NetSuiteと電子帳簿保存法・インボイス制度の対応【2026年最新版】

9月の終わり、経理の担当者が仕入先の一覧を開き、免税事業者に印をつけていく。

10月から、その仕入で控除できる消費税が80%から70%に下がるからです。

インボイス制度とは、消費税の仕入税額控除を受けるために、適格請求書の保存を求める制度です。

電子帳簿保存法とは、税務の帳簿や書類を電子データで保存するときのルールを定めた法律です。

NetSuiteは、Japan Localization SuiteApp(日本の制度に対応するための拡張機能)で、適格請求書の発行に対応します。

登録番号の表示、税率ごとの税額の計算、仕入先の区分、70%控除の税コードもそろっています(出典:Oracle NetSuiteヘルプ、2026年9月確認)。

ただし、切替の日に税コードを変えるのは自社です。

電子取引データをどの方式で保存するかも、自社で決めます。

制度対応の相談で、経理部長からよく聞く言葉があります。

「法改正のたびに、また対応か」

この負担は、どうすれば軽くできるのか。

NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットが、国税庁・財務省・Oracleの公式情報をもとに答えます。

目次

この記事で分かること

  • 電子帳簿保存法とインボイス制度の最新の改正(2026年9月時点)
  • NetSuiteで対応できる範囲と、自社で決めること
  • 会計ソフトで足りる会社と、ERPを考える会社の見分け方
  • 制度対応でよくある3つの失敗と、その避け方
  • 要件を「標準→SuiteApp→カスタマイズ」の3段で仕分ける考え方

両制度の最新の動き(2026年9月時点)

インボイス制度:経過措置が細かく分かれた

免税事業者など、インボイスを発行できない事業者からの仕入には、一定の割合を控除できる経過措置があります。

令和8年度税制改正で、この経過措置が延長され、段階が細かくなりました(出典:国税庁、2026年9月確認)。

期間控除できる割合
2023年10月〜2026年9月80%
2026年10月〜2028年9月70%(新設)
2028年10月〜2030年9月50%
2030年10月〜2031年9月30%(新設)
2031年10月〜控除できない
免税事業者からの仕入:控除できる割合の切替 2026年9月までは80%、2026年10月から70%、2028年10月から50%、2030年10月から30%、2031年10月からは控除できない。切替は2031年まで続く。 控除できる割合の切替 2023年10月〜2026年9月 80% 2026年10月〜2028年9月 70%(新設) 2028年10月〜2030年9月 50% 2030年10月〜2031年9月 30%(新設) 2031年10月〜 控除できない 税コードの切替は2031年まで続く
免税事業者からの仕入:控除できる割合の切替(出典:国税庁、2026年9月確認)

あわせて、次の点も変わりました(出典:国税庁、2026年9月確認)。

  • 1つのインボイス発行事業者以外の者からの課税仕入れが、その年または事業年度で1億円(改正前10億円)を超えると、超えた部分には経過措置を使えない
  • いわゆる「2割特例」は、2026年9月30日を含む課税期間まで
  • 個人事業者は、令和9年分・令和10年分の申告で「3割特例」を使える(インボイス発行事業者で、基準期間の課税売上高が1,000万円以下など)

電子帳簿保存法:電子取引データの保存は義務

電子帳簿保存法には、3つの保存の区分があります。

電子帳簿等保存・スキャナ保存・電子取引データ保存です。

このうち電子取引データの保存は、2024年1月から義務になっています。

メールやクラウドで受け取った請求書のPDFなどを、紙に印刷して保存するだけでは認められません。

ただし、次の2つを満たす場合は、保存の要件に沿えなくてもデータを保存できる猶予措置があります(出典:国税庁、2026年9月確認)。

  • 人手不足やシステムの整備が間に合わないなど、所轄税務署長が相当の理由があると認める
  • 税務調査などで、データのダウンロードの求めと、印刷した書面の提示・提出の求めに応じられる

猶予措置に、事前の届出は要りません。

ただ「やらなくてよい期間」ではなく、間に合わない場合の救済です。

頼っている会社は、いつまでに、どの方式で要件を満たすかの計画を持っておくと、税務調査でも説明しやすくなります。

令和7年度改正:重加算税の加重の対象から外れる措置

電子取引データに関する不正があると、重加算税が10%加重されます。

令和7年度改正で、一定の要件を満たすデータを、この加重の対象から外す措置ができました(出典:財務省、2026年9月確認)。

要件の中心は、次の4つです。届出書の提出が前提です。

  • 訂正・削除の事実と内容を確かめられるシステムで、授受と保存をする
  • 金額に関わる帳簿の訂正・削除も、その事実と内容を確かめられるシステムで記録する
  • 請求書などの事項と、関係する帳簿のデータのつながりを確かめられる
  • システムを使って授受・保存したことを確かめられる

令和9年(2027年)1月1日以後に法定申告期限が来る国税から適用されます。

これからの切替のカレンダー

時期起きること準備すること
2026年9月30日を含む課税期間まで2割特例が使える最後の期間翌期からの納税額の見込みを立てる
2026年10月経過措置が80%から70%へ税区分の切替と、請求書の処理の手順の見直し
2027年1月1日以後の法定申告期限令和7年度改正の措置の適用が始まる使っているシステムが要件に合うか、届出が要るかを見る
2028年10月経過措置が70%から50%へ税区分の切替
2030年10月経過措置が50%から30%へ税区分の切替
2031年10月経過措置が終わる免税事業者との取引の条件を見直す

確定している日程だけでも、切替は2031年まで続きます。

設定を変える作業を、毎年の定例の業務にしておくと慌てません。

電子帳簿保存法の3つの区分と、NetSuiteでの考え方

保存の区分義務/任意主な要件NetSuiteでの考え方
電子帳簿等保存任意会計システムで作った帳簿をそのまま保存会計データを電子で作るため、この区分の土台になる
スキャナ保存任意紙の書類を読み取って保存。タイムスタンプなど取引にファイルを添付できる。タイムスタンプは外部のサービスと組み合わせる
電子取引データ保存義務真実性と可視性(検索など)の確保自社の環境で要件を満たすかを、設計の段階で詰める

電子取引データの2つの要件

真実性の確保は、データが改ざん・削除されていない状態を保つことです。

国税庁は、次の4つの措置のいずれかを示しています(出典:国税庁、2026年9月確認)。

  1. タイムスタンプを付ける
  2. 訂正・削除の履歴が残るシステムを使う
  3. 改ざんを防ぐ事務処理の規程を定めて運用する
  4. 改ざんを防ぐ措置を備える

可視性の確保は、必要なときにすぐ内容を見られることです。

「取引年月日・金額・取引先」で検索できることが求められます。

基準期間の売上高が5,000万円以下の会社は、ダウンロードの求めに応じられれば検索の要件が不要です(出典:国税庁、2026年9月確認)。

NetSuiteで決めておくこと

NetSuiteには、System Notesという変更の記録があります。

変更の日時・変更した人・項目・変更前後の値を記録し、誰も編集できません(出典:Oracle NetSuiteヘルプ、2026年9月確認)。

一方、Japan Localization SuiteAppの機能の一覧も見ました。

電子帳簿保存法やタイムスタンプの記載は、見当たりませんでした(出典:Oracle NetSuiteヘルプ、2026年9月確認)。

そのため、電子取引データの保存は、次の順で自社の方式を決めます。

  1. 受け取った請求書のデータを、どこに保存するか(NetSuiteの中か、外部のサービスか)
  2. 真実性の4つの措置のうち、どれで満たすか
  3. 検索の要件を、どの仕組みで満たすか

受け取り方ごとに保存の方式を一覧にすると、抜けが見つかります。

受け取り方よくある例決めておくこと
メールの添付請求書・領収書のPDF誰が、どこに、どの名前で保存するか
ウェブからのダウンロード通販やクラウドの利用明細ダウンロードの担当と時期
請求書受領のサービス取引先が送る電子の請求書NetSuiteの取引との結びつけ方
EDI・電子インボイス取引先とのデータのやり取りデータの保存先と検索の方法

電子インボイス(Peppol)の受け取りは、電子インボイスの記事で扱っています。

外部のサービスとの組み合わせは、日系SaaS連携マップの記事をご覧ください。

優良な電子帳簿

電子帳簿のうち、次の3つを満たすものを「優良な電子帳簿」といいます(出典:国税庁、2026年9月確認)。

  • 訂正・削除の履歴の保存
  • 帳簿の間の相互関連性
  • 検索の機能(取引年月日・金額・取引先、範囲の指定、組み合わせ)

あらかじめ届出書を出すと、後から過少申告が分かったときの過少申告加算税が5%軽くなります。

届出がなければ、この軽減は受けられません。

インボイス制度の要件と、NetSuiteでの対応

適格請求書の記載事項(6項目)

国税庁は、適格請求書の記載事項を次の6つとしています(出典:国税庁タックスアンサーNo.6625、2026年9月確認)。

  1. 書類を作る事業者の氏名または名称と、登録番号
  2. 取引年月日
  3. 取引の内容(軽減税率の対象の品目である旨)
  4. 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜きまたは税込み)と、適用税率
  5. 税率ごとに区分した消費税額等
  6. 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

売り手側:適格請求書の発行

Japan Localization SuiteAppでできることは、次の3つです(出典:Oracle NetSuiteヘルプ、2026年9月確認)。

  • 登録番号を締め請求書やPDFに表示する
  • 標準税率10%と軽減税率8%を分けて、税率ごとに税額を計算する
  • 締め請求書(複数の請求をまとめた請求書)の税額を調整する

帳票のレイアウトを自社に合わせる場合は、標準のテンプレートをもとに調整します。

締め請求書の作り方は、締め請求書の記事で扱っています。

買い手側:免税事業者からの仕入

買い手側でいちばん手間がかかるのは、免税事業者などからの仕入の処理です。

  • 仕入先の記録に「Qualified Invoice Issuer(適格請求書発行事業者)」の欄があります。Tで始まる登録番号も持てます(出典:Oracle NetSuiteヘルプ、2026年9月確認)
  • 仕入税額控除の税コードの「Tax Deductible」欄で、控除の割合を選べます。2026年10月からの改正に合わせ、選べる割合は80%・70%・50%・30%・0%です(出典:Oracle NetSuiteヘルプ、2026年9月確認)

選択肢があっても、切替の日に税コードを変える作業は自社で行います。

どの取引から新しい割合を使うかを、切替の前に導入パートナーと決めておきます。

1億円の上限の判定には、仕入先ごとに集計する仕組みを別に用意する必要があります。

NetSuiteにあるものと自社で行うことを分けると、次の図のとおりです。

免税事業者からの仕入:NetSuiteと自社の分担 NetSuiteには、仕入先の適格請求書発行事業者の欄、Tで始まる登録番号、控除の割合を選べる税コード(80%・70%・50%・30%・0%)がある。切替の日に税コードを変えること、どの取引から新しい割合を使うかを決めること、1億円の上限の集計の仕組みを用意することは自社で行う。 仕入の処理:NetSuiteと自社の分担 NetSuiteにあるもの ・仕入先の適格請求書発行事業者の欄 ・Tで始まる登録番号 ・控除の割合を選べる税コード  (80%・70%・50%・30%・0%) 自社で行うこと ・切替の日に、税コードを変える ・どの取引から新しい割合を使うか決める ・1億円の上限の判定に、仕入先ごとの  集計の仕組みを別に用意する 選択肢があっても、切り替えるのは自社
免税事業者からの仕入:NetSuiteと自社の分担

控除の額の違いを、架空の数字で簡単に見てみます(実際の計算は税率の内訳などで細かくなります)。

時期免税事業者からの仕入(消費税相当額10万円の場合)控除できる額の目安
2026年9月まで80%8万円
2026年10月から70%7万円
2028年10月から50%5万円

同じ仕入でも、切替のたびに納める消費税は増えます。

価格の交渉や、取引先にインボイス発行事業者への登録を相談するかどうかも、早めに考えておきます。

SuiteTaxとの関係

NetSuiteには、SuiteTaxという税の計算の仕組みもあります。

Japan Localization SuiteAppは、SuiteTaxに未対応です(出典:Oracle NetSuiteヘルプ、2026年9月確認)。

SuiteTaxを先に有効にすると、SuiteAppをインストールできません。

詳しくはSuiteTaxとJapan Localizationの記事をご覧ください。

標準でできることの一覧は、Japan Localization SuiteAppの記事にまとめています。

判断の物差し|会計ソフトで足りるか、ERPを考えるか

道具の比較

観点会計ソフト単独会計ソフト+周辺のSaaSERP(NetSuiteなど)
初期の費用低い中高い
法改正への追従各製品の更新に合わせる製品ごとに見る標準の機能とSuiteAppの更新に合わせる。自社の設定の変更は要る
販売・購買との突き合わせ別に作業が要る連携の設計しだい1つのデータで済む
拠点・グループ会社・海外限られる限られる広げやすい

NetSuiteの費用は、ミニマム構成で月額20万円〜が出発点の目安です。

使うモジュール・ユーザー数・オプションで変わり、数百万円規模になることもあります。

自社判定のチェックリスト

  • 拠点・グループ会社が3つ以上ある
  • 会計と販売・購買の突き合わせに時間がかかっている
  • 株式の上場を準備する予定がある
  • 海外への展開を考えている
  • 月次決算が翌月10営業日を超えている

3つ以上当てはまれば、ERPへの統合を考える時期です。

1〜2つなら、会計ソフトの拡張や運用の見直しで足りることが多いです。

NetSuite以外が合う場合

状況合いやすい選択肢
制度対応だけが目的で、取引も少ない会計ソフトの機能と周辺のSaaS。ERPはいまは入れない判断が妥当なことが多い
費用を抑えて段階的に広げたいOdoo
業種の商習慣に合う帳票を重視したい業種に強い国産ERP
独自の取引の形が多く、標準の型に合わないAIを使ったスクラッチ開発
制度対応に加え、連結・海外・上場準備も控えているNetSuiteのような統合型のクラウドERP

これから選ぶ会社と、いまNetSuiteや会計ソフトを使っている会社

これから仕組みを選ぶ会社|請求書を1枚持ち込む

最初に、データの流れ全体を書き出します。

発注→入庫→請求→支払→計上のどこで、どの書類を受け取り、どこに保存しているかです。

そのうえで、候補の製品ごとに次を尋ねます。

  • 2026年10月の70%への切替を、どの設定で行うか
  • 電子取引データの真実性を、4つの措置のどれで満たすか
  • 次の改正のとき、誰が何を変えるか
  • 受け取った電子の請求書を、どの画面から探せるか

デモには、自社で実際に受け取った請求書を1枚持ち込みます。

受け取りから計上、保存、検索までを通しで見せてもらいましょう。

画面の説明だけでは、運用の手間は見えません。

いまNetSuiteや会計ソフトを使っている会社|切替を先に乗り切る

2026年10月の切替に向けて、次の3点を点検します。

  • 仕入先の記録で、適格請求書発行事業者かどうかが正しく入っているか
  • 経過措置の税コードを、いつ・誰が切り替えるか
  • 1億円の上限に近い仕入先がないか

保守期限や更新が近く、制度対応を機に乗り換えを考える会社もあります。

ただ、切替の時期に乗り換えを重ねると負荷が大きくなります。

まず切替を乗り切り、そのあとで比べるのが手戻りの少ない順番です。

制度対応でよくある3つの失敗

失敗1:会計だけで対応し、二重の投資になる

起きること:電帳法のために会計ソフトを先に入れたが、販売・購買との突き合わせに時間がかかる。数年後にERPを入れることになり、投資が重なる。

原因:制度対応を「会計の問題」だけで切り取った。

本来は、発注から計上までのデータの流れの問題です。

避け方:着手の前に、3年以内にERPへの統合が視野に入るかを経営として判断します。

入らないなら会計ソフトで、入るなら統合を前提に進めます。

失敗2:一度きりの対応で済ませ、改正のたびに作り直す

起きること:80%から70%への切替で、再び改修と点検に追われる。担当者が辞めると運用が分からなくなる。

原因:制度対応を一回限りのプロジェクトとして扱った。

避け方:標準の機能で対応できる範囲を広くとり、運用のルールを文書にします。

法改正への対応は、毎年の定例の業務に組み込みます。

失敗3:過剰なカスタマイズで、更新に追いつけない

起きること:標準で済む範囲まで独自に開発し、標準の更新に合わせるたびに追加の費用が出る。

原因:「自社の業務に合わせる」ことを先に考えた。

避け方:カスタマイズの前に、要件を標準の機能・SuiteApp・カスタマイズの3段に分けます(第8章)。

3つの失敗と避け方を図にすると、次のとおりです。

制度対応でよくある3つの失敗と避け方 会計だけで対応し二重の投資になる、一度きりの対応で済ませ改正のたびに作り直す、過剰なカスタマイズで更新に追いつけない、の3つ。避け方は、ERPへの統合が視野に入るかを先に判断する、法改正への対応を毎年の定例の業務にする、要件を標準・SuiteApp・カスタマイズに分けること。 制度対応でよくある3つの失敗 1 会計だけで対応し、 二重の投資になる 避け方:3年以内にERPへの統合が 視野に入るかを先に判断する 2 一度きりの対応で済ませ、 改正のたびに作り直す 避け方:法改正への対応を 毎年の定例の業務に組み込む 3 過剰なカスタマイズで、 更新に追いつけない 避け方:カスタマイズの前に、要件を 標準・SuiteApp・カスタマイズに分ける
制度対応でよくある3つの失敗と避け方

NetSuiteで制度対応を進める4つのステップ

ステップ1:要件を3段に分ける

自社の要件を、標準の機能・Japan Localization SuiteApp・カスタマイズや外部のサービスの3段に分けて一覧にします。

分け方は、第8章の図のとおりです。

ステップ2:SuiteAppを組み込み、税の設定をする

適格請求書の発行、登録番号、税率ごとの計算、締め請求書の税額の調整を設定します。

仕入先ごとに、適格請求書発行事業者かどうかを入力します。

ステップ3:電子取引データの保存の方式を決める

保存の場所と、真実性の4つの措置のどれで満たすかを決めます。

外部のサービスを使う場合は、NetSuiteの取引とのつながりをたどれる形にします。

ステップ4:改正に合わせる運用を決める

  • 法改正があったときの対応の流れを、定例の業務にする
  • 担当者の知っていることを文書にし、属人化を防ぐ
  • 切替の時期(2026年10月など)を、カレンダーで管理する

冒頭の「法改正のたびに、また対応か」を軽くするのは、このステップ4です。

改正が来るたびに作り直すのではなく、決めた手順で設定を切り替える。

それだけで、毎回の負担は小さくなります。

ベンチャーネットならこう見る|制度対応は3段で仕分け、検証してから入れる

制度対応のご相談では、最初から特定の製品を勧めません。

最初に伺うのは、次の3つです。

  1. データの流れ:発注から計上まで、どこで書類を受け取り、どこに保存しているか
  2. 切替の担い手:2026年10月の税コードの切替を、いまの仕組みで誰が行うか
  3. 制度対応の先の課題:連結・海外・上場準備なども控えているか

3つ目が「ない」なら、会計ソフトで足りることが多いとお伝えしています。

型1:標準→SuiteApp→カスタマイズの3段で仕分ける

制度の要件は、上の段から順に当てはめます。

制度対応の要件を仕分ける3段 要件を、NetSuiteの標準の機能、Japan Localization SuiteApp、カスタマイズや外部のサービスの順に当てはめる。上の段で満たせるほど、改正への追従が軽くなる。 要件を仕分ける3段 1. 標準の機能 System Notes(変更の記録)など NetSuite本体にある機能 2. Japan Localization SuiteApp 適格請求書・登録番号・税率ごとの 計算・控除の割合の税コード 3. カスタマイズ・外部のサービス タイムスタンプ、1億円の上限の 集計など、上の段で足りないもの 上の段で満たせるほど、改正への追従が軽い
制度対応の要件を仕分ける3段

3段目のカスタマイズは、保守の費用と改正への追従のしやすさに直結します。

「本当に要るか」を一つずつ判断し、上の段で満たせる要件を増やします。

型2:自社の環境で検証してから入れる

Oracleのヘルプに書かれた機能や進め方も、そのまま本番に入れません。

ベンチャーネットは、自社の環境で動きを検証してから入れます。

たとえば70%の税コードなら、切替の前後の取引で税額が想定どおりに出るかを、テストの取引で見ます。

要件を伺うのは、営業ではなく導入コンサルタントです。

制度の要件と業務の流れを同じ人が聞くので、伝言ゲームになりません。

変わることは、先にお伝えする

NetSuiteに移ると、請求書の形や、締め請求書の税額の扱いが、いまの仕組みと変わることがあります。

帳票を自社に合わせるには、標準のテンプレートの調整が要ります。

こうした点は、見積もりの前にお伝えしています。

パートナーに尋ねる3つの問い

制度対応を任せるパートナーを選ぶときは、次の3つを尋ねてみてください。

  1. インボイス制度の経過措置の5段階の日程を、すぐに言えるか
  2. 令和7年度改正の重加算税の加重から外れる措置の要件を説明できるか
  3. Japan Localization SuiteAppでできること・できないことを、ヘルプを示して話せるか

すぐに答えられない場合、最新の制度を追えていない可能性があります。

初期の費用の安さだけで選ぶと、契約の後に「その割合には対応していない」と分かることもあります。

選定の場には、経理だけでなく、購買や営業の担当者も入れてください。

今日できること(1時間)

  1. 仕入先の一覧から、インボイス発行事業者でない取引先を抜き出す(20分)
  2. その取引先ごとに年間の仕入額を概算し、1億円に近いものがないかを見る(15分)
  3. メールで受け取った請求書を、いまどこに、どの名前で保存しているかを書き出す(15分)
  4. 2026年10月の税区分の切替を、誰がいつ行うかをカレンダーに入れる(10分)

よくある質問

Q1. 免税事業者からの仕入は、NetSuiteで処理できますか

処理できます。

仕入先の記録で適格請求書発行事業者かを区分し、税コードで控除の割合を選びます。

選べる割合は80%・70%・50%・30%・0%です(出典:Oracle NetSuiteヘルプ、2026年9月確認)。

切替の日に税コードを変える運用は、自社で決めておきます。

Q2. タイムスタンプは必須ですか

必須ではありません。

電子取引データの真実性は、タイムスタンプのほか、訂正・削除の履歴が残るシステムや事務処理の規程でも満たせます(出典:国税庁、2026年9月確認)。

どれを選ぶかで、必要な仕組みが変わります。

Q3. 会計ソフトで対応できるなら、ERPに変える意味はありますか

制度対応だけが目的なら会計ソフトで足りることが多いです。

拠点やグループ会社が多い、月次決算が遅い、上場や海外展開を考えている。

こうした場合は、ERPへの統合の効果が大きくなります(第4章のチェックリスト)。

Q4. 過去の紙の書類は、さかのぼって電子化する必要がありますか

その義務はありません。

紙で受け取った過去の書類は、紙のまま保存期間まで保管できます。

法人の帳簿書類の保存期間は原則7年、欠損金が生じた事業年度などは10年です(出典:国税庁タックスアンサーNo.5930、2026年9月確認)。

Q5. 法改正があったとき、NetSuiteはどう追いつきますか

標準の機能とSuiteAppの更新に自社の設定の変更を合わせて追いつきます。

更新が提供されても、税コードの切替や運用ルールの見直しは自社で行います。

自社で行うか、パートナーと進めるかを前もって決めておくと慌てません。

Q6. 制度対応だけなら、NetSuiteは大きすぎますか

制度対応だけが目的なら大きすぎることが多いです。

NetSuiteが生きるのは、データの統合・連結・海外展開・上場準備などの課題が重なるときです。

制度対応を機に、自社の課題全体を並べてみるのが現実的です。

Q7. 相談するなら、いつがよいですか

制度対応の進め方に迷っている段階がよい時期です。

2026年10月の切替のように期日が決まっているものは、2〜3か月前に準備を始めると余裕があります。

会計ソフトで足りるかどうかの見極めからご相談いただけます。

Q8. 小さな会社でも、電子取引データの検索の要件は必要ですか

売上高が5,000万円以下なら条件つきで不要です。

基準期間の売上高が5,000万円以下で、税務調査でのダウンロードの求めに応じられる場合です(出典:国税庁、2026年9月確認)。

保存そのものの義務はなくならない点に注意してください。

まとめ

  • 2026年10月から、免税事業者などからの仕入の控除は80%から70%に下がる
  • 1億円の上限(改正前10億円)、2割特例の終了、個人事業者の3割特例もあわせて押さえる
  • 電子取引データは紙だけの保存は不可。真実性は4つの措置のどれかで満たす
  • 適格請求書の記載事項は6項目。登録番号と適用税率を忘れない
  • NetSuiteは適格請求書の発行や仕入先の区分に対応し、70%・30%の税コードも選べる。切替の運用と電帳法の方式は自社で決める
  • 要件は標準→SuiteApp→カスタマイズの3段で仕分け、自社の環境で検証してから入れる

「法改正のたびに、また対応か」

その負担は、切替を定例の業務にし、上の段で満たせる要件を増やすほど小さくなります。

まずは今日、仕入先の一覧に印をつけるところから始めてください。

もう少し詳しく知りたい方へ

制度対応の進め方や、会計ソフトで足りるかの見極めから、ご相談をお受けしています。

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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