発注先を育てる~みんなで成長する話①~(借金玉のマイクロ起業 Vol.11)

こんにちは。借金玉です。僕は現在、2足の草鞋を履きながら、マイクロ起業に挑んでいます。このコラムでは、いろいろな観点から「マイクロ起業論」を述べて行きたいと思います。第11回目の今回からは、「みんなで成長する」というお話しです。

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マイクロ起業の細部、みんなで成長することを考えてみる

さて、前回予告した10月の収支発表です。今月は売り上げ20万越え、そして8万円弱の黒字が発生しました。これはかなり良い結果ですが、実は「人が上手く動かず自分で業務を行ったために人件費が削減された」というかなり残念なドーピングが含まれており、痛し痒しというところです。人件費といいますか、僕は自社で人員を雇用していないので正確には外注費と表現した方がいいかもしれませんけれど。

結局、「自分でやるのが一番安くて確実」という問題はあるのです。僕が行っている業態のうち、ライティング業務は自分で全部やれば経費はタダですので、売り上げが丸ごと儲けになります。それに引き換え、人に仕事を発注する場合は避けがたく経費が発生しますし、依頼した人間がこちらの要望を満たすクオリティの仕事をしてくれるとも限りません。特にライティングの場合は、「上がってきた成果物が使い物にならない」であるとか、あるいは手直しが多大に必要であるということが極めて頻繁に発生します。

もう一つの事業の軸である軽作業の請負業も同様です。「自社でアルバイトを抱えるほどでもないちょっとした仕事」でも、仕事として任された以上クオリティをある程度担保する必要が出てきます。それこそ、「電車で指定された場所に出向いて写真を撮る」であるとか、「指定された場所で掃除と電球の交換などの軽作業をする」みたいな基本的には誰にでも出来る仕事であっても、そこにクオリティの差は厳然として発生します。

そして、ここで重要になってくるのは「質の高い仕事が約束されている人間は高くつく」ということです。間違いのない文章を締め切りまでに確実に仕上げられる人のギャラは当然安くはありません。そのあたりがあやふやな、なんの信頼もない人に依頼を出すからこそ利益が出るのです。先月はそのリスクが顕在化し、売り上げは上昇しているのにトータルは赤字という悲劇も発生しました。それでも僕はやっていくぞ、今回はそういう内容になっています。

「マイクロ」起業であるからこそ挑まなければならないこと。

ではいよいよ、色々と「育てる」部分に触れていきたいと思います。

1.発注先を育てる話。

マイクロ起業は低額の投資と最小の労力で利益を上げることがモットーです。ドカンと大きい仕事を請け負って、潤沢な資金を使って最強のメンバーを集める、そういうことは土台不可能です。レベル99の戦士と魔法使いをパーティーに入れて魔王の城に攻め込むことは出来ません。あなたの代わりにスライムを倒す仕事です。

また、後出しになりますが僕の「マイクロ」起業はもう一つささやかな目標を持っておりまして、「仲間にワリのいい仕事を回す」という点を少しだけ大事にしています。出来ればやれたらいいな、くらいのものですが僕の大事な「やりがい」です。発達障害仲間に仕事を回せる人間になりたいというささやかな願いも、実はちょっとだけあります。もちろん、主目的はお金を稼ぐことなのであくまで副次的なものではあるんですけどね。

しかし、そのためには僕自身が「仕事を発注する能力」を磨くとともに、僕から仕事を受託してくださる皆さんにも成長していただく必要があります。10月は、引き篭もっていた友人に社会復帰一発目のお仕事を回すというちょっとドラマティックな一幕もありました。詳細は割愛しますが、アルバイトすらほとんどしたことがなく、長いこと社会から離れていた方に仕事を任せるのはそれなりに大変なところもありました。

ちょっと余談になりますが、僕に商売の基本を教えた方というのは何人かいらっしゃいましてそのうちの一人がこんなことを言っていました。「20代のうちは誰かが与えてくれる仕事をこなしていればいい、しかし30代になったら仲間に仕事を回してやれるようになることを考えろ」と。これはマイクロ起業という概念にとても馴染む考え方だと思います。僕のマイクロ起業は「仲間に仕事を回して利益を得る」ものでもあります。この目標を捨てればもう少し利益率は上がるのですけれど、これを捨てたらやる意味も大分薄くなっちゃいますしね。

そういうわけで、僕はねちっこく仕事を依頼する皆様にレベルアップしていただくことを目論んでいます。幸いにというべきか僕自身がとても大きい欠損のある人間なので、仕事を当日ぶっちぎられようが、締め切りに成果物が出てこなかろうが怒りません。怒る資格などないことは僕が一番わかっています。その甲斐もあり、今月は大分マシになりました。来月はもっとマシになるでしょう。

外注先というのは雇用契約に結ばれた間柄ではありません。本来的には、もっとドライなものだと思います。お金がいっぱいある会社は、使えない外注先をバシバシ切っていきますよね。しかし、「マイクロ」起業においてはその選択肢を採用することは難しいでしょう。となると、程度の差こそあれウェットな「成長戦略」に挑んでいく他ないのです。

次回は、受注先と自分を育てる話をしていきたいと思います。

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この記事を書いた人

1985年、北海道生まれ。大学卒業後、大手金融機関に就職するが2年で退職。
現在は不動産営業とライター・作家業をかけ持ちする。
著書に『発達障害サバイバルガイド: 「あたりまえ」がやれない僕らがどうにか生きていくコツ47』(ダイヤモンド社)、『発達障害の僕が「食える人」に変わった すごい仕事術』(KADOKAWA)がある。

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