バーチャル経営における人材調達⑤脱紙文化はAI-OCRで達成できる!~OCRとAI-OCRの違い

バーチャル経営では、人材獲得と同時に「業務廃棄」によって経営基盤を強化する方法を提案しています。前回は「RPA」による業務廃棄とゴールについて解説しました。
今回は業務廃棄のきっかけに成り得るツールとして「AI-OCR」を紹介したいと思います。AI-OCRは日本企業に根強く残る「紙文化」からの脱却をサポートしてくれるツールです。

目次

DXへの確実な第一歩は「脱紙文化」

DX対策には、社員の意識・業務プロセス・組織体制の改革までが含まれます。また、最終的にはビジネスモデルの改革・新規事業の創出によって経営基盤を強化していかなくてはなりません。しかし、あまりにもやるべきことが多すぎるため、どこから手を付けていいのかわからない、といった意見も散見されます。

そこで、まずは「紙文化」からの脱却を検討してみてください。「今さら紙文化からの脱却?」と感じるかもしれませんが、紙文化からの脱却は即効性に優れ、確実に効果が期待できる施策です。なぜなら、営業日報をはじめとした各種報告書、請求書、見積書、社内資料などがペーパーレス化されることで、社内の全部門において雑務が減るからです。

なぜ脱紙文化(ペーパーレス化)が進まないのか

これだけデジタル化が進んだ時代であっても、「一枚の紙も使わない」という業務は意外と少ないものです。業界業種で差はあれども、必ず何かしらの形で紙が残っています。特に「証憑」「伝達」「支払い」に関するものは紙ベースであることが多いです。

そこで、なぜ紙が残り続けるかを考えてみましょう。紙が残り続ける原因としては「変革への抵抗感」や「とりあえず業務が回っていることによる妥協」などがあるでしょう。しかし、最も大きな原因は「紙からデジタルへの移行にかかる労力」にあると言えます。

業歴が長い企業ほど、紙からデジタルへの移行にかかるコストは大きくなります。これは、既存の紙書類をデジタルデータへの「移行期」を支えるソリューションが無いか、存在を知らないことに起因しています。裏を返すと、移行期をスムーズに通過するためのソリューションさえあれば、DXへの確実な第一歩を踏み出せるのです。

AI-OCRで業務廃棄を始めよう

AI-OCRは、紙文化とDXの間にある隙間を埋めるツールです。AI-OCRは、既存の従来型OCRが持つ機能にAIの学習・認識機能をミックスし、複雑な紙書類を正確かつスピーディーにデジタルデータへと変換します。

AI-OCRの特徴

OCRは、「Optical Character Reader(もしくはRecognition)」の略称です。読んで字のごとく、光学技術を用いて画像からテキストデータを抜き出します。もう少し噛み砕いて言うと、「紙をスキャナーで読み込み、画像化したデータから文字部分を抜き出す技術」と言えるでしょう。OCRを使えば、紙ベースの書類から純粋に「内容」だけを取り出し、デジタル資産へと変換することができます。これにより、「紙を見ながら端末にデータを打ちこみ、デジタル化する」という極めて非効率な作業を廃棄できるわけです。

しかし、OCRにも限界があります。従来型のOCRは、ソフトフェア内に組み込まれたロジックの範囲であれば、優れた認識能力を発揮します。しかし、ロジックにないパターンの文字は認識できないのです。

一方「AI-OCR」は、AIにディープラーニングを搭載することで文字認識パターンを学習し、失敗した文字を再度認識させながら、識別精度を上げていくことが出来ます。また、AI-OCRは、複数の帳票フォーマットに対応したり、スキャンだけで読取位置や項目の自動抽出を行ったりと、従来型のOCRにはなかった機能も搭載しています。さらに、手書き文字を正確に読み取ることも可能です。

バーチャル経営におけるAI-OCR×RPAの活用方法

バーチャル経営ではRPAとAI-OCRを連携させ、「タスク」ではなく「業務プロセス」を丸ごと廃棄する使い方を推奨しています。ちなみにRPAは国産のツールである「WinActor」、AI-OCRは「DX Suite」が特におすすめです。

WinActorは、国内300社以上への提供実績を持つ、国産RPAソリューションの代表格です。画像認識・HTMLタグ座標によるターゲット識別・VBAでの自動化スクリプト作成などの機能を持ち、複雑な帳票類の転記処理などにも問題なく対応します。また、近年は管理ロボ(WinDirector)のAPI連携機能が強化され、業務シナリオの自動化が可能になっています。
DX Suite AWS版は、従来のOCRにAIの学習効果を付与し、高い文字認識率やフォーマットに依存しない読み取りを実現するツールです。クリックひとつで使用でき、スキャンした画像の自動補正やFAXデータのクリーンアップ、帳票データの回転、FAXの拡大や縮小などにも対応します。

この2つのソリューションを組み合わせることで、「紙書類の電子化」だけではなく、「提出・報告→システムへの入出力」といった一連の業務プロセスを丸ごと廃棄することが可能です。

AI-OCRによる業務廃棄の事例

年間約1000社からBPO業務を受託しているA社では、毎月数万枚もの紙帳票をデータ化する業務が発生していました。この業務が、コア業務(コンタクトセンター業務)を圧迫していたため、AI-OCRの導入を決定したそうです。

ちなみにAI-OCRの選定条件は「専門知識なしで扱えること」「複数のフォーマットに対応でき、フォーマット単位で料金がかからないこと」の2点。この条件に合致するソリューションとしてDX Suiteが選択されました。

DX Suiteの導入前は、月間最大1万枚程度の紙書類を10人で入力し、そのうち2人が入力後の確認を行っていたそうです。しかしDX Suite導入後は、入力と確認が同時に行えるようになり、生産性が大幅に向上しました。DX Suiteに帳票をセットする人材と確認する人材の2人体制で業務が進められるようになったため、最終的に8人分のリソースを確保できたそうです。既存業務を廃棄し、余剰リソースを確保できた好例と言えるでしょう。

AI-OCR×RPA導入はノウハウが大切

ベンチャーネットでは、バーチャル経営が提唱する「業務廃棄」を体現するソリューションとして、「WinActor丸投げサービス」を提供しています。動画ベースでPRAシナリオの作成をサポートし、一般的な入力業務だけではなく、データチェックやWebクローリング、システム間データ連携など、比較的高度な作業のシナリオに対応できることが強みです。

またDX SuiteとWinActorの連携も徹底的にサポートいたします。ICTツールは、単体での導入ならばそれほど難しくありません。しかし、複数のツールを連携させるには、ある程度の技術とノウハウが必要です。もし社内にノウハウが無いならば、運用実績と専門人材を有する企業のサポートを受けていきましょう。

まとめ

今回は、RPAに並ぶ業務廃棄の手段としてAI-OCRを紹介してきました。仕事を棄てることで得られる効果は、意外と大きなものです。「効率化」よりとも「意図的に棄てる」ことを念頭に置き、ダイナミックかつ的確な業務廃棄を心掛けてみてください。きっと「DXの芽吹き」が得られるはずです。次回は、バーチャル経営流人材調達を体現するサービスを紹介します。

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

株式会社ベンチャーネット 代表取締役
2005年に株式会社ベンチャーネットを設立後、SEOをはじめとするデジタルマーケティング領域のコンサルティングサービスを展開
広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で支援を行っています
著書に『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業 「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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