「プロジェクトの採算を見たい。MA-EYESとNetSuite、どちらがいいのか」
中堅企業の経営者から、よくいただく相談です。
答えは、事業の軸足で分かれます。
MA-EYES(エムエーアイズ)とは、株式会社ビーブレイクシステムズが提供する、プロジェクト管理を中心としたERPの製品群です。
SaaS版と一括導入、プロジェクト型企業向けと広告業界向けがあります。
- 案件ごとの採算管理が経営の中心で、国内中心なら、MA-EYESが合いやすい
- 会計・販売・在庫・海外拠点まで一つにまとめたいなら、NetSuiteが合いやすい
ただ、MA-EYESはSaaS版か一括導入かで、比べる前提が変わります。
すでに一括導入で自社向けに合わせてきた会社が、乗り換えを考えるとき。
合わせ込んだ部分は、どう扱えばよいのか。
この記事で分かること
- MA-EYES製品群とNetSuiteの、得意な領域の違い
- MA-EYESの導入形態(SaaS版・一括導入)で、比較の前提がどう変わるか
- 6つの軸の比較と、費用と期間を左右する4つの要因
- MA-EYESを使っていて見直す会社の、3つの道
- よくある3つの失敗と、今日できること
製品の詳しい機能はMA-EYESとは、クラウド版で使う前提に絞った比較はMA-EYES(クラウド版)とNetSuiteの比較で扱っています。
MA-EYES製品群の特徴
ビーブレイクシステムズは、2002年7月設立、東京証券取引所スタンダードに上場する会社です(出典:同社会社概要、2026年9月確認)。
MA-EYESは2005年10月に販売を始め、2025年10月に20周年を迎えました(出典:同社プレスリリース、2026年9月確認)。
プロジェクト管理を中心に、20年続いてきた製品です。
公式サイトでは、2つの系統が案内されています(出典:MA-EYES公式、2026年9月確認)。
| 系統 | 想定する事業 |
|---|---|
| プロジェクト型企業向け | システム開発・コンサルティング・人材派遣など |
| 広告業界向け | 広告代理店・インターネット広告・Webメディアなど |
最大の強みは、案件ごとの原価管理と管理会計です。
案件ごとに労務費・経費・外注費を積み上げ、収支をリアルタイムに近い形で見られます。
配賦(費用を一定のルールで部門や案件に振り分ける処理)の複雑な形にも対応します。
最近のプレスリリースでも、案件の採算に関わる機能の追加が続いています。
- 2025年12月:プロジェクト収益性アラート機能
- 2026年3月:収支区分機能
- 2026年9月:ガイダンス機能
MA-EYESは、デジタル化・AI導入補助金2026の対象ツールにも認定されました(2026年4月15日発表)。
出典は、ビーブレイクシステムズのプレスリリース一覧です(2026年9月確認)。
導入形態で、比較の前提が変わる
MA-EYESの公式サイトは、「一括導入、SaaS導入対応可」と案内しています。
同社のプレスリリースでは、MA-EYESには複数の導入形態があると説明しています。
そのうちMA-EYES SaaSは、標準機能のまま使う形です。
自動のバージョンアップで、新しい機能を使えます(出典:同社プレスリリース 2026年3月26日、2026年9月確認)。
| 観点 | MA-EYES SaaS | MA-EYES 一括導入 | NetSuite |
|---|---|---|---|
| 使い方の基本 | 標準機能のまま使う | 提供元に形態と範囲を確認 | 標準機能を中心に、必要な分を作り足す |
| 更新 | 自動のバージョンアップ | 提供元に確認 | 年2回の大きなリリースで更新 |
| 比べるときの論点 | 標準の範囲で業務が回るか | 自社に合わせる範囲と、更新の手間 | 作り足す量と、更新のたびの確認 |
NetSuiteの大きなリリースが年2回であることは、Oracle NetSuiteのヘルプに書かれています(2026年9月確認)。
SaaS版のMA-EYESとNetSuiteは、どちらも「標準に業務を合わせる」考え方に近い。
一括導入のMA-EYESと比べるなら、自社向けに合わせる範囲と、その後の保守の体制まで並べます。
比べ方を図にすると、次のとおりです。
2026年3月には、MA-EYES SaaSの「プロジェクト型導入サービス」も始まりました。
同社のプロジェクトマネージャーが専任で、要件定義から本番稼働まで伴走するオプションです(出典:同上)。
NetSuiteの特徴
NetSuiteは、Oracleが提供するクラウドERPです。
世界220地域・44,000社以上で使われています(出典:Oracle NetSuite公式サイト、2026年9月時点)。
会計・販売・在庫・購買・顧客管理までを一つの基盤で扱い、190通貨・27言語に対応します。
案件の原価も扱えます。
本体のプロジェクト管理の機能に、PSA製品の「SuiteProjects Pro(旧OpenAir)」を組み合わせる形です。
PSA(Professional Services Automation)は、案件の計画から請求までを一貫して支える仕組みです。
詳しくはSuiteProjects Proの解説をご覧ください。
AIでは、Oracleは「#1 AI Cloud ERP」を掲げています。
NetSuite AI Connector Serviceは、MCP(AIと業務システムをつなぐ共通の約束事)に対応したサービスです。
ClaudeやChatGPTなどのAIを、NetSuiteのデータにつなぎます(出典:Oracle NetSuite公式、2026年9月確認)。
生成AIの機能は、機能ごとに使える地域が違います。
文章づくりを助けるText Enhanceは全地域、請求書を読み取るBill Captureは米国のみです。
(出典:Oracle NetSuiteのヘルプ、2026年9月確認)
比較表|6つの軸
| 比較軸 | NetSuite | MA-EYES製品群 |
|---|---|---|
| 製品の性格 | 経営全体を一つにまとめるERP | プロジェクト管理を中心にした国産ERP |
| 案件の原価・管理会計 | SuiteProjects Pro+本体の機能で対応 | 中核の機能。多段階の配賦・管理会計に強い |
| 海外(多通貨・多言語・拠点) | 220地域・190通貨・27言語 | 国内中心 |
| 導入形態 | クラウド(SaaS) | SaaS版と一括導入 |
| AIとの親和性 | 外部のAIをNetSuiteのデータにつなぐ仕組みを提供。生成AIの機能は、機能ごとに使える地域が違う | プレスリリース一覧(2026年9月時点)に、生成AIとの連携機能の発表は見当たらない。外部とはAPI・ファイル連携でつなぐ |
| 費用 | ミニマム構成で月額20万円〜が出発点。構成で変わり、数百万円規模になることもある | ビーブレイクシステムズに確認 |
重なる部分もありますが、軸足が違います。
NetSuiteは経営全体の統合と海外、MA-EYESは案件ごとの採算です。
どちらが優れているかではなく、それぞれに長所があります。
費用と期間を左右する4つの要因
どちらの製品でも、導入の費用と期間は、ライセンスより導入の中身で大きく変わります。
NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットが導入を支援してきた中で、差を生む要因は4つです。
1つ目は業務の範囲です。
案件の管理だけか、会計・購買まで入れるかで、作業の量が変わります。
2つ目は開発の量で、とくに外部システムとの連携が効きます。
一括導入で合わせ込んだ部分が多いほど、乗り換えではここが重くなります。
3つ目は社内の体制です。情報システムの担当が少ないと、支援を厚くする分、期間も延びやすくなります。
4つ目はユーザー数で、受入テストと教育の工数に響きます。
判断の物差し
MA-EYESが合いやすい会社
- 事業の中心が案件で、案件ごとの採算の管理が最優先
- 国内中心で、プロジェクトの原価や管理会計を細かく見たい
- 広告業で、販売と仕入を案件で結びつけたい
NetSuiteが合いやすい会社
- 会計・販売・在庫まで、経営全体を一つの基盤にまとめたい
- 海外の拠点があり、多通貨・多言語で管理したい
- 案件の事業と、物販や在庫を持つ事業を両方抱えている
ほかの選択肢
国内の案件型で国産の製品も比べたいなら、ZACとNetSuiteの比較やReforma PSAとNetSuiteの比較が参考になります。
費用を抑えて自社で育てたいならOdoo、案件の管理の仕方が独自ならAIスクラッチ開発も候補です。
採算を見る業務のルールがまだ決まっていないなら、いまは入れず、先に業務を決めます。
これから選ぶ会社と、MA-EYESを使っている会社
これから選ぶ会社は、製品の前に2つを決めます。
3年後の事業の形(海外、物販や在庫の有無、法人の数)。
そして、案件の採算の見方(配賦のルール、工数の集め方)です。
MA-EYESを候補に残すなら、SaaS版と一括導入のどちらで比べるかも決めておきます。
MA-EYESを使っていて見直す会社には、見直しの理由ごとに3つの道があります。
理由が「海外」「在庫・物販」「法人の増加」なら、NetSuiteも比べる時期です。
「操作が合わない」「使い方が定着しない」なら、まず提供元のビーブレイクシステムズに相談してください。
一括導入で自社向けに合わせた部分は、乗り換え先でどう扱うかを一覧にします。
仕分け方は、第8章で扱います。
よくある3つの失敗
失敗1:機能の多さで優劣を決める
起きること:使わない機能まで比べて点数をつけ、自社に必要な一点を見落とす。
原因:出発点が自社の課題ではなく、製品の機能の一覧になっている。
避け方:「何を解決したいか」を先に決め、その課題に合うほうを選びます。
失敗2:SaaS版と一括導入を区別せずに比べる
起きること:「MA-EYESなら自社に合わせられる」「更新は自動」という前提が混ざり、比較が食い違う。
原因:MA-EYESに複数の導入形態があることを、比較の前提に入れていなかった。
避け方:比べる形態を決め、更新と保守の体制まで同じ前提で比べます。
失敗3:今の業務をそのまま移そうとする
起きること:Excelや属人的なやり方を新しい仕組みに持ち込み、現場が結局Excelに戻る。
原因:過去の事情でできた無駄を整理しないまま移している。
避け方:先にあるべき業務の形を描き、小さく始めて育てる進め方にします。
ベンチャーネットならこう見る|合わせ込んだ部分を3つに仕分ける
MA-EYESからの乗り換えで、いちばん見積もりがぶれるのは、一括導入で合わせ込んだ部分です。
画面・帳票・配賦のルール・外部との連携。
それを全部、乗り換え先でも同じように作ると考えると、開発の量がそのまま費用になります。
ベンチャーネットは、合わせ込んだ部分を一つずつ、次の3つに仕分けます。
- 標準に合わせる:乗り換え先の標準機能に、業務のほうを寄せる。NetSuiteならSuiteProjects Proと本体の機能で足りるかを見る
- 開発する:配賦のルールや帳票など、標準で足りず、手放せないものだけを作る
- 残す:新しいERPには載せず、いまの仕組みや運用で続ける
仕分けの前には、いまの業務の流れを見える化し、もう使っていない画面や帳票を外しておきます。
仕分けた結果、開発が多く残るなら、MA-EYESを続けるほうが合う場合もあります。
その場合は、そのまま正直にお伝えします。
仕分けの流れを図にすると、次のとおりです。
ベンチャーネットの仕事は、ゼロからの導入より、他社のあとの引き継ぎや、他システムとの連携が多くを占めます。
NetSuite・Odoo・AIスクラッチ開発を扱い、SAPからのリプレイスにも対応しているため、答えを一つの製品に寄せる必要がありません。
最初の打ち合わせで伺うのは、次の3つです。
- 売上に占める案件の事業の割合と3年後の海外・法人
- MA-EYESの導入形態と合わせ込んだ部分の数
- 配賦と工数のルールが決まっているか
今日できること
1時間で、次の表を埋めてみてください。
| 項目 | いま | 3年後 |
|---|---|---|
| 売上に占める案件の事業の割合 | ||
| 物販・在庫の事業の有無 | ||
| 海外の拠点・法人の数 | ||
| 一括導入で合わせ込んだ画面・帳票の数 |
3年後の列で、在庫や海外が「あり」になるなら、NetSuiteも比べる候補に入れます。
「なし」のままなら、案件の管理に強い製品の中から選ぶのが近道です。
合わせ込んだ数が多い会社は、乗り換えの前に仕分けから始めてください。
よくある質問
Q1. MA-EYESからNetSuiteへ乗り換えるべきですか
案件の割合と3年後の事業の形で決まります。
案件ごとの原価管理が中心なら、MA-EYESの継続も選択肢です。
経営全体の統合や海外対応を重視するなら、NetSuiteが候補になります(第5章・第6章)。
Q2. プロジェクトの原価管理はNetSuiteでもできますか
できます。
本体のプロジェクト管理の機能に、PSA製品のSuiteProjects Proを組み合わせます。
詳しくはSuiteProjects Proの解説記事をご覧ください。
Q3. MA-EYESのSaaS版と一括導入は、何が違いますか
SaaS版は標準機能のまま使う形です。
自動のバージョンアップで、新しい機能を使えます。
一括導入の範囲や費用は、ビーブレイクシステムズに確認してください(第2章)。
Q4. NetSuiteの費用はどのくらいですか
ミニマム構成で月額20万円〜が出発点です。
モジュール・ユーザー数・オプションで変わり、数百万円規模になることもあります。
導入の費用と期間は、業務の範囲・開発の量・社内の体制・ユーザー数で大きく変わります(第4章)。
Q5. 海外展開を考えています。どちらが合いますか
海外対応ではNetSuiteが合いやすいです。
190通貨・27言語に対応し、海外の子会社も同じ基盤で管理できます。
Q6. MA-EYESとNetSuiteの比較記事が2つあるのはなぜですか
この記事は製品群全体と乗り換えの判断を扱います。
MA-EYESをクラウド(SaaS)で使う前提に絞った比較は、MA-EYES(クラウド版)とNetSuiteの比較で扱っています。
まとめ
- MA-EYESは案件ごとの採算に強い国産ERP。NetSuiteは経営全体を一つにまとめるERP
- MA-EYESはSaaS版と一括導入で前提が変わる。比べる形態を先に決める
- 判断の軸は、案件の割合・海外・在庫の3つ
- 一括導入で合わせ込んだ部分は「標準に合わせる/開発する/残す」に仕分けてから比べる
「MA-EYESとNetSuite、どちらがいいのか」。
その答えは、3年後の会社の形と、合わせ込んだ部分の仕分けの結果で決まります。
もう少し詳しく知りたい方へ
NetSuiteで案件と経営全体をどう見られるか、画面で確かめたい方へ。
MA-EYESを続けるべきか迷っている段階のご相談もお受けしています。
