「利益率が最高の製品と、最低の製品を比較して」。NetSuite にこう話しかけるだけで、数値の答えに加えて、その要因の分析やグラフまで返ってくる。
これが Ask Oracle(アスク・オラクル)です。
Ask Oracle は、NetSuite の次世代基盤「NetSuite Next」の中核となる、自然言語アシスタントです(出典:Oracle)。保存検索やレポートを自分で組まなくても、ふだんの言葉で質問するだけで、データを引き出せます。
ただし、現時点で Ask Oracle は日本では使えません。北米のユーザー向けに、先行して提供される予定です(出典:Oracle)。
この記事では、Ask Oracle でできること、外部 AI 連携との違い、日本での提供時期、そして今から準備しておくべきことを解説します。
この記事で分かること
- Ask Oracle とは何か、できること(検索・分析・操作)
- NetSuite 純正の自然言語と、ChatGPT 等の外部 AI 連携の違い
- 日本での提供時期(北米先行)
- Ask Oracle を待つ間に準備しておくべきこと
読了目安:約7分
Ask Oracle とは
Ask Oracle は、自然言語で NetSuite を操作できる AI アシスタントです。次世代基盤「NetSuite Next」の中核として位置づけられています(出典:Oracle)。
「自然言語アシスタント」とは
自然言語とは、私たちがふだん話したり書いたりする言葉のことです。
これまで NetSuite で必要なデータを取り出すには、保存検索やレポートを自分で組む必要がありました。一定の習熟が求められる作業です。
Ask Oracle なら、「先月の関東エリアの売上は?」のように聞くだけで答えが返ります。専門的な操作を覚える必要がありません。
NetSuite Next の中核機能
NetSuite Next とは、NetSuite の次世代基盤です。対話型 AI やエージェント型ワークフロー、自然言語による検索機能などが組み込まれています(出典:Oracle)。
その中核を担うのが Ask Oracle です。NetSuite のどの画面にいても、すぐに呼び出して使える設計とされています(出典:Oracle)。
現時点では日本未対応
ここは正直にお伝えします。Ask Oracle は、現時点で日本では提供されていません。
北米のユーザー向けに先行提供され、2026 年にかけて順次展開される予定です(出典:Oracle、報道各社)。日本での提供時期は、現時点では明らかにされていません。
Oracle 日本も発表を出していますが、これは米国プレスリリースの抄訳という位置づけです(出典:Oracle 日本)。
この記事は「今すぐ使う」ためではなく、「来たるべき変化に備える」ために読んでいただく内容です。
なぜ今 Ask Oracle が注目されるのか
Ask Oracle が注目される理由は、データ活用のハードルを大きく下げる点にあります。
これまで、データを引き出せるのは操作に習熟した一部の人に限られがちでした。Ask Oracle は、その状況を変える可能性を持っています。
- 専門知識がなくても、ふだんの言葉でデータを引き出せる
- 「どのメニューを開くか」を考えず、聞くだけで済む
- 必要な情報に、誰でも早くたどり着ける
これは、データを「一部の担当者のもの」から「現場の誰もが使えるもの」へ変える動きです。
ベンチャーネットは、経営データの「見える化・わかる化・動ける化」を大切にしています。数字がただ見えるだけでなく、意味が分かり、次の行動につながってこそ価値があります。Ask Oracle は、その方向性を後押しする機能だといえます。
Ask Oracle でできること
Ask Oracle でできることは、大きく「検索」「分析」「操作」の3つに分けられます(出典:Oracle)。
検索・ナビゲート
ふだんの言葉で、欲しい情報や画面にたどり着けます。
Ask Oracle は、いずれ従来の Global Search(全体検索)を置き換えていくとされています(出典:報道)。メニューをたどる操作が、対話に置き換わっていくイメージです。
分析
数値を返すだけでなく、その背景まで説明します。
公開されたデモでは、「利益率が最高の製品と最低の製品を比較して」という指示に対し、数値の答えに加えて、要因の分析と要約のグラフが返されました(出典:報道)。
回答には、「どのように」「なぜ」そうなったのかの説明が添えられるとされています(出典:Oracle)。根拠が見える点が特徴です。
操作(アクション)
Ask Oracle は、調べるだけでなく、業務の自動処理を始める起点にもなります。
エージェント型ワークフロー(AI が一連の作業を進める仕組み)を、Ask Oracle から呼び出せるとされています(出典:Oracle)。
Ask Oracle の仕組みと信頼性
Ask Oracle は、信頼性を重視して設計されています。ここは経営判断に使ううえで大切なポイントです。
おさえておきたい点は次の3つです。
- 権限の枠内で動く:利用者の役割・権限・ポリシーの範囲でのみ動作します(出典:Oracle)
- 人が最終判断する:AI が提案し、人が確認してから実行する流れが基本とされています(出典:報道)
- 根拠を説明する:回答は実際のデータに基づき、理由が示されます(出典:Oracle)
また、データを動かさず、データのある場所で AI が処理する考え方が採られています(出典:報道)。セキュリティと管理のしやすさを保つための設計です。
つまり Ask Oracle は、「便利だが中身が見えない AI」ではありません。根拠と権限がはっきりしているからこそ、経営の意思決定にも使えるツールを目指しています。
純正の自然言語と、外部AI連携(ChatGPT・Claude等)の違い
NetSuite で AI を使う方法には、大きく2つのアプローチがあります。混同しやすいので、ここで整理します。
- 組込型(Ask Oracle):NetSuite 純正の自然言語アシスタント
- 外部AI連携型(AI Connector Service など):ChatGPT や Claude といった外部の AI を選んで接続する仕組み
それぞれの違いを表にまとめます。
| 比較軸 | 組込型:Ask Oracle | 外部AI連携型:AI Connector など |
|---|---|---|
| 何をするもの | NetSuite 内で自然言語操作 | 外部 AI を NetSuite に接続 |
| 提供元 | NetSuite 純正機能 | 外部 AI(例:ChatGPT、Claude) |
| データの扱い | NetSuite 内のデータを直接利用 | 外部 AI と連携して活用 |
| 強み | 権限・根拠が一体で扱いやすい | AI の選択肢が広い |
| 向いている場面 | 標準的なデータ操作・分析 | 自社で AI を選んで使い分けたい場合 |
どちらが優れているという話ではありません。標準的な操作は Ask Oracle が手軽で、AI を自社で選びたい場合は外部連携が向きます。両者は補い合う関係です。
関連記事(内部リンク:公開状況を確認して設定)
- NetSuite Next とは(
netsuite-next)- NetSuite の外部 AI 連携(MCP)活用例(
netsuite-mcp-use-cases)- 組込型 AI と外部 AI、どちらを選ぶか(組込 vs 外部 比較記事)
日本ではいつ使えるのか
最も気になる点を、現時点の情報で整理します。
- Ask Oracle と AI Canvas は、北米のユーザー向けに先行提供される予定です(出典:Oracle、報道)
- 提供開始は、発表から今後 12 か月以内(2026 年後半の見込み)とされています(出典:報道)
- 2026 年にかけて、段階的に展開される予定です(出典:報道)
- 日本での提供時期は、現時点で明らかにされていません
なお、新しい画面デザイン(Redwood UI)は、オプションの切り替えで先行して利用できるとされています(出典:報道)。Ask Oracle 本体とは提供時期が異なる点に注意してください。
繰り返しになりますが、日本での Ask Oracle 提供時期は未確定です。最新情報は Oracle の公式発表でご確認ください。
Ask Oracle を待つ間に、やっておくべき4つの準備
Ask Oracle はまだ日本で使えません。ですが、これは「待つだけの時間」ではありません。むしろ、準備の時間です。
自然言語でデータを操作できる Ask Oracle は、確かに強力です。ただ、AI は魔法ではありません。土台となるデータや業務が整っていなければ、本来の力を発揮できません。
「利益率が最高と最低の製品を比較して」と聞いても、元データが散らかっていれば、返ってくる答えも曖昧になります。
だからこそ、日本に来る前の今が、土台を整えるチャンスです。ここでは、待つ間にやっておくべき4つの準備をお伝えします。
準備①:データを整える(最も重要)
よくある状態
- 同じ取引先が、表記違いで複数登録されている
- 部門ごとに、バラバラの集計ルールで管理している
- 過去データに、空欄や誤入力が残っている
なぜ準備が要るか
Ask Oracle は、NetSuite 内のデータをそのまま読み取って答えます。元データが汚れていれば、自然言語で正しく聞いても、正しい答えは返りません。
どう進めるか
取引先や品目の名寄せ、集計ルールの統一から始めます。データ整備は地味ですが、AI 活用の成否を分ける一丁目一番地です。
準備②:業務を標準化する
よくある状態
- 「あの人にしか分からない」例外処理が多い
- 同じ業務でも、担当者ごとにやり方が違う
なぜ準備が要るか
属人的で例外だらけの業務は、AI が解釈しづらいものです。「動いている」ことと「AI で活用できる」ことは、別の話です。
どう進めるか
まずは例外処理を棚卸しし、標準的な流れに寄せていきます。世界標準の業務に自社を合わせる発想が、ここでも効いてきます。
準備③:権限とポリシーを設計する
Ask Oracle は、利用者の役割・権限の枠内でのみ動きます(出典:Oracle)。裏を返せば、権限設計が曖昧なままだと使いこなせません。
- 誰が、どのデータに、どこまでアクセスできるか
- どのアクションに、承認を挟むか
こうしたルールを、今のうちに整理しておきます。
準備④:完璧を待たず、段階的に進める
すべてを一度に整えようとすると、いつまでも前に進めません。
- まずは主要なデータと業務から着手する
- 整えながら、走りながら磨いていく
完璧を目指すより、まず回す。動かしながら磨いていく。この発想は、AI 時代の準備でも変わりません。
ERP も AI も、IT だけの話ではありません。どんなデータを、誰が、どう活かすか。これは経営そのものの問いです。
Ask Oracle への対応も、IT プロジェクトではなく経営プロジェクトとして捉える。その視点を持てた会社から、AI の恩恵を先に受け取っていきます。
ベンチャーネットは、NetSuite と生成 AI を組み合わせた経営支援に取り組んでいます。オラクル主催の NetSuite AI ハッカソン 2025 では、その取り組みが優秀賞を受賞しました(出典:自社プレスリリース)。日本未対応の今だからこそ、待つ間の準備から、対等な関係の伴走者としてご一緒できます。
よくある質問(FAQ)
Q1. Ask Oracle は日本でいつ使えますか?
現時点では未定です。北米のユーザー向けに先行提供され、2026 年にかけて順次展開される予定です(出典:Oracle、報道)。
日本での提供時期は明らかにされていません。Oracle 日本の発表も、米国プレスリリースの抄訳という位置づけです。最新情報は Oracle の公式発表でご確認ください。
Q2. ChatGPT や Claude との連携(外部AI連携)と何が違いますか?
Ask Oracle は NetSuite 純正の機能で、NetSuite 内のデータを自然言語で直接操作します。
一方、外部 AI 連携は、ChatGPT や Claude などの外部 AI を選んで NetSuite につなぐ仕組みです。AI の選択肢が広い点が特徴です。どちらが上ということはなく、用途に応じて補い合う関係です。
Q3. 今の NetSuite ユーザーは、何を準備すべきですか?
最優先はデータ整備です。取引先や品目の名寄せ、集計ルールの統一から始めるのが効果的です。
あわせて、属人的な業務の標準化と、権限・ポリシーの設計を進めておくと、Ask Oracle が来たときにスムーズに活かせます。詳しくは本記事「7. 待つ間の準備」をご覧ください。
もう少し詳しく知りたい方へ
NetSuite と AI の活用は、これから本格化していきます。「自社のデータや業務を、どこから整えればよいか」は、会社ごとに答えが変わります。
ベンチャーネットは、NetSuite 認定パートナー(Solution Provider)です。NetSuite と生成 AI を組み合わせた経営支援に取り組んでいます。
- 生成AI×NetSuite 活用の無料相談(誘導先URL:要設定)
- NetSuite の AI 最新動向を知る(誘導先URL:要設定)
- NetSuite 導入支援サービスの詳細(誘導先URL:要設定)
待つ間の準備からでも、ご一緒できます。お気軽にご相談ください。
