バーチャル経営の集客と販促 ウェビナーで社内情報資産をリード獲得につなげる

ウェビナーは、「ウェブ」「セミナー」を合体させたオンライン上のセミナーです。コロナ禍で一気に市民権を得たウェビナーですが、その質は企業によってまちまちです。準備不足のまま開催すると、スライドショーを読み上げるだけの回になることも珍しくありません。ウェビナーは本来、非接触環境で対面時と同様の効果を狙うためのものです。したがって、オフラインのセミナーや展示会と同じように、プランや資料の質にこだわり、しっかりとPDCAを回していく必要があります。

目次

ウェビナーの基礎をおさらい

まず、ウェビナーが担う役割をおさらいしておきます。ウェビナーは「認知拡大」「リード獲得」「クロージング」という3つの役割を担っています。それぞれ具体的に見ていきましょう。

ウェビナーが持つ3つの役割

  1. 認知拡大
    コロナ禍以降、著名人が登壇するウェビナーが増えたように思います。これは、ウェビナーが持つ認知拡大効果を見込んでのことでしょう。ウェビナーはカンファレンスや講演の代替に成り得るため、できるだけ多くの人に視聴してもらい、その中から潜在顧客を発掘することが可能です。
  2. リード獲得
    認知拡大とは別に、リード獲得という役割も担っています。ターゲットが抱える課題を推測し、その解決に役立つ中立的なコンテンツを提供することで、リード獲得につなげるわけです。このリード獲得では、潜在顧客を顕在顧客化することを目的とします。
  3. クロージング
    オフラインの活動に例えるなら「説明会」「相談会」に該当するでしょう。自社商材の詳細な情報を提供し、購買意欲のある層に対して意思決定を促します。要は「最後の一押し」を担うわけですが、BtoBにおいてこのタイプのウェビナーはそれほど多くありません。

なぜウェビナーは「いまひとつ」なのか

これら3つの役割を理解していても、ウェビナーの効果を体感できないことがあります。なぜでしょうか?ベンチャーネットでは、ウェビナーの効果が「いまひとつ」で終わる背景には、以下のような理由があると考えています。

全体最適が不十分

結果がでないウェビナーは、目的・ターゲット・コンテンツの整合がとれていないことが多いです。また、ターゲットは明確になっていても、目的が認知拡大なのかリード獲得なのか明確でないこともあります。つまり「プランニング」の段階で躓いているわけですね。

社内資料をそのままスライド化している

ウェビナーは、登壇者の話す内容と視聴者に提示するスライドをリンクさせながら進めていきます。大抵の場合、登壇者は経営幹部や事業部門の責任者などが担当することになるでしょう。そのため、話の内容自体は的確かつ具体的であることが多いです。しかし、肝心のスライドが社内資料をつなぎ合わせたような出来では、ウェビナーの効果を最大化することは難しいでしょう。ウェビナーには「リアルタイムで視聴できる」という特長に加えて、「あとから資料を見直し、意思決定の参考にできる」というメリットもあります。したがって、登壇者の発話内容と同じくらい、スライドの出来も重要なのです。

スライドの内容がターゲットの課題に合致しており、なおかつコンバージョンを促すように最適化されているかをチェックしていく必要があります。

PDCAの体制、仕組みが無い

もし、ホワイトペーパーや記事コンテンツなどがウェビナー向けに最適化されていない場合は、リファインとチューニングを行うべきです。また、複数回にわたって開催し、結果をベンチマークしながらPDCAをサイクルさせていかなくてはなりません。しかし、ウェビナーはここ2年ほどで急に始まった施策であり、社内にチューニングのための体制を持つ企業はそれほど多くないでしょう。

また、せっかくリードを獲得できていても、その後のナーチャリング(育成)につなげる体制が無ければ、受注にはつながりにくいでしょう。ウェビナーは自社に興味を持つ企業が、わざわざ時間を割いて参加するため、そこから得られたリードは「濃い」ものであるはずです。つまり、適切にナーチャリングしていけば、受注につなげられるはずなのです。具体的には、ウェビナーで得られたメールアドレスなどの情報をMAに投入し、コンテンツ配信やメールマーケティングなどにつなげていく、といった施策が考えられます。

しかし、MA運用ができていないばかりに、こうしたチャンスを逃してしまう可能性もあるでしょう。特に多いのは「ライセンス契約は済ませて初期導入も完了したが、ほとんど使われてない」というケースですね。社内にMAを運用できる人材がいなければ、ウェビナーで得たリードも無駄になってしまうことが多いのです。

社内資料×PDCA=リード獲得・ナーチャリング

ここまでの内容を踏まえて、ウェビナーの効果を底上げするためのポイントを整理していきます。

徐々にCVを上げていく

まず、「一発を狙いすぎない」ということを強く意識しましょう。1度の開催で成果を出すことに固執せず、開催のたびに改善されていくような状態を目指すべきです。具体的には、「プランニング」の工程で目的・ターゲット・テーマなどを何度もチューニングし、「ターゲット参加数」と「ターゲット適合率」を上げ、強いリードの獲得につなげることが大切です。前述したように、ウェビナーで獲得したリードは、ナーチャリング・クロージングまでスムーズに進みやすいという特徴があります。したがって、プランニングの精度を改善していくことで、受注率や契約率の向上も期待できます。

コンテンツの質を上げる

ウェビナー自体が急速に広まった手法であるため、ノウハウが足りておらず、一般的なカンファレンスや説明会の域を出ないものになってしまうことがあります。そこで、スライドとして提示する資料を継続的にブラッシュアップし、ウェビナーに最適化されたものへと進化させていきましょう。

フォロー・ナーチャリングの仕組みを整える

MA運用を中心に、ウェビナーで獲得した濃いリードを運用し、フォローしていくための環境を整えます。

ウェビナー企画、MA導入サービス「デジテン」

これら3つの施策をサイクルさせていくことで、ウェビナーの効果は徐々に上向いていくと考えられます。しかし、ウェビナーをブラッシュアップし、ナーチャリングにつなげるためのリソースが無い、という企業も少なくないでしょう。こうした企業に向けて、ベンチャーネットでは、ウェビナー企画とMA導入を中心にしたサービス「デジテンを提供しています。

デジテンでは、BtoBビジネスに精通したコンサルタントが、プランニングやコンテンツのブラッシュアップをサポートします。また、ナーチャリングを見据えたMA導入および運用サポートも提供しています。

まとめ

ここでは、ウェビナーの基礎知識と改善ポイントなどを紹介してきました。コロナ禍が沈静化したあとも、ウェビナーの文化は残り続けるでしょう。この機会に、認知拡大、リード獲得、クロージングと幅広く活用できるウェビナーの質を高めてみてはいかがでしょうか。次回は、「ABM(アカウントベースドマーケティング)」について解説します。

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

株式会社ベンチャーネット 代表取締役
2005年に株式会社ベンチャーネットを設立後、SEOをはじめとするデジタルマーケティング領域のコンサルティングサービスを展開
広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で支援を行っています
著書に『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業 「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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