これまではサーチジャーニーマップやパーセプションチェンジなど、検索ユーザーの心理に寄り添ったコンテンツ作成について解説してきました。今回はより具体的な手法として、BtoB向けのSEOライティングについて解説していきます。
SEOを意識したライティングの基本
まず、SEOライティングの基礎を解説します。SEOライティングとは、検索エンジンへの最適化を目指すライティング技法です。キーワードを意識しながら検索ユーザーに良質な情報を提供し、検索エンジンからの評価を高めようという狙いが含まれています。一般的には、以下3つの要素を含むことが多いでしょう。
SEOライティングの3原則
- MECE(漏れなく、ダブりなく、まとめる)
MECEとは「Mutually(互いに)」「Exclusive(重複なく)」「Collectively(集合的に)」「Exhaustive(漏れなく)」という4つの要素の頭文字をとった造語です。MECEは、検索結果として表示されるサイトに含まれる情報のうち、検索ユーザーが欲すると思われる情報を、「漏れ・重複・抜け」が無いように、かつ「集合的に」取り揃えることで検索意図への合致を目指す考え方です。MECEが考慮されたコンテンツは情報量・質ともに高くなる傾向にあります。 - 可読性を上げる
一般的によく言われるSEOライティングとしての読みやすさとしては、「常用外の言葉を使わない」「難解なロジックはなるべく別の話に置き換えて認知負荷を下げる」「一文一義を意識する」などが挙げられます。 - 権威性、信頼性を担保する
科学的な知見から示された信頼に足るデータを添付したり、一次情報を引用したりと、権威性や信頼性を高めるための工夫です。
BtoB向けSEOライティングで意識すべきこと
以上の内容は、BtoC・BtoB問わずSEOライティングの基礎とされる要素です。ただし、「BtoBマーケティングの基礎」でも解説したように、BtoCとBtoBでは「意思決定者」と「ゴールに至るまでのプロセス」に大きな違いがあります。この2つの違いをSEOライティングに当てはめて考えていきましょう。
まず、Webコンテンツが目指すゴールについては、BtoCが「購入・契約」であるのに対し、BtoBは「問合せ」「資料請求」「アドレス登録」であることが多いでしょう。
このゴールにたどり着くためには、まず検索ユーザーがどのような立場の人間かを考慮しなくてはなりません。BtoBでは意思決定者が複数存在しており、「DMU(意思決定組織)」を形成しています。BtoCであれば画面の前にいる人=意思決定者であることから、ライティングで訴求力を高める方法が適しています。これに対し、BtoBは組織同士の付き合いに発展することを考慮し「関係性の最適化」「深化」を意識したコンテンツを意識すべきです。つまり、「学び・気づき・検討」を提供するほうがゴールに近づく可能性が高いのです。
さらにBtoBでは、公的団体・学術機関・大手企業などが検索上位を占めているケースがあります。いずれも権威性が高く、これらを凌駕するコンテンツを意識していかなくてはなりません。
BtoB向けSEOライティングのポイント
上記を踏まえたうえで、BtoBでは次のようなポイントを踏まえたライティングが適していると考えられます。
- Knowおよびdoクエリに最適化
BtoB向けのコンテンツは検索意図の4分類(Know、do、buy、go)でいえば、「Know」「do」に属するものが大半です。またbuyは少数で、goは特殊なケースのみです。したがって、Knowおよびdoクエリに最適化したライティングが好ましいと考えられます。 - ロジカルに信頼性を高める
権威性の高い検索上位群と戦うために、可能な限り信頼性の高い情報を根拠とする必要があるでしょう。しかし信頼性の高い情報は、極論を言えばごく少数のソースに集約されます。そのため、情報ソースだけで差をつけることは難しいのです。そこで、「公平性」「客観性」「論理的な正しさ」などを考慮したライティングを徹底し、独自性を打ち出していきます。一般的に情報ソースは「1次情報」であることが好まれますが、1次情報が全て正しいとは限りません。2次情報の集合であっても、自社独自の見解が含まれ、かつ論理的に正しければ、検索ユーザーは納得して信頼性を高めてくれるはずです。 - 自社の事例と見解で権威性を高める
自社の取り組み、事例などを積極的に活用し、コンテンツの独自性を高めていきましょう。特に事例はBtoBで非常に人気のあるコンテンツであり、出し惜しみするよりも積極的にコンテンツの材料としたほうが有益です。 - ペルソナは「上長に提案、説得する立場にある担当者」
BtoB向けのSEOライティングでは、検索ユーザーのペルソナを「提案・説得する立場にある者」としたほうが結果につながりやすいと考えています。もちろん、業界や商材によって違いはあるでしょう。しかし、「本当の意思決定者は検索ユーザーの後ろ(上位)にいる」という点は共通していることから、上長に提案したり説得したりする材料を提供するほうが効果的です。したがって、過度な訴求よりも「知識(ナレッジ)」を提供しつつ、「提案(オファー)」や「支援(サポート)」を促す書き方が好まれると考えられます。 - サマライズコンテンツで比較、検討の労力を削減する
BtoBで扱う商材は専門性が高く、複雑になりがちです。そのため、複数の業者を比較するだけでも非常に多くの時間と労力がかかります。この労力と時間を短縮してあげることで、検索ユーザーからの評価を高めることができます。具体的には、次のような手法を用います。
– 要約と言い換えを用いて、適宜情報を「まとめる」
– フレーズ化、箇条書きを用いて「簡素化」
– 図解、表とグラフ、動画を用いて「可視化」
– 可読性を高めるために、強調したい部分はあえて「話し言葉」
– 「補足、要約、反復」を意識して認知負荷を下げる
このように情報の波を乗り越えるための「踊り場」をいくつか用意することで、検索ユーザーは比較・検討を進めやすくなります。
技術的施策+BtoB向けライティングで最強のコンテンツSEOへ
BtoB向けSEOライティングを意識しつつ、Googleが示す定量的な指標にも配慮することでコンテンツSEOの効果はさらに高まります。
特に「Core Web Vitals」が示す定量的な指標は必ず意識すべきです。Core Web Vitalsでは、「見やすさ」「読みやすさ」などを定量的な指標で定めています。BtoB向けSEOライティングで作成した良質な記事コンテンツを、Core Web Vitalsを踏まえた技術的な内部施策で押し上げていく。この両輪がうまく機能することで、コンテンツSEOの効果は最大化されていきます。
まとめ
ここでは、BtoB向けSEOライティングの基礎について解説してきました。BtoB向けのSEOライティングでは、検索意図の把握とともに認知負荷を下げるための、サマライズ・ビジュアライズといった要素も重要になってきます。また、技術的な内部施策との組合せも必ず意識するようにしましょう。次回は、Core Web Vitalsに対応するための技術的な内部施策「コーディング」について解説します。