SNSで儲ける方法について。フォロワー数が増えても儲かりはしませんよ、と。

2021年現在、どんなものであれ事業を行うならSNSを使わない選択肢はあまり有力ではないだろう。SNSにもいろいろあるけれど、とにかくどれか一つくらいは使うことになるんじゃないかと思う、もしかしたらそれはあなたにとって望ましくない出来事かもしれないけれど。とにかくそういうことにはなるだろう。たぶん、そういう時代なのだ。

僕はかつて従業員を使ってわりと真っ当な(その会社は吹っ飛んでしまったのだが)会社をやっていた。当時はSNSに関心が全くなくて、一切使っていなかった気がする。会社が傾き始めた頃からTwitterにいたことになるんだろうか。今思うと、これは結構愚かな選択だった気がしてならない。Twitterをやっていたら僕の会社が生き残っていた未来も、もしかしたらあったかもしれない。やめよう、もう全部過ぎ去ったことなのだから。

そういうわけで僕は会社が傾いたうっぷんをTwitterにぶちまけていたら、こうしてコラムの仕事を貰ったり、書籍出版の機会をいただいたりした人で、幸運にもそれなりに稼ぐことが出来た。3年で2000万ある借金を返す目途を立てられるくらいは稼がせてもらった。あまり認めたくないけれどSNS社会に足を向けて寝られないところはある。SNS社会がどの方向にあるものかよくわからないので、特に気にせず布団を敷いているけれど。

この経験について、今日は語らせてもらいたい。大した内容ではないけれど、やはり知っておいて損のない内容だとも思う。あなたが商売をしようと考えている人なら間違いなく。

目次

インフルエンサーとは何だったのか?

いちいち訂正して回るのもビジュアル系バンドと呼ばれて怒った人みたいで嫌だったから、余計なことは言わなかったけれど。でも、僕はメディアで「インフルエンサー」と呼ばれるのが、わりとシリアスに嫌だった。当時は単純にインフルエンサーと呼ばれる人々があまり僕の好みに合致していないだけだったけれど、現在になって「インフルエンサー」は一種の蔑称と考えていいような有様になっている。そう、これは血液をクレンジングして健康になろう!とオススメしていたら社会に怒られたみたいな話だ。

本当に夢のない話なのだけれど、インフルエンサーは大抵の場合儲からない。確かに、Twitterもフォロワー3万を越えたあたりからだろうか、「2万円で宣伝やってくれませんか、単発で」とか「発達障害の治るサプリを売ってみませんか」みたいな話は来る。ちょっとお小遣いを稼ぐにはいいかもしれない。でも、そんな依頼はそうそうたくさん来ないし、向こうだって商売なのだ。実売につながらないものにお金を払ってはくれない。ワリには合わないだろう、お互いに。

あなたが紹介した商品が売れるというのはあなたが信頼されている証だ。逆に言えば、あなたの紹介した商品がカスだった場合、信頼はどんどん失われていく。そして、とても残念なことだけど、「こりゃ金貰って宣伝してるな」みたいなのは、結構お客様から見て取れる。それも、あなたを信頼してあなたの文章をきちんと読んでいる人ほどそれはよく見えてしまう。

あなたが心底「これは良いものだ」と考えて宣伝をやるのは構わないだろう。僕だって、色んな商品を売ってきた。鞄、珈琲豆、書籍…僕だって商売でやっている人だから、商品の宣伝はたくさんしてきた。自分でプロデュースした鞄だって売ったし、自分の本だって宣伝しまくった。でも、自信を持って言えるのだけれど、僕は「これはあまり良いものではないな…」と感じる商品を宣伝したことは一度もない。

「インフルエンサーになって儲けよう」みたいな話が一時期流行ったけれど、あれはナンセンスもいいところだ。拡散が金になる案件というのは往々にして胡散臭いものになる。具体的な名前を出すと訴状が飛んで来そうだからボカすけれど、あなたは「インフルエンサー」のオススメに従って何かを買ったことがあるだろうか? そんな経験がある人は多くないんじゃないかと思う。あるいは「買うんじゃなかった」って人もいるかもしれない。金融商品とかね…。まぁ、実際そうだからインフルエンサーみたいな職業は廃れてきている。とにかく、ここで読むのをやめるにしてもこれだけは覚えておいて欲しい、「とにかくフォロワー数を増やせば儲かる」みたいな考えは今すぐ捨てるべきだ。絶対に儲からない。

フォロワーが増えても、確実に増えるのはリスクだけ

僕のTwitterは今確認してみたら、53000フォロワーくらいいた。これは恐るべき話だ。日本武道館の収容人数が15000人くらいだから、実に武道館4個分近い人数に読まれていることになる。…といっても、実際アナリティクスを見てみるとこれは事実ではなくて、実際の一つのツイートが読まれている数は平均して15000くらいだ。もちろん、100万とかそういう数字を叩く大バズもたまに出るけれど、そういうのを抜いたら。…ちょうど武道館くらいの人数で、やはり背筋に冷たいものが走る。

ただ、これはあくまで「端末に表示された数」にすぎないし、みなさんもタイムラインのツイートを全部読んでいたりはしないだろう。そんなわけで、せいぜい数千人の視界に入るに過ぎない。その中でマトモに「読み込んで」くれる人がどれくらいの数いるかというと、これもまた些かに心もとない。大半の人がなんとなくフォローしているだけだろう。もっとも僕は興が乗るとものすごい数の連続ツイートをするし、たまにインターネット大ゲンカをしたりしているから、「それに耐えられる人」が厳選されているところはあるけれど。「朝目を覚ましてTwitterを眺めたら、掘っても掘っても借金玉しか出てこない」という苦情には、心底申し訳ないと思っている。

同じ5万フォロワーの人が、同じように書籍を出版したとしてもその売上の「初速」は全く別物になる。これは出版業界でごはんを食べさせていただいて知ったことだけれど、本当に別モノなのだ。そして、フォロワー1万人の「初速」が5万人より断然上ということも当然にある。最近だと、「独学大全」という本がその典型だった。

この「独学大全」は「鈍器」と呼ばれるほどに分厚く、しかも硬質な内容の本だ。いわゆる「売れ筋」では全くない。しかし、20万部売れた(僕の本の倍である、羨ましい!!!)。もちろんその部数は内容の素晴らしさにも支えられているが、実を言えばこの本は「初速」もとても良かった。僕は同時期に自著の発売を控え、「頼むから売れてくれ」と祈るような気持ちでAmazonの推移を眺めていたのでよく覚えている。まだ書影すら出ていない発売告知の段階で、「独学大全」はAmazonランキングを駆けあがっていた。

「独学大全」著者の読書猿さんは正体を明かしていない方である。当時のTwitterフォロワー数は確か2万に届いていなかったのではないだろうか、うろ覚えだけれど。しかし、一冊3000円を超えるこの本の「初速」は見事に突っ走っていた。これは、フォロワーの方々が読書猿さんを「信頼」していたことに他ならない。数字には現れない信頼が、そこには確かに積みあがっていたのだ。

SNSのフォロワーには2種類いるのだ。「なんとなくフォローしている人」と「信頼して読むためにフォローしている人」だ。実を言えば「悪意を持ってフォローしている人」という第三勢力も存在したりするが、これは宿題としたい。とにかく、読書猿さんは信頼されていたのだ。そして、僕もこうして「信頼して読んでくださる」方に向かって文章を書いている。実をいうと、フォロワー数なんてもう何年も気にしていない。減ろうが増えようが何の目安にもならないからだ。急激に増加した時は往々にしてろくでもないことが起きる。

じゃあどうやったら儲かるんだよ?

わからない。でも、これだけは言える。インターネットに現れる数字は事実ではあるが、真実ではない。「フォロワー数を増やす」「とにかくバズらせる」こういうものKPIにして突っ走っていった人々が崖から転げ落ちるのを、それはもううんざりするほど僕は見て来た。逆に言えば、フォロワー数は少なくとも「お客様」を的確にとらえ信頼されている人は儲かっている。この傾向は最近飲食店に顕著だ。それほど目立つわけではないが、いつも予約でギチギチの店のフォロワー数が何万人もいたりすることはあまりない。しかし、彼らは確実に儲けている。うまい料理とSNSの組合せはかなり強い。しかしこれは「うまい料理」ありきのことであって、フォロワー数を増やしてもうまい料理は作れない。

ぶっちゃけていえば、フォロワー数を増やすなんてのはコツさえつかめば簡単なことだ。みんなの気を惹く流行りの話題に向かって石を投げ、どこかの対立にジョインして一方と戦う。それでもバズが足らないなら猫でも鍋にして食えばいい。これで数字はガンガン伸びる。そして人はくたばっていく。もう見たくもないが、これからも山ほどこういうものを目にするんだろうなと思う。本当に嫌な気分になる。

そういうわけで、本稿の結論はこういうことになる。あなたが商売をしたいのならSNSを「どう使うか」を考えるべきで、SNSが商売の軸になってはいけないのだ。オンラインサロンで一儲けを企むのはいいけれど、それには良質なオンラインサロンを作る必要がある。これは「バズる」とは全く違う話だ。

「じゃあおまえはどうやって来たんだよ?」みたいな話の答えはとてもシンプルで、”コンテンツ・イズ・キング”以外何もない。出版業界の先達に教わったこと言葉に僕は信じて、僕は少しでも面白い文章書こうとし続けて来た。この文章があなたにとって面白いのか、僕は些か自信がない。とてもこわい。でも、ここまで読んでくれたあなたに伝わってくれたものはあるんじゃないかと信じたい。毎回こうして「こわい」と思いながら書き続けることが大事なんじゃないかと小さく信じている。

あなたの商売がうまくいくことを、祈っています。

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この記事を書いた人

1985年、北海道生まれ。大学卒業後、大手金融機関に就職するが2年で退職。
現在は不動産営業とライター・作家業をかけ持ちする。
著書に『発達障害サバイバルガイド: 「あたりまえ」がやれない僕らがどうにか生きていくコツ47』(ダイヤモンド社)、『発達障害の僕が「食える人」に変わった すごい仕事術』(KADOKAWA)がある。

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