発表は2025年10月。
日本での提供時期は、まだ発表されていません。
それでも、AI Canvasが描く「シナリオを試して決める経営」は、日本でいま始められます。
NetSuite AI Canvasとは、NetSuiteのライブデータの上で、分析・シナリオの検討・行動を1か所で行うAIの作業空間です。
次世代のNetSuite「NetSuite Next」の機能として発表され、北米から提供が進んでいます。
効果を左右するのは、AIの性能よりデータの整い方です。
では、AI Canvasが来る前に、日本の会社は何を回しておけばよいのか。
NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットの答えは、経営会議の「もし〜なら」を1つに絞ることから始まります。
この記事で分かること
- AI Canvasが何をする機能か
- Excel+会議のシナリオ計画との違い
- 日本での提供状況と、費用の考え方
- 向いている会社・向いていない会社
- 使えるようになる前に、いまやっておくこと(90日の1周目と「守り→攻め→次へ」)
言葉の整理:FP&Aは、予算・予測・分析で経営の判断を支える財務の仕事です。
ライブデータは、書き出して固まった数字ではなく、常に最新の業務データのことです。
AI Canvasでできること
AI Canvasは、2025年10月7日(米国時間)のSuiteWorld 2025で発表されました。
(出典:Oracle公式プレスリリース、2026年9月確認)
NetSuite Nextの全体像は、NetSuite Nextとはで扱っています。
中心は、「もし〜だったら」を試すシミュレーションです。
- もし営業を10人増やしたら、利益はどう変わるか
- もし売上が15%落ちたら、資金繰りと人員はどうなるか
発表では、次のように説明されています(出典:Oracle公式プレスリリース、2026年9月確認)。
- 協働の作業空間:NetSuiteに組み込まれ、利用者やチームが一緒に使う
- 分析と検討:問題を分析し、解決策を出し合う
- そのまま実行:同じ画面から、エージェント型のワークフローを起動できる
エージェント型のワークフローとは、AIが手順を判断しながら進める業務の流れです。
Ask Oracleからキャンバスへ
Ask Oracleは、NetSuiteに組み込まれた、自然言語で質問できるAIアシスタントです。
公式サイトでは、チャットから専用のキャンバスに移れると説明しています。
その場でダッシュボード・グラフ・分析を作れます(出典:Oracle NetSuite公式サイト、2026年9月確認)。
まずAsk Oracleで尋ね、その先をキャンバスで詰める、という流れです。
Ask Oracleは、NetSuite Ask Oracleとはで扱っています。
シナリオ計画のやり方の比べ方
| やり方 | データの鮮度 | 共同作業 | 分析後の行動 |
|---|---|---|---|
| A. Excel+会議 | 書き出した時点で固定 | ファイルの往復・版のずれ | 別に手作業 |
| B. NetSuite EPM | 計画用のデータで管理 | 計画の手順で共有 | 計画を承認して配る |
| C. AI Canvas | ライブ | 同じ画面を全員で | その場でワークフローを起動 |
AI Canvasの価値は、同じ数字を全員が同じ画面で見られることです。
「最新の数字はどれか」を探す手間と、版のずれによる手戻りが減ります。
EPM(経営管理)は、予算・計画・予測を扱うNetSuiteの製品群です。
日本でもいまから使え、NetSuite EPMとはで扱っています。
日本での提供状況と費用
提供状況
AI Canvasは現時点で日本では提供されていません。
発表では、NetSuite Nextはまず北米の顧客に12か月以内に提供するとされました(出典:Oracle公式プレスリリース、2026年9月確認)。
NetSuite Nextは、2026.2で北米での提供が始まりました。
(出典:Oracle NetSuite公式ニュースルーム、2026年7月15日)
Ask Oracleとそのキャンバスは、米国・カナダの顧客向けです。
ほかの国は近く提供とされています(出典:Oracle NetSuite公式サイト、2026年7月15日)。
費用の考え方
公式サイトでは、NetSuite NextはNetSuiteと同じ年額のサブスクリプションと説明しています。
料金は、業種のプラットフォーム・モジュール・ユーザー数で決まります(出典:Oracle NetSuite公式サイト、2026年9月確認)。
切り替えはボタンひとつで、データの移行や作り直しは要らないとされています(出典:同)。
一方で、Ask OracleなどのAI機能は、AI Unitsという単位を消費します。
Ask Oracleは、1回の質問で10〜200 AI Unitsが目安です。
(出典:Oracle NetSuiteのヘルプ、2026年9月確認)
AI Unitsは、一般ユーザーのライセンス1つあたり月1,000が含まれます(出典:同)。
「AI Canvasに追加の費用はかからない」とは言い切れません。
使い方で、AI Unitsの消費が変わります。
使う人数と回数から、アカウント担当と見積もってください。
費用の考え方を数字で並べると、次のとおりです。
NetSuiteそのものの導入費は、構成と導入の中身で大きく変わります。
ベンチャーネットが支援したNetSuite導入の費用では、3名程度・外部連携なしの例が1.5か月・150万円程度でした。
100名程度で外部システムと連携した例は、2億円程度(うち開発約7割)です。
4つの事例は、NetSuiteの料金・費用・価格で扱っています。
判断の物差し|向いている会社・向いていない会社
向いている会社
- 経営会議のたびに、Excelでシナリオを作り直している
- 財務・在庫・顧客のデータが、すでにNetSuiteにまとまっている
- 部門をまたいで、同じ数字を見ながら議論したい
向いていない会社・いまは待ってよい会社
- 部門ごとにデータがばらばらで、数字の定義が揃っていない
- シナリオの検討が年に数回で、Excelで足りている
- 予算や計画の仕組みそのものが、まだない
ほかの選択肢が合う場合
- 予算・計画の手順を先に固めたい → NetSuite EPM(日本でも利用可)
- 独自のシミュレーションの型が、業務の中心にある → AIスクラッチ開発
- データの整理が先 → いまは入れない
これからERPを選ぶ会社と、NetSuiteを使っている会社
これからERPを選ぶ会社
AI Canvasが日本に来るかどうかで、ERPを選ぶのはおすすめしません。
見るべきは、財務・在庫・顧客のデータが1つにまとまるかです。
その土台があれば、どのAIの機能が来ても効果が出やすくなります。
いまNetSuiteを使っていて、見直しを考えている会社
まず、いまのシナリオ計画が、どのExcelで誰の手で作られているかを書き出します。
保守契約の更新や、パートナーの見直しの時期は、データの整理を進める好機です。
Ask Oracleは、初期設定ではどのロールも使えず、管理者がロールごとに許可します(出典:Oracle NetSuiteのヘルプ、2026年9月確認)。
誰に使わせるかも、いまから決めておけます。
よくある失敗3つ
失敗1:AIに「決めてもらえる」と期待する
起きること:シナリオの数字だけで方針を決め、現場の事情を見落とす。
原因:AI Canvasが出すのはシナリオと数字で、判断ではないことを忘れていた。
避け方:「どの案でいくか」を決めるのは人です。
シナリオの前提(売上の落ち幅・人員の数など)を、会議で先に合意します。
失敗2:土台のデータを整えないまま使う
起きること:シナリオの結果が、経理の数字と合わない。
原因:部門ごとにデータがばらばらで、数字の定義も揃っていなかった。
避け方:部門をまたいでデータをつなぎ、「あの人にしか分からない」業務を見える形にします。
これが、AI Canvasが来たときの効果を大きくする土台です。
失敗3:発表の効果を、自社の効果と思い込む
起きること:導入の効果を大きく見込みすぎ、期待外れになる。
原因:発表の説明を、自社の業務やデータでの効果と同じだと考えていた。
避け方:自社のいまの作業時間(シナリオの作成に何日かかるか)を測っておきます。
比べる元があれば、効果を自社の数字で測れます。
ベンチャーネットならこう見る|来る前に、1周目を回しておく
ベンチャーネットは、NetSuite・Odoo・AIスクラッチ開発を扱い、SAPからのリプレイスにも対応しています。
シナリオ分析の相談で最初に伺うのは、次の3つです。
- 経営会議で、いちばん時間をかけている「もし〜なら」は何か
- その計算に要るデータは、NetSuiteにそろっているか
- いま日本で使える仕組み(EPM・ダッシュボード)で、どこまでできるか
型1:90日の1周目|1業務・1KPIと「勘とAIの同条件比較」
AI Canvasを待つ間にも、データで決める1周目は回せます。
1つの業務と1つのKPIに絞れば、最短90日です。
たとえば「売上が落ちたときの仕入の抑え方」と「在庫の金額」です(架空の例)。
1周目では、現場の勘とAI・計算の提案を、同じ条件で比べます。
同じ期間・同じ品目で両方を並べ、結果の数字を見る。
勘が当たっていれば、それも立派なデータです。
比べた記録は、AI Canvasが来たときに効果を測る元にもなります。
型2:守り→攻め→次へ
AI Canvasは、この3段の「攻め」で効く道具です。
守りは、在庫・販売・会計を1つにし、日々の業務を安定させる段階。
攻めは、そろったデータで打ち手を決める段階です。
次へは、KPI・管理会計・上場に向けた内部統制で、経営そのものが変わる段階を指します。
守りが固まっていれば、AI Canvasが来た日から攻めに使えます。
ベンチャーネットは、2025年に日本オラクル主催の「Oracle NetSuite AI Hackathon 2025」で優秀賞を受けました。
経営データの見える化・わかる化・動ける化をテーマに、NetSuiteと生成AIの組み合わせに取り組んでいます。
今日できること|シナリオ計画の作業時間を測る
直近の経営会議で使ったシナリオを1つ選び、次の表を埋めてみてください。
| 作業 | 担当 | かかった時間 | 使ったデータの置き場所 |
|---|---|---|---|
| (例)売上の落ち幅ごとの資金繰り表 | 経理のBさん | 2日 | NetSuite+Excel |
「NetSuite以外」の置き場所が、先に整えるところです。
かかった時間は、将来AI Canvasの効果を測る元になります。
よくある質問
Q1. AI Canvasは日本でいつ使えますか
現時点では未定です。
北米が先行し、ほかの国は近く提供とされています(日本の時期は未発表)。
時期は変わる可能性があるため、アカウント担当に確認してください(第3章)。
Q2. 追加の費用はかかりますか
料金はNetSuiteと同じサブスクリプションで、AI機能はAI Unitsを消費します。
ライセンスに一定量のAI Unitsが含まれます。
使う人数と回数から、足りるかを見積もってください(第3章3-2)。
Q3. Ask OracleとAI Canvasは何が違いますか
Ask Oracleは即答の窓口で、キャンバスは深掘りの作業空間です。
まずAsk Oracleで尋ね、チャットから専用のキャンバスに移って分析を作ります(第1章1-1)。
Q4. NetSuite Nextへの切り替えで、データの移行は要りますか
公式サイトでは要らないとされています。
切り替えはボタンひとつと説明されています。
自社のカスタマイズへの影響は、切り替えの前に確かめてください。
Q5. 日本でいま使えるシナリオ分析の仕組みはありますか
NetSuite EPMで予算・計画・予測に取り組めます。
EPMなどのアドオンの製品は、AI Unitsを消費しないとされています(出典:Oracle NetSuiteのヘルプ、2026年9月確認)。
Q6. 使えるようになるまで、何をしておけばよいですか
データの整理とシナリオ計画の作業時間の記録です。
部門をまたいでデータをつなぎ、いまの作業時間を測っておきます(第8章)。
まとめ
- AI Canvasは、ライブデータの上でシナリオを試して行動までつなぐAIの作業空間
- 現時点では日本では使えない。NetSuite Nextは北米から提供が始まっている
- 費用はサブスクリプション+AI Unitsで考える
- 効果を分けるのは、AIに渡すデータの質
- 待つ間に、1業務・1KPIの1周目を最短90日で回せる
AI Canvasの日本での時期は、まだ発表されていません。
それでも、経営会議の「もし〜なら」を1つ選び、待つ間に1周目を回しておくことはできます。
もう少し詳しく知りたい方へ
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