出版、雇用、周囲の変化・・・マイクロ起業のその後の話(借金玉のマイクロ起業 Vol.22)

皆さんお久しぶりです、借金玉です。マイクロ起業の連載が止まってしまっていて申し訳ありません。というのもご存知の方も多いと思いますが、最近は本を出版したり色々ありまして、事業が「マイクロ」ではなくなってしまい、増えた業務に忙殺される毎日でした。

「マイクロ期」が終わってしまったと正直にご報告せねばなりません。というのも、下請け受注をやる暇がほとんどなくなり、メインの著述業に傾注する他ない状態になってしまったからです。とはいえ、下請け受注業もぼちぼちとこなしているのですが、最近はかなりちょっと厳しい情勢になってきました。

そんなわけで、最近のお話をさせていただきます。

目次

本を書くということ

最近僕はKADOKAWAさんから、「発達障害の僕が『食える人』になったすごい仕事術」という本を出しました。これがありがたいことに売れておりまして、発売1か月で4刷、あっという間の2万部越えという望外の結果になりました。久しぶりに「ヤマを当てた」という感じです。

ただ、「本を書く」ということを実際にやってみて、「著作業だけで食べている人は超人」という思いがとても強くなりました。僕のこの本は、「ブログが人気になったら出版」という条件つきのスタートだったのですが、実際に取り組み始めてから本が出るまで1年強を要しました。その間に書いた文章は、ブログと本を合わせて100万字を軽々越えるでしょう。ツイッターも入れると恐ろしくて考えたくありません。

仮に300万円の収入になったとして、1文字3円です。時速2000字書けるなら時給6000円ですが、質の高い文章を書こうと思ったらそんな速度ではとても書けません。「深夜の牛丼屋よりはワリが良いかもしれない」と言えると思います。しかし、出版された本の大半は増刷なんてかかりません。これが100万円の収入だと、1文字1円。これはかなり辛い数字と言えると思います。

「本を一冊書く」というのは、僕にとってかなり辛い作業でした。本というのは書き上げないことには1円にもなりません。マイクロ起業を複数仕掛けながら本を書いたこの一年は、正直なところ甚大なダメージを僕の身体に残しました。今はそのリカバリーをやっているところです。著述業を目指す皆様のご参考になれば幸いですし、職をもって本を書く方は、そう簡単には勤めを辞めない方が良いと思います。

事務という恐怖

マイクロ起業が一定拡大した時期にも「事務が回らなくなりアルバイトを雇った」と書きましたが、出版を経て益々その色が濃くなって来ました。更に僕は週に2~3日勤め人をやっておりますので、もはや「働くために人を雇う」状態に突入しております。正直、諸々整え直さないと完全に危ないです。

これは器用な人であればこなしてしまうのかもしれませんが、僕は「書く」という創造的な作業と「事務」という仕事を兼務することがかなり難しいです。事務に時間を割けば割くだけ、文章のアウトプットは減少し、質は低下しました。しかし、マイクロ起業というのは基本的に下請け業務が多く「煩雑なものを上手にこなす」仕事です、この相性があまりに悪かったと言えると思います。

出版後は取材や対談などの仕事も大量に入り、もはや「自分の抱えているタスクがわからない」状態に突入してしまいました。現在は事務スタッフが僕のスケジュール管理をやってくれております。正直、僕ごときの稼ぎでこの業務を外注するのは贅沢も良いところなのですが、「このままでは書けなくなる」という恐怖がありました。事業に状況の変化はつきものですが、恐ろしいものです。「儲かってきたら全てを見失って破滅した」という社長さん、結構いますが、気持ちはよくわかります。

社会的状況の変化

起業は良い風が吹くとすぐに景色が変わります。僕はかつての起業で一気に登って落ちたのでこの景色の変化は二回目ですが、相変わらず世界というのは簡単に手のひらを返すものだなぁ、と改めて思いました。インターネットの異常なおっさんも、ちょっと本が売れれば「先生」と呼ばれる世界は、なかなか笑ってしまいます。

「サインを求められる」というのはとても怖いものです。「借金玉」と本にサインするとブックオフの買取値は下がるそうですが、流石ブックオフは本質が見えている企業です。サインなんてしているとまるで自分が偉くなったような気がしてきますが、これが実に精神に悪い。心のどこからかニュっと驕りが出て来るのがわかります。

経営者が驕りに支配されると、大体碌なことになりません。今は良い風が吹いていますが、こんなものはすぐに終わります。僕の好調な時期なんて長く続いた試しはありません、また「お仕事ください」に戻るのは目に見えています。こちらの連載をさせていただいているベンチャーネット様は僕が「インターネットの異常者」だった頃からお仕事をくださっている大変奇特な会社ですが、そういう取引先を大事にしていきたいと改めて思う昨今です。

そんなわけで「マイクロ起業をやっている暇がなくなってしまった」という正直なお話で恐縮なのですが、今後も僕は「事業」を諦める気はありません。また状況が落ち着き次第、小規模から高利益率と拡大可能性を備えた新たな事業を仕掛けていきたいと思っています。本は「ヤマを当てた」のみで、これが続くとは思っていません。

今は、仕事の合間を縫って新規事業の準備を進めているところです。今後とも、状況が整い次第ご報告し、見事にズッコケたとしても最低限「どのように失敗したか」を発信させていただこうと思います。改めてよろしくお願い致します。

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この記事を書いた人

1985年、北海道生まれ。大学卒業後、大手金融機関に就職するが2年で退職。
現在は不動産営業とライター・作家業をかけ持ちする。
著書に『発達障害サバイバルガイド: 「あたりまえ」がやれない僕らがどうにか生きていくコツ47』(ダイヤモンド社)、『発達障害の僕が「食える人」に変わった すごい仕事術』(KADOKAWA)がある。

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