑えながら現場の力を保てます。

Q3. NetSuiteを入れると、間接部門の何が変わりますか?

間接部門の活動と費用が「見える化」され、評価や改善がしやすくなります。

これまで数字で見えなかった調達・経費・工数が、部門別・用途別に把握できるようになります。その結果、「がんばっているのに評価されない」という状態から、活動を数字で示せる状態へ変わります。経営側も、どこにムダがあり、どこに投資すべきかを根拠を持って判断できます。導入の進め方や自社への向き不向きは、状況によって異なります。気になる場合は、個別にご相談ください。

もう少し詳しく知りたい方へ

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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