NetSuite体験デモで確認すべき10のポイント|商談前の準備と、デモ後の判断の仕方

デモが終わり、会議室を出たところで社長が聞きます。

「で、うちに合いそうなのか」

同席した部長たちは、顔を見合わせるだけでした。

NetSuite(ネットスイート)の体験デモとは、製品の画面を実際に動かしてもらい、自社で使う姿を確かめる場です。

よくできた画面をいくら見ても、準備がなければ、社長の問いには答えられません。

デモは「見せてもらう場」ではなく、自社の業務を当てはめて確かめる場だからです。

押さえるポイントは10あります。

商談前の準備が3つ、当日に確かめる機能が5つ、見落としやすい運用が2つ。

そしてデモは、製品と同時に、一緒に進める相手を見極める場でもあります。

では、デモの後、何をもって「合う」と決めればよいのか。

そこまで決めておくと、冒頭の社長の問いに、その日のうちに答えられます。

デモを受けた結果、NetSuiteが合わないと分かることもあります。それも立派な成果です。

ここで挙げるポイントは、NetSuite以外のERPのデモにも、そのまま使えます。

目次

この記事で分かること

  • デモの受け方で、判断の質が変わる理由
  • 商談前に整える3つ、当日に確かめる機能5つ、運用の2つ
  • AIの機能を、日本での提供状況まで含めて聞く方法
  • デモの後の30分の振り返りと、進むか・ほかも見るかの物差し
  • 導入費用の幅と、デモで書き込んだ「開発」「連携」の関係

申し込みの手順は、NetSuiteの無料デモ申し込み方法で扱っています。

デモの受け方で、判断の質が変わる理由

ERPの導入は、システム選びではなく経営の判断です。

デモを「ITの確認の作業」と捉えると、判断の軸を見失います。

デモが役に立つのは、次の3つがそろったときです。

  • 自社の経営の課題が、3つ程度に絞られている
  • 今の業務とデータの流れが、ざっくり書き出されている
  • 判断する立場の人が、同席している

準備がないまま臨むと、説明に流されたり、要望の一覧が膨らんだりします。

機能の○×だけで判断してしまうことも増えます。

デモは、経営の判断の材料を集める場です。

10のポイントの一覧

#段階確かめること見るべき点
①準備経営の課題を3つに絞る「何でもできるか」ではなく「この3つができるか」
②準備今の業務とデータの流れを棚卸しする表計算でつないでいる所と、属人化している所
③準備同席する顔ぶれを選ぶ経営層・システムの担当・業務の代表
④当日ダッシュボードと見える化役職ごとの画面、元の伝票までたどれるか
⑤当日会計・財務の基本の動き仕訳・承認・締め・連結・日本の会計の扱い
⑥当日在庫・販売とのつながり受注から入金までが1つのデータか
⑦当日作り込みの要否標準・設定・開発・連携のどれで実現するか
⑧当日AIの機能何ができるか、日本で使えるか
⑨運用支援の体制と日本語の対応窓口・資料・障害・更新への対応
⑩運用定着と、先の広がり教育・ユーザーや機能の追加・海外への対応

商談の前に、この表を印刷して同席者で共有してください。

デモには2つの種類がある

種類中身向く段階
標準のデモ用意された画面と流れで、製品の全体を見る候補を2〜3に絞る前
場面を指定したデモ自社の課題に沿った場面を、事前に伝えて見る候補を絞った後

最初から場面を指定したデモを頼むと、判断の材料が早くそろいます。

そのための準備が、次の3つです。

デモの前に整える3つ【準備】

準備の3つと仕上げの流れを図にすると、次のとおりです。

デモの前に整える3つと仕上げ:課題→棚卸し→顔ぶれ→先に質問 経営の課題を3つに絞り、業務とデータの流れを棚卸しし、同席する顔ぶれを選ぶ。仕上げに、相手へ先に質問を送っておく。 デモの前に整える3つと仕上げ① 経営の課題を3つに絞る経営者の言葉で。目標の数字も添える② 業務とデータの流れを棚卸し表計算でつなぐ所が分かる粗さで③ 同席する顔ぶれを選ぶ優先順位を決められる人を入れる仕上げ:相手に先に質問を送る当日の時間を、見たい場面に使う見るのは「この3つを解けるか」
デモの前に整える3つと仕上げ:課題→棚卸し→顔ぶれ→先に質問

ポイント①:経営の課題を3つに絞る

最初にやるのは、自社の経営の課題を3つまでに絞ることです。

  • 数字が見えない:月次の締めが遅く、経営の判断が後手に回る
  • 属人化している:表計算の管理で、担当者が休むと業務が止まる
  • 拠点がばらばら:海外の子会社や複数の拠点の数字がまとまらない

課題は、経営者の言葉で書きます。

できれば、課題ごとに目標の数字も添えます。

たとえば「月次の締めを今より5営業日早める」といった形です。

数字があると、デモで見た機能が目標に届くかを話し合えます。

「何でもできるERP」を探すのではなく、「この3つを解けるか」を見るためにデモがあります。

課題が絞れていないと、デモの後に何が分かったのか思い出せなくなります。

ポイント②:今の業務とデータの流れを棚卸しする

  • 使っているシステム:会計・販売・在庫・給与などに、今何を使っているか
  • 表計算の範囲:システムの間を、どの表計算でつないでいるか
  • 属人化している作業:特定の担当者しか知らない処理

棚卸しは、担当者への聞き取りでも構いません。

「月末に一番時間がかかる作業は何か」と聞くだけで、表計算でつないでいる所が見えてきます。

この棚卸しは、Fit&Gap分析の前の段階です。

Fit&Gap分析は、自社の業務とNetSuiteの標準機能の差を見る作業です。

「ここが表計算でつながっている」と分かる粗さで十分です。

進め方は、Fit&Gap分析で扱っています。

ポイント③:同席する顔ぶれを選ぶ

  • 経営層:投資を判断できる方(社長・CFO・担当の役員)
  • システムの担当:技術の面を見られる方
  • 業務の代表:経理・販売など、主な業務の責任者

全社員の要望は集めません。

要望を全部拾うと要件が膨らみ、判断の軸が失われます。

それより、優先順位を決められる人が同席しているかどうかです。

当日は、同席者ごとに見る所を分けておくと、見落としが減ります。

  • 経営層:3つの課題が解けそうか、投資に見合うか
  • システムの担当:今の仕組みとのつなぎ方、権限や更新の扱い
  • 業務の代表:毎日の入力が今より楽になるか、例外の処理が回るか

準備の仕上げ:相手に先に送る質問

3つの準備ができたら、デモの前に相手へ次のような質問を送っておきます。

当日の時間を、見たい場面に使えるようになります。

  • 自社の3つの課題のうち、標準の機能で解けそうなものはどれか
  • 同じ業種・同じくらいの規模の会社で、よく作り込みが要る所はどこか
  • 導入の後、社内に何人くらいの担当者を置くのが現実的か
  • 費用は、どんな構成を前提にした目安になるか

答えの具体さで、相手が自社の業務をどこまで理解しようとしているかも見えます。

当日に確かめる機能5つ【商談中】

NetSuiteは、世界220地域・44,000社以上で使われるクラウドERPです(出典:Oracle NetSuite公式サイト、2026年9月時点)。

機能の幅が広く、デモですべてを見るのは現実的ではありません。

自社の経営の課題に直結する機能から見てください。

機能の全体像は、NetSuite機能一覧をご覧ください。

ポイント④:ダッシュボードと見える化

  • 役職ごとのダッシュボード:社長・CFO・部門長で見える数字が変わるか
  • ドリルダウン:まとめの画面から、元の伝票までたどれるか
  • 指標の追加:自社に要る数字を、自社で足せるか

「この画面を毎朝1分見れば、会社の今が分かる」状態を作れるかが見どころです。

経営会議で毎月見ている資料を1枚持ち込み、同じ数字がどの画面で出るかを聞くと具体的です。

ポイント⑤:会計・財務の基本の動き

  • 仕訳の入力と承認:日々の仕訳がどう入り、誰が承認するか
  • 月次・年次の締め:締めの手順から決算書の出力まで
  • 連結:複数の拠点や子会社の数字のまとめ方
  • 日本の会計の扱い:消費税の処理、仕入の計上の考え方

「できます」と言われたら、自社のよくある仕訳で動かしてもらってください。

子会社がある会社は、連結の数字がどの画面でどうまとまるかも見てください。

考え方はグループ連結決算をNetSuiteで効率化に、日本の会計の注意点はNetSuiteで財務会計を行う前に確認すべき3つのことにまとめています。

ポイント⑥:在庫・販売とのつながり

  • 受注から請求まで:受注→出荷→請求→入金のデータのつながり
  • 在庫の正確さ:在庫の数が、その場で見えるか
  • 複数の倉庫:拠点ごとの在庫が、1つの画面で見えるか

返品・値引き・分納などの例外の処理も、1つは見せてもらってください。

例外の扱い方に、製品の考え方がよく表れます。

毎日の手間は、例外の処理で決まることが多いからです。

ERPの価値は、会計と業務がその場でつながる所にあります。

ここが切れていると、表計算での照合の作業が残ります。

ポイント⑦:作り込みの要否

NetSuiteには、開発の仕組みとしてSuiteScriptとSuiteFlowがあります。

SuiteScriptはJavaScriptで機能を広げる仕組みで、プログラミングの知識が要ります。

SuiteFlowは、プログラムを書かずに業務の流れを自動にする仕組みです(出典:Oracle NetSuiteヘルプ、2026年9月確認)。

「できます」の中身は、次の4つに分かれます。

どれに当たるかで、費用も更新への影響も変わります。

実現の方法中身費用更新のときの影響
標準そのまま使える追加なし小さい
設定画面の項目や承認の流れを変える小さい小さい
開発SuiteScriptなどで独自に作る中〜大確認と改修が要ることがある
連携別のシステムや追加の製品とつなぐ追加の製品と、つなぐ費用つなぎ目の確認が要る

デモの場で、見た機能ごとにこの4つのどれかを書き込んでいきます。

業務を標準に合わせて変えるほうが、長い目で見て費用も危うさも下がります。

「開発」と「連携」の数は、第6章で見る導入費用の差に、そのまま効いてきます。

ポイント⑧:AIの機能

AIは、今のERPの選定で外せない確認の項目です。

NetSuiteのAIは、ERPに組み込まれた機能と、外部のAIとの接続の2つに分かれます。

確かめる問いNetSuiteで確かめられたこと(2026年9月)デモで聞くこと
組み込みのAIで何ができるか文章の要約・文章を整える機能などがある自社の業務のどこで使えるか
日本で使えるか機能ごとに違う。Narrative Insightsは日本で使え、Bill Captureは米国のみ使いたい機能が、日本のアカウントで使えるか
外部のAIとつなげるかAI Connector Serviceで、Claude(Pro以上)やChatGPTから接続できる自社で使っているAIから、どのデータまで見られるか
費用AI Connector Service自体は有料の機能ではないAIの側の契約に、何が要るか
権限管理者のロールでは使えないAIに見せてよいデータの範囲をどう決めるか

(出典:Oracle NetSuiteのヘルプ、2026年9月確認)

AI Connector Serviceは、MCP(AIと外部のシステムをつなぐ共通の規格)にもとづく仕組みです。

仕組みは、NetSuite AI Connector Service(MCP)とはで扱っています。

AIの価値は、データが一か所にそろっているかで決まります。

機能の派手さより、自社のデータがどこまで1つになるかを見てください。

たとえば、デモの場で次のような問いをAIに投げてもらうと、使い道が具体的になります。

  • 先月より粗利が大きく下がった品目はどれか
  • 入金が遅れがちな取引先はどこか
  • 在庫が多すぎる品目と、欠品しそうな品目はどれか

答えの正しさを人がどう見分けるかも、あわせて聞いてください。

見落としやすい運用の2つ【商談中】

ポイント⑨:支援の体制と日本語の対応

  • 問い合わせの窓口:トラブル時の連絡先、対応する時間と言語
  • 日本語の資料:手引きやヘルプの整い方
  • 障害のとき:止まったときの連絡の経路と、復旧の見込み
  • 更新のとき:更新の影響と、知らせ方

NetSuiteの大きなリリースは年2回で、数か月かけて段階的に更新されます。

更新の前には、Release Preview(新しい版を試せる環境)を申し込めます(出典:Oracle NetSuiteのヘルプ、2026年9月確認)。

更新のたびに誰が何を点検してくれるかを、デモの場で聞いてください。

日本語は、画面の表示だけでなく、帳票やメールの文面、ヘルプの資料まで見ます。

範囲は、NetSuiteの日本語対応で扱っています。

製品は世界共通で、伴走するのは日本のパートナーという形です。

パートナーの支援の体制も含めて評価してください。

ポイント⑩:定着と、先の広がり

  • 教育:導入のときの教育と、稼働した後の学び直しの場
  • ユーザーの追加:社員や拠点が増えたときの追加のしやすさ
  • 機能の追加:CRM・EC・人事などを後から足せるか
  • 海外への対応:海外に子会社を作ったときの言語・通貨・会計基準

今要る機能だけでなく、3〜5年後に要りそうな機能も視野に入れます。

「3年後に海外に販売の拠点を作る」なら、その拠点を足す手順と費用をデモの場で聞きます。

海外への対応は、NetSuiteのグローバル展開機能で扱っています。

デモの後に、比べる軸を切り替える

商談の最中は、どうしても機能に目が向きます。

デモが終わったら、比べる軸を「誰と進めるか」に切り替えてください。

ERPは買って終わりではなく、数年かけて運用を磨いていくプロジェクトです。

見る点製品を売る人経営を支える伴走者
商談の進め方機能を上から順に説明する経営の課題から聞く
質問への答え方「できます/できません」の二択できる範囲と限界を率直に示す
作り込みへの姿勢言われたとおりに作る要る・要らないを一緒に決める
失敗の話触れない過去の失敗から学んだことを話す

「この機能は御社には要らないかもしれません」と言えるかどうかが、分かりやすい目安です。

もう1つ、デモで話した相手と、導入で要件を聞く相手が同じかも聞いてください。

間に人が入るほど、デモで伝えた課題は薄まっていきます。

その日のうちに、30分の振り返り

デモが終わったら、同席者で30分の振り返りをします。

  1. 3つの課題ごとに、「解けそう・条件つき・難しい」を書く
  2. 見た機能を、標準・設定・開発・連携に分ける
  3. 次に知りたいことを、相手に質問として返す
デモの後の30分の振り返り:3つの課題ごとの判定と次の一手 3つの課題を、解けそう・条件つき・難しいに分ける。解けそうならFit&Gap分析へ、条件つきなら業務の見直しか設定・開発・連携かを決め、難しいならほかの製品や「いまは入れない」も比べる。 デモの後の30分の振り返り 3つの課題ごとに判定 その日のうちに、同席者で 解けそう Fit&Gap分析に進む 条件つき 業務の見直しで埋めるか、 設定・開発・連携で補うかを決める 難しい ほかの製品や「いまは入れない」も 並べて比べる 2つ以上が標準か設定で解けそうなら、次へ
デモの後の30分の振り返り:3つの課題ごとの判定と次の一手

振り返りをその日のうちにしないと、印象だけが残り、判断の材料が消えていきます。

冒頭の社長の問いに答えるのは、この1枚です。

パートナーの選び方は、NetSuiteパートナーの選び方で扱っています。

判断の物差し|デモの後、どう進むか

NetSuiteに進んでよい会社

デモの後、次の3つがそろえば、Fit&Gap分析に進む価値があります。

  • 絞った3つの課題のうち、2つ以上が標準か設定で解けそう
  • 業務を標準に合わせて変えることに、経営層が前向き
  • 費用の出発点(ミニマム構成で月額20万円〜)に、投資の見通しが立つ

ライセンスは、使うモジュール・ユーザー数・オプションで変わります。

構成によっては、月額が数百万円規模になることもあります。

導入費用は、ライセンスとは別にかかります。

ベンチャーネットが支援したNetSuite導入の費用は、大きく開いています。

3名程度・購買と販売だけ・開発なしの例は、1.5か月・150万円程度でした。

100名程度・外部システムとの連携開発ありの例は、1.5年・2億円程度です。

差を生むのは、機能範囲・開発(特に外部連携)・社内の体制・ユーザー数の4つ。

ポイント⑦で「開発」「連携」と書き込んだ数が、この差に直結します。

4つの事例の表は、NetSuiteの料金・費用・ライセンス体系に載せています。

Fit&Gap分析では、デモで「条件つき」とした所を一つずつ詰めていきます。

業務の見直しで埋めるか、設定・開発・連携で補うかを決め、その費用を見積に載せます。

決める前の質問は、NetSuite選定チェックリストにまとめています。

まだ早い・ほかも見るべき会社

デモの後の状態次の一手
課題の多くが開発でしか解けない業務の見直しで埋まるかを先に考える。AIスクラッチ開発も比べる
国内1社で、会計ソフトで足りている「いまは入れない」も正しい選択。見直す時期だけ決める
小さく始めて、少しずつ広げたいOdooなど、アプリを足していく製品も比べる
日本の業務慣行への対応を最優先したい国産のERPも比べる

どの状態でも、デモを受けたことは無駄になりません。

自社の課題と、製品に求める条件がはっきりしたからです。

比べる候補は、ERP・クラウドERPを徹底比較で見渡せます。

初めて選ぶ会社と、いま使っていて見直す会社

立場ごとに、デモで力を入れる所を図にすると、次のとおりです。

立場ごとに、デモで力を入れる所 初めてERPを選ぶ会社は棚卸しに時間をかけ、2〜3製品で同じ場面を見る。ERPを見直す会社は作り込んだ機能の回り方と移せるデータの範囲と形を加えて聞く。NetSuiteの支援会社を見直すなら、今の設定の点検から始める。 立場ごとに、デモで力を入れる所こんな会社ならデモでこうする初めてERPを選ぶ棚卸しに時間をかける2〜3製品に絞り、同じ場面を見せてもらういまのERPを見直す2つを加えて聞く:作り込んだ機能の回り方移せるデータの範囲と形NetSuiteの支援会社を見直す新しい製品のデモより、今の設定の点検から「使いにくい」原因が、設定や運用にあることも
立場ごとに、デモで力を入れる所

初めてERPを選ぶ会社

会計ソフトと表計算で回してきた会社は、ポイント②の棚卸しに時間をかけてください。

システムの間を人がつないでいる所が、ERPで一番に消える作業です。

デモは2〜3製品に絞り、同じ場面を見せてもらうと比べやすくなります。

社内にERPに詳しい人がいなければ、導入の後に誰が設定を変えるのかも聞いてください。

いまERPを使っていて、見直しを考えている会社

きっかけは、今の製品の保守期限や、支援する会社への不満のこともあります。

この場合は、デモで次の2つを加えて聞きます。

  • 今の製品で作り込んだ機能がNetSuiteの標準でどう回るか
  • 今のデータをどの範囲とどの形で移せるか

すでにNetSuiteを使っていて、支援する会社を見直したい場合もあります。

そのときは、新しい製品のデモより、今の設定の点検から始めるほうが近道です。

「使いにくい」原因が、製品ではなく設定や運用にあることも少なくないからです。

考え方は、ERP導入失敗の原因はパートナーにあり?で扱っています。

よくある3つの失敗

失敗1:全社員の要望を集めて、要件が膨らむ

起きること:要件が100項目を超え、「全部できないとだめ」になり、判断の軸がぶれる。

原因:ERPの選定を、要望をすべて満たす機能探しだと考えていた。

要望が膨らむほど、デモで見るべき所が散らばります。

避け方:デモの前に、経営層が外せない課題を3つ決めます。

現場の要望は、その課題の解決に要るかどうかで取捨選択します。

失敗2:「できます」をそのまま信じて確かめない

起きること:導入の後に、開発や連携が要ると分かり、予算が膨らむ。

原因:「できます」の中身が、標準・設定・開発・連携のどれかを聞いていなかった。

この4つは、費用も危うさも大きく違います(ポイント⑦)。

避け方:「標準・設定・開発のどれで実現しますか」と必ず聞きます。

自社のよくある業務の流れで、画面を動かしてもらいます。

失敗3:機能の○×だけで決め、相手の姿勢を見ない

起きること:○の多い製品を選んだが、使わない機能ばかりで、運用も回らない。

原因:比較表の○の数と、会社の大きさや知名度だけで判断した。

○は使い方の質を表しません。△の機能が、運用次第で大きな価値を生むこともあります。

避け方:○×ではなく、課題が解けるか・運用を回せるかで評価します。

あわせて、限界を率直に話す相手かどうかを見ます。

ベンチャーネットならこう見る|デモは「見える化」と「Fit&Gap」の間に置く

NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットは、デモを進め方の型の中に置いて考えます。

ベンチャーネットの進め方:見える化→整理整頓→Fit&Gap→3つの選択 業務の見える化、整理整頓、NetSuite標準機能とのFit&Gap、そして標準に合わせる・開発する・残すの3択で決める。 ベンチャーネットの進め方業務の見える化いまの業務フローを現場に聞いて描く整理整頓やめる・まとめる・そろえる業務を決めるFit&GapNetSuiteの標準機能と照らし合わせる3つの選択標準に合わせる/開発する/残す製品が決まっていても、見える化から始める
ベンチャーネットの進め方:見える化→整理整頓→Fit&Gap→3つの選択

ポイント②の棚卸しは、1段目の「見える化」の入口です。

デモは、2段目までで絞った課題を、3段目のFit&Gapの前に画面で試す場になります。

デモで「条件つき」とした業務は、Fit&Gapで3つのどれかに決めます。

標準に合わせる/開発する/残す。

「残す」は、NetSuiteに載せず、今の仕組みや運用で続けるという選び方です。

この順番を守るため、デモの前に次の3つを伺います。

  1. 絞った3つの課題:何が解ければ、この投資は成功か
  2. 今の業務の一番面倒な場面:デモで必ず通す場面はどれか
  3. 判断の時期と決める人:いつまでに、誰が決めるか

そのうえで、3つの課題に沿った場面でデモを組みます。

課題がNetSuiteの標準で解けないと分かれば、その場でお伝えします。

デモの後に要件を伺うのは、営業ではなく導入コンサルタントです。

デモで聞いた課題が、伝言ゲームで薄まらないようにするためです。

もう1つ、変わることを先にお伝えします。

帳票の形、締め処理の考え方、画面の操作感は、今のシステムから変わります。

ライセンス費用が、今より上がることもあります。

給与・人事は導入の対象外で、別の仕組みが要ります。

デモの印象が良いときほど、こうした点を契約の前に知っておくことが、後の「話が違う」を防ぎます。

今日できること|1時間で「デモの台本」を作る

経営者と業務の責任者で、次の3つを紙に書き出してください。

  1. 解決したい経営の課題を3つ
  2. デモで通してほしい業務の場面を3つ(例:受注から請求まで、月末の締め、在庫の確認)
  3. 今出している帳票のうち、必ず出したいものを1〜2枚

この紙を、デモの前に相手に渡します。

それだけで、デモは「見せてもらう場」から「確かめる場」に変わります。

複数の製品のデモを受けるなら、同じ紙をすべての相手に渡してください。

同じ条件で見れば、印象ではなく事実で比べられます。

よくある質問

Q1. デモの時間はどれくらいですか

ベンチャーネットの無料体験デモはオンラインで30分程度からです。

自社の業務の場面に沿って深く見る場合は、それより長くなります。

見たいポイントを事前に伝えると、限られた時間を生かせます。

Q2. 自社のデータを使ったデモはできますか

初回は難しいことが多く部分的な対応になります。

よくある取引の流れを伝えれば、それに沿った画面を見せてもらえます。

より深い検証は、Fit&Gap分析の段階で行うのが一般的です。

Q3. 複数のERPのデモを同時に受けてもよいですか

むしろ2〜3製品のデモを受けることをおすすめします。

比べる相手がないと、後で「ほかに合う製品があったのでは」と迷いやすくなります。

ただし5社・10社と受けるのは現実的ではありません。先に候補を絞ってください。

Q4. デモの後、どのくらいで判断すべきですか

ベンチャーネットは1〜3か月程度を目安にしています。

Fit&Gap分析を経て、投資の効果を経営層で話し合う時間が要ります。

NetSuiteは年間ライセンス料のサブスクリプションです(出典:Oracle NetSuite公式、2026年9月確認)。

準備が整ってから契約するほうが、長い目で見てうまくいきます。

半年以上先送りすると、現場の熱が下がり、プロジェクトが止まりやすくなります。

Q5. AIの機能は、デモで何を確かめればよいですか

使いたい機能が日本のアカウントで使えるかをまず聞きます。

NetSuiteのAIは、機能ごとに提供の地域が違います。

外部のAIとつなぐ場合は、AIに見せるデータの範囲と権限の決め方も聞いてください(ポイント⑧)。

Q6. デモの後、導入費用はどう見積もればよいですか

デモで開発と連携に分けた機能の数から見当をつけます。

ベンチャーネットが支援したNetSuite導入では、150万円程度から2億円程度まで開きがあります。

差を生むのは、機能範囲・開発(特に外部連携)・社内の体制・ユーザー数です(第6章)。

Q7. デモを受けたら、契約しないといけませんか

いいえデモは判断の材料を集める場です。

デモの結果、NetSuiteが合わないと分かることもあります。

その判断ができたことも、デモの成果です。

まとめ

  • デモは、自社の業務を当てはめて確かめる場
  • 準備では、課題を3つ・業務の棚卸し・同席の顔ぶれを整える
  • 当日は、見える化・会計・販売と在庫・作り込み・AIを見る。AIは日本で使えるかまで聞く
  • 見た機能は標準・設定・開発・連携に分ける。開発と連携の数が導入費用を左右する
  • デモの後は比べる軸を「誰と進めるか」に切り替え、その日のうちに30分の振り返り
  • 合わないと分かることも、デモの成果

「で、うちに合いそうなのか」。

その問いに、課題ごとの「解けそう・条件つき・難しい」で答えられれば、デモは役目を果たしています。

まずは経営の課題を3つに絞るところから始めてください。

もう少し詳しく知りたい方へ

自社の3つの課題に沿った場面で、NetSuiteのデモをご用意しています。

合わない場合は、その理由もお伝えします。

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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