「海外子会社の数字が見えない。multibookとNetSuite、結局どちらがいいのか」
海外に拠点を持つ中堅企業で、よく出てくる問いです。
multibookとNetSuiteの違いとは、守備範囲の違いです。
multibookは、海外拠点の会計を本社から見える化する道具。
NetSuiteは、国内外の全業務を一つにまとめる基盤です。
どちらが優れているかではありません。
課題が海外子会社の会計と物流の見える化までなら、multibookが本命になりやすい。
国内本社の販売・在庫・CRMまで一つにしたいなら、NetSuiteが本命になりやすい。
すでにmultibookを使っている会社には、続ける・併用する・移るの道があります。
では、両方の条件に当てはまる会社は、何で決めればよいのか。
この記事で分かること
- multibookとNetSuiteの守備範囲の違い
- 料金・導入期間・AIとの親和性の比べ方
- どちらを選ぶかを決める3つの問いと5つのモデルケース
- いまmultibookを使っている会社の「続ける・併用・移る」の判断
- 比較でよくある3つの失敗
言葉の整理:ERPは、会計・販売・在庫などの基幹業務を一つにまとめて管理するシステムです。
連結は、親会社と子会社の決算をまとめ、グループ全体の数字を作ることです。
違いを一言で言うと
multibookは海外拠点の会計の特化型、NetSuiteはグローバル経営の統合型です。
| 項目 | multibook | NetSuite |
|---|---|---|
| 解こうとする課題 | 海外子会社の会計・物流を本社から見える化する | 国内本社と海外子会社を一つの基盤で経営する |
| 主な業務範囲 | 会計/ロジスティクス/固定資産/経費精算 | 会計/販売/在庫/CRM/EC/製造/プロジェクト管理 |
| 主な使い手 | 海外子会社の経理・現地スタッフと本社の管理部門 | 経営者・経理・営業・現場まで全社 |
| 国内本社の業務 | 別のシステムを使い続ける前提になりやすい | NetSuiteに寄せる前提になりやすい |
それでも比べられやすいのは、入口の悩みが同じだからです。
「海外子会社の数字が遅い」「拠点ごとにソフトが違う」。
この悩みは、どちらでも解決の候補になります。
答えが分かれるのは、悩みが海外の経理で閉じるのか、本社の販売や在庫まで広がるのかです。
分かれ道を図にすると、次のとおりです。
multibookの機能や料金の詳しい説明は、multibookとはで扱っています。
判断に要る範囲で、両製品を押さえる
multibook
multibookは、株式会社マルチブックが提供する、海外拠点の管理に強いクラウド型の会計・ERPです。
公式サイトでは、世界40カ国以上・750社以上で使われていると案内されています(出典:マルチブック公式、2026年9月確認)。
- 12カ国語・多通貨・複数帳簿に対応
- 受注・出荷・請求、発注・入庫など物流の機能もある
- 連結会計などの外部システムとつなげられる(出典:マルチブック公式、2026年9月確認)
- 中国での利用には制約があり、詳細は問い合わせるよう案内されている(同上)
複数帳簿は、現地の会計基準と日本の基準など、複数の基準で帳簿を持つことです。
NetSuite
NetSuiteは、Oracleが提供するクラウドERPです。
世界220地域・44,000社以上で使われています(出典:Oracle NetSuite公式サイト、2026年9月時点)。
190通貨・27言語に対応し、Oracleは「#1 AI Cloud ERP」と位置づけています。
海外拠点の管理には、OneWorldを使います。
親会社と子会社を、一つのNetSuiteの中で管理する仕組みです。
- 1組の取引から、複数の会計基準の帳簿を持てる(マルチブック会計)。OneWorldでのみ使える
- グループ会社間の取引を管理し、連結の消去の仕訳を自動で作れる
出典はOracle NetSuiteのヘルプです(2026年9月確認)。
消去は、グループ会社同士の売買を、連結の数字から差し引くことです。
OneWorldの詳細は、NetSuiteのグローバル展開機能で扱っています。
比較表|料金・期間・AIとの親和性
業務の領域ごとの守備範囲
| 業務の領域 | multibook | NetSuite |
|---|---|---|
| 海外子会社の会計 | 中心の領域 | OneWorldで対応 |
| 海外子会社の物流 | 対応 | 対応 |
| 固定資産・リース資産 | 対応 | 対応 |
| 経費精算 | 対応 | 対応 |
| 連結 | 連結会計システムとの連携 | OneWorldで消去の仕訳まで |
| 国内本社の販売・在庫 | 物流の機能はある。本社での使い方は提供元に確認 | 中心の領域 |
| CRM・EC | 守備範囲の外 | 対応 |
| 製造・プロジェクト管理 | 守備範囲の外 | 対応 |
○×の数を数えても、答えは出ません。
自社が解きたい課題の行だけを見てください。
料金・期間・AIとの親和性
| 観点 | multibook | NetSuite |
|---|---|---|
| 料金の出発点 | 月額7万円〜(公式サイトの記載) | ミニマム構成で月額20万円〜 |
| 料金が変わる要因 | 利用の内容で変わる。見積もりで確認 | モジュール・ユーザー数・オプション。数百万円規模になることもある |
| 導入期間 | 最短2週間(公式サイトの記載) | 範囲と進め方で大きく変わる |
| AIとの親和性 | AI自動仕訳機能(2026年7月リリース)。AIチャット機能は2026年10月リリース予定 | AI Connector Serviceで、ClaudeやChatGPTなどの外部のAIとつなげる。AIもロールの権限の範囲でしかデータを見ない |
| AIが使えるデータの範囲 | 海外拠点の会計・物流のデータ | 国内外の販売・在庫・会計・顧客のデータ |
multibookの料金と期間は、マルチブック公式サイトの記載です(2026年9月確認)。
NetSuiteのAI Connector Serviceは、Oracle NetSuite公式サイトで確認しました(2026年9月確認)。
導入期間も、同じ物差しでは比べられません。
multibookは海外拠点の会計に範囲を絞るため、短い期間で始めやすくなります。
NetSuiteは、本社の業務の見直しを含むほど期間が延びます。
期間の見方は、NetSuiteの導入期間で扱っています。
AIとの親和性も、機能の有無だけでは決まりません。
AIが読めるデータがどこまで一つにそろっているかで、使い道の広さが変わります。
海外拠点の経理の入力を楽にしたいならmultibookのAI機能。
全社のデータをAIで分析したいならNetSuite。
費用は「月額」ではなく「総額」で比べる
月額の出発点だけを比べると、判断を誤ります。
製品が受け持つ範囲が違うため、比べる費用の項目をそろえます。
| 費用の項目 | multibookを選ぶ場合 | NetSuiteを選ぶ場合 |
|---|---|---|
| 製品の利用料 | 海外拠点の分 | 本社と海外の全社の分 |
| 国内本社のシステム | 既存のERPや会計ソフトの費用が続く | NetSuiteに含まれる範囲が広がる |
| システムをつなぐ費用 | 本社のシステムとの連携の開発と保守 | 社内の連携は少なくなる |
| 社内の手間 | 本社での集計・組み替えの作業が残ることがある | 導入時の業務の見直しの負担が大きい |
| 将来の入れ替え | 統合が必要になったときに発生する | 後からの入れ替えは起きにくい |
導入の費用と期間は、どちらの製品でも次の4つで動きます。
- 業務の範囲:海外の会計と物流だけか、本社の販売・在庫・CRMまで入れるか
- 開発の量:とくに本社のシステムや連結会計システムとの連携開発
- 社内の体制:本社・現地の情報システムの担当が少ないと、支援を厚くする分だけ期間も延びやすい
- ユーザー数:受入テストと教育の工数、拠点をまたぐ調整の時間
海外子会社の見える化だけが目的なら、multibookの総額は小さくなりやすいでしょう。
国内の統合まで見込むなら、つなぐ開発の費用と将来の入れ替えも同じ表に載せます。
費用の考え方は、クラウドERPの費用・料金相場でも扱っています。
判断の物差し
それぞれが向いている会社
multibookが向いている会社
- 海外拠点が複数あり、本社で連結と見える化を進めたい中堅企業
- 海外子会社の経理を、短い期間と抑えた費用で立ち上げたい
- 現地の会計ソフトが拠点ごとにばらばらで、中身が見えない
- 国内本社は別のERPを使い続け、海外だけをそろえたい
NetSuiteが向いている会社
- 国内と海外を、一つの基盤で経営したい中堅・成長企業
- 海外子会社の会計だけでなく、販売・在庫・CRM・ECもつなげたい
- 拠点の追加や事業の拡大に備えて、後から広げられる基盤がほしい
- 上場準備で、会計と内部統制をグループでそろえたい
3つの問い
冒頭の問いに答えます。
両方に当てはまる会社は、次の3つの問いで優先順位をつけます。
問1:解きたい課題は「海外子会社の見える化」か「グループ全社の統合」か
見える化ならmultibook、国内本社も含めた全社の経営ならNetSuiteが本命です。
問2:海外拠点で必要な業務は「会計+物流」までか
会計と物流で完結するなら、multibookで足りやすい。
海外でも販売・在庫・CRM・ECを本社と同じ形で回したいなら、NetSuiteです。
問3:3年後に拠点の追加や国内の統合を見込むか
当面は見える化が最優先で先は未定なら、multibookで早く安く始めるのが合理的です。
拠点の追加・国内の統合・上場を見込むなら、NetSuiteの統合の価値が大きくなります。
NetSuiteは初期の投資が大きくなります。
その代わり、後から国内の販売や在庫を載せるときに、システムを入れ替える必要がありません。
5つのモデルケース
| ケース | 自社の状況 | 本命の候補 |
|---|---|---|
| ① 中小製造業(海外1〜3拠点) | 海外子会社の会計・在庫が見えない。本社は既存のERPで運用中 | multibook。会計と物流を早く見える化 |
| ② 商社(複数地域・三国間貿易あり) | 海外拠点の販売・在庫・会計を一つにしたい | NetSuite。販売から会計まで一気通貫 |
| ③ SaaS・IT企業(プロジェクト型・海外展開中) | 国内のプロジェクト管理と海外子会社の会計をつなげたい | NetSuite。プロジェクト管理が活きる |
| ④ 中堅製造業(海外5拠点超) | multibookを導入済み。国内の統合も視野に | 併用か段階的な移行(5-2) |
| ⑤ 上場準備の会社 | 国内外の会計と内部統制を一つの基盤で固めたい | NetSuite。OneWorldで本社と海外をそろえる |
モデルケースは目安です。
業種・規模・将来の構想で、答えは変わります。
どちらでもない選択肢が合う場合
| 状況 | 合いやすい選択肢 |
|---|---|
| 本社のERPは使い続け、子会社だけ軽く統一したい | 2層ERP(本社と子会社で別のERP)。multibookもこの形の一つ |
| 費用を抑えて、自社で柔軟に作り込みたい | Odoo。開発の体制があることが前提 |
| 国内中心で、海外は1拠点・取引も小さい | 国産の会計・ERP+現地の会計ソフト |
| 自社だけの業務が強みで、既製品に合わない | AIスクラッチ開発。保守の体制まで含めて判断 |
| 海外拠点の立ち上げ前で、業務が固まっていない | いまは入れない。まず現地の業務と数字の流れを決める |
「いまは入れない」も、判断の一つです。
現地の業務の流れが決まらないうちに入れると、後から設定をやり直すことになります。
2層ERPの考え方は2層ERP(Two-Tier ERP)とは、Odooとの比較はOdooとNetSuiteの比較で扱っています。
これから選ぶ会社と、いまmultibookを使っている会社
これから海外拠点のシステムを選ぶ会社
最初に決めるのは、製品ではなく本社で見たい数字です。
海外拠点の数字を3つに絞り、いま何日遅れで届くかを書き出します。
遅れの原因が現地の会計にあるなら、multibookで早く効果を出しやすい。
本社の販売・在庫とのつながりにあるなら、NetSuiteを検討する価値があります。
候補を絞ったら、両方に同じ質問をします。
| 質問 | 知りたいこと |
|---|---|
| 自社の拠点の国で、会計と税の対応はどこまで標準か | 現地の法令への対応と、作り込みの要否 |
| 本社のシステムとは、どの形でつなぐか | 連携の開発と保守の費用 |
| 拠点が倍になったら、費用と作業はどう変わるか | 3年後の総額 |
| 本稼働までに、社内の誰が何時間使うか | 現地と本社の負担 |
| AIで使えるデータは、どこまでそろうか | AIとの親和性 |
同じ質問への答えを並べると、機能の表では見えない差が出てきます。
海外進出の前に見落としやすい点は、中小企業の海外進出で見落としがちな「基幹システム」も参考になります。
いまmultibookを使っていて、見直しを考えている会社
選択肢は「続けるか、移るか」の二択ではありません。
| 道 | 中身 | 向く会社 |
|---|---|---|
| 続ける | multibookのまま運用を磨く | 海外拠点の業務が安定して回っている |
| A. 併用 | 海外はmultibook、国内本社はNetSuite | 現地がmultibookに慣れ、本社の業務範囲が広い |
| B. 段階的に移る | まず本社をNetSuiteにし、拠点を順に移す | 将来は統合したいが、一度に動かす余力がない |
| C. 一気に統合 | 最初からOneWorldで本社と海外を一つに | 経営の意思が固まり、拠点の追加やM&Aが続く |
見直すきっかけは、拠点の増加、国内本社のシステムの更新時期、上場準備、M&Aなどです。
どれにも当たらず、いまのmultibookで困っていないなら、急いで移る必要はありません。
見直しの分かれ道を図にすると、次のとおりです。
続ける場合も、運用は磨けます。
拠点ごとの勘定科目を本社とそろえる。月次の締め日と報告の期限をそろえる。
本社で組み替えている作業を洗い出し、システム側に移せないか聞く。
これだけで、本社に数字が届くまでの日数が縮むことがあります。
A. 併用は、現地の運用を変えずに、本社の業務だけを広げる道です。
連結のために、両者のデータをつなぐ仕組みが前提になります。
multibookは連結会計システムとの連携に対応していると案内されています(出典:マルチブック公式、2026年9月確認)。
勘定科目や部門の対応表を、どちらの側で持つかを先に決めます。
B. 段階的に移るは、リスクを小分けにする道です。
移っている途中は、二つのシステムが並ぶ期間ができます。
どの拠点を、どの順で、いつまでに移すかを最初に決めておきます。
C. 一気に統合は、初期の投資と負担が最も大きい道です。
その代わり、後から統合し直す手間はかかりません。
段階的に進めるほうが、結果として早く安定することが多い。ベンチャーネットは現場でそう感じています。
最初から100点を目指さず、80点で動かして磨いていく進め方です。
移る場合は、次の6つの順で進めます。
- 現状の棚卸し:multibookで扱う業務・データ・作り込みを洗い出す
- 要件の整理:NetSuiteで何をどこまで扱うかを決める
- データ移行の設計:マスター・期首残高・取引の履歴のどこまでを移すかを決める
- 構築とテスト:利用者の受け入れテストまで行う
- 並行稼働と切り替え:旧システムと並べて動かし、本番に切り替える
- 定着:操作の研修と、運用のルールの文書化
データ移行では、次の点で手間がかかります。
- 勘定科目・部門・拠点・通貨のマスターの見直し
- multibookで扱っていなかった販売・在庫・CRMのマスターの新規の設計
- 期首残高と、未消込の債権・債務の移し方
- 過去のデータを移すか、参照だけにするか
「全部移す」ではなく、「何を移すか」を先に決めることが工数を左右します。
移管がうまく進む会社には、3つの共通点があります。
経営層がプロジェクトの責任者として関わっている。
今あるものをそのまま移さず、業務を見直す機会にしている。
並行稼働の期間を、十分に取っている。
データ移行の進め方は基幹システムのデータ移行ガイドで扱っています。
よくある3つの失敗
失敗1:機能の○×の数で選ぶ
起きること:○の多いNetSuiteを選んだが、使うのは会計だけ。費用と運用の負担だけが増えた。
原因:解きたい課題を決めずに、機能表から比べ始めた。
NetSuiteは販売・CRM・ECまで持つため、○の数では多くなります。
使わない機能にも、利用料と運用の手間がかかります。
避け方:先に「本社で見たい数字」と「必要な業務の範囲」を決めます。
機能表は、その後に見る補助の資料として使います。
失敗2:日本の会計の要件を、1つのシステムで全部抱えようとする
起きること:本社の会計までどちらか一方で賄おうとし、作り込みが膨らんだ。
原因:消費税の計算や源泉徴収など、日本の会計に固有の要件を後回しにして設計した。
海外発のERPが標準でどこまで対応するかは、製品ごとに聞く必要があります。
避け方:日本の会計を「どこで持つか」を最初に決めます。
既存の会計ソフトとつなぐ、次の段階に回す、といった役割分担も選択肢です。
失敗3:「移るか、移らないか」の二択で考える
起きること:困っていないのに移管の計画が走り、現場が疲れた。あるいは、統合が必要なのに見送り続けた。
原因:続ける・併用・段階的な移行・一気の統合の4つを並べずに判断した。
避け方:5-2の表で、自社がどの道に近いかを先に見ます。
きっかけ(拠点の増加・本社の更新・上場準備・M&A)が来たときに、改めて見直します。
ベンチャーネットならこう見る|「つなぐ仕事」と「担い手の分担」
NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットは、multibookを扱っていません。
NetSuite・Odoo・AIスクラッチ開発を扱い、SAPからのリプレイスにも対応しています。
multibookが合うと判断すれば、そうお伝えします。
型1:併用も段階的な移行も、「つなぐ仕事」が成否を分ける
ベンチャーネットの仕事は、ゼロからの導入より、他社のあとの引き継ぎと、他システムとの連携が多くを占めます。
multibookとの併用や段階的な移行は、まさにこの「つなぐ仕事」です。
勘定科目・部門・通貨の対応表をどちらで持つか。
並ぶ期間に、どちらの数字を正とするか。
製品を選ぶより先に、この2つを決めます。
型2:日本オラクル・ベンチャーネット・自社で担うことを分ける
| 担い手 | 担うこと |
|---|---|
| 日本オラクル | ライセンス・トレーニング・製品サポート |
| ベンチャーネット | 要件定義・設定・カスタマイズ・アドオン開発・保守・PM |
| 自社(本社と現地) | 業務の整理・データの準備・受入テスト |
PMには、発注する会社側のPM業務や、Oracleとの調整も含みます。
NetSuiteの最終的な金額は、Oracleの営業から提示されます。
契約は請負契約に対応しています(準委任も相談可)。
常駐はせず、国内のチームがリモートで進めます。
最初の打ち合わせで伺うのは、次の3つです。
- 本社は、海外拠点の何を、何日で見たいか
- 遅れの原因は、現地の会計か、本社の業務とのつながりか
- 3年後の拠点の数と、本社のシステムの更新時期
判断の結果は、たとえば次のようになります。
- 「海外2拠点の会計が遅いだけ。本社は国産ERPで満足」→ multibookか、現状の運用の改善
- 「本社の販売管理の更新が2年後。海外も増える」→ NetSuiteを軸に、段階的な移行を設計
- 「multibookは安定。本社だけ統合したい」→ 併用を前提に、つなぎ方から設計
multibookの提供元には、拠点の国で使える業務の範囲(中国の拠点がある場合は特に)と、拠点が増えたときの料金を聞いておくことをお勧めします。
今日できること|海外拠点の数字が届く日数を書き出す
次の表を、拠点ごとに埋めてみてください。1時間ほどでできます。
| 拠点 | 使っている会計ソフト | 月次の数字が本社に届く日 | 本社でやり直している作業 |
|---|---|---|---|
| (例)タイ子会社 | 現地の会計ソフト | 翌月20日 | Excelで科目を組み替えて集計 |
やり直しが現地の会計のばらつきから来ているなら、multibookの領域です。
本社の販売や在庫とのつながりから来ているなら、NetSuiteの領域です。
表ができたら、2つだけ書き足します。
3年後に拠点がいくつになりそうか。本社のシステムの更新時期はいつか。
この2つが近いうちに来るなら、4-2の問3と5-2の表を読み直してください。
よくある質問
Q1. multibookとNetSuiteは、どちらが良いですか
課題の範囲で決まります。優劣ではありません。
海外子会社の会計と物流の見える化ならmultibook、国内本社を含む全社の統合ならNetSuiteが本命です。
第4章の3つの問いで見てください。
Q2. multibookで国内本社の会計までできますか
公式は日本の拠点も対象と案内しています。
公式サイトでは「日本・海外全ての拠点を統合」「日本、海外各国の法要件、商習慣の対応」とうたっています(出典:マルチブック公式、2026年9月確認)。
消費税や源泉徴収など、本社の会計の細かな要件がどこまで標準で回るかは、提供元に聞いてください。
いまの国内の会計ソフトを残し、つなぐ形も選択肢です。
Q3. NetSuiteを海外子会社だけに絞って使えますか
使えます。ただし、統合の価値は活きにくくなります。
OneWorldで子会社だけを管理することはできます。
用途が海外子会社の会計と物流に限られるなら、multibookのほうが早く、費用も抑えやすい場合があります。
Q4. 料金はどれくらい違いますか
出発点は月額7万円〜と月額20万円〜です。前者がmultibook、後者がNetSuiteのミニマム構成です。
multibookの金額は公式サイトの記載です(2026年9月確認)。
NetSuiteはモジュール・ユーザー数・オプションで変わり、数百万円規模になることもあります。
導入の費用は、業務の範囲・開発の量・社内の体制・ユーザー数で大きく動きます(3-3)。
Q5. AIの機能はどう違いますか
入力を助けるAIか、外部のAIとつなぐ仕組みかの違いです。前者がmultibook、後者がNetSuiteです。
multibookにはAI自動仕訳機能があり、AIチャット機能は2026年10月リリース予定です(出典:マルチブック公式)。
NetSuiteはAI Connector ServiceでClaudeやChatGPTなどとつながります(出典:Oracle NetSuite公式)。
Q6. multibookを使っています。NetSuiteを検討すべき時期はいつですか
拠点の増加・本社のシステム更新・上場準備・M&Aが目安です。
どれにも当たらず、いまの運用で困っていないなら、急ぐ必要はありません。
移管ありきではなく、課題ありきで判断してください(5-2)。
Q7. multibookとNetSuiteを併用するときの注意点は何ですか
連結のためのデータのつなぎ方を先に決めることです。
勘定科目・部門・通貨の対応表をどちらで持つかと、並ぶ期間にどちらの数字を正とするかを決めます。
つなぐ仕組みの開発と保守の費用も、総額に含めて比べてください(3-3)。
まとめ
- multibookは海外拠点の会計の特化型、NetSuiteはグローバル経営の統合型
- 選ぶ前に、本社で見たい数字と、遅れの原因の場所を見る
- 両方に当てはまるなら、課題の範囲・海外で要る業務・3年後の形の3つの問いで決める
- 費用は月額の出発点ではなく、つなぐ開発の費用と将来の入れ替えを含めた総額で比べる
- いまmultibookを使う会社は、続ける・併用・段階的な移行・一気の統合の4つから選ぶ
「結局どちらがいいのか」の答えは、拠点ごとの「届く日」の表の中にあります。
表を埋めたら、3つの問いに当てはめてみてください。
もう少し詳しく知りたい方へ
海外拠点の管理の進め方は、拠点の数と本社の業務の範囲で変わります。
「multibookのままでよいか」という段階からでも、ご相談をお受けしています。
