「NetSuiteもERPも触ったことがない。それでもコンサルタントになれるのか」
カジュアル面談で、よく聞かれる問いです。
答えは「なれる」。
ただし、根性ではなく仕組みで育てます。
NetSuiteコンサルタントの育成とは、未経験の人が6か月で案件に出られるようにする、ベンチャーネットの教育の仕組みです。
前半3か月で型を学び、後半3か月は初案件で型を使います。
育てているのは、NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットです。
では、なぜ6か月で足りるのか。
理由は、最初にNetSuiteを触らせない順番と、白紙から資料を書かせない仕事の型にあります。
NetSuiteは、会計・販売・在庫などの基幹業務を1つにまとめるクラウドERPです。
世界220地域・44,000社以上が使っています(出典:Oracle NetSuite公式サイト、2026年9月確認)。
ERPは、会社の基幹業務を1つのシステムで管理する仕組みのことです。
この記事で分かること
- 未経験から6か月で案件に出るまでの道順
- 前半3か月のカリキュラムと、月ごとの到達点
- 初案件から先輩と同じ品質を出す「消す→直す→足す」
- つまずきを防ぐ48時間ルール・Sandbox・週次1on1
- 向いている人・向いていない人と、入社の入口
育成を支えるのは「キット」という資料群
6か月で案件に出られるのは、育成を人の頑張りに頼っていないからです。
中心にあるのは、社内で「キット」と呼ぶ資料群です。
キットには、次のものが入っています。
- NetSuite導入の進め方
- 業種ごとの標準的な業務の型
- 会議の台本
- 先輩の失敗集
新人が案件で通る道順の多くは、ここに書いてあります。
新人が頭を使うのは、キットに書けない部分です。
つまり、お客様ごとの事情です。
見よう見まねの育成だと、結果は教える先輩の力量と忙しさで変わります。
ベンチャーネットは、先輩の知見を資料の形で会社に残してきました。
誰が教えても、誰が学んでも、同じ道順をたどれます。
6か月の全体像|前半はカリキュラム、後半は初案件
6か月は、前半と後半に分かれます。
OJTは、実際の仕事を通じて学ぶ育成のことです。
| 期間 | 内容 | ゴール |
|---|---|---|
| 入社〜3か月 | 育成カリキュラム(業務→会計→システム→デモ) | 販売デモを一人で実演できる |
| 4〜6か月 | 初案件OJT(先輩・PMと同じ案件に入る) | 先輩と同水準の資料をお客様に出せる |
| 1年後 | 工程を任される | 後輩にキットを手渡す側になる |
コンサルタントの主な仕事は、ヒアリング・資料づくり・会議運営です。
プログラムを書く開発は担当しません。
開発メンバーに、要望を正確に伝えるのが仕事です。
コンサルタントの仕事とAI
NetSuiteには、AI Connector Serviceという仕組みがあります。
ClaudeやChatGPTなどのAIを、NetSuiteのデータにつなげるものです(出典:Oracle NetSuite公式サイト、2026年9月確認)。
コンサルタントの仕事でも、AIを使う場面は増えています。
| 仕事の場面 | 新人が身につける力 | AIの使いどころ |
|---|---|---|
| ヒアリング | 相手の業務を聞き取り、前提を確かめる力 | 論点の整理。聞くのは人 |
| 資料づくり | 想定の資料を、お客様の実際に合わせて直す力 | 下書きや表の整形 |
| 会議運営 | 決めることを決め、記録に残す力 | 議事録の要約 |
| 開発への伝達 | 要望を、誤解のない仕様にする力 | 仕様の抜けの点検 |
使いどころは、ベンチャーネットの整理です。
AIが下書きを作れても、何が正しいかを決めるのは人です。
その判断の土台が、次の章の「業務と会計」になります。
前半3か月のカリキュラム|業務→会計→システム→デモ
前半3か月は、週単位のカリキュラムに沿って進みます。
システムを最初に触らないのが、この設計の特徴です。
| 月 | 学ぶこと | 月末の到達点 |
|---|---|---|
| 1か月目 | 業務の流れと会計(仕訳) | 出来事とお金の動きを、型で説明できる |
| 2か月目 | 在庫・会計・製造などの機能を手で覚える | 受注→出荷→請求→入金の販売デモを一人で実演 |
| 3か月目 | 模擬ヒアリングと模擬の要件判定 | 卒業試験に合格し、実案件へ |
1か月目|NetSuiteの前に、業務と会計
最初の1か月は、業務の流れと会計(仕訳)を学びます。
仕訳は、取引を帳簿に記録するための形式のことです。
なぜシステムが後なのか。
NetSuiteは「操作=会計」のシステムだからです。
画面で「出荷」ボタンを押すと、在庫が減り、会計の仕訳が自動で作られます。
業務と会計を先に分かった人ほど、システムを早く深く理解できます。
仕訳は、基本・例外・業種特有の型に整理してあります。
覚え方は丸暗記ではありません。
「出荷したら在庫が減って原価が立つ」のように、出来事とお金の動きをペアにします。
2か月目|機能を手で覚え、販売デモに挑む
2か月目は、在庫・会計・製造などの機能を、手を動かして学びます。
山場は、月の終わりの販売デモです。
受注→出荷→請求→入金という基本の流れを、一人で実演します。
デモには台本があります。
時間割・操作・話す台詞まで書いてあります。
自分の実演を録画し、評価表でセルフチェックしてから、先輩のレビューを受けます。
3か月目|案件の予行演習と卒業試験
3か月目は、模擬ヒアリングと模擬の要件判定で、案件の動きを練習します。
要件判定は、お客様の要望を標準の機能で満たせるかを見極めることです。
卒業試験に合格したら、実案件へ進みます。
「なんとなく進む」を許さない運用
週ごとの合格基準は、文章で決めてあります。
| タイミング | やること | 基準 |
|---|---|---|
| 毎週金曜 | 合格基準をセルフチェック | 未達なら先に進まず相談する |
| 毎月末 | 理解度テスト | 基準に届かなければ復習してから進む |
| 常時 | 48時間ルール | わからないことを2日以上ひとりで抱えない |
人によって進み方がぶれないのは、この運用があるからです。
後半3か月|初案件で「先輩と同じ品質」を出す
ベンチャーネットの新人は、初案件から先輩と同水準の資料をお客様に出します。
支えているのは、「消す→直す→足す」という直し方です。
白紙から作る場合との違いを図にすると、次のとおりです。
白紙から資料を作る仕事は、ほぼない
白紙のExcelを前にすると、資料の出来は書く人の経験量で決まります。
経験の浅いうちは、品質が安定しません。
そこで、業種別に内容の大部分が埋まった「想定完成版」の資料を用意しています。
対象は、商社・卸売・小売・IT・製造などです。
標準的な業務の流れ、設定、会計仕訳まで、先に書き込んであります。
新人の仕事は、それをお客様の実際に合わせて直すことです。
消す→直す→足す
- 消す:そのお客様には存在しない業務の行を消す
- 直す:想定と実際が違う箇所だけを、お客様に聞いて直す
- 足す:その会社だけの例外ルールを、最後に足す
ゼロから「業務を教えてください」と聞く必要はありません。
想定を見せながら聞くので、ヒアリングの質も安定します。
日程表・課題管理表・業務フロー図などのひな形もそろっています。
最初は、使う頻度の高いものから覚えます。
社内には「白紙のExcelを開いたら迷子のサイン。まずキットを探す」という合言葉があります。
手抜きではありません。
担当によって資料の質が変わることのほうが、お客様にとっては問題だからです。
つまずきを防ぐ仕組み|48時間ルール・Sandbox・週次1on1
未経験の人がつまずく原因は、能力よりも「抱え込み」と「失敗への恐怖」です。
この2つを、仕組みで減らしています。
48時間ルール
わからないことを、2日以上ひとりで抱えない決まりです。
質問は恥ではなく、仕事の一部と位置づけています。
「聞いていいのかな」と迷う時間こそ、いちばんのロスだからです。
Sandbox|壊してもいい練習環境
NetSuiteの練習は、Sandbox(本番と切り離された練習用の環境)で行います。
Oracleのヘルプでは、Sandboxは本番と同じ設定・データを持つ環境と説明されています。
入力や削除は本番に影響せず、社員の研修にも使えると案内されています(出典:Oracle NetSuiteのヘルプ、2026年9月確認)。
壊しても、何度でもやり直せます。
「失敗が怖くて触れない」状態を、環境の側からなくしています。
種類はNetSuiteのサンドボックスとは?で扱っています。
メンターの週次1on1
新人にはメンター(教育係の先輩)がつき、週に1回の1on1を行います。
その週のつまずきを、翌週に持ち越さないためです。
ミスは即報告。怒られない
「ミスに気づいたら即報告。隠すのが一番ダメ」。
これがベンチャーネットの文化です。
迷ったときの判断基準も、3つに分けてあります。
| 区分 | 例 |
|---|---|
| 自分で決めてよい | 日程調整、資料の見た目、調査 |
| 上司に確認する | 仕事の範囲、費用、仕様の可否 |
| すぐ報告する | 本番データの事故、強いクレームなど |
怒られないから、報告できる。
報告が早いから、傷が浅い。
本人の性格ではなく、仕組みの問題として扱っています。
ベンチャーネットならこう見る|育成のゴールは「伝言ゲームにしない人」
6か月の先に、どんなコンサルタントになってほしいのか。
ベンチャーネットの答えは、次の2つの型にまとまります。
型1:伝言ゲームにしない
ベンチャーネットでは、お客様の要件を聞くのは営業ではありません。
導入コンサルタントです。
聞いた人が、そのまま設定や開発への伝達まで受け持ちます。
間に人を挟まないので、要望が途中で変わりません。
前半3か月に業務と会計を先に学ぶのは、このためです。
お客様の話を、その場で業務と会計の言葉に置き換えられないと、聞いた人が責任を持てません。
型2:待たずに取りに行く
ベンチャーネットのPMは、コンサルタントを兼ねます。
提案からカットオーバー(本番稼働)まで、一人が通して受け持つ形です。
週次の定例と課題管理表で、決めたことを文書に残します。
情報が来るのを待たず、自分から取りに行きます。
48時間ルールや即報告の文化は、この働き方の練習でもあります。
聞けない人は、お客様からも情報を取りに行けないからです。
1年後に工程を任されるころには、この2つが身についている状態を目指します。
面談でお聞きすること
カジュアル面談では、ベンチャーネットからも次の3つをお聞きします。
評価のためではなく、お互いに合うかを見るためです。
- 人の話を聞いて、整理した経験はあるか(仕事でも、仕事以外でも)
- わからないとき、どのくらいで人に聞いてきたか
- 6か月、週ごとの基準に沿って学ぶ時間を取れるか
合わないと感じたら、そうお伝えします。
向いている人、向いていない人
向いている人
- 人の話を聞いて、整理することが好き
- 決められた型を、丁寧になぞれる
- わからないことを、早めに人に聞ける
- 業務やお金の流れに興味がある
プログラミングの経験は、入社時には要りません。
会計の知識も、カリキュラムの最初に学びます。
向いていない可能性がある人
- 自分のやり方で自由に進めたい人:型をなぞることから始まるため、窮屈に感じるかもしれません
- プログラムを書くことが目的の人:コンサルタントは開発を担当しません
- ひとりで調べて解決したい人:48時間ルールのとおり、早く聞くことが求められます
- 人前で話すことを避けたい人:デモとヒアリングが、この仕事の中心です
開発の技術を先に身につけたいなら、開発の職種が合います。
大きな組織の研修で育ちたいなら、大手SIerの新人研修という道もあります。
どれが上ということはありません。
入社の入口|未経験の人と、経験のある人
未経験の人の入口は、カジュアル面談からの相談が基本です。
この6か月の育成を前提に、入社後の道筋をすり合わせます。
紹介予定派遣(派遣の期間を経て、正社員への登用を前提とする働き方)での受け入れにも、対応を進めています。
詳しくは紹介予定派遣からNetSuite ERPコンサルタントになるで扱っています。
道筋の全体は、未経験からERPコンサルタントになるには?も参考になります。
入口の分かれ方を図にすると、次のとおりです。
ERP・IT・業務改善の経験がある人には、PM兼コンサルタントとしての採用枠があります。
条件はNetSuiteコンサルタント(PM兼コンサル)の求人をご覧ください。
経験者も、NetSuiteの機能や「消す→直す→足す」は入社後に学びます。
これまでの経験は、6か月を短くする土台になります。
業務委託での関わり方は、NetSuite業務委託・フリーランスとは?で扱っています。
育成のある会社を選ぶときの、よくある失敗3つ
失敗1:「未経験歓迎」の言葉だけで選ぶ
起きること:入社後、教える人も資料もなく、ほぼ独学になる。
原因:求人の言葉だけを見て、育て方の中身を聞かなかった。
避け方:面談で「最初の3か月に何を、どの順番で学ぶか」を聞きます。
週ごとの基準があるか、誰がレビューするかまで聞いてください。
失敗2:わからないことを抱え込む
起きること:数日悩んだ末に、大きく遅れていると気づく。
原因:「聞くのは迷惑」と考え、ひとりで解決しようとした。
避け方:聞くまでの期限を決めます。
ベンチャーネットでは、それを48時間としています。
失敗3:白紙から資料を作り込もうとする
起きること:資料づくりに時間がかかり、しかも品質が安定しない。
原因:前例や想定の資料を探さず、ゼロから書き始めた。
避け方:まず、使える型や過去の資料を探します。
直すべきところだけを直すほうが、早くて正確です。
今日できること|身近な取引を「出来事とお金」で書き出す
1時間あれば、カリキュラムの1か月目を体験できます。
ネットで商品を買った、という身近な取引を1つ選び、売る側の目で次の表を埋めてみてください。
| 出来事 | 売る側で動くもの | お金の動き |
|---|---|---|
| 注文を受けた | 受注の記録 | まだ動かない |
| 商品を送った | 在庫が減る | 売上と原価が立つ |
| 請求した | 請求書 | 受け取る権利が生まれる |
| 代金が入った | 入金の記録 | 現金が増える |
「お金の動き」の列が埋まらなくても大丈夫です。
埋まらなかった行が、入社後に最初に学ぶところです。
よくある質問
Q1. 会計の知識がゼロでも大丈夫ですか
大丈夫です。
カリキュラムの1か月目に、業務の流れと仕訳を最初から学びます。
仕訳は型に整理してあり、パターンで覚えます。
Q2. 文系・非IT出身でもなれますか
なれます。
仕事の中心はヒアリング・資料づくり・会議運営で、開発は担当しません。
ITの力はカリキュラムの中で身につけ、練習はSandboxで行います。
Q3. 未経験でも、販売デモができるようになりますか
カリキュラムのゴールとして設定しています。
2か月目に、受注→出荷→請求→入金の販売デモを一人で実演します。
台本・録画・セルフチェック・先輩のレビューを経て仕上げます。
Q4. 進みが遅れたらどうなりますか
未達なら先に進まず相談します。
毎週金曜に合格基準をセルフチェックし、できていなければメンターと話します。
週次の1on1で、つまずきを翌週に持ち越さないようにしています。
Q5. 転職サイト経由と直接応募、どちらがよいですか
選考上の有利・不利はありません。
Wantedly・人材紹介会社・直接のカジュアル面談、どの経路でも育成の仕組みは同じです。
迷う場合は、カジュアル面談からの相談をおすすめします。
Q6. NetSuiteの認定資格は、入社前に必要ですか
入社前には必要ありません。
カリキュラムの中で、業務・会計・システムの順に学びます。
資格の種類はNetSuite資格ガイドで扱っています。
まとめ
- 育成は、人の頑張りではなく「キット」という資料群で支える
- 前半3か月は「業務→会計→システム→デモ」の順。2か月目に販売デモを一人で実演する
- 後半3か月は初案件。想定完成版を「消す→直す→足す」で直し、先輩と同じ品質を出す
- 48時間ルール・Sandbox・週次1on1で、抱え込みと失敗への恐怖を減らす
- 育成のゴールは、要件を伝言ゲームにせず、自分から情報を取りに行けるコンサルタント
「NetSuiteもERPも触ったことがない」。
その状態から始める人のために、順番と型を用意しています。
まずは、第10章の表を1行だけ埋めてみてください。
もう少し詳しく知りたい方へ
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