輸入業のNetSuite活用|洋上在庫を「見えない資産」にしない

月末、経理の担当者が、在庫の金額が合わない理由を探しています。

倉庫の数字と帳簿の数字の差は、いま海の上にある商品でした。

船の予定表は購買担当の表計算にあり、運賃の請求はまだ届いていません。

海外から商品を仕入れる会社では、こうした場面が毎月のように起きます。

商社や卸売、自社ブランドの商品を海外で作る会社に多い悩みです。

NetSuiteでは、2つの機能でこのずれを小さくできます。

運賃・関税などを在庫の原価に含めるLanded Costと、船積みから入庫までを追うインバウンド出荷管理です。

輸入の物流と会計を、1つの仕組みの中でそろえる考え方です。

ただ、機能を有効にするだけでは、ずれは消えません。

では、何を先に決めておけば、月末の数字が合うようになるのか。

目次

📌 この記事で分かること

  • 輸入で物流と会計がずれる3つの理由
  • 洋上在庫と諸掛の考え方
  • NetSuiteのLanded Costとインバウンド出荷管理でできること
  • 諸掛の配賦の基準の決め方
  • よくある3つの失敗

言葉の整理:洋上在庫は、船積みした後、まだ自社の倉庫に届いていない在庫のことです。

諸掛(しょがかり)は、輸入にかかる運賃・保険料・関税など、商品の代金以外の費用を指します。

輸入で、物流と会計がずれる3つの理由

輸入の実務では、次の3つのずれが起きやすくなります。

ずれ起きること見えなくなるもの
時間のずれ船積みから入庫まで、在庫が倉庫にない期間がある洋上在庫の数量と金額
金額のずれ運賃や関税の請求が、商品の代金より後に届く商品1つあたりの本当の原価
為替のずれ発注の時と支払の時で、為替の相場が違う円に直した仕入の金額

3つは、別々に起きるわけではありません。

1つの輸入の取引の中で、同時に起きます。

時間のずれ|洋上在庫

船積みした商品は、倉庫の在庫の一覧には出てきません。

倉庫の担当者から見ると、まだ「ない」商品です。

一方で、取引の条件によっては、船積みの時点で自社のものになります。

インコタームズ(国際的な貿易の取引条件)で、責任が売り手から買い手に移る時点が決まるためです。

会計上、いつ仕入として計上するかは、取引の条件と会社の会計方針で決まります。

この点は、顧問の会計士・税理士と決めておきます。

金額のずれ|後から届く諸掛

輸入では、商品の代金のほかに、さまざまな費用がかかります。

  • 海上の運賃
  • 保険料
  • 関税・消費税
  • 通関の手数料
  • 国内の運送の費用

これらの請求は、別々の会社から、別々の時期に届きます。

商品が倉庫に入った時点で、まだ金額が決まっていないものもあります。

商品の購入に付随する費用は、在庫の原価に含めて考えるのが、会計の基本的な考え方です。

諸掛を原価に含めないと、商品1つあたりの原価が低く見えます。

その分、利益を実際より多く見てしまいます。

為替のずれ

外貨で仕入れる場合、発注・船積み・支払の時点で、為替の相場が違います。

在庫の金額をどの時点の相場で決めるかも、会計方針で決めておく論点です。

外貨の取引の扱いは、NetSuiteの外貨取引で扱っています。

輸入で起きる3つのずれと、NetSuiteでの扱い 時間のずれはインバウンド出荷管理で、金額のずれはLanded Costで、為替のずれは出荷の記録に通貨と相場を持たせ、使う相場の時点を決めて扱う。 3つのずれと、NetSuiteでの扱い 時間のずれ|洋上在庫 インバウンド出荷管理で、 輸送中から在庫として追う 金額のずれ|後から届く諸掛 Landed Costで、重量・数量・ 金額のいずれかで原価に配る 為替のずれ 出荷の記録に通貨と相場を持たせ、 使う相場の時点をルールで決める 3つは1つの取引の中で同時に起きる
輸入で起きる3つのずれと、NetSuiteでの扱い

図の3つは、このあとの章で順に扱います。

金額のずれはLanded Cost(第2章)、時間のずれはインバウンド出荷管理(第3章)、為替のずれは相場のルール(第5章)です。

NetSuiteのLanded Cost

NetSuiteには、諸掛を在庫の原価に含めるためのLanded Cost(ランデッドコスト)の機能があります。

Oracleのヘルプでは、運賃や関税など、在庫の調達にかかる追加の費用を含めて、在庫の資産の価値を高める仕組みと説明されています。

例として、運賃・関税・税・保険・荷役などの費用が挙げられています。

出典はOracle NetSuiteのヘルプ(Landed Cost)です(2026年9月23日確認)。

Landed Costの基本の流れ

Oracleのヘルプにもとづくと、流れは次のとおりです。

  1. Landed Costの機能を有効にする
  2. 諸掛の種類ごとに原価の区分(Landed Cost Category)を作る
  3. 対象の品目に「Landed Costを追跡する」の設定をする
  4. 入荷の記録か、仕入先の請求書に、諸掛を入力して配賦する

配賦は、まとめてかかった費用を、決まった基準で品目ごとに割り振ることです。

原価の区分は、それぞれ費用の勘定に結びつけます。

対象にできるのは、在庫品目・組立品目・シリアル番号やロット番号で管理する品目です。

設定をしていない品目は、配賦の計算に含まれません(Oracle NetSuiteのヘルプ(品目の設定))。

配賦の3つの方法

Oracleのヘルプには、配賦の方法が3つ用意されています。

方法割り振り方向く諸掛の例
重量品目の重さの割合で割り振る運賃(重さで料金が決まる)
数量品目の数量の割合で割り振る1個あたりで決まる費用
金額品目の金額の割合で割り振る保険料(金額で料金が決まる)

出典はOracle NetSuiteのヘルプ(Landed Costの入力)です(2026年9月23日確認)。

ヘルプには、注意も2つ書かれています。

  • 1つの取引で使える配賦の方法は、1つだけ
  • 重量で配賦する場合、重さが登録されていない品目があるとエラーになる

1つの取引に複数の諸掛があり、それぞれ基準を変えたいこともあります。

その場合は、行ごとに配賦する設定を使います。

この設定は「Landed Cost Allocation per Line」と呼ばれます(Oracle NetSuiteのヘルプ)。

洋上在庫を見える形にする|インバウンド出荷管理

時間のずれに効くのが、インバウンド出荷管理(Inbound Shipment Management)です。

Oracleのヘルプでは、仕入先を出た時点から、受け取りの場所を経て、自社の在庫に入るまでの出荷を追跡できる機能と説明されています。

輸送中の在庫を、会計に反映することもできます。

Landed Costを、入荷の記録ごとではなく、出荷全体にかけることもできます。

出典はOracle NetSuiteのヘルプ(インバウンド出荷管理)です(2026年9月23日確認)。

船積みの時点で、自社のものにする

インバウンド出荷管理では、物理的に受け取る前に、出荷の所有権を移せます。

出荷を「輸送中」の状態にした時点から、所有権の移転を記録できます。

ヘルプには、インコタームズの条件に合わせて所有権を移す例が示されています。

仕入先の工場を出た時点(EXW)で移す、といった例です。

出典はOracle NetSuiteのヘルプ(インバウンド出荷の使い方)です。

洋上在庫を「見えない資産」にしない仕組みは、ここにあります。

出荷の記録に、諸掛を載せる

インバウンド出荷の記録には、Landed Costの欄があります。

原価の区分・金額・通貨・為替の相場・配賦の方法などを入力できます。

通貨と為替の相場を持てるので、外貨で届く運賃の請求も、出荷の単位で扱えます。

1隻の船に複数の発注の商品が載っていても、出荷の単位でまとめて諸掛を配れます。

発注ごとに諸掛を分けて入力する手間は、その分だけ減ります。

使う前に見ておく前提の機能

インバウンド出荷管理には、前提となる機能がいくつかあります。

Oracle NetSuiteのヘルプ(前提の機能)に挙がっているのは、次の6つです。

  • 複数通貨
  • 発注書
  • Advanced Receiving
  • 高度な在庫管理
  • 高度なビン/番号つき在庫の管理
  • Landed Cost

Advanced Receivingは、発注書から入荷を受け付ける手順を細かく管理する機能です。

Advanced Receivingを使う場合、Landed Costの配賦は、在庫の受け入れの記録で行う必要があるとヘルプに書かれています。

どの機能を有効にするかで、入力の場所が変わります。

設計の前に、ここは押さえておきたい点です。

日本での提供状況

NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットが、Oracleのヘルプを確認しました。

Landed Costやインバウンド出荷管理に、国による制限の記載は見当たりませんでした。

ただし、前提の機能のページでは、使えるかどうかはアカウントの担当に確認するよう案内されています。

使う前に、自社のアカウントで有効にできるかを問い合わせてください。

国内の倉庫の間を運ぶときの輸送中在庫

輸入した商品を、港に近い倉庫から別の倉庫へ移すこともあります。

この場合の輸送中の在庫は、在庫転送(Transfer Order)で扱えます。

Oracleのヘルプによれば、在庫転送で出荷すると、輸送中の品目の価値は出荷元の勘定から外れます。

そして、輸送中の在庫の勘定に移ります。

受け取ると、届け先の拠点の在庫に加わります。

この機能は、複数の拠点で在庫を管理する機能が前提です(Oracle NetSuiteのヘルプ(在庫転送))。

海の上の在庫はインバウンド出荷管理、国内の移動は在庫転送。

こう分けると、どちらの仕組みを使うかで迷わなくなります。

洋上在庫を扱う3つのやり方

洋上在庫と諸掛の扱い方は、大きく3つに分かれます。

やり方中身向く会社注意点
A. 入荷の時点で計上倉庫に入った時点で在庫にし、Landed Costを入荷の記録で配賦する輸送の期間が短い、件数が少ない輸送中の在庫は別の表で見る
B. 出荷の単位で管理インバウンド出荷管理で、輸送中から在庫として扱う輸送の期間が長い、件数が多い前提の機能の準備が要る
C. 表計算で別管理船の予定と諸掛を表計算で管理し、月末に会計へ反映する輸入がごく少ない月末に数字が合わなくなりやすい

輸入の件数が多く、輸送の期間が長い会社ほど、Bの価値が大きくなります。

月末の在庫の金額に、洋上在庫が大きく含まれるからです。

Bで船ごとのデータがNetSuiteにそろうと、AIの使い道も広がります。

到着が遅れている出荷を知らせる。

諸掛の見込みと実際の差が大きい船を洗い出す。

こうした点検は、データが表計算に散らばったままでは、AIに任せにくいままです。

どのやり方を選ぶにしても、最初の一歩は、船ごとの情報を1か所に集めることです。

3つのやり方の選び方を図にすると、次のとおりです。

洋上在庫の扱いを選ぶ:件数と輸送の期間で分ける 件数が少なく期間が短いならA(入荷の時点で計上)、件数が多く期間が長いならB(インバウンド出荷管理で出荷の単位で管理)、輸入がごく少ないならC(表計算で別管理)。どれでも最初の一歩は船ごとの情報を1か所に集めること。 洋上在庫の扱いを選ぶ 輸入の件数と輸送の期間は? 件数が少ない・期間が短い A. 入荷の時点で計上 輸送中の在庫は別の表で見る 件数が多い・期間が長い B. 出荷の単位で管理 インバウンド出荷管理で、 輸送中から在庫として扱う 輸入がごく少ない C. 表計算で別管理 月末に数字が合わなくなりやすい どれを選んでも、最初の一歩は 船ごとの情報を1か所に集めること
洋上在庫の扱いを選ぶ:件数と輸送の期間で分ける

商社の業務全体の中での位置づけは、商社のNetSuite活用で扱っています。

諸掛の配賦の基準を決める

Landed Costを使うとき、最初に決めるのが配賦の基準です。

諸掛の種類ごとに、どの基準で割り振るかを決めます。

諸掛考えられる基準決めるときの論点
海上の運賃重量品目の重さが登録されているか
保険料金額保険の対象の金額と合っているか
関税品目ごと(行ごと)品目によって税率が違うため、一律に配ると実際とずれる
通関の手数料数量または金額金額が小さい場合、細かく配る価値があるか
国内の運送重量または数量輸入の諸掛に含めるか、別の費用にするか

とくに関税は、品目ごとに税率が違います。

金額の割合で一律に配ると、税率の高い品目の原価は低く、低い品目の原価は高く出ます。

通関のデータから、品目ごとの関税を取り込む方法を検討します。

配賦の基準は、会計の方針とも関わります。

どこまで細かく配るかは、会計士・税理士と相談して決めてください。

通関のデータを取り込む

通関の業者から届くデータには、品目ごとの関税の額などが含まれることがあります。

件数が多い会社では、これを手で入力するだけで大きな負担です。

NetSuiteへの取込の方法は、NetSuiteのCSVインポートで扱っています。

通関の業者ごとにデータの形が違うため、取り込む前の形をそろえる設計が要ります。

為替の相場を、どの時点で使うか

外貨で届く諸掛にも、為替のずれがあります。

商品の代金と諸掛で、使う相場の時点がばらばらだと、原価の計算は複雑になります。

次の3つを、あらかじめ決めておきます。

  • 商品の代金を、どの時点の相場で円にするか
  • 外貨の諸掛を、どの時点の相場で円にするか
  • 支払の時点の相場との差を、どこで処理するか

インバウンド出荷の記録のLanded Costの欄は、通貨と為替の相場を持てます。

決めたルールを入力の手順に落としておけば、担当者が替わっても同じ計算になります。

費用と期間の目安|何が金額を動かすか

輸入の仕組みをNetSuiteで組むときも、費用の大半は導入の中身で決まります。

ベンチャーネットが支援したNetSuite導入の費用にも、大きな開きがあります。

3名程度・期間1.5か月で150万円程度の会社もあれば、100名程度・期間1.5年で2億円程度(うち開発約7割)の会社もあります。

差を生むのは、機能範囲・開発(特に外部システムとの連携)・社内の体制・ユーザー数の4つです。

輸入の実務で言えば、通関のデータの取込や、倉庫・物流のシステムとの連携が「開発」に当たります。

インバウンド出荷管理の前提の機能を使うかどうかは、「機能範囲」に効いてきます。

4事例の中身と見積書の読み方は、NetSuiteの料金・費用で扱っています。

よくある3つの失敗

3つの失敗と避け方を図にすると、次のとおりです。

輸入でよくある3つの失敗と避け方 諸掛を待たずに入荷時の原価で売る失敗は見込みの額で、すべての諸掛を金額で配る失敗は諸掛ごとの基準で、洋上在庫を表計算で別管理する失敗はNetSuiteの中で状態として持つことで避ける。 輸入でよくある3つの失敗 1 諸掛を待たずに入荷時の原価で売る → 見込みの額を先に入れ、差を直す 2 すべての諸掛を金額の割合で配る → 運賃は重量、保険料は金額で配る 3 洋上在庫を表計算で別に管理する → 輸送中の在庫もNetSuiteの中で持つ 機能を有効にするだけでは、ずれは消えない
輸入でよくある3つの失敗と避け方

失敗1:諸掛の請求を待たずに、入荷時の原価で売ってしまう

現象:入荷した時点の原価で粗利を見て販売した。後から運賃と関税の請求が届き、実際の粗利が見込みより低かった。

原因:諸掛が届く前の原価を、確定した原価として扱っていた。

避け方:諸掛の見込みの額を先に入れ、請求が届いたら差を直す運用を決めます。

見込みと実際の差を記録していけば、次の見込みの精度も上がります。

失敗2:すべての諸掛を、金額の割合で配る

現象:品目ごとの原価が、実際の感覚と合わない。軽くて高い品目の原価が高く、重くて安い品目の原価が低く出る。

原因:配賦の基準を諸掛ごとに決めず、すべて金額の割合で配っていた。

避け方:運賃は重量、保険料は金額のように、諸掛ごとに基準を決めます。

関税は、品目ごとに持つ方法を検討します。

失敗3:洋上在庫を表計算で別に管理し、月末に合わない

現象:月末の在庫の金額が、会計と倉庫で合わない。表計算の船の予定表と照らし合わせるのに、時間がかかる。

原因:輸送中の在庫を、NetSuiteの外の表計算で管理していた。

避け方:輸送中の在庫も、NetSuiteの中で状態として持つようにします。

インバウンド出荷管理を使わない場合でも、輸送中の在庫の一覧をNetSuiteのデータから作る方法を考えます。

やらない選択肢も検討する

すべての輸入の会社に、細かい配賦や出荷の単位での管理が要るわけではありません。

  • 輸入の件数が少なく、輸送の期間も短い
  • 諸掛の金額が、商品の代金に比べてごく小さい

こうした場合は、入荷の時点で在庫にし、諸掛を簡単な基準で配る運用でも足りることがあります。

細かさを決めるのは、手間と、原価の正確さがどこまで要るかの釣り合いです。

会計上の扱いは、会計士・税理士に相談してください。

輸入では、代金の前払が発生することもあります。

前払の取引の扱いは、前払・未消込の取引で扱っています。

ベンチャーネットならこう見る|1回の輸入を見える化してから、3つに分ける

「Landed Costを有効にすれば、諸掛の問題は片づく」

そう期待して設定から始めると、第7章の失敗に近づきます。

ベンチャーネットは、機能の設定より先に、1回の輸入の流れを描くところから始めます。

進め方は「見える化→整理整頓→Fit&Gap」の順です。

  1. 見える化:船積み・入港・通関・入庫・諸掛の請求・支払を、誰がどこに記録しているかを書き出す
  2. 整理整頓:二重に持っている表や、月末にしか使わない予定表をやめるか、まとめる
  3. Fit&Gap:残った業務を、Landed Cost・インバウンド出荷管理・在庫転送の標準機能と照らし合わせる

照らし合わせて合わない業務は、「標準に合わせる/開発する/残す」のどれかに決めます。

配賦の基準を、標準にある3つの方法に寄せる。これは「標準に合わせる」です。

通関の業者ごとに形の違うデータを取り込む仕組みは、「開発する」に当たります。

輸入がごく少ない商品の管理を表計算に「残す」判断も、第8章の条件なら十分にあり得ます。

ベンチャーネットの進め方:見える化→整理整頓→Fit&Gap→3つの選択 業務の見える化、整理整頓、NetSuite標準機能とのFit&Gap、そして標準に合わせる・開発する・残すの3択で決める。 ベンチャーネットの進め方業務の見える化いまの業務フローを現場に聞いて描く整理整頓やめる・まとめる・そろえる業務を決めるFit&GapNetSuiteの標準機能と照らし合わせる3つの選択標準に合わせる/開発する/残す製品が決まっていても、見える化から始める
ベンチャーネットの進め方:見える化→整理整頓→Fit&Gap→3つの選択

ベンチャーネットは、諸掛と為替の配賦のルールの設計と、通関のデータを取り込む仕組みづくりを支援しています。

要件を伺うのは、営業ではなく導入コンサルタントです。

ルールを決める場で、会計方針の論点は顧問の会計士・税理士に渡す。

その線引きも、最初に一緒に決めます。

今日できること|1回の輸入の流れを書き出す

最近の輸入を1件選び、次の表を埋めてみてください。

時点日付届いた書類・請求誰が、どこに記録したか
(例)船積み9月1日船荷証券購買担当が表計算に

船積み・入港・通関・入庫・諸掛の請求・支払の順に書き出します。

記録の場所がばらばらな時点が、ずれが生まれている場所です。

あわせて、諸掛の請求がいつ届いたかも書き込みます。

入庫から請求が届くまでの日数が分かれば、見込みの額を入れておくべき期間が見えてきます。

その期間に売った商品が多いほど、見込みの額を入れる価値は大きくなります。

よくある質問

Q1. NetSuiteで、運賃や関税を在庫の原価に含められますか

Landed Costの機能で含められます。

入荷の記録か、仕入先の請求書に諸掛を入力し、重量・数量・金額のいずれかで配賦します(第2章)。

Q2. 船に積んだ段階の在庫を、NetSuiteで管理できますか

インバウンド出荷管理で輸送中の出荷を追跡できます。

輸送中の状態から、所有権の移転を記録することもできます。

前提となる機能がいくつかあります(第3章)。

Q3. Landed Costは日本で使えますか

Oracleのヘルプに国による制限の記載は見当たりませんでした。

ただし、使えるかどうかはアカウントの担当に確認するよう案内されています。

自社のアカウントで有効にできるかを問い合わせてください(第3章3-4)。

Q4. 関税も、運賃と同じ基準で配ってよいですか

品目ごとに税率が違うため一律に配ると実際とずれます。

通関のデータから、品目ごとの関税を取り込む方法を検討します(第5章)。

Q5. 仕入はいつ計上すればよいですか

取引の条件と会社の会計方針で決まります。

インコタームズの条件によって、責任が移る時点が変わります。

顧問の会計士・税理士と決めてください(第1章1-1)。

Q6. 諸掛の請求が後から届く場合、どうすればよいですか

見込みの額を先に入れ請求が届いたら差を直す運用が考えられます。

見込みと実際の差を記録すると、次の見込みの精度も上がります(第7章)。

Q7. 倉庫の間を運んでいる在庫も、同じ仕組みで扱いますか

国内の倉庫の間の移動は在庫転送で扱うのが基本です。

在庫転送で出荷すると、輸送中の在庫の勘定に移り、受け取ると届け先の在庫に加わります(第3章3-5)。

まとめ:洋上在庫も、後から届く諸掛も、NetSuiteの中で

  • 輸入では、時間・金額・為替の3つのずれが同時に起きる
  • 諸掛は、NetSuiteのLanded Costで在庫の原価に含められる
  • 配賦の方法は、重量・数量・金額の3つ。1つの取引で使えるのは1つ
  • インバウンド出荷管理で、輸送中の在庫を追跡し、所有権の移転を記録できる
  • 配賦の基準は諸掛ごとに決める。関税は品目ごとに
  • 日本での利用可否は、自社のアカウントで問い合わせる

月末に在庫の金額が合わないなら、まず1回の輸入の流れを書き出してください。

記録の場所がばらばらな時点が、NetSuiteの中に移すべき場所です。

洋上在庫は、倉庫の棚にない資産です。

NetSuiteの中で状態として持てば、見える資産に変わります。

もう少し詳しく知りたい方へ

輸入の物流と会計をそろえる進め方は、取引の条件と件数によって変わります。

配賦の基準の設計や、通関のデータの取込から、ご相談をお受けしています。

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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