販売費及び一般管理費(販管費)とは?NetSuiteで効率的に管理する方法を解説

月次の経営会議で、社長が聞きます。

「販管費が前年より増えている。何が増えたのか」

経理の担当者は、合計の金額しか答えられません。

販管費(販売費及び一般管理費)とは、商品やサービスを売る活動と、会社を管理・運営する活動にかかる費用のことです。

売上総利益から販管費を引くと、営業利益が決まります。

社長の問いに答えられないのは、集計が遅いからではありません。

費目と部門の分け方が決まっておらず、増減の理由を追える形になっていないからです。

合計の金額を眺めているだけでは、販管費は減らせません。

では、分け方はどこから決めればよいのか。

答えは、費用が発生する「入口」にあります。

目次

この記事で分かること

  • 販売費と一般管理費の違いと、費目の例
  • 販売費率・販管費率の計算式と見方
  • Excelで足りる段階と、システムが要る段階の見分け方
  • NetSuiteで販管費を分けて見る方法
  • 販管費の見える化を、費用の入口から始める進め方

販管費(販売費及び一般管理費)とは

決算書でのルール

上場企業などが使う財務諸表等規則は、販売と一般管理の業務で生じたすべての費用を「販売費及び一般管理費」に入れると定めています。

(出典:e-Gov法令検索「財務諸表等規則」第84条、2026年9月確認)

表示の方法も決まっています(同 第85条)。

  • 適当な費目に分けて、それぞれの名前の科目で表示する
  • まとめて表示し、主要な費目と金額を注記することもできる
  • 主要な費目とは、減価償却費・引当金繰入額と、合計の10%を超える費目

引当金繰入額は、将来の支出に備えて、当期の費用として積み立てる額です。

販売費と一般管理費の違い

観点販売費一般管理費
何にかかる費用か商品・サービスを「売る」活動会社全体を「管理・運営」する活動
主な費目の例広告宣伝費、販売手数料、営業部門の人件費、営業の交通費管理部門の人件費、家賃、通信費、消耗品費、減価償却費
売上との連動売上に応じて動きやすい売上に直接連動せず、固定的
管理の着眼点使った分だけ売上に効いたか固定費が膨らんでいないか

販売費は売上と一緒に動きやすく、一般管理費は固定的です。

この性質の違いで、見るべき点も変わります。

費目の具体例

販売費に含まれる費目

販売費は、商品やサービスの販売活動に直接関わる費用です。

  • 営業部門の従業員の給料や手当、社会保険料
  • 販売手数料や決済サービスの利用料
  • 広告宣伝費(テレビCM、Web広告、チラシなど)
  • 営業活動の交通費やガソリン代

販促費の配分の考え方は、販促最適化とは?で扱っています。

一般管理費に含まれる費目

一般管理費は、会社の一般的な管理業務に関わる費用です。

  • 管理部門の従業員の給料や手当、社会保険料
  • 従業員の採用費用
  • 通信費(インターネット料金、電話代など)
  • 消耗品費(文房具、コピー用紙など)
  • 事務所の家賃、駐車場の地代
  • 建物や備品の減価償却費

人件費や通信費のように、どちらに入るかが曖昧な費目もあります。

その場合は、部門や用途で切り分けるルールを先に決めておきます。

人件費の見方は、人件費は「削る」ではなく「活かす」で扱っています。

販売費率・販管費率とは

計算式

販売費率は、売上高に対する販売費の割合です。

売上を得るために、どれだけの販売費が必要だったかを見ます。

販売費率(%)= 販売費 ÷ 売上高 × 100

販管費率は、売上高に対する販管費全体の割合です。

販管費率(%)= 販管費 ÷ 売上高 × 100

計算例(架空の数字)

項目前年今年
売上高5億円5.5億円
販売費5,000万円6,600万円
一般管理費7,000万円7,150万円
販売費率10.0%12.0%
販管費率24.0%25.0%

売上は10%増えました。

ところが、販売費は32%増えています。

「広告費が売上に結びついていないのでは」と、ここで気づけます。

計算例:売上は10%増、販売費は32%増 架空の会社の計算例。売上高は5億円から5.5億円で10%増、販売費は5,000万円から6,600万円で32%増。販売費率は10.0%から12.0%、販管費率は24.0%から25.0%に上がり、広告費が売上に結びついていないのではと気づける。 計算例:売上より販売費が伸びた 架空の会社・前年と今年 売上高 +10% 5億円→5.5億円 販売費 +32% 5,000万円→6,600万円 販売費率 12.0% 前年 10.0% 販管費率 25.0% 前年 24.0% 販売費が売上の伸びを大きく上回る →「広告費が売上に結びついていないのでは」 率は1回の数字より、推移を追って使う
計算例:売上は10%増、販売費は32%増

率は、1回の数字より推移を追うことで役に立ちます。

前年や前月と比べ、上がった費目から理由をたどります。

自社の数字をどう見るか|判断の物差し

販管費をどこまで細かく見るかは、会社の段階で変わります。

段階見る単位合う道具
合計を月1回見る販管費の合計と主な科目会計ソフトの試算表
部門・費目で分けて見る部門別・費目別・予算との差会計ソフト+Excel
発生のもとから自動で集める申請・承認・仕訳がひもづくERP(NetSuite・Odoo・国産ERPなど)

Excelで足りる段階

  • 部門が少なく、費目の分け方で迷うことが少ない
  • 経費の申請の件数が少ない
  • 月1回の集計で、困っていない

この段階なら、科目と部門のルールを決めるだけで十分です。

「いまはシステムを入れない」も、立派な判断です。

システムが要る段階

  • 経費の精算や支払の承認が、紙やメールで回っている
  • 部門別の販管費を出すのに、毎月数日かかる
  • 予算と実績の差の理由を、月内に説明できない

道具は1つではありません。

経費精算のサービスを足す、国産ERPや会計ソフトの上位の版にする、Odooで必要な機能から始める、といった道があります。

自社だけの配賦のルールが強みなら、AIを使ったスクラッチ開発も候補です。

部門や拠点が多く、申請から仕訳までを1つにしたい会社には、NetSuiteのようなERPが合います。

データがそろうと、販管費の見方が変わる

申請から仕訳までが1つのデータでつながると、販管費は「月末に集計するもの」から「月の途中で気づくもの」に変わります。

いつもと違う費目の動きを見つけて知らせる、増減の理由を文章に要約する。

そうした点検も、AIに任せやすくなります。

経理は、集計ではなく、社長への説明に時間を使えます。

NetSuiteで販管費を分けて見る方法

NetSuiteは、世界220地域・44,000社以上で使われているクラウドERPです(出典:Oracle NetSuite公式サイト、2026年9月時点)。

会計・販売・在庫などの業務を、1つのシステムでつなげる点が特徴です。

販管費で知りたいことと、NetSuiteの機能の対応を図にすると、次のとおりです。

販管費で知りたいことと、NetSuiteの機能(逆引き) 販売費と一般管理費を分けて見たいなら部門・クラス・場所、足りない分類はカスタムセグメント、ずれに早く気づくなら部門ごとの予算と実績、月末の転記をなくすなら承認からの仕訳の自動化、承認を回すならSuiteFlowのワークフロー。 販管費で知りたいこと→NetSuiteの機能 こうしたいなら NetSuiteでは 販売費と一般管理費を 分けて見たい 部門・クラス・ 場所で分ける 用意された分類では 足りない カスタム セグメント ずれの大きい費目に 早く気づきたい 部門ごとの 予算と実績 月末の転記を なくしたい 承認から 仕訳を自動で 経費精算・支払の 承認を回したい ワークフロー (SuiteFlow) 何をどの単位で見たいかを、先に決める
販管費で知りたいことと、NetSuiteの機能(逆引き)

部門・クラス・場所で分ける

NetSuiteには、記録を分類する部門・クラス・場所の機能があります。

足りない分類は、カスタムセグメントとして足せます。

分類ごとに絞り込んだレポートも作れます(出典:Oracle NetSuiteヘルプ、2026年9月確認)。

販売部門と管理部門を部門として分ければ、販売費と一般管理費を分けて見やすくなります。

予算と実績を比べる

NetSuiteの公式サイトは、予算の機能を「モデル機能、承認ワークフローおよびレポート」を使う予算編成と説明しています。

財務レポートは「ロールベースのダッシュボード、レポート、KPI」です。

(出典:Oracle NetSuite公式、2026年9月確認)

部門ごとに予算を立てて実績と比べれば、ずれの大きい費目に早く気づけます。

予算管理の進め方は、NetSuiteで予算管理を効率化で扱っています。

仕訳と承認を自動にする

  • 仕訳の自動化:立替経費の承認から仕訳を作る。定期的な支出も、一度設定すれば繰り返せる
  • 承認の流れ:経費精算や支払の承認を、ワークフローで回す

Oracleのヘルプは、承認の方法として3つを示しています。

基本の承認の機能(Approval Routing)と、SuiteFlowのワークフロー(標準・カスタム)です。

(出典:Oracle NetSuiteヘルプ、2026年9月確認)

SuiteFlowは、画面の操作で業務の流れを組む機能です。

経費精算の仕組みの選び方は、NetSuiteの経費精算とはで扱っています。

これから整える会社と、見直す会社

これから販管費を見る仕組みを整える会社は、科目と部門の分け方を最初に決めます。

どちらに入れるか迷う費目のルールも、ここで決めます。

部門をまたぐ費用(家賃・システム費など)の配り方は、配賦とは?で扱っています。

いまの仕組みを見直す会社は、会計ソフトの更新や、経費精算のサービスの契約の見直しがきっかけになりがちです。

そのときは、いまの仕組みの「入口」を書き出します。

  • 経費の申請は、どこから入るか
  • 支払の請求書は、どこから入るか
  • 定期的な支出は、どこで仕訳になるか

入口が3つ以上に分かれていれば、転記と二重管理が起きている可能性があります。

販管費の管理でつまずく3つの失敗

NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットが、ご相談の中でよく見る失敗です。

失敗1:科目と部門の設計を決めないまま集計を始める

起きること:科目の切り方が部署ごとにばらばら。同じ費用が、月によって違う科目に入る。

原因:集計の土台になる科目と部門の定義が決まっていない。

データを足すほど、比べられない数字が増える。

避け方:ツールを入れる前に、何をどの単位で見たいかを決めます。

全部を一度に管理せず、主要な費目から始めて広げます。

細かく分けすぎると、現場の入力が続かなくなるからです。

失敗2:「見える化」で止まり、次の打ち手につながらない

起きること:レポートは出るが、眺めて終わる。前月比は出るが、増えた理由まで追えない。

原因:「なぜ増えたか」「どこを減らせるか」を考える手順がない。

避け方:レポートと一緒に、動く人と基準を決めます。

たとえば「予算を10%超えた費目は、部門長が翌週までに理由を書く」です。

失敗3:手作業とExcelの併用が残り、二重管理になる

起きること:経費精算は別のツール、一部の費用はExcel。月末に転記の作業が生まれる。

原因:データの入口が分かれている。

転記の誤りと時間のずれで、数字そのものが信頼されなくなる。

避け方:費用の発生のもと(経費の申請・請求書・仕訳)から入口をまとめます。

ベンチャーネットならこう見る|入口から「見える化→整理整頓→Fit&Gap」

ベンチャーネットは、NetSuite・Odoo・AIスクラッチ開発を扱い、SAPからのリプレイスにも対応しています。

販管費のご相談で、最初に伺うのは次の3つです。

  1. 販管費の数字で、何を決めたいか(予算の配分・採用・拠点の見直しなど)
  2. 費用の入口がいくつあり、どこで転記しているか
  3. 予算とのずれを、誰がいつ説明するか

冒頭の「分け方はどこから決めるか」への答えは、2つ目の入口です。

ベンチャーネットは、システムを決める前に、次の順番で費用の入口を整えます。

  • 見える化:経費の申請・請求書・定期的な支出が、どこから入り、どこで仕訳になるかを描く
  • 整理整頓:入口を廃止・統合し、迷う費目の科目と部門のルールをそろえる
  • Fit&Gap:残った入口と分け方を、候補の製品の標準機能と照らし合わせる

合わない部分は、「標準に合わせる/開発する/残す」のどれかに決めます。

配賦のルールが複雑なら開発する。

件数の少ない費用は、いまの運用のまま残す。

入口を減らしてから道具を選ぶので、道具に合わせて入口が増えることを防げます。

ベンチャーネットの進め方:見える化→整理整頓→Fit&Gap→3つの選択 業務の見える化、整理整頓、移る先の製品の標準機能とのFit&Gap、そして標準に合わせる・開発する・残すの3択で決める。 ベンチャーネットの進め方業務の見える化いまの業務フローを現場に聞いて描く整理整頓やめる・まとめる・そろえる業務を決めるFit&Gap移る先の製品の標準機能と照らし合わせる3つの選択標準に合わせる/開発する/残す製品が決まっていても、見える化から始める
ベンチャーネットの進め方:見える化→整理整頓→Fit&Gap→3つの選択

入口が整ったら、最初から全部の費目を追いません。

金額の大きい費目を1つ選び、予算とのずれを1つのKPIにして、最短90日で一巡させます。

一巡すれば、2つ目の費目も同じ手順で広げられます。

その先には、販管費を「守る」数字から「使う」数字に変える段があります。

広告や採用にいくら投じれば、どれだけ売上に効いたか。

入口から分けたデータがあれば、この問いに数字で答えられます。

間接部門の費用の考え方は、間接部門は「コスト」か「資産」かも参考になります。

今日できること|販管費の上位5費目を並べる

直近の決算か試算表から、次の表を埋めてみてください。

費目前年今年増えた理由を説明できるか
(例)広告宣伝費はい/いいえ

金額の大きい順に5つ並べます。

「いいえ」がついた費目が、分け方か入口を見直すべき場所です。

そのうち最も金額の大きい1つが、90日の1周目の対象になります。

よくある質問

Q1. 販売費と一般管理費は、どう使い分ければいいですか?

販売活動に直接かかる費用が販売費です。

会社全体の管理にかかる費用が一般管理費です。

境界が曖昧な費用(人件費・通信費など)は、部門や用途で切り分けます。

自社の科目のルールを最初に決めておくと、迷わなくなります。

Q2. 販管費の管理に、専用システムは本当に必要ですか?

部門と申請の件数が少なければExcelでも管理できます。

部門別の分析や二重管理の防止が課題なら、入口から1つにまとめられる仕組みが役立ちます(第4章)。

Q3. NetSuiteで販管費を管理すると、何が変わりますか?

部門別・科目別・期間別に分けて見られるようになります。

部門・クラス・場所の分類でレポートを絞り込めます。

予算と実績の差を追いやすくなり、仕訳の自動化で手作業の誤りも減らせます。

Q4. 販管費の見える化は、どこから始めればいいですか?

費用の入口と主要な費目から始めるのが現実的です。

まず入口を書き出し、「何をどの単位で見たいか」を決めます。

そのうえで、上位の1費目から少しずつ広げます(第8章)。

Q5. 販管費と売上原価は、何が違いますか?

売上原価は売れた商品の原価です。

販管費は、売るためと会社を回すための費用です。

たとえば、仕入れた商品の代金は売上原価、営業担当の給料は販管費です。

粗利との関係は、売上総利益(粗利)とは?で扱っています。

Q6. 販管費率は低いほど良いのですか?

低ければ良いとは限りません。

広告や人材への投資を削りすぎると、将来の売上が落ちることがあります。

率の高低より、使った費用が売上や利益に効いているかを見ます。

まとめ:販管費の見える化は、分け方と入口から

  • 販管費は、売る活動と、会社を管理・運営する活動にかかる費用
  • 販売費は売上と連動しやすく、一般管理費は固定的
  • 販売費率・販管費率は、推移を追うことで役に立つ
  • 分け方は、費用の入口から決める。見える化→整理整頓→Fit&Gapの順
  • 上位の1費目・1つのKPIに絞り、最短90日で一巡させる

「何が増えたのか」と聞かれて、費目と理由で答えられるか。

まずは、上位5費目の増減の理由を説明できるかを書き出してみてください。

もう少し詳しく知りたい方へ

販管費をどの単位で、どう見るべきかは、会社の組織と商売の形で変わります。

科目と部門の設計から、ご相談をお受けしています。

関連記事:NetSuiteでコスト管理を一元化/損益管理とは?/NetSuiteで実現する効果的な売上管理/NetSuiteで実現する管理会計の高度化

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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