「もしQ3の売上が15%落ちたら、資金繰りはどうなるだろう」。
こうした問いに、今はExcelと会議を重ね、何日もかける会社が少なくありません。NetSuite AI Canvasは、その作業をNetSuiteのライブデータ上で完結させる新機能です。
ただし、最初にお伝えしておきます。AI Canvasは、現時点では日本では使えません(北米先行)。では、今の私たちには無関係でしょうか。そうではない理由を、この記事で順にお伝えします。
この記事で分かること
- AI Canvasが何をする機能か(ひとことで)
- 従来のシナリオ計画と何が違うか
- 日本でいつ使えるのか・費用はかかるのか
- 使えるようになる前の「今」やっておくべきこと
(読了目安:約6分)
NetSuite AI Canvasとは?
NetSuite AI Canvasとは、NetSuite内のライブデータの上で、分析・シナリオ計画・行動をひとつの場所で行うAI協働空間です。
AI Canvasは、2025年10月7日に開催されたSuiteWorld 2025で発表されました(出典:Oracle NetSuite公式発表)。「NetSuite Next」という次世代NetSuiteの一機能として位置づけられています。
NetSuite Next全体の概要については、こちらの記事で解説しています(内部リンク:NetSuite Nextとは → /netsuite/netsuite-next/)。
ここでの「ライブデータ」とは、エクスポートして固定された数字ではなく、常に最新の状態でつながっている業務データを指します。
AI Canvasで何ができる?
AI Canvasの中心は、「もし〜だったら」を試せるシミュレーションです。
たとえば、次のような問いをその場でモデル化できます。
- もし営業を10人増やしたら、利益はどう変わるか
- もしQ3の売上が15%落ちたら、資金繰りと人員はどうなるか
これらの影響を、財務・在庫・顧客情報といったライブデータをもとに、すぐに確認できます。
主な特徴は3つです。
- ライブチャート:作成したグラフが最新データに自動で追従します
- 協働での深掘り:まず「Ask Oracle」が自然言語で素早く答え、その先をCanvasで複数人が一緒に詰めていきます
- そのまま実行:シナリオを検証したら、Canvasから直接ワークフローを起動できます
ポイントは、同じ数字を全員が同じ画面で見られることです。資料の版がずれて、議論がかみ合わない——そうした手戻りを減らせます。
従来のシナリオ計画(Excel+会議)と何が違う?
AI Canvasの価値は、製品同士の比較よりも「やり方の違い」で見ると分かりやすくなります。
従来のExcel+会議のやり方と並べると、違いは次のとおりです。
| 観点 | 従来(Excel+会議) | AI Canvas |
|---|---|---|
| データの鮮度 | エクスポートした時点で固定 | ライブ(常に最新) |
| 作業場所 | ERPの外(表計算・資料) | NetSuite内で完結 |
| 共同作業 | ファイルの往復・版ずれ | 同じ画面を全員で |
| 分析後の行動 | 別途、手作業で対応 | その場でワークフロー起動 |
データを外に持ち出さないため、「最新の数字はどれか」を探す手間が減ります。
日本でいつ使える?費用は?
ここが、この記事でいちばん大切な部分です。
AI Canvasは、現時点で日本では提供されていません。 提供は北米が先行します。
判明している情報を整理すると、次のとおりです。
- 北米では、発表から12か月以内の提供が予定されています
- 顧客向けプレビューは2026年初頭から
- 北米での一般提供は2026年半ば頃の見込み
- 日本を含むその他の地域は、順次対応の予定です
費用面では、AI Canvasは既存のNetSuiteライセンスに含まれ、追加費用はかからないと案内されています。既存ユーザーは、カスタマイズを保持したままボタンひとつで切り替えられるとされています。
なお、提供時期は変動する可能性があります。最新情報は公式発表でご確認ください。
過度な期待を避けるための前提と、「今」やっておきたいこと
AI Canvasは強力な機能です。ただ、機能の華やかさだけで語ると、かえって遠回りになります。
ここで前提を3つ、正直にお伝えします。売り込みのためではなく、期待値を正しく持っていただくためです。
① AI Canvasは「意思決定」をしてくれるわけではない
AI Canvasが出すのは、シナリオと数字です。「この案でいく」と決めるのは、あくまで人。判断の主導権は、いつもあなたのチームにあります。
② 出てくる答えの質は、土台のデータしだい
AI Canvasは、NetSuite内のライブデータの上で動きます。逆に言えば、土台のデータが不正確だったり、バラバラだったりすれば、出てくる答えも的外れになります。
③ 効果はまだ「実証中」の段階
AI Canvasは北米でも一般提供の前段階です。効果の多くはデモで示されたもので、実運用にもとづく確定した数値はまだ公表されていません。
——では、日本で使えない今、私たちにできることは何もないのでしょうか。
そうではありません。むしろ、使えるようになるまでの「間」こそ、準備の好機です。
やるべきことは、派手ではありません。
- 部門ごとにバラバラなデータを、ひとつにつなげておく
- 「あの人にしか分からない」業務を、見える形に整理する
この2つは、AI Canvasが日本に来たとき、その効果を最大化する土台そのものです。AIの性能ではなく、AIに渡すデータの質が成果を分ける——ベンチャーネットが一貫してお伝えしてきた考え方です。
ベンチャーネットは、2025年に日本オラクル主催の「Oracle NetSuite AI Hackathon 2025」で優秀賞を受けました。テーマは、経営データの見える化・わかる化・動ける化。NetSuiteと生成AIを組み合わせた実装に、すでに取り組んでいます。
機能の到来を、ただ待つ。それも一つの選択です。でも、待つ間に土台を整えておけば、使えるようになった瞬間から差がつきます。その土台づくりを、対等な伴走者としてご一緒できればと思います。
よくある質問(FAQ)
Q1. AI Canvasは日本でいつ使えるようになりますか?
現時点では未定です。提供は北米が先行し、北米での一般提供は2026年半ば頃の見込みとされています。日本を含むその他の地域は順次対応の予定です。時期は変動する可能性があるため、最新情報は公式発表でご確認ください。
Q2. 追加費用はかかりますか?
AI Canvasは既存のNetSuiteライセンスに含まれ、追加費用はかからないと案内されています。既存ユーザーは、カスタマイズを保持したまま切り替えられるとされています。
Q3. Ask OracleとAI Canvasは何が違いますか?
役割が異なります。Ask Oracleは、自然言語の質問に素早く答える「即答」の窓口です。AI Canvasは、その答えをもとに複数人で深掘りし、シナリオを練る「協働の空間」です。まずAsk Oracleで尋ね、その先をCanvasで詰める、という流れになります。
まとめ
NetSuite AI Canvasは、ライブデータの上で「もし〜だったら」を試し、そのまま行動につなげるAI協働空間です。
現時点では日本では使えませんが、それは「今は何もできない」という意味ではありません。むしろ、使える前にデータの土台を整えておくことが、将来の差につながります。
機能を待つだけでなく、待つ間に土台を整える。その伴走を、ベンチャーネットにお任せいただければと思います。
