年初に時間をかけて立てた経営計画。その「計画」という言葉を、ドラッカーの問い「われわれの計画は何か」から、もう一度ほどいてみます。
年初に立てた計画書を、もう一度開いてみる
年が明けるたび、多くの会社が時間をかけて経営計画書を作ります。
ところが半年後、その計画書を開いてみると——数字だけが並んでいて、なぜこの数字なのか思い出せない。そんな経験はないでしょうか。
たとえば「前年比10%アップ」。立てたときは納得していたのに、あらためて「なぜ10%なのですか」と問われると、答えに詰まる。
計画が、いつのまにか「紙の上の数字」になっている。立てることが目的になり、日々の仕事とつながらないまま、棚にしまわれていく。
これは、意志が弱いから起きるのではありません。計画そのものの捉え方に、見直す余地があるのだと、ベンチャーネットは考えています。
なぜ計画は、形だけになってしまうのか
経営学者のピーター・ドラッカーは、経営を考えるための問いの一つに「われわれの計画は何か」を挙げました。
このとき引っかかるのは、ドラッカーが「計画は予測ではない」と言っている点です。
計画とは、来年の数字を当てるためのものではない。当たった・外れたを競うものでもない——そう聞くと、少し戸惑うかもしれません。
では、計画とは何のためにあるのか。この問いに立ち止まることが、形だけの計画書から抜け出す入口になります。
計画とは「何を成果と呼ぶか」を決めること
ベンチャーネットが、この問いを自分たちなりに考え抜いてたどり着いた答えは、こうです。
計画とは、「何を成果と呼ぶか」を決め、ありたい姿から逆算して、今日の一歩を選ぶこと。
ポイントは、比べる相手を「過去」から「これから」へ移すことです。
- 前年比は、過去との比較にすぎません。去年の倍でも、目指す場所からすればまだ半分かもしれない
- 比べるべきは「これからどこへ行きたいか」。ありたい姿から逆算して、今年の一歩を決める
図:同じ数字でも、基準を「過去(前年比)」に置くか「ありたい姿(逆算)」に置くかで、計画の意味が変わる。
利益についても同じ見方ができます。「前年比で何%」ではなく、「将来必要になる投資から逆算して、今年いくら必要か」で決まります。そう考えると、数字に初めて根拠が宿ります。
そして、もう一つ。会社の使命(何のための会社か)と、計画の数字が切れていると、計画書は社員にこう教えてしまいます。「日々の仕事は数字のため。理念とは別物だ」と。
数字と使命がつながっていない。これが、計画が形だけになる大きな理由です。
ベンチャーネットが、自分たちの計画を立て直した話
ここからは、ベンチャーネット自身の話です。
かつてのベンチャーネットは、自社の売上や利益という視点しか持っていませんでした。計画も、その数字を中心に組んでいました。
学びを重ねるなかで、成果の置き場所が変わっていきました。いまは、自社の成果を「お客様との顧客事例づくり」に置いています。
- 顧客事例は、お客様の担当者に喜ばれ、外部からも評価される
- 何より「お客様がどう良くなったか」が、目に見える形で残る
それを、ひとつの数字に落としました。「年間2件」という目標です。掲げた数から逆算して、お客様の体験をどう良くするかを考え、手を打っていく。
このとき大切にしているのが、ある視点です。
アクセス数が多いことが目的ではない。本当に欲しいお客様に届けば、それでいい。
Webからの集客でも、数の多さそのものは目的になりません。計画の目的を、数字の大きさと取り違えない。ここを外さないようにしています。
そして計画は、立てて終わりにしません。「できたこと」から振り返り、次の一歩に書き換えながら回していく。計画は固定された結論ではなく、更新され続ける問いの答えだと考えています。
あなたの計画は、いま何を成果と呼んでいますか
ここまで読むと、計画が「行動に変わる」ための鍵が見えてきます。
それは、数字を追う前に「何のための数字か」を先に置くことです。
成果の意味が定まると、半年後に開いた計画書は、ただの数字の羅列ではなくなります。「自分たちは何を成果と呼ぶのか」を宣言した一枚になる。だから、日々の仕事とつながり続けます。
「何を成果と呼ぶか」を決めるのは、つきつめれば人の判断です。ツールや他社の正解を借りてくることはできません。自社が何を大切にするかは、自社で選ぶしかない。
そのうえで、あらためて問いかけます。
あなたの会社の計画は、いま、何を成果と呼んでいますか。
計画を「行動」に変える、その折り返しのために
「何を成果と呼ぶか」は、一人で、あるいは社内だけで考えると、自社のこれまでの常識に縛られがちです。
悪気なく「成果とはこういうものだ」と決めつけてしまい、計画が去年までの延長線にとどまる。これは、多くの会社で起きることです。
外からの視点が一つ入るだけで、その縛りはほどけることがあります。「それは本当に成果ですか」「お客様から見ると、どうですか」——そう問い直す相手がいると、計画は過去の延長から、ありたい姿への一歩へと向きを変えます。
ベンチャーネットは、その問いを経営者と一緒に立て直す伴走をしています。答えを渡すのではなく、自社の成果を自社の言葉で定義し直すまでを、隣で支える役割です。
一行を書き換えること自体は、難しくありません。難しいのは、その一行が自社の思い込みになっていないかを、自分で見抜くことです。思い込みは、自分の目には映りません。
だからこそ、その問い直しは一人で抱え込まず、外の視点と一緒に。ベンチャーネットは、その最初の一行から伴走します。


