紹介予定派遣からNetSuite ERPコンサルタントになる|未経験IT人材のキャリアチェンジ完全ガイド

正社員として働きたい。でも、いまの職場を辞めて転職活動に踏み切るのは怖い。

派遣やSES(客先に常駐してシステム開発・運用を担う働き方)のIT人材から、そんな声をよく聞きます。その不安に応える選択肢の一つが「紹介予定派遣」です。

本記事は、NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットが執筆しています。紹介予定派遣の仕組みと、未経験からNetSuite ERPコンサルタントを目指す道筋を解説します。

この記事で分かること

  • 紹介予定派遣の仕組みと、通常の転職・派遣継続との違い
  • 「辞めずに試せる転職」のメリットと、知っておくべき現実
  • 未経験IT人材がNetSuite ERPコンサルタントになるまでの道筋
  • 応募前に知ってほしいキャリアチェンジの失敗パターン

読了時間の目安:約8分

目次

紹介予定派遣とは?仕組みを3分で理解する

紹介予定派遣とは、派遣期間の終了後に、派遣先企業への直接雇用を前提として働く派遣の形態です。この章では、制度の基本を整理します。

厚生労働省は、紹介予定派遣を次のように定義しています。派遣会社が、派遣の開始前または開始後に、働く人と派遣先企業に対して職業紹介を行うことを予定して行う労働者派遣です(出典:厚生労働省「紹介予定派遣とは」)。

少し硬い表現なので、流れでかみ砕きます。

  • 派遣会社に登録し、派遣スタッフとして企業で働き始める
  • 最長6か月の派遣期間中に、会社と本人がお互いを見極める
  • 双方が合意すれば、その会社の直接雇用に切り替わる

通常の派遣と違う3つのポイント

紹介予定派遣には、通常の派遣にはない特徴が3つあります(出典:厚生労働省)。

  1. 派遣期間は最長6か月:6か月を超える派遣はできません(通常の派遣は同一組織で最長3年)
  2. 事前の面接・書類選考が認められている:通常の派遣では禁止されている選考が、例外的に可能です
  3. 期間の途中でも直接雇用に切り替えられる:派遣会社・派遣先・本人の三者が合意した場合

つまり紹介予定派遣は、「入社する前に、実際に働いて確かめられる採用の仕組み」です。

会社にとっては適性を見る期間、働く側にとっては職場を確かめる期間になります。

通常の転職・派遣継続と何が違うのか【比較表】

正社員転換を目指すとき、選択肢は紹介予定派遣だけではありません。この章では、3つの選択肢を同じ軸で比較します。

観点通常の転職派遣のまま働き続ける紹介予定派遣
入社前の見極め面接など短時間の接点のみ(転籍しないため不要)最長6か月、実際に働いて確認できる
ミスマッチのリスク入社後に判明しやすい現状維持のため小さい派遣期間中に確認できる
選考書類・面接ありなし書類・面接あり(制度上認められている)
収入の連続性離職期間が生じる場合がある継続派遣就業として継続しやすい
向いている人行きたい会社が明確で早く移りたい人いまの働き方に満足している人職場を確かめてから正社員転換したい人

どれかが常に優れている、という話ではありません。

行きたい会社が決まっていて早く移りたいなら、通常の転職が最短です。いまの環境に満足しているなら、無理に動く必要もありません。

紹介予定派遣が向いているのは、「正社員転換はしたいが、入社してからの後悔は避けたい」という人です。

「辞めずに試せる」は本当か|メリットと知っておくべき現実

紹介予定派遣には確かな利点がありますが、誤解されやすい点もあります。この章では、良い面と現実の両方を整理します。

働く側の4つのメリット

  • 実際に働いてから判断できる:職場の雰囲気・仕事内容・人間関係を、入社前に確かめられます
  • 無職期間を挟まずにキャリアチェンジできる:派遣就業として収入を得ながら移行できます
  • 条件交渉を派遣会社が仲介してくれる:給与や待遇の交渉を、自分一人で抱えずに済みます
  • 未経験可の求人に出会える場合がある:働きながらスキルを身につける前提の求人が存在します

知っておくべき3つの現実

現実①:必ず直接雇用されるわけではありません。

厚生労働省の集計では、紹介予定派遣から直接雇用に至った割合は約56%です(出典:厚生労働省「令和4年度 労働者派遣事業報告書の集計結果」)。

現実②:直接雇用=正社員とは限りません。

直接雇用には、契約社員などの形態も含まれます。紹介予定派遣では、派遣で働き始める前に、直接雇用後の労働条件を明示するルールがあります(出典:厚生労働省)。雇用形態・契約期間・給与は、必ず書面で確認してください。

現実③:断られる可能性も、断る自由もあります。

直接雇用は双方の合意で成立します。会社側が見送る場合もあれば、あなたの側から断ることもできます。

半数近くが直接雇用に至らない背景には、働く側から辞退したケースも含まれます。働いてみて合わなければ断れる。それ自体が、この制度の価値でもあります。

NetSuite ERPコンサルタントとはどんな仕事か

キャリアチェンジの行き先となる職種を解説します。この章を読むと、自分に合う仕事かどうかを判断しやすくなります。

NetSuiteは、Oracle社が提供するクラウドERP(会計・販売・在庫など会社の基幹業務を1つのシステムに統合する仕組み)です。世界220地域・43,000社以上で利用されています(出典:Oracle NetSuite公式、SuiteConnect 2026)。

NetSuite ERPコンサルタントは、このNetSuiteを企業に導入し、活用を支援する専門職です。

仕事の中身はシステム設定だけではない

ERPコンサルタントの仕事は、大きく3つに分かれます。

  • 企業のいまの業務を理解し、課題を整理する
  • あるべき業務の流れを設計し、NetSuiteに落とし込む
  • 導入後も、経営や業務の変化に合わせて改善を続ける

ベンチャーネットは、この仕事を「システム導入ではなく、経営への伴走」だと考えています。

導入をゴールにせず、お客様の経営が変わるところまで関わる。それがERPコンサルタントという仕事の面白さであり、難しさでもあります。

働き方と求人の実情

正社員としての働き方や求人の詳細は、以下の記事で解説しています。

未経験IT人材がNetSuiteコンサルになるまでの道筋

未経験からERPコンサルタントを目指す場合の、一般的な成長の道筋を解説します。

成長の4ステップ

  1. 基礎理解:ERPとは何か、会計・販売・在庫といった業務の流れを学ぶ
  2. 現場同席:先輩コンサルタントのプロジェクトに同席し、実際の進め方を体感する
  3. 部分担当:設定・テスト・ドキュメント作成など、担当範囲を少しずつ広げる
  4. 独り立ち:小さな担当領域から、自分で顧客と向き合う範囲を広げていく

完璧な準備を待たない

大切なのは、最初からすべてを理解しようとしないことです。

ERPは会計・販売・在庫と領域が広く、完璧に準備してから現場に出ることは、そもそもできません。現場で手を動かし、わからないことを聞き、回しながら学ぶ。この繰り返しが、いちばんの近道です。

いまの現場経験が土台になる

未経験からの挑戦で武器になるのは、派遣やSESで培ったいまの経験です。

開発・運用・サポートの現場で身につけた力は、業務とシステムの間をつなぐERPコンサルタントの土台になります。ゼロからのスタートではありません。

キャリアチェンジの失敗パターン|応募前に知ってほしいこと

この章では、紹介予定派遣を使ったキャリアチェンジでつまずきやすいパターンを、4つに整理して紹介します。

これは、応募を思いとどまらせるために書くものではありません。「知らなかった」というだけで失敗してほしくない。その思いから、率直にお伝えします。

ベンチャーネットは、働く人と会社が対等な関係で見極め合うことを大切にしています。だからこそ、良い面だけでなく、つまずきやすいポイントも正直に共有します。

失敗パターン①:「正社員になりたい」だけで動いてしまう

よくある現象

  • 雇用形態を変えること自体が目的になっている
  • 仕事内容より「正社員かどうか」で応募先を選んでいる
  • 入社後にどんなキャリアを積みたいか、聞かれると言葉に詰まる

なぜ失敗するか

正社員になることは、ゴールではなくスタートです。

雇用形態だけを基準に選ぶと、職種への適性や仕事内容の検討が抜け落ちます。その結果、直接雇用に切り替わった後で「思っていた仕事と違う」というミスマッチが起きやすくなります。

どう回避するか

「どの専門性を積み上げるか」を先に決めることをおすすめします。

ERPコンサルタントは、業務・人・システムを横断して扱う専門職です。この仕事そのものに興味を持てるかどうかを、雇用形態より先に考えてみてください。

失敗パターン②:「直接雇用=正社員」と思い込む

よくある現象

  • 求人票の雇用形態の欄を確認せずに応募している
  • 「直接雇用」と「正社員」を同じ意味だと考えている
  • 給与や待遇の条件を、切り替え直前まで確認していない

なぜ失敗するか

直接雇用には、正社員だけでなく契約社員などの形態も含まれます。

ここを確認しないまま進むと、直接雇用への切り替え段階で、想定と違う条件に直面することがあります。

どう回避するか

紹介予定派遣では、派遣で働き始める前に、直接雇用後の労働条件を明示するルールがあります(出典:厚生労働省)。

雇用形態・契約期間・給与は、必ず書面で確認してください。確認することは失礼ではなく、制度上の当然の権利です。

失敗パターン③:「会社が育ててくれる」と受け身で待つ

よくある現象

  • 研修メニューの充実度だけで会社を選んでいる
  • 派遣期間中、指示された作業だけをこなしている
  • わからないことを、聞かずに一人で抱え込んでいる

なぜ失敗するか

最長6か月の派遣期間は、学ぶ期間であると同時に、見極められる期間でもあります。

受け身の姿勢のままでは、スキルが伸びにくいだけではありません。「この人と一緒に働きたい」という評価にも、つながりにくくなります。

どう回避するか

完璧な準備が整うのを待つ必要はありません。

現場で実際に手を動かし、わからないことをその場で聞き、回しながら学ぶ。ERPコンサルタントの成長は、この繰り返しの先にあります。派遣期間は、その姿勢を身につける絶好の機会です。

失敗パターン④:「見極められる側」だとだけ考えて萎縮する

よくある現象

  • 6か月間ずっと「試験を受けている」ような緊張が続く
  • 職場への疑問や違和感を、口に出せずに飲み込んでいる
  • 自分が会社を選ぶ側でもある、という視点を手放している

なぜ失敗するか

紹介予定派遣を一方的な「試用」と捉えると、大切な視点が抜け落ちます。

それは、あなた自身がこの職場・この仕事・この会社の将来性を見極める、という視点です。自分側の見極めを放棄したまま直接雇用に進むと、入社後に違和感が表面化します。

どう回避するか

ベンチャーネットは、この6か月を「対等に見極め合う期間」だと考えています。

会社があなたを見るのと同じように、あなたも会社を見てください。仕事は面白いか。一緒に働く人を信頼できるか。この会社で専門性を積み上げたいと思えるか。

対等に見極め合ったうえでの合意だからこそ、入社後のミスマッチは起きにくくなります。それが、紹介予定派遣という制度の本来の価値だと、ベンチャーネットは考えています。

4つのパターンに共通するのは、「制度や会社に任せきりにしない」という一点です。

紹介予定派遣は、辞めずに試せる優れた仕組みです。ただし、仕組みが自動的にキャリアを作ってくれるわけではありません。

主体的に選び、主体的に学び、対等に見極める。その姿勢があってはじめて、この制度は力を発揮します。

よくある質問(FAQ)

紹介予定派遣とNetSuiteコンサルタントへのキャリアチェンジについて、よくいただく質問に答えます。

IT完全未経験でもNetSuiteコンサルタントになれますか?

段階を踏めば、目指せる職種です。ただし、一足飛びにはなれません。

ERPコンサルタントには、業務知識とシステム知識の両方が求められます。まずは設定・テスト・サポートなどの周辺業務から入り、担当範囲を広げていくのが現実的な道筋です。

派遣やSESでのIT現場経験がある方は、その経験が土台になります。完全未経験の方は、基礎学習と並行して現場に入れる環境を選ぶことが大切です。

紹介予定派遣なら必ず正社員になれますか?

いいえ。直接雇用は、会社と本人の双方合意で成立します。

厚生労働省の集計では、紹介予定派遣から直接雇用に至った割合は約56%です(出典:厚生労働省「令和4年度 労働者派遣事業報告書の集計結果」)。

また、直接雇用の形態が正社員とは限らず、契約社員などの場合もあります。派遣開始前に明示される労働条件を、必ず書面で確認してください。

年齢が高くても応募できますか?

制度上、年齢を理由にした選考の差別は認められていません。

紹介予定派遣の選考では、直接採用と同じルールが適用されます。年齢・性別・障害を理由とした差別は禁止されています(出典:厚生労働省)。

また、ERPは経験が評価されやすい分野です。業務知識や調整力といった、これまでの社会人経験そのものが強みになります。

派遣期間中の給与や待遇はどうなりますか?

派遣期間中は、派遣会社との雇用契約に基づく給与・待遇になります。

直接雇用後の条件とは別である点に注意してください。派遣期間中の条件は派遣会社に、直接雇用後の条件は事前に明示される労働条件通知の内容を、それぞれ確認しましょう。

有給休暇の算定期間などに派遣期間を含めるかどうかは、会社ごとの取り決めによります。気になる点は、契約前に派遣会社を通じて確認するのが確実です。

まとめ|対等に見極め合う6か月から始める

紹介予定派遣は、「辞めるか、とどまるか」の二択に、第三の道を加える制度です。

最長6か月、実際に働きながらお互いを見極める。合わなければ断れる。合えば、無職期間を挟まずに正社員転換できる。

「いまの職場を辞めて転職に踏み切るのは怖い」。その不安は、決して弱さではありません。慎重さは、キャリアを選ぶうえでの強みです。

だからこそ、雇用形態だけでなく「どの専門性を積み上げるか」まで考えて、次の一歩を選んでください。

NetSuite ERPコンサルタントは、業務・人・システムを横断して、企業の経営に深く関わる仕事です。ベンチャーネットは、この仕事を「システム導入ではなく、経営への伴走」だと考えています。

そして採用においても、会社と候補者が対等に見極め合う関係を大切にしています。

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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