ERP(NetSuite)を”使う側”から”導入する側”へ|現場ユーザーがコンサルタントになるキャリア

会社でNetSuiteやERPを、毎日のように使ってきた。

そんなあなたが、ふと立ち止まったとき、こんな思いがよぎることはありませんか。

  • この使い込んだ経験を、もっと活かせないだろうか
  • 「使う側」で終わらず、「入れる側」に回ってみたい
  • 導入プロジェクトを、自分が引っ張る立場でやってみたい

結論からお伝えします。現場でERPを使い込んできた経験は、導入コンサルタントへの転身で、大きな土台になります。

ただし、正直な話もあります。システムを”使いこなす”のと、顧客に合わせて”導入する”のは、別の技術です。この違いを知らないまま飛び込むと、後悔につながりかねません。

この記事は、NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットが書いています。ERPを使ってきた方が、後悔なく次の一歩を選べるように。活きる経験と、必要な力と、現実の両方を、正直にお伝えします。

この記事で分かること

  • 「使う側」から「導入する側」へ、というキャリアの選択肢
  • あなたの”使ってきた経験”が、どう武器になるのか
  • “使いこなす力”と”導入する力”の違いと、その埋め方
  • 転身の5ステップと、後悔しないための注意点

読了の目安:約12分

目次

ERPを”使う側”から”導入する側”へ、という選択肢

まず、この道の全体像からお伝えします。

ERPとは、会計・販売・在庫などの基幹業務を、1つのシステムでまとめて管理する仕組みです(Enterprise Resource Planning)。NetSuiteは、Oracle社が提供するクラウド型のERPです。

事業会社でこのERPを使う人は、たくさんいます。経理で仕訳を切る人。情シスで運用を支える人。営業や在庫の現場で、日々データを入力する人。

その”使う側”から、ERPを企業に導入する”導入する側”へ回る。それが、この記事でお話しするキャリアです。

導入コンサルタントの仕事は、システムの操作ではありません。

  • お客様の業務を聞き取り、課題を整理する
  • あるべき業務の流れを設計し、NetSuiteに落とし込む
  • 導入後も、経営や業務の変化に合わせて伴走する

ベンチャーネットは、この仕事を「システム導入ではなく、経営への伴走」だと考えています。導入して終わりではなく、お客様の経営が変わるところまで責任を持ちます。

仕事の全体像は、NetSuiteコンサルタントとは?でも詳しく解説しています。

なぜ今、ユーザー経験者にチャンスがあるのか

いま、ERPを使ってきた人に、追い風が吹いています。理由は外部環境の変化にあります。

NetSuiteは、世界220地域・43,000社以上で使われるクラウドERPです(出典:Oracle NetSuite公式)。クラウドERPへの移行は、これからも広がっていきます。

一方で、日本では導入を支援できる人材が足りていません。

特に不足しているのが、「業務が分かる人」です。ERPの導入では、会計・在庫・販売といった業務を理解している人ほど、強みを発揮します。この業務理解は、一朝一夕には身につきません。

だからこそ、現場でERPを使い込んできた人に、価値が生まれています。

ここで、動かなかった場合のことも考えてみてください。

「使う側」のまま時間が過ぎると、経験は増えても、キャリアの幅は広がりにくいものです。扱うシステムが変われば、積み上げが活きない場面も出てきます。

いま持っている業務理解を、より市場価値の高い「導入する力」に接続する。そのタイミングとして、今は悪くありません。

あなたの”使ってきた経験”は、どう武器になるのか

ここが、この記事でいちばんお伝えしたい点です。

ERPを使ってきた経験は、導入コンサルの土台として、そのまま活きます。具体的には、次のような力です。

  • 業務の実感:受注から出荷、請求、入金までの流れを、机上でなく体で分かっている
  • 現場の勘所:月次の締めや、承認フローの詰まりやすい場所を知っている
  • データの手触り:どの入力が漏れやすく、どこでミスが起きるかを知っている

導入コンサルの現場では、この「業務が分かる」が効きます。

なぜなら、NetSuiteの導入では「Fit to Standard」という考え方が重視されるからです。これは、業務をパッケージの標準機能に合わせて設計する進め方です。

標準に寄せるには、まず「その業務が何のためにあるのか」を理解している必要があります。使ってきた人は、その理解を最初から持っています。

そして、この強みは職種を問いません。

経理でも、情シスでも、営業や在庫の現場でも構いません。派遣先でNetSuiteに触れてきた方も、同じです。大切なのは、ERPを実務で使い込んできたという事実です。

前職の活かし方は、出身によっても分かれます。国産ERPを扱ってきた方はOBIC7・奉行シリーズ経験者のキャリアチェンジ、経理・情シス出身の方は経理・情シスからITコンサルタントへも参考になります。

“使いこなす力”と”導入する力”は、何が違うのか

ここで、正直な話をします。

ERPを”使いこなす力”と、顧客に合わせて”導入する力”は、別の技術です。ここを混同すると、転身後につまずきます。

2つの違いを、表で整理します。

観点使いこなす力(ユーザー)導入する力(コンサル)
立ち位置決まった業務を回す業務そのものを設計し直す
向き合う相手自社の1つの運用業種も規模も違う複数の会社・経営層
核になる力正確な操作・運用の習熟課題整理・要件定義・合意形成
判断の起点マニュアル・既存ルールあるべき姿を描いて決める
失敗の影響範囲自分の作業プロジェクト全体・顧客の経営

大事なのは、どちらが上ということではありません。

使いこなす力は、確かな土台です。ただ導入では、その上に「設計する力」を積む必要があります。

そして、この差は埋められます。

足りない「設計する力」は、入社後の育成で身につけられるからです。ベンチャーネットは、経験を土台として活かしながら、設計や合意形成を段階的に学ぶ道を用意しています。

ユーザーからコンサルへ|転身の5ステップ

では、実際の進め方です。焦る必要はありません。順番に踏めば大丈夫です。

ステップ1:使ってきた経験を棚卸しする

どの業務に、どれくらい関わってきたか。会計・販売・在庫のどこに強いか。まず書き出します。これが、あなたの「活かせる資産」になります。

ステップ2:導入コンサルの仕事を知る

操作ではなく、聞く・描く・合意を取る仕事だと理解します。第1章とコンサルタントとはが入口になります。

ステップ3:”使う”と”導入”の差を埋める準備をする

第4章の違いを踏まえ、要件定義や業務設計の基本に触れておきます。完璧である必要はありません。

ステップ4:応募先を選ぶ

ユーザー経験を評価してくれる会社、育成の仕組みがある会社を選びます。「未経験歓迎」の言葉だけでなく、育て方の中身を確認してください。

ステップ5:入社後に育成で仕上げる

多くの現場では、入社後に学べる仕組みがあります。ベンチャーネットの育成の中身は、入社6か月でNetSuiteコンサルタントになるまでで公開しています。

大切なのは、最初から完璧を目指さないことです。使ってきた土台の上に、足りない力を後から重ねる。この順番が、現実的な近道です。

ユーザーからコンサルへ|転身で後悔しやすい4つのパターン

ユーザーからコンサルへの転身は、やりがいの大きい道です。ただ、入口で誤解したまま飛び込むと、ミスマッチも起きやすいのが正直なところです。

これは、応募をためらわせるために書くのではありません。「使ってきた経験」を活かし、後悔なく次の一歩を踏み出してほしいから書きます。

ベンチャーネットは、働く人とも対等な関係でありたいと考えています。だから、良い面だけでなく、つまずきやすい型も正直に共有します。

パターン①:「自社のやり方=正解」と思い込む

よくある現象

  • 前職の運用を、そのまま他社にも当てはめようとする
  • 「普通はこうする」と、自社基準で考えてしまう
  • お客様の”なぜ”を聞く前に、答えを出しがち

なぜ後悔するのか

導入コンサルの相手は、業種も規模も文化も違う複数の会社です。

自社で最適だったやり方が、別の会社では的外れになることは珍しくありません。「使ってきた経験」が、かえって思い込みの枠になることがあります。

どう回避するか

自分の経験は”ひとつの正解例”と捉え、まず相手の業務を聞くことです。

ベンチャーネットでは、この「聞いて、あるべき姿を描く」型を育成で身につけます。経験は土台として活かしつつ、決めつけを外す練習を一緒に重ねます。

パターン②:「使えるから、教えられる」と過信する

よくある現象

  • 操作に自信があるぶん、要件定義や合意形成を軽く見る
  • 「自分が分かっているから進められる」と考える
  • 部門間の意見の対立を、調整した経験が乏しい

なぜ後悔するのか

システムを”使う”のと、顧客に合わせて”導入する”のは別の技術です。

導入では、部門間の利害を整理し、経営層と合意を取り、あるべき業務を設計します。ここを甘く見ると、プロジェクトが進まず、行き詰まりにつながります。

ユーザーとして優秀だった人ほど、この壁でつまずくことがあります。

どう回避するか

“使う力”と”設計する力”は違うと、先に知っておくことです(第4章の比較表を参照)。

この差は、入社後の育成で埋められます。ベンチャーネットは、先輩と同じ案件に入りながら、要件定義や合意形成を段階的に学ぶ仕組みを用意しています。一人で抱え込ませません。

パターン③:フルリモート×自走を甘く見る

よくある現象

  • 対面前提の働き方をイメージして応募する
  • チャット中心のやりとりに苦手意識がある
  • 指示待ちになりがちで、自分から動くのが得意でない

なぜ後悔するのか

ベンチャーネットの働き方は、フルリモートが基本です。

自律して動ける人には自由度が高い一方、対面や指示待ちを前提にすると、力を発揮しにくくなります。経験があっても、働き方が合わないと続きません。

どう回避するか

自分がリモート・自走の環境に合うかを、先に確かめることです。

ベンチャーネットは、面接の前から働き方の実際を開示し、ミスマッチを防ぎます。合わないと感じたら、そう伝えていただいて構いません。

パターン④:完璧に準備してから、と動けない

よくある現象

  • 「もっと勉強してから」と、応募や相談を先延ばしにする
  • 自信が持てず、デモや現場に踏み出せない
  • 失敗を恐れて、最初の一歩が出ない

なぜ後悔するのか

導入の力は、実際の案件でしか身につかない部分があります。

完璧な準備を待つほど、機会は遠ざかります。土台があるのに動けないまま時間が過ぎるのは、もったいないことです。

どう回避するか

完璧を目指すより、まず動きながら磨く。ベンチャーネットが大切にしている考え方です。

選考にはデモ課題がありますが、”できあがった人”を求めるものではありません。今の力と伸びしろを、対等に見極め合う場です。分からないことは、伴走しながら一緒に埋めていきます。

共通するのは「使ってきた経験」への向き合い方

4つに共通するのは、「使ってきた経験」への向き合い方です。

経験は、間違いなく武器になります。ただ、それを”正解”として抱え込むと、かえって壁になります。

土台として活かしながら、足りない力は育成で重ねる。この姿勢があれば、転身は現実的な選択になります。

挑戦の門戸は開いています。完璧でなくて大丈夫です。「使ってきた経験を、次のステージで活かせないか」。そう感じた方は、一緒に考えさせてください。

働き方と選考|フルリモートの現実と、デモで見極める

最後に、働き方と選考について、現実を正直にお伝えします。

働き方はフルリモートが基本です

ベンチャーネットの勤務は、フルリモート(国内在住者)が基本です。全案件がプライム(元請け)で、経営層と直接対話しながら進めます。

自律して動ける人には、自由度の高い環境です。一方で、対面や指示待ちを前提とする方には、向きにくい面もあります。

適性の「現実的なライン」も正直に

ここは、いちばん正直にお伝えしたい部分です。

ERPをまったく触ったことのない、他業種・完全未経験からのフルリモート挑戦は、現実には狭き門です。導入の実務は、短期間で身につくものではないからです。

現実的に土台になりやすいのは、次のいずれかです。

  • ERP/NetSuiteを実務で使い込んできた経験(職種・雇用形態は問わない)
  • IT・システム領域の実務経験

もちろん、挑戦の門戸を閉じるつもりはありません。「それでもやってみたい」という意欲は歓迎します。ただ、期待値を正直に共有することも、対等な関係だと考えています。

選考は、書類だけで決めません

書類だけでは、その人の仕事ぶりまでは分かりません。

だからこそ選考では、デモ課題を通じて、実際に手を動かしていただく場を設けています。これは”できあがった人”を選ぶためではありません。今の力と伸びしろを、お互いに見極め合うためです。

紹介予定派遣や業務委託を入口に、まず一緒に働きながら見極める道もあります。詳しくは紹介予定派遣からNetSuiteコンサルタントになるをご覧ください。

年収や選考フローの詳細は、NetSuiteコンサルタント求人ページにまとめています。

よくある質問(FAQ)

ユーザーからの転身を考える方から、よくいただく質問にお答えします。

Q1. ユーザー経験しかありませんが、コンサルになれますか?

なれます。ERPを使ってきた経験は、導入コンサルの土台になります。

使う力の上に、設計する力を積む必要はあります。ただ、その差は入社後の育成で埋められます。大切なのは、業務を分かっていることです。

Q2. “使える”と”導入できる”は、本当に違うのですか?

違います。使うのは決まった業務を回すこと、導入は業務を設計し直すことです。

導入では、複数の会社の課題を整理し、経営層と合意を取ります。ここは別の技術ですが、育成で身につけられます(第4章の比較表もご覧ください)。

Q3. 他業種・派遣からでも応募できますか?

できます。職種や雇用形態は問いません。

大切なのは、ERPを実務で使い込んできたという事実です。派遣先でNetSuiteに触れてきた経験も、立派な土台になります。

Q4. フルリモートですか? 完全未経験でも大丈夫ですか?

フルリモートが基本で、自律して働ける方に向いた環境です。

他業種×完全未経験からのフルリモートは、現実には狭き門です。ERP実務やIT背景があると、土台になりやすいです。挑戦の門戸は開いていますが、選考にはデモ課題があります。

Q5. 選考では、どんなことを見られますか?

書類だけでなく、デモ課題などを通じて、実際の仕事ぶりを見ます。

これは、お互いに見極め合うための場です。今の力と伸びしろを一緒に確かめ、合うかどうかを対等に判断します。

まとめ|”使ってきた経験”を、次のステージへ

ERPやNetSuiteを使い込んできた経験は、決して無駄になりません。

むしろ、導入コンサルという場では、大きな土台になります。使う力の上に、設計する力を重ねていく。その道は、現実的な選択肢です。

大切なのは、順番です。まず経験を棚卸しし、仕事の中身を知り、足りない力は育成で仕上げる。最初から完璧を目指す必要はありません。

ベンチャーネットが大切にしているのは、「完璧を目指すより、まず動きながら磨く」という考え方です。これは、キャリアにも当てはまります。

「使ってきた経験を、次のステージで活かせないか」。そう感じたら、まずは話を聞くところから始めてみてください。一緒に、あなたに合う進め方を考えさせてください。

もう少し詳しく知りたい方へ

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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