5月31日に終わった案件の収支が分かったのは、6月25日。
案件が終わってから採算が見えるまでに、1か月近くかかる。
プロジェクト型の会社では、こうした時間差が珍しくありません(日付は例です)。
MA-EYES(エムエーアイズ)とは、株式会社ビーブレイクシステムズが提供する、プロジェクト型企業と広告業向けのクラウドERPです。
システム開発・コンサルティング・人材派遣など、人件費が主な原価になる会社を想定しています。
国内中心で、案件ごとの工数と原価を見たい会社には、有力な候補です。
製造業の生産管理や、海外の拠点を多通貨でまとめる用途なら、他の製品も並べて比べてください。
ただ、どの製品を入れても、あの25日が縮まらない会社があります。
現場が工数を入れないからです。
では、工数の入力は、どうすれば定着するのか。
この記事で分かること
- MA-EYESの2つの系統と、主な機能
- 費用の構成(SaaS版と一括導入版)と、導入の費用を動かす4つの要因
- MA-EYESが向いている会社・他の製品も比べたい会社
- 工数の入力を定着させる4つの手順
言葉の整理:ERP(Enterprise Resource Planning)は、会計・販売・勤怠などの基幹の業務を、1つの基盤で管理するシステムです。
工数は、ある仕事に使った人の時間のことです。
MA-EYESとは
MA-EYESは、株式会社ビーブレイクシステムズ(本社:東京都品川区)が提供するERPです(出典:ビーブレイクシステムズ公式 会社概要、2026年9月確認)。
公式サイトの説明は「企業の業務全般を統合的に支援し、経営情報の可視化と迅速な意思決定を支援」です(出典:MA-EYES公式、2026年9月確認)。
製品は、2つの系統に分かれています。
| 系統 | 想定する業種 | 中心の機能 |
|---|---|---|
| プロジェクト型企業向け(V ver.) | システム開発、コンサルティング、人材派遣など、主な原価が人件費の会社 | プロジェクト管理、工数・原価の見える化 |
| 広告業界向け(A ver.) | 総合広告代理店、インターネット広告、Webメディア、SP・イベントの会社 | 販売・仕入・請求の連携 |
(出典:MA-EYES公式、2026年9月確認)
2005年10月にリリースされ、20年以上の実績があるパッケージです。
2010年5月には、一括導入版とSaaS版が出ました(出典:ビーブレイクシステムズ公式 沿革、2026年9月確認)。
MA-EYESの主な機能
必要な機能を選んで使うのが、基本の考え方です。
公式の機能一覧(V ver.)には、次のモジュールが並んでいます(出典:MA-EYES公式、2026年9月確認)。
- プロジェクト管理
- 作業実績・勤怠、購買・経費
- SFA(営業支援)、グループウェア
- 入金、支払、経理、締め処理
- 帳票・分析、申請・承認一覧
- 在庫管理、人材派遣管理
- マスタ管理、システム管理
商談から見積・受注・工数・請求・経理までを、一連の流れで管理できます。
公式サイトでは、外部システムとのAPI・ファイル連携にも対応すると案内しています。
APIは、システムどうしがデータをやり取りするための窓口です。
MA-EYESの強み
案件の収支を、進行中に見られる
案件に、人の割り当て・外注費・経費を結びつけて管理します。
実績を日々入れていけば、予算と実績の差をほぼリアルタイムで追えます。
公式サイトも「工数・原価リアルタイム可視化」を特長に挙げています(出典:MA-EYES公式、2026年9月確認)。
赤字になりそうな案件を、月末の集計を待たずに見つけやすくなります。
月末の集計を待つ場合と比べると、次のとおりです。
ノーコードで設定できる
公式サイトでは、ノーコードで柔軟に設定できることを特長としています(出典:MA-EYES公式、2026年9月確認)。
ノーコードは、プログラムを書かずに画面や項目を設定できることです。
Excelで個別に管理していた情報を、ERPの側に集めていけます。
業種に合わせた2つの系統
プロジェクト型と広告業で、業務に合わせた作りになっています。
汎用のERPを一から作り込むより、自社の業務になじませやすい場合があります。
MA-EYESの費用
公式サイトでは、SaaS導入と一括導入の両方に対応すると案内しています(出典:MA-EYES公式、2026年9月確認)。
| 導入の形 | 費用の構成 | 作り込み |
|---|---|---|
| SaaS版 | 初期導入費用+サービス利用料金(保守サポート費用込み) | 基本的にできず、標準機能のまま使う |
| SaaS+ | 初期導入費用+サービス利用料金(保守サポート費用込み) | クラウドで使いながらカスタマイズできる |
| 一括導入版 | 初期導入費用+保守サポート費用(年払い) | 業務に合わせてカスタマイズできる |
(出典:MA-EYES公式 よくある質問・一括導入版、2026年9月確認)
金額は公開されておらず、料金表は公式サイトから資料として入手する形です。
一括導入版は、機能の範囲や内容で金額が大きく変わるため、個別の見積もりになります。
利用人数が増えても料金は一定で、ユーザー数の制限もありません。
人数の多い会社では、数年の総額で一括のほうが安くなることもあります。
導入の費用と期間を動かす4つの要因
製品の料金とは別に、導入の費用と期間は中身で決まります。
NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットが導入を支援してきた中で、差を生む要因は4つあります。
- 機能範囲:プロジェクト管理だけか、経理・購買・勤怠までか
- 開発:とくに外部システムとの連携。つなぐ先が多いほど重くなる
- 社内の体制:情報システムの担当が少ないと支援を厚くするため、期間も延びやすい
- ユーザー数:受入テストと教育の工数が増え、社内の調整で長くなりがち
一括導入版のように人数で料金が変わらない形でも、4つ目は残ります。
工数を入れる人が多いほど、教育と定着の手間は増えるからです。
正確な費用は、提供元に見積もりを取って確かめてください。
他の選択肢とどう違うか
案件ごとの採算を見る手段は、MA-EYESだけではありません。
「優劣」ではなく「合う条件」で並べます。
| 選択肢 | 合う条件 | 注意点 |
|---|---|---|
| MA-EYES | 国内中心のプロジェクト型・広告業。工数と原価を見たい | 製造の生産管理、多通貨・多言語の用途は要確認 |
| 国産の他のプロジェクト型ERP(ZAC・Reforma PSAなど) | 同じくプロジェクト型。操作や料金の形で比べたい | 製品ごとに会計の範囲が違う |
| NetSuite(SuiteProjects) | 海外拠点、販売・在庫など案件以外の業務も1つにまとめたい | 費用はミニマム構成で月額20万円〜。構成で変わる |
| Odoo | 小さく始め、アプリを足しながら広げたい | 設定を社内で担える人が要る |
| Excel・表計算 | 案件が少なく、経営者が全体を把握できる | 案件が増えると集計が追いつかない |
NetSuiteは、世界220地域・44,000社以上で使われているクラウドERPです(出典:Oracle NetSuite公式サイト、2026年9月時点)。
費用は、モジュール・ユーザー数・オプションで変わり、数百万円規模になることもあります。
同じプロジェクト型では、ZAC(ザック)とは、Reforma PSAとはもご覧ください。
判断の物差し|主な原価と、事業の範囲で見る
製品を並べる前に、2つの問いに答えると、候補が絞れます。
主な原価が人件費で、事業が国内だけ。
この2つがそろえば、MA-EYESのような国産のプロジェクト型ERPが合う場面は多くなります。
IT・コンサル・派遣のように、人の稼働がそのまま原価になる事業です。
広告の制作・出稿で、販売・仕入・請求をつなぎたい会社も当てはまります。
一方、次の会社は他の製品も並べて比べてください。
- 製造業で生産管理が業務の中心:在庫管理のモジュールはありますが、生産管理は機能一覧に見当たりません
- 海外の拠点を多通貨・多言語でまとめたい:公式の機能一覧からは確認できませんでした。提供元に聞き、NetSuiteのような統合型も並べます
- 自社独自の業務が強み:AIを使ったスクラッチ開発も候補です(AIでスクラッチ開発とERP、どちらを選ぶべきか)
- 小さく始めたい:Odooも候補になります(Odooとは)
案件が数件で、経営者が全体を把握できているなら、急ぐ必要はありません。
「いまは入れない」と決め、先に見たい数字と工数の入れ方を決めてください。
これから選ぶ会社と、いま使っている会社
これから選ぶ会社は、3〜5年後の事業の姿も書き出します。
国内のプロジェクト型のままなら、MA-EYESの強みが生きます。
海外や案件以外の事業が増えるなら、統合型も比べる価値があります。
選び方の全体は、ERPを徹底比較|失敗しない選び方で扱っています。
MA-EYESを使っている会社の見直しは、契約の更新やサーバの保守の期限、事業の広がり、二重入力の増加がきっかけになります。
まず、いまの不満が「設定や運用」で直せるのか、「製品の守備範囲」の外なのかを分けます。
設定で直せるなら、提供元やパートナーへの相談が先です。
NetSuiteとの詳しい比較と乗り換えの判断は、NetSuiteとMA-EYESを比較で扱っています。
よくある3つの失敗
失敗1:何でも個別対応して、費用と運用が膨らむ
起きること:導入が進むほど要望が増え、見積もりが膨らむ。稼働後の改修も重くなる。
原因:MA-EYESは、標準をもとに要件に合わせて調整できる製品。その柔軟さを、すべての要望に使ってしまった。
避け方:最初に標準に寄せる業務と譲れない業務を分けます。
譲れない業務だけを個別に対応します。
失敗2:工数が入らず、採算が見えないまま
起きること:製品は入ったが、現場が工数を入れない。案件の採算の数字が実態と合わない。
原因:入力のルールと、入力する理由を現場に伝えていなかった。
避け方:冒頭の問いへの答えが、ここです。
ベンチャーネットは、ERPを定着させる手順を4つで考えています。
- データ整理を最初に:案件・顧客・社員のマスタを、入れる前に片付ける
- 段階的に導入:工数の入力から始め、請求や経理は後に回す
- 研修・サポートを徹底:入力する理由と、入れた数字の使われ方を見せる
- 操作はシンプルに:入力の項目を最小限にし、使わない機能を盛らない
4つの手順を図にすると、次のとおりです。
工数の入力は、日次か週次かを決めておきます。
入れた数字を会議で実際に使って見せることが、定着の近道です。
失敗3:将来の事業の姿を考えずに選ぶ
起きること:数年後に海外の拠点や新しい事業ができ、ERPの守備範囲の外に出る。
原因:いまの業務だけを基準に選んだ。
避け方:選ぶときに、3〜5年後の事業の姿を書き出します。
その姿でも使い続けられるかを、提供元に聞いておきます。
ベンチャーネットならこう見る|製品を並べる前に、見える化から
ベンチャーネットは、NetSuite・Odoo・AIスクラッチ開発を扱い、SAPからのリプレイスにも対応しています。
第6章の2つの問いが「人件費」と「国内だけ」なら、NetSuiteを無理に勧めることはしません。
製品を並べる前に、もう一つやることがあります。
いまの工数表や案件の管理表を、業務の流れとして描き直すことです。
- 業務の見える化:受注から工数・請求・入金までを、現場に聞いて描く
- 整理整頓:誰も見ていない集計表や、二重に入れている項目をやめる
- Fit&Gap:残った業務を、候補の製品の標準機能と照らし合わせる
合わなかった業務は、「標準に合わせる/開発する/残す」のどれかに決めます。
失敗1の「譲れない業務」は、この3つ目の段で初めて決まります。
照らし合わせる相手がMA-EYESでも、他の製品でも、順番は変わりません。
今日できること|直近の3案件の「採算が分かった日」を書き出す
| 案件 | 終了日 | 採算が分かった日 | 集計に使ったファイル・ツール |
|---|---|---|---|
| (例)B社Web制作 | 5月31日 | 6月25日 | 工数表・会計ソフト |
終了日と採算が分かった日の差が、ERPで縮めたい時間です。
使ったツールの数が多いほど、1つの基盤にまとめる価値は大きくなります。
この表は、MA-EYESを含むどの製品の説明を聞くときにも使えます。
よくある質問
Q1. MA-EYESはどんな会社に向いていますか
プロジェクト単位で採算を管理する会社と広告業の会社です。
システム開発・コンサルティング・人材派遣など、主な原価が人件費になる会社を想定しています。
広告業には、販売・仕入・請求の連携に対応した系統があります。
Q2. MA-EYESの費用はいくらですか
金額は公開されておらず料金表を資料で入手して確かめます。
SaaS版は、初期導入費用と月々のサービス利用料金(保守込み)で構成されます。
一括導入版は、初期費用と年払いの保守費用で、個別の見積もりです(第4章)。
Q3. 在庫管理はできますか
公式の機能一覧に在庫管理のモジュールがあります。
ただし、製造の生産管理のモジュールは機能一覧に見当たりません。
製造業が中心なら、製造向けのERPも並べて比べてください(第6章)。
Q4. MA-EYESとNetSuiteの違いは何ですか
国内のプロジェクト型に強い製品と全社を1つにまとめる統合型の違いです。
MA-EYESは、プロジェクトの収支管理を中心にした国産ERPです。
NetSuiteは多通貨・多言語に対応し、海外拠点や在庫・製造を含む業務に対応します。
詳しくはNetSuiteとMA-EYESを比較をご覧ください。
Q5. 工数の入力を、現場に定着させるには
データ整理・段階的な導入・研修・シンプルな操作の4つです。
入力の項目を最小限にし、入れた数字を会議で使って見せます。
工数の入力から始め、請求や経理は後に回すと定着が早くなります(第7章 失敗2)。
Q6. 他のシステムとつなげられますか
外部システムとのAPI・ファイル連携に対応すると案内されています。
何を、どの頻度で連携するかは、導入の前に決めておきます。
連携の範囲で、導入の費用と運用の手間が変わるためです(4-1)。
まとめ|MA-EYES選びの次の一歩
- MA-EYESは、プロジェクト型企業と広告業向けの国産クラウドERP
- 強みは、工数・原価の見える化とノーコードでの設定
- 導入の形はSaaS版と一括導入版。導入の費用は機能範囲・開発・社内の体制・ユーザー数で動く
- 主な原価が人件費で国内だけなら有力な候補。製造や海外の多通貨は他も並べる
- 工数の入力は、データ整理・段階的な導入・研修・シンプルな操作で定着させる
案件の終了日と、採算が分かった日。
その差を縮めるのは、製品より先に、工数が毎日入る仕組みです。
まずは直近の3案件で、差が何日あるかを書き出してみてください。
もう少し詳しく知りたい方へ
MA-EYESを含め、どのERPが自社に合うのか。
主な原価と事業の範囲を伺ったうえで、中立の立場で一緒に整理します。
NetSuiteを実際に触って比べたい方には、デモもご用意しています。
