NetSuiteの容量は、10GBなのか、100GBなのか。
公式ヘルプには、どちらの数字も載っています。
NetSuiteのファイルキャビネットとは、請求書・契約書・画像などのファイルを保管し、取引や顧客の記録に添付できる場所です。
その容量には上限があり、契約の内容で変わります。
基本の容量は合計10GB。
一方で、契約のサービス階層ごとに、100GBから4,000GBまでの上限も示されています。
自社の数字は、請求情報の画面で見られます。
足りなくなったときは、すぐに増やすより先に、何をNetSuiteの中に持つかを決めてください。
では、その「何を持つか」は、どんな順番で決めればよいのか。
この記事で分かること
- NetSuiteの容量を決める2つの情報(基本の容量とサービス階層)
- 自社の使用量を見る手順
- 1ファイルあたりのサイズの目安と、開発で扱うときの上限
- 上限を超えたときに起きること(通知と90日の猶予)
- 増やす・整理する・外に出す、の選び方
言葉の整理:ストレージは、NetSuiteのアカウント全体に与えられる保存の容量です。
サービス階層は、ユーザー数やファイルの容量などの上限を決める、契約の区分です。
NetSuiteの容量の仕組み
基本は合計10GB
公式ヘルプには、追加の容量を買っていない限り、合計10GBが付くとあります。
対象は、各アカウントのストレージ全体です。
(出典:Oracle NetSuiteのヘルプ「Uploading Files to the File Cabinet」)
ファイルはPCのフォルダのように整理できます。
アップロードしたファイルは、すべて自動でウイルスの検査を受けます。
サービス階層ごとの上限
一方、契約のサービス階層の説明には、階層ごとのファイルの容量の上限が示されています。
| サービス階層 | ユーザー数の上限 | ファイルの容量の上限 |
|---|---|---|
| Standard | 100 | 100GB |
| Premium | 1,000 | 1,000GB |
| Enterprise | 2,000 | 2,000GB |
| Ultimate | 4,000 | 4,000GB |
(出典:Oracle NetSuite公式ヘルプ、2026年9月確認)
冒頭の「10GBか100GBか」への答えは、契約の内容で決まります。
推測で判断せず、次の章の画面で実際の容量と使用量を見てください。
階層と料金の関係はNetSuiteの料金・ライセンス体系で扱っています。
2つの数字と、確かめる場所を図にすると、次のとおりです。
自社の使用量を見る手順
- 「Setup」→「Company」→「View Billing Information」を開く
- 「File Cabinet Size (GB)」の行を見る
- 「Current Used Quantity」の列で、いまの使用量を読む
この画面を見るには「Billing Information」の権限が要ります(出典:Oracle NetSuiteのヘルプ)。
権限がなければ、管理者に頼んでください。
容量は、少しずつ増えます。
月に1回数字を記録するだけで、上限の手前で気づけます。
操作の基本はNetSuiteの使い方・操作マニュアルもご覧ください。
上限を超えたらどうなるか
公式ヘルプでは、ファイルの容量の上限を超えると、次のように案内されています。
- 管理者に、画面の表示とメールで通知が届く
- この上限に限り、90日の猶予がある
- その間に、容量を最適化するか、階層の引き上げをアカウント担当と相談する
(出典:Oracle NetSuite公式ヘルプ、2026年9月確認)
容量の追加の購入や、容量についての質問も、アカウント担当への問い合わせが案内されています(出典:Oracle NetSuite公式ヘルプ、2026年9月確認)。
つまり、超えた時点で打つ手がなくなるわけではありません。
90日は整理と判断に使える期間です。
ただ、通知が来てから方針を考え始めると、その90日はすぐに過ぎます。
上限を超えてからの流れを図にすると、次のとおりです。
1ファイルのサイズの目安
| 扱う経路 | 目安・上限 | 備考 |
|---|---|---|
| 画面からのアップロード | 100MB以下を推奨 | 超えると時間がかかり、途中で切れることもある |
| ファイル名 | 拡張子を含め99文字未満 | 拡張子も付ける |
| SuiteScript(メモリで扱う処理) | 10MBまで | getContents などで中身を扱う場合 |
| SuiteScript(ストリーミング) | 10MBの上限の対象外 | File.save などで扱う場合 |
| SuiteScript(file.load) | 2GBまで | 既存のファイルの読み込み |
(出典:Oracle NetSuiteのヘルプ「Best Practices for Preparing Files for Upload」ほか)
(出典:Oracle NetSuiteのヘルプ「N/file Module」「file.load」)
SuiteScriptは、NetSuiteの機能を広げるための開発の言語です。
大きなPDF・画像・CSVを扱う予定があるなら、設計の段階でこの表を前提にします。
大きなCSVの取り込みはNetSuiteのCSVインポートで扱っています。
容量への4つの対処
| 対処 | 向く場面 | 注意 |
|---|---|---|
| 容量を増やす(追加購入・階層の引き上げ) | すぐに余裕が要る | 料金は契約による。原因を放置すると繰り返す |
| 整理・アーカイブ | 重複や古いファイルが多い | 続ける担当と周期が要る |
| 外部のストレージと連携 | 大きなファイルが多い | 連携の設計と保守が要る |
| 保存・添付のルールを決める | これから増やしたくない | 早く始めるほど効く |
外部のストレージとの連携は、ファイルの実体を外に置き、NetSuiteからは参照する方法です。
NetSuiteとつなげる外部のストレージのサービス(Boxなど)もあります。
4つは1つに絞らず、組み合わせて使います。
「残す・外に出す・捨てる」の仕分け
冒頭の問いへの答えが、この仕分けです。
ファイルの種類ごとに、置き場を決めます。
| ファイルの種類 | 考えられる置き場 | 決めるときの論点 |
|---|---|---|
| 取引に添付する請求書・注文書 | NetSuiteの中 | 取引の記録から、すぐ開ける必要があるか |
| 契約書 | 中、または外部のストレージ | 誰が、どのくらいの頻度で見るか |
| 図面・動画・高解像度の画像 | 外部のストレージ | 1ファイルが100MBを超えないか |
| 連携で作られる一時的なCSV | 処理後に消す | 残す理由があるか、誰が消すか |
| 保存期間を過ぎた書類 | 消すか、外で保管 | 保存の期間の決まりを満たしているか |
書類の保存の期間は、法令と自社の規程で決まります。
電子で保存する書類は、NetSuiteと電子帳簿保存法もあわせてご覧ください。
消してよいかの最終の判断は、顧問の税理士・会計士と決めます。
仕分けは、一度で終わりません。
業務が変わるたびに、表を見直します。
判断の物差し|どの対処が合うか
容量を増やすのが合う会社
- 残すべきファイルが、業務の拡大で増えている
- 整理はすでに回っていて、それでも足りない
- 更新の時期が近く、階層の見直しと一緒に判断できる
整理・ルールづくりが先の会社
- 同じファイルが何か所にもある
- 「何を残すか」を決めた人がいない
- 増やしてもすぐ足りなくなった経験がある
外に出すのが合う会社
- 図面や動画など、1ファイルが大きいものが多い
- 社内で別のストレージのサービスをすでに使っている
いまは何もしなくてよい会社
使用量が上限の半分に届かず、増え方もゆるやかなら、月1回の記録だけ続けます。
これから契約する会社と、更新を控えた会社
これから契約する会社
契約の前に、次の3点を押さえます。
- 自社のサービス階層と、ファイルの容量の上限
- 旧システムから移すファイルの量
- 今後、NetSuiteに添付する書類の種類と件数の見込み
移す量が多いなら、全部を移すか外に置くかを先に決めます。
移行の全体は基幹システムのデータ移行ガイドで扱っています。
いま使っていて、更新を控えた会社
更新の前は、容量を見直す好機です。
- 過去12か月の使用量の増え方を並べる
- 増えた原因のファイルの種類を調べる
- 階層を上げるか、整理で足りるかを比べる
保守の窓口に相談しても方針が決まらないなら、別のパートナーの意見を聞く道もあります。
保守の選び方はNetSuiteのサポート・保守の選び方をご覧ください。
よくある3つの失敗
失敗1:通知が来てから慌てる
起きること:ある日、ファイルを上げられず業務が止まりかける。
原因:使用量を誰も定期に見ていなかった。
避け方:月1回の記録を、担当者と日付を決めて運用に入れます。
「上限の7割で見直す」のような基準も決めておきます。
失敗2:とりあえず全部入れ、増やすだけで解決する
起きること:追加のたびに費用が増え、しばらくするとまた足りない。
原因:「残す・外に出す・捨てる」のルールがなかった。
避け方:増やす前に、ファイルの種類ごとにルールを決めます。
これは片づけではなく、データの持ち方の設計です。
失敗3:大きなファイルや連携を考えずに作る
起きること:大きな画像やCSVが上がらない。連携の処理がサイズの上限で止まる。
原因:100MBの目安や、SuiteScriptの10MBの上限を知らずに設計した。
避け方:第4章の表を、設計の前提に入れます。
分割・ストリーミング・外部の保管を、最初から選択肢に置いてください。
ベンチャーネットならこう見る
NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットは、容量の相談を2つの型で受けています。
NetSuite・Odoo・AIスクラッチ開発を扱い、SAPからのリプレイスにも対応しています。
引き継いだアカウントは、フォルダの中身から見る
ベンチャーネットの仕事は、ゼロからの導入より、他社のあとの引き継ぎと立て直しが多くを占めます。
引き継いだアカウントで容量が逼迫しているとき、まず開くのはファイルキャビネットです。
大きい順にフォルダを並べ、誰が、何のために置いたかをたどります。
置いた理由が分からないファイルが多ければ、足りないのは容量ではありません。
保存のルールです。
その場合は、階層の引き上げより先に、失敗2の「残す・外に出す・捨てる」を決め直します。
外に出すなら、連携まで一緒に設計する
外部のストレージに移す判断は、半分でしかありません。
残りの半分は、取引の記録から外のファイルにたどれるようにすることです。
ベンチャーネットは、既存システムとの連携も担います。
容量の相談でも、外に出す場合はNetSuiteの記録との対応づけまで設計します。
監査で書類を出す場面で、誰が探しても見つかる形にするためです。
最初の打ち合わせで伺うのは、次の3つです。
- いまの使用量と増え方:過去の記録があるか
- 増えているファイルの種類:業務に要る物か、惰性で残している物か
- 契約の階層と更新の時期:いつ判断すればよいか
増やすことが答えの場合もあれば、整理で足りる場合もあります。
どちらでも、判断の根拠は数字で残すよう勧めています。
今日できること|容量の記録表を作る
次の表を作り、今日の数字を1行目に書いてください。
| 記録日 | 使用量/上限(GB) | 使用率 | 気づいたこと |
|---|---|---|---|
| (例)9月25日 | 6.2/10 | 62% | 契約書のPDFが多い |
来月からは、前月からの増加も書き足します。
あわせて、ファイルキャビネットのフォルダを大きい順に3つ書き出します。
その3つに「残す・外に出す・捨てる」の印を付ければ、最初のルールの下書きになります。
よくある質問
Q1. NetSuiteの基本の容量はどれくらいですか
追加の購入がなければ合計10GBとヘルプにあります。
一方、サービス階層の説明には、階層ごとのファイルの容量の上限も示されています。
自社の数字は、請求情報の画面と契約で見てください(第1章)。
Q2. 容量を超えるとどうなりますか
管理者に通知が届き90日の猶予があります。
その間に、容量を最適化するか、階層の引き上げをアカウント担当と相談します(第3章)。
Q3. 1ファイルの上限はありますか
画面からは100MB以下が推奨です。
SuiteScriptでは、メモリで扱う処理が10MB、file.loadが2GBまでです(第4章)。
Q4. 容量はどうやって増やしますか
追加の購入か階層の引き上げをアカウント担当に相談します。
ただし、増やす前に整理と保存のルールを見直すと、繰り返しを防げます(第5章)。
Q5. 使用量は誰が見られますか
Billing Informationの権限を持つ人です。
権限がない場合は、管理者に頼みます。
月1回の記録の担当者に、権限を付けておくと続けやすくなります(第2章)。
Q6. ファイルを外部のストレージに移しても大丈夫ですか
取引の記録からたどれるなら選択肢になります。
NetSuiteの記録と、外のファイルの対応づけが要ります。
監査で書類を出す場面を想定し、誰が探しても見つかる形にしておきます(第5章)。
Q7. バックアップも同じ容量に含まれますか
バックアップや障害への備えは容量とは別の論点です。
運用上のトラブルへの対処はNetSuiteが「使いにくい」と感じる本当の原因とは?で扱っています。
まとめ
- 容量は、基本の10GBと、サービス階層の上限の両方を契約で見る
- 使用量は、請求情報の画面で月1回記録する
- 上限を超えると通知が届き、ファイルの容量に限り90日の猶予がある
- 画面からのファイルは100MB以下、SuiteScriptは10MB・2GBの上限を前提に設計する
- 増やす前に、残す・外に出す・捨てるを決める
10GBか100GBかは、請求情報の画面を開けば分かります。
分からないのは、その中に何を持つべきかのほうです。
今日の使用量を1行書き、大きいフォルダ3つに印を付けるところから始めてください。
もう少し詳しく知りたい方へ
容量を増やすべきか、整理で足りるかを、使用量の記録から一緒に見極めます。
外部のストレージとの連携の設計もご相談いただけます。
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