メモリが足りない!~僕の欠点と克服のための仕組み その②~(借金玉のマイクロ起業 Vol.14)

こんにちは。借金玉です。僕は現在、2足の草鞋を履きながら、マイクロ起業に挑んでいます。このコラムでは、いろいろな観点から「マイクロ起業論」を述べて行きたいと思います。第14回目の今回は、前回に引き続き、「ついに来るべき時が来た」というお話しです。前回は連載アニメの「次回へ続く」のような、ここで?!という終わり方でしたが、今回はその続きをお話ししていきたいと思います。

目次

混乱すると出力が低下する

僕の収入の軸は、現在のところ営業マンとフリーライターです。乱高下するので毎月比率は変わるのですが、この数ヶ月を見ていくと、営業マンが5、フリーライターが4、マイクロ起業が1というところです。しかし、成長株であり、またフリーライターとして物を書くネタを提供してくれる「マイクロ起業」を手放すつもりはありません。仲間にも仕事を回したいですし。しかし、ごはんを食べていくためには営業マンとフリーライターも手は抜けません。

僕はこういう状況下になると、避けがたく出力が低下します。お客様の前に出て喋る営業はともかく、ライティングはかなり集中力を要する業務です。他の仕事をしながら片手間でこなすというのは、今のところ僕には無理です。ライティングのための独立した時間がどうしても必要になります。それがなかなか取れず、効率が出ない状態にあります。

営業マンにしても、新規先を取るには自ら動きまわるしかありません。お客様が向こうからやってくるならこれより楽な話はありませんが、世の中そう甘くはない。見込みのあるお客様に向かってアプローチをかけ続ける必要があります。これもまた、他の仕事に集中を乱されていると、なかなか成果が出にくくなってしまうものだと思います。

メモリが足りない

僕はこういう自分の特性を「メモリが足りない」と表現しています。要するに、頭の中に一度に置いておける思考の数がとても少ないのです。営業のことを考える時は営業のことしか考えられませんし、ライティングをしているときはライティングのことしか考えられません。ライティングの最中に「至急ご対応ください」というメールが飛んで来ただけで、僕のなけなしの集中力は跡形もなく崩れてしまいます。

ADHD傾向の強い人間が「起業」をする上で、これは最早避けられない問題なのだと思います。そういうわけで、僕はメモリを増設することにしました。自分のメモリが足りなければ他人のメモリを使えばいい。もちろんコストはかかるけれど…そういうことです。「努力してなんとかしよう」は不可能であることは、32年に及ぶ人生の中でうんざりするほど理解しました

そういうわけで、僕は現在業務の組みなおし作業を急いでいます。僕でなければならない仕事と、僕でなくても出来る仕事を切り分けて、もっと効率の良い形を目指していこうとしています。幸いにアルバイトは気心の知れた人間ですので、近いうちにもっと効率的な仕事が出来るようになると思っています。

具体的に言うと、「営業する」「書く」「事業をデザインする」「交渉する」といった基幹的な業務以外は、週に2回来るアルバイトに可能な限りやらせてみようという方針です。例えば、スケジュール管理や進捗管理なども当然外注します。僕が納期に間に合いそうにないときは発破をかけるのも彼の仕事です。

「アルバイトの上司を雇った」というと変な話ですが、ちょうどそんな感じです。僕はプレーヤーで、週に2回やってくる管理職が僕の尻を叩く。そういう形を目指しています。発達障害者の仕事の仕方は人それぞれ様々なスタイルがあると思いますが、僕はとりあえずこの形が前職の経験からも、自分には向いているのではないかと思います。

そういうわけで、アルバイト氏には僕に「仕事しろ」「今日が締め切りだぞ」「クライアント本位だろうが」「叩いた大口の分働け」などと罵倒する発声練習から始めていただいているところです。大変優しい男なのでなかなか難しそうですが、いずれ立派に僕をシバいてくれるようになるでしょう。

マイクロであるために

欠損した能力を従業員を導入して補う、というのは当然「マイクロ」起業の方針とは適合的ではありません。外注先と違って固定費ですし、アルバイト契約とはいえ一定の責任は発生します。そこのジレンマは大変苦しいところですが、「人件費は月間8万円まで」という縛りをつけて、ここを乗り切っていこうと思います。

個人的には「一人正社員が必要」ならばそれは「マイクロ」起業ではないと思っています。正社員を雇うところまでやるのであれば、その社員に実質的な実権を委ねるか、あるいは自分自身がその事業にフルコミットするべきでしょう。そこには大きな責任があります。

もちろん、事業に大きな拡大の兆しが見えてきて「それ一本に絞る」というのは悪いことではありません。むしろ素晴らしいことです。マイクロだった起業が大きく育っていく過程なのですから。誰もがそれを望むと思います。しかし、僕の現状はどちらかというと(マイクロ起業の成長も一因ではあるけれど)、本業に圧迫されて業務が回らなくなったという形ですので、この判断は出来ません。まだまだ僕は「マイクロ」であるべきなのです。

しかし、前向きに考えれば月に8万円の投資でどこまで事業を効率化し、生産性を最大化出来るかという新しいチャレンジが生まれたと考えることが出来ます。補助員を雇った結果、利益が減少したら僕の負けです。来月からはもう8万円稼がなければいけません。それは、なかなかやりがいのあるチャレンジです。

人生はままならず、事業経営は難しい。でも、このささやかな8万円の投資を生かすことが出来れば、僕はまたひとつ成長出来る気がします。自分が背負った発達障害というハンディキャップは腹立たしいものではありますが、前向きにそれを克服することを楽しんでいきたいと僕は思っています。何より、補助員氏はいい奴です。楽しくやれそうな気がしています。

やっていきましょう。

追伸 補助員氏がやってきたことで「仕事上がりに一杯」という美しい文化が復活しました。お金が無い日はオフィスで二人バドワイザーを飲んでいますが、これがまたとても美味しい。起業を、仕事を、人生を、楽しんでいきたいですね。

もうすぐクリスマス。今回は、トップの画像もクリスマスにして頂きました。

これを読んで頂いている皆さんのところにも、良いことが届きますように。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

1985年、北海道生まれ。大学卒業後、大手金融機関に就職するが2年で退職。
現在は不動産営業とライター・作家業をかけ持ちする。
著書に『発達障害サバイバルガイド: 「あたりまえ」がやれない僕らがどうにか生きていくコツ47』(ダイヤモンド社)、『発達障害の僕が「食える人」に変わった すごい仕事術』(KADOKAWA)がある。

目次