クラウドERPの失敗事例と回避策|導入前に知っておくべき5つのリスク

クラウドERPの導入を検討する経営者の方からよく耳にする声があります。

「他社で失敗事例を聞いた」「想定以上にコストが膨らんだという話を見た」「導入しても効果が出ていない会社があるらしい」。

たしかに、クラウドERPの導入には失敗のリスクがあります。

ただ、その失敗の多くは、クラウドERPという製品そのものの問題ではありません。導入のアプローチや、進め方の選択の問題であることがほとんどです。

本記事では、これまで多くのERP導入現場を見てきた経験から、検討段階の経営者が 導入前に知っておくべき5つの失敗リスクと回避策 をお伝えします。

これは、クラウドERPを売り込みたいから書くものではありません。検討中の経営者の方に「失敗してほしくない」という思いから書くものです。

目次

クラウドERP導入の失敗は「静かに、見えにくい形」で起こる

クラウドERPの失敗というと、「プロジェクトが頓挫した」「導入できなかった」という派手な失敗を思い浮かべる方が多いかもしれません。

しかし実際の現場では、失敗はもっと静かに、もっと見えにくい形で起こっています。

「一応、動いている」「特に大きな問題は出ていない」と思っていても、本来得られるはずだった経営の改善機会を手放してしまっているケースが少なくありません。

「動いていること」と「活用できていること」は別

ERPは、入れただけで価値が出るシステムではありません。

会社の仕事の流れを整え、数字を見えるようにし、判断を早くしていく。そこまで進んで初めて、経営の武器になります。

ですから、「動いている」ことと「活用できている」ことは、まったく別の話です。

導入してから1年以上経っても、月次決算のスピードが変わらない。経営判断に使えるデータが出てこない。「ERPを入れたはずなのに、何が変わったのか分からない」。

こうした状態は、れっきとした失敗です。ただ、派手な頓挫ではないため、社内で「失敗」と認識されにくいのです。

検討段階で「失敗の輪郭」を知っておく価値

導入してから失敗に気づくのと、検討段階で失敗パターンを知っておくのとでは、結果が大きく変わります。

検討段階であれば、失敗を「事前に避ける」設計ができます。導入後では、すでに発生した問題への「事後対応」になり、コストも時間も大きく膨らみます。

観点事前回避(検討段階で気づく)事後対応(失敗後の修正)
コスト検討段階での目的明確化・体制設計のみ再要件定義・パートナー変更・場合により再導入
時間検討期間 +1〜2ヶ月程度通常6ヶ月〜2年の追加期間
機会損失最小限経営判断の遅れが事業成長を直接阻害
心理的負担落ち着いて検討できるプロジェクト頓挫・社内信頼の毀損

本記事の目的は、検討段階のうちに失敗の輪郭を共有し、回避策まで一緒に整理することです。

クラウドERP失敗の3つの場面 ── 導入時/保守/運用

クラウドERPの失敗は、フェーズによって現れ方が違います。大きく分けると、3つの場面で考えると整理しやすくなります。

それが、導入時・保守・運用 の3つです。

導入時の失敗 ── 最も分かりやすい失敗

導入時の失敗は、比較的わかりやすい失敗です。プロジェクトが迷走して、本番稼働にたどり着けない状態を指します。

具体的には、こんな状況です。

  • 要件定義の段階で議論が紛糾し、何ヶ月も結論が出ない
  • 開発が始まった後で要件の追加・変更が相次ぎ、スケジュールが破綻する
  • テスト段階で重大な不具合が見つかり、稼働判定ができない

この段階の失敗は、会社へのダメージが大きいです。すでにお金も時間もかけているため、「ここで止めるわけにはいかない」と思いがちになります。すると気づけば、半年・一年と引きずってしまうこともあります。

保守フェーズの失敗 ── 気づきにくい

保守フェーズの失敗は、導入時に比べて気づきにくいです。

法改正や業務変化への対応が遅い。追加開発の見積もりが想定以上に高い。「その対応は契約範囲外です」と言われる場面が増える。

こうした症状は、一つひとつは小さな不満です。しかし積み重なると、ERPに対する社内の信頼が少しずつ下がっていきます。

「このERPは結局、ウチには合っていないのかもしれない」という感覚が広がると、活用は止まります。

運用フェーズの失敗 ── 最も気づきにくい

運用フェーズの失敗は、3つの中で最も気づきにくい失敗です。

なぜなら、「一応、動いている」ためです。問題が顕在化しません。

ただ、導入から1年以上経っても、業務効率化やデータ活用が進んでいない。経営者が見たい数字が見えず、現場が動ける指標にもなっていない。

これは静かな失敗です。社内では「ERPを入れたのだから、もう十分」という空気が漂い、本来得られるはずだった経営改善の機会を逃し続けています。

3つの場面の比較

整理すると、こうなります。

場面失敗の見え方気づきやすさ主な原因
導入時プロジェクト迷走・本番稼働にたどり着けない★★★ 分かりやすい目的曖昧/要件膨張/パートナー力量不足
保守法改正・業務変化への対応が遅い・追加費用が膨らむ★★ やや気づきにくい保守契約の範囲外問題/窓口分散
運用「動いてはいるが活用できていない」状態が続く★ 最も気づきにくい定着フェーズ軽視/伴走力不足

検討段階で重要なのは、3つの場面すべてに目を配ることです。導入時の失敗だけを警戒しても、その先の保守・運用での失敗を見落とすことがあります。

すでに導入済みのERPで「動いてはいるが効果が見えない」と感じている方は、基幹システムのリプレイスという選択肢もあります。詳しくは NetSuite – 基幹システムリプレイスサービス をご覧ください。

知っておくべき5つの失敗リスクと回避策

ここからは、ベンチャーネットが多くのクラウドERP導入現場で見てきた、5つの代表的な失敗リスク をお伝えします。

それぞれのパターンを「症状(よくある現象)→ なぜ失敗するか → どう回避するか」の3段構造で整理しました。

検討段階のうちに目を通しておくと、自社のプロジェクト設計に活かせます。

リスク① 目的を「業務効率化」止まりで言語化してしまう

症状

  • 「業務効率化のため」「DX推進のため」という漠然とした目的のままで検討を開始する
  • 経営課題と切り離されて、IT部門や現場主導で進んでしまう
  • ベンダーの提案を丸ごと受け入れ、使わない機能に多額の投資をしてしまう

なぜ失敗するか

目的に具体性がないと、本当に必要な機能を見極められません。

ERP導入はあくまでも「手段」です。経営や事業にどんなインパクトを与えたいのか。これが言語化できていないと、投資判断の軸がベンダー任せになります。

その結果、ベンダーが提案する機能を取捨選択する基準を持てないまま契約してしまい、後から「この機能は要らなかった」「本当に必要だった機能が抜けていた」と気づくことになります。

どう回避するか

「在庫回転率を1.5倍にする」「月次決算を5営業日短縮する」のような、具体的で測定可能な目標を最初に決めましょう。

ベンチャーネットの導入支援では、システム選定の前に 業務整理とTo-Be設計 を一緒に進めます。経営課題から逆算した要件定義こそが、結果的に最小コストで最大効果につながるからです。

ERP導入を「コストの最適化」ではなく「経営判断の高速化」として捉える視点が、最初の言語化の質を決めます。

リスク② 「今の業務をそのままシステム化」で過剰カスタマイズに陥る

症状

  • 「今の業務を変えたくない」という現場の声を、要件にそのまま反映してしまう
  • 「うちは特殊だから」と標準機能を使わずカスタマイズを重ねる
  • 現行システムの仕様書が残っていないまま、「とにかく今と同じ動きを」と要望が積み上がる

なぜ失敗するか

クラウドERPは、世界標準の業務フローを前提に設計されたSaaSです。

既存業務をそのまま再現しようとすると、過剰なカスタマイズが必要になります。コストもリスクも跳ね上がってしまいます。

さらに深刻なのは、SaaSの強みである「自動アップデート」「拡張性」を失うことです。せっかくのクラウドERPを使いこなせなくなります。

加えて、現行システムの仕様書が残っていない状態で「今と同じ動きを」と要件を積み上げると、誰も全体像を把握していない複雑なシステムが出来上がります。これは「ブラックボックスの再生産」です。

どう回避するか

近年、ERP導入では 「Fit to Standard」「クリーンコア」 という考え方が注目されています。

  • Fit to Standard:業務をパッケージの標準機能に合わせる発想
  • クリーンコア:ERP本体のカスタマイズや追加開発を最小限に抑える設計思想

業界標準の業務プロセスと自社業務を比較し、「本当に特殊な部分」と「変えられる部分」を切り分けます。

ベンチャーネットでは、導入支援の中で 「本当に必要な業務」と「惰性で続けている業務」の仕分け を一緒に進めます。実データと現場ヒアリングの突合によって、業務に必要なロジックを導き出します。

「業務の廃棄」を進めるという発想が、結果的に使いやすいERPを構築します。

リスク③ パートナーを「価格」「知名度」で選んでしまう

症状

  • 複数社の見積もりを取り、価格の安さでパートナーを選定する
  • 「大手だから安心」「導入実績数が多いから」という理由で決める
  • 契約後に「想定外の追加費用」「対応範囲外です」と言われ続ける

なぜ失敗するか

ERP導入の成否を分けるのは、実はパートナーの「支援スタイル」です。

価格や知名度では、「業務理解の深さ」「周辺領域までカバーできる技術力」「能動的な改善提案力」は測れません。

特に問題になりやすいのが、稼働後のフォロー体制です。導入フェーズだけの契約で、稼働後のサポートが別契約・別会社になっていると、窓口が分散し、責任の所在が曖昧になります。

ERPは基幹システムです。止まったときの影響は、業務全体に及びます。

どう回避するか

パートナー選定では、以下の視点を確認しましょう。

  • NetSuite単独ではなく、周辺領域(RPA・BI・AI・eコマース等)までカバーできる技術力があるか
  • 業務整理から運用定着まで、一貫して伴走するスタイルか
  • 対等な関係で、リスクを正直に伝えてくれるか

NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットは、導入作業の完了をゴールとしていません。現場の定着まで支援範囲に含めて伴走する スタイルを大切にしています。

パートナー選びについてさらに詳しく知りたい方は、ERP導入失敗の原因はパートナーにあり?NetSuiteを活かすための「パートナー変更」という選択肢 もあわせてご覧ください。

リスク④ 「本番稼働日」をゴールにして定着フェーズを軽視する

症状

  • 本番稼働日を最終ゴールとして設定する
  • 稼働後のサポート契約に予算もリソースも割かない
  • 操作研修・マニュアル整備・運用ルールの明文化が後回しになる

なぜ失敗するか

ERPの真のゴールは、「本番稼働日」ではありません。「システムが現場に定着し、正常に業務が回り始めた日」です。

クラウドERPのようなシステムは、稼働直後が最も不安定な時期です。現場からの質問が集中し、入力漏れが起きやすく、データの信頼性が揺らぎがちです。

稼働後3〜6ヶ月が、ERPが「使われるシステム」になるかどうかの勝負期間です。この時期に適切なサポートを受けられるかどうかで、定着率が大きく変わります。

ここを軽視すると、「新システムは使いにくい」「前のやり方のほうが早い」という声が現場から上がり、Excel併用などのアナログな手法に逆戻りするケースが後を絶ちません。

どう回避するか

本番稼働後3〜6ヶ月の計画を、プロジェクト開始時点から組み込んでおきましょう。

具体的には、以下の項目です。

  • 操作研修の実施
  • マニュアル・FAQの整備
  • 運用ルールの明文化
  • 定着度のモニタリング

これらを「定着フェーズ」として明確に位置づけます。

ベンチャーネットでは、稼働をゴールとせず、現場の定着まで支援の範囲に含めています。導入時の契約から、定着支援までを一貫して伴走するパートナーを選ぶことが、稼働後の苦労を大きく減らします。

リスク⑤ 「動いているから大丈夫」と運用フェーズの問題を見逃す

症状

  • 「一応、動いている」ためERPの問題が顕在化しない
  • 導入から1年以上経っても、業務効率化やデータ活用が進んでいない
  • 経営者が見たい数字が見えず、現場が動ける指標にもなっていない

なぜ失敗するか

運用フェーズの失敗は、3つの場面の中で最も気づきにくいものです。

「動いている」ことと「活用できている」ことは、まったく別の話です。

本来ERPは、会社の仕事の流れを整え、数字を見えるようにし、判断を早くするためのものです。そこまで進んで初めて、経営の武器になります。

しかし多くの企業は「動いている」段階で止まったまま、本来得られるはずだった経営の改善機会を手放しています。これは、外から見ると失敗に見えない、内側だけで起きている静かな失敗です。

どう回避するか

導入から1年以上経って、業務効率化やデータ活用が進んでいないと感じるなら、パートナーの伴走力不足を疑うべき タイミングです。

クラウドERPを継続したまま、パートナーだけを見直す選択肢 もあります。NetSuiteの場合、Oracleが認定パートナー制度を採用しており、ユーザー企業は認定パートナーから導入・保守のパートナーを自由に選択できます。プロジェクトの途中であっても、稼働後であってもパートナーの変更は可能です。

ベンチャーネットでは、「動いている」段階で止まっているシステムを、「経営判断を支える基盤」へと変えていく伴走支援を提供しています。

失敗を分ける本質 ── ITプロジェクトではなく経営プロジェクト

ここまでお伝えした5つの失敗リスクには、共通する根っこがあります。

それは、クラウドERP導入を「ITプロジェクト」として扱ってしまうことです。

ERP導入は「経営プロジェクト」である

クラウドERP導入は、単なるシステム入れ替えではありません。

業務プロセスを見直し、部門間の壁を取り払い、会社の情報を一本につなぐ取り組みです。

つまり、組織と業務の構造そのものを変える取り組みです。だからこそ、経営層の関与が欠かせません。

ところが現場では、「ITのことはIT部門に任せる」という発想で、情シスや業務担当者にプロジェクトを丸投げするケースが少なくありません。

経営層がプロジェクトの目的を語れない。投資判断の場でしか姿を見せない。意思決定が必要な局面で「あとはよろしく」となる。

この状態でERP導入を進めると、5つの失敗リスクのいずれか、もしくは複数が同時に発生します。

必要な3つの要素

経営プロジェクトとして進めるために、以下の3つを最初に確保しておきましょう。

  • プロジェクトマネージャーの設置:兼務ではなく専任で、業務とシステムの両方を理解できる人材
  • 経営層がプロジェクトオーナーとして関与:投資判断だけでなく、重要な意思決定の場で姿を見せる
  • 社内リソースの確保:業務担当者が本業に追われたままプロジェクトを進めない体制づくり

これらは「コスト」ではなく「投資」です。

導入後の数年にわたる経営改善効果を考えれば、最初の体制づくりへの投資は十分に回収できます。

経営者自身が「なぜ導入するのか」を語れる状態に

経営プロジェクトの成否を分ける最大のポイントは、経営者自身が「なぜ導入するのか」を語れる状態にあるか です。

「業務効率化のため」では足りません。「DX推進のため」でも抽象的すぎます。

「在庫の見える化で、機会損失を年間○千万円減らす」
「月次決算を5営業日短縮して、経営判断のスピードを上げる」
「部門ごとに分断されている顧客情報を統合して、営業生産性を上げる」

このように、自社の経営課題と紐づけた具体的な言葉で目的を語れること

これが、経営プロジェクトの第一歩です。

失敗を避けるパートナーの選び方 ── 「対等な関係」で伴走するパートナーとは

5つの失敗リスクを回避するには、適切なパートナーとの出会いが大きな要素になります。

ここでは、ベンチャーネットが大切にしている パートナー選びの3つの視点 をお伝えします。

視点① 周辺領域までカバーできる技術力があるか

現代の業務システムは、ERP単独で完結することは稀です。

RPA、BI、AI、eコマース、倉庫管理システム、CRM、SFAなど、複数のシステムが連携して初めて業務が最適化されます。

優れたパートナーは、NetSuite本体だけでなく、周辺システムとの統合や連携開発にも対応できる技術力を持っています。

パートナー選定時には、NetSuiteを中心とした業務システム全体の最適化を任せられるか を確認しましょう。

視点② 業務整理から運用定着まで一貫して伴走するか

ERP導入の支援範囲は、パートナーによって大きく違います。

  • 「導入作業の完了」まで(稼働後は別契約)
  • 「稼働後3〜6ヶ月の定着支援」まで
  • 「導入後も継続的な運用伴走」まで

中堅・中小企業の多くは、情シス専任担当者を置けません。ERP導入プロジェクトは、業務担当者が本業と兼任しながら進めることになります。

この前提では、業務整理→To-Be設計→導入→運用定着までを一貫して伴走するパートナー が必要です。窓口が分散すると、責任の所在が曖昧になり、止まったときの影響が業務全体に及びます。

ベンチャーネットは、NetSuite導入支援を「コーポレートトランスフォーメーション(企業変革)を実現するための支援」と位置づけています。データを統合して「見える化・わかる化・儲かる化」を実現し、経営判断のスピードと精度を上げる。そしてその先に、人的リソースを新たな価値創出に向ける。この変革を一緒に進めるパートナーを選びましょう。

視点③ 対等な関係で、リスクを正直に伝えてくれるか

パートナー選びで意外と見落とされがちなのが、「対等な関係で話せるか」です。

良いパートナーは、お客様に「失敗してほしくない」という思いから、リスクを正直に伝えてくれます。「合わないこともある」「このやり方では難しい」と言える関係性です。

逆に、「何でもできます」「ご要望通りに対応します」と言うパートナーには注意が必要です。お客様の希望をすべて受け入れる姿勢は、一見良さそうに見えて、過剰カスタマイズや要件膨張の温床になります。

パートナーは、業者ではなく 伴走者 です。経営課題を一緒に考え、最適な進め方を一緒に整理してくれる相手を選んでください。

伴走型支援の考え方について、より詳しくは 伴走型のNetSuite導入支援とは?丸投げ型との違いと、中小企業にとって重要な理由 をご覧ください。

よくある質問(FAQ)

Q1. クラウドERP導入の失敗率はどのくらいですか?

明確な失敗率の統計はありませんが、参考になる数値があります。

2024年の調査によると、従業員1000人以下の中堅・中小企業において、導入しているERPの満足度は 42.9% と半数を下回っています。つまり、過半数の企業が「期待どおりではなかった」と感じています(※)。

ただし、この数値には注意が必要です。「期待どおりではなかった」の中には、本記事でお伝えした「静かな失敗」(動いてはいるが活用できていない状態)も含まれていると考えられます。

数値以上に重要なのは、検討段階で失敗パターンを知り、回避策を設計しておくことです。

※出典:株式会社アイ・ティ・アール(ITR)「ERP市場の動向調査」より、ベンチャーネット既存記事「ERP導入はなぜ失敗するのか」で引用された数値を参照

Q2. 失敗しないために、最初に決めるべきことは何ですか?

最初に決めるべきは、「経営課題から逆算した、具体的で測定可能な目的」です。

「業務効率化のため」「DX推進のため」では不十分です。

  • 「在庫回転率を1.5倍にする」
  • 「月次決算を5営業日短縮する」
  • 「部門間で分断されている顧客情報を統合する」

このように、達成したい状態を数値や具体的な姿で言語化することが、その後の要件定義・パートナー選定・投資判断のすべての軸になります。

ベンチャーネットでは、システム選定の前に 業務整理とTo-Be設計 を一緒に進めるところから支援しています。

Q3. 中小企業でも本格的なクラウドERPを導入できますか?

はい、可能です。

NetSuiteの場合、必要な機能からスモールスタートでき、企業の成長にあわせて段階的に拡張できる設計になっています。サーバー構築や大規模な初期投資は不要です。

料金の目安は月20万円〜(ミニマム構成での出発点)です。利用するモジュール・ユーザー数・必要なオプションによって変動し、本格的な構成では数百万円規模になることもあります。最終的な金額の提示はOracle社の営業を通じて行われます。

ベンチャーネットでは、NetSuite認定パートナー(Solution Provider)として、お客様の構想段階からOracle社営業と連携した概算把握までサポートします。「自社規模で本当に導入できるのか」が気になる方は、まずは無料デモで実際の画面を体感していただくことをおすすめします。

Q4. 失敗を避けるには、どんなパートナーを選べばいいですか?

パートナー選びでは、以下の3つの視点が重要です(H2-5で詳述)。

  • 周辺領域までカバーできる技術力があるか
  • 業務整理から運用定着まで一貫して伴走するか
  • 対等な関係で、リスクを正直に伝えてくれるか

特に大切なのは、3つ目の「対等な関係」です。お客様の希望に何でも応える姿勢ではなく、「失敗してほしくない」という思いから、リスクを正直に伝えてくれるパートナーを選んでください。

パートナーは業者ではなく 伴走者 です。一緒に経営課題を整理し、最適な進め方を一緒に考えてくれる相手であるか。この視点で選定すると、5つの失敗リスクの多くを事前に回避できます。

ベンチャーネットでは、検討段階からの 30分の無料相談 を受け付けています。「まだ製品選定の前」「自社に合うかどうか分からない」という段階からご相談いただけます。

ベンチャーネットからの提案 ──「完璧より、まず回す」

最後に、ベンチャーネットが大切にしている考え方をお伝えします。

それは、「完璧を目指すより、まず回す。動かしながら磨いていく」という姿勢です。

「完璧な要件定義」を目指さない

ERP導入で失敗しやすい企業ほど、「完璧な要件定義」を目指してしまう傾向があります。

すべての業務を洗い出し、すべての要件を満たすシステムを設計しようとする。その結果、要件定義に何ヶ月も費やし、開発の段階に入る頃には現場の状況が変わっている。完成したシステムは、すでに古い業務を前提にしている。

これは、ERPに限らずITプロジェクト全般で起きやすい構造的な失敗です。

検討段階の経営者の方には、「最初から100点を目指さなくていい」とお伝えしています。

自社に相性が良いタイプを見極める

クラウドERPを導入する企業の中で、特に相性が良いのは次の2タイプの企業です。

  • 「モノの管理」が中心課題の企業(販売・在庫管理が経営の中心)
  • 「ヒトの管理」が中心課題の企業(プロジェクト管理が経営の中心)

会計まで一気に導入する「覚悟」が、本質的な変革を生む

クラウドERP導入で本来お勧めしたいのは、会計領域まで含めて一気に導入する アプローチです。

なぜなら、会計まで含めて導入することで初めて、会社のAsIs業務を 一気通貫で確認する機会 が生まれるからです。販売・在庫・プロジェクト管理だけの部分導入では、業務の見直しが部分最適にとどまってしまいます。

ERP導入の本来の価値は、会社の情報を一本につなぎ、経営判断の質とスピードを上げることです。会計データを切り離したままでは、その価値の半分しか享受できません。

経営者として「会計まで一気に変える」覚悟を持つこと。これが、本質的な変革を生む選択です。

次善策としての「財務会計はフェーズ2以降」

ただし、既存の会計システムを一気にリプレイスする必要がない場合、もしくは経理側の業務負荷を考慮して段階的に進めたい場合は、次善策として「財務会計はフェーズ2以降」 という選択肢もあります。

日本特有の会計要件(三分法・税理士の対応可否・国内会計ソフトとの操作性の違いなど)には一定のハードルがあるため、最初は販売・在庫もしくはプロジェクト管理から導入し、業務が安定してから財務領域に拡張する進め方です。経理側の混乱を最小限に抑えながら、ERPの効果を段階的に得られます。

ベンチャーネットでは、お客様の状況を踏まえて、一気導入と段階導入のどちらが適しているか を一緒に整理させていただきます。経営課題・既存システムの状況・社内体制を見ながら、最適な進め方を選びましょう。

まずは「自社の課題」を整理することから

検討段階の経営者の方に、最後にお伝えしたいことがあります。

焦らなくていいのです。

クラウドERPを導入するかどうか、どの製品を選ぶか、いつ導入するか。これらは大きな経営判断です。一人で抱え込まず、信頼できる相手と一緒に整理することから始めましょう。

まずは、自社の経営課題が「モノ」なのか「ヒト」なのか、それとも別のボトルネックなのか。そこを言語化することが、失敗を避ける最初の一歩です。

「うちもこのパターンに当てはまるかも」「検討の入り口で相談したい」と感じた方がいらっしゃれば、お気軽にご相談ください。

NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットでは、検討段階からの伴走支援を提供しています。

一緒に、御社にとって最適な進め方を考えさせてください。

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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