SAP Business One・ByDesign と NetSuite を徹底比較【2026年版】─ 選び方と移行の論点を解説

目次

はじめに ─ ERP選択は「経営の選択」

ERPの選択は、単なるシステムの話ではありません。これは「経営の選択」です。

「今のSAP Business Oneを使い続けるべきか」
「SAP Business ByDesignの新規販売が終わると聞いた。これからどうすべきか」
「これから初めてERPを入れるなら、SAP B1とNetSuiteのどちらを選ぶべきか」

中堅・中小企業の経営者の方から、最近こうしたご相談が増えています。

本記事では、SAP Business One・SAP Business ByDesignとNetSuiteを4つの軸で比較します。機能面・規模面・AI連携面・適合度の4軸です。さらに、「これから選定する場合」「移管する場合」の両方の論点を整理します。

ERP(Enterprise Resource Planning:基幹業務を統合管理するシステム)の選定は、5年後・10年後の会社の姿を左右します。だからこそ、自社の未来から逆算して選ぶことが大切です。

SAP全般(S/4HANAやR/3を含む)とNetSuiteの比較については、SAPとNetSuiteを比較する記事 もあわせてご参照ください。

SAP Business One / ByDesign とは

SAPは、ドイツに本社を置く世界的なソフトウェア企業です。長年にわたり、世界中の大企業の基幹システムを支えてきました。

中堅・中小企業向けには、SAP Business OneとSAP Business ByDesignの2製品を提供してきました。それぞれ特徴と対象規模が異なります。

SAP Business One の特徴

SAP Business One(以下、SAP B1)は、2002年にSAPがイスラエルのERPソフトウェアを買収してリリースした製品です。中堅・中小企業に特化したERPとして、20年以上の歴史を持ちます。

主な特徴は以下のとおりです。

  • 対象規模:50〜500名の中堅・中小企業
  • 提供形態:オンプレミス版とクラウド版の両方を選択可能
  • グローバル対応:世界170か国・28言語に対応
  • 利用企業数:2020年4月時点で世界70,000社以上
  • 主要機能:財務会計・販売管理・購買管理・在庫管理・CRM

業種別のアドオンが豊富で、日本の製造業の商習慣に対応した拡張機能も多く存在します。「オンプレを選べる柔軟性」と「低コスト導入」がSAP B1の伝統的な強みです。

SAP Business ByDesign の特徴

SAP Business ByDesign(以下、SAP BD)は、2007年にSAPがリリースしたSaaS型のクラウドネイティブERPです。中堅企業・大企業の海外子会社向けに設計されました。

主な特徴は以下のとおりです。

  • 対象規模:100〜500名の中堅企業、または大企業の子会社
  • 提供形態:SaaS型クラウドのみ
  • グローバル対応:世界160か国以上
  • 利用企業数:約4,100社
  • 主要機能:財務会計・販売管理・人事管理・プロジェクト管理

「2層ERP」のコンセプトで、本社にSAP S/4HANA、海外子会社にSAP BDという構成も見られました。プロジェクト型ビジネスや人事管理に強みを持ち、コンサルティング業界での採用が多くありました。

ただし、SAPは2025年9月、ByDesignを2026年4月20日付で価格表から除外すると発表しました。つまり、2026年4月以降は新規販売が終了しています。既存顧客のシステムは継続稼働し、保守も継続されますが、新規導入を検討する企業は対象外となります。

SAP B1 と SAP BD の使い分け

両製品は対象規模が一部重なりますが、設計思想と提供形態に違いがあります。

SAP Business OneSAP Business ByDesign
提供形態オンプレ + クラウドSaaS型クラウドのみ
対象規模50〜500名100〜500名+大企業子会社
主な強み製造業・販売管理プロジェクト管理・人事
新規販売継続中2026年4月以降終了

「オンプレを選びたい中小製造業ならSAP B1」「SaaSのプロジェクト型ビジネスならSAP BD」という棲み分けが、これまでの典型例でした。

NetSuite とは

NetSuiteは、世界で最初に誕生したクラウドERPです。

1998年に米国で設立され、2016年にOracle社に買収されて以降、Oracleグループの一員として運営されています。

主な特徴は以下のとおりです。

  • 提供形態:SaaS型クラウドネイティブERP(マルチテナント型)
  • グローバル対応:世界220地域・27言語・190通貨
  • 利用企業数:43,000社以上
  • 市場ポジション:#1 AI Cloud ERP
  • 主要機能:財務会計・販売管理・在庫管理・CRM・EC・BI

NetSuite の設計思想

NetSuiteは最初からクラウド専用設計です。全顧客が同じプラットフォームを共有するマルチテナント型のため、バージョンアップは自動で行われます。

販売管理・在庫・購買・生産・会計を1つのシステムで統合できるため、「部門ごとに別々のシステムを使っている」という状況から脱却できます。

SuiteSuccess と OneWorld

NetSuiteには、業種別の導入パッケージ「SuiteSuccess」が用意されています。100日〜での導入を可能にする業種別ベストプラクティスです。

また、グローバル機能「OneWorld」により、複数拠点・複数通貨・複数法令への一元対応が可能です。190通貨対応は、海外展開を進める中堅企業にとって大きな強みとなります。

AI 連携の強み

NetSuiteは2026年のSuiteConnect発表で、「#1 AI Cloud ERP」のポジションを確立しました。

組込型8つのAI機能を実装するとともに、AI Connector Serviceを発表。これにより、ChatGPTやClaudeなどの外部AIを標準機能として直接連携できます。

NetSuiteの基本詳細については、NetSuiteとは?中堅・中小企業の経営者が知っておきたいクラウドERP入門 もあわせてご覧ください。

3製品の基本スペック比較

ここで、SAP B1・SAP BD・NetSuiteの3製品を、基本スペックで横並びに比較します。

比較軸SAP Business OneSAP Business ByDesignNetSuite
提供形態オンプレ + クラウドSaaS型クラウドネイティブSaaS型クラウドネイティブ
対象企業規模50〜500名100〜500名+大企業子会社100〜数千名
グローバル対応世界170か国・28言語世界160か国以上世界220地域・27言語・190通貨
利用企業数約70,000社約4,100社43,000社以上
提供開始2002年2007年1998年(世界初のクラウドERP)
データベースSAP HANA / SQLSAP Cloud PlatformOracle Cloud
新規販売状況継続中2026年4月以降は新規販売終了継続中
主要モジュール会計・販売・在庫・購買・CRM会計・販売・人事・プロジェクト会計・販売・在庫・CRM・EC・BI
AI市場ポジション#1 AI Cloud ERP

3製品はいずれも世界中で導入実績のあるERPですが、規模感と提供形態に明確な違いがあります。

SAP Business Oneは中小企業向けに最適化されており、オンプレ・クラウドの両方を選べる柔軟性が特徴です。

SAP Business ByDesignはSaaS型のクラウドERPですが、2026年4月以降はSAPの価格表から除外され、新規販売は終了しています。既存顧客の保守は継続されますが、新規導入を検討する企業は対象外となります。

NetSuiteは世界220地域・43,000社以上で利用されるクラウドネイティブERPです。最新のAI機能を組み込んだ「#1 AI Cloud ERP」と位置づけられています。

SAP B1を新規検討する企業、ByDesignの既存ユーザーで次の選択肢を探す企業、それぞれにとってNetSuiteは比較検討に値する選択肢です。

機能カバー範囲の比較

続いて、主要業務機能のカバー範囲を比較します。

機能領域SAP B1SAP BDNetSuite
財務会計
販売管理
在庫管理
購買管理
生産管理
CRM
EC
プロジェクト管理
人事管理
サプライチェーン
BI/分析
グローバル多通貨

凡例:◎=標準で強い、○=標準対応、△=アドオン・カスタマイズで対応

機能カバー範囲を見ると、3製品それぞれに異なる強みがあります。

SAP Business Oneは、会計・販売・在庫・購買の中堅製造業向けに伝統的な強みを持ちます。20年以上の歴史で蓄積された業種別アドオンが豊富で、日本の製造業の商習慣に対応した拡張機能が多く存在します。

SAP Business ByDesignは、プロジェクト型ビジネスと人事管理に強みを持つ製品でした。プロフェッショナルサービス業界やコンサルティング業界での採用が多く、SAP S/4HANAとの「2層ERP」コンセプトで大企業子会社にも採用されてきました。

NetSuiteは、オールインワン型の統合性と、EC・BI・サプライチェーンの強さが特徴です。CRMとERPとECが同じプラットフォームに統合されており、複数システムを行き来する非効率から解放されます。

グローバル多通貨対応(190通貨)は、海外展開を進める中堅企業にとって特に強力です。

3製品は競合関係にあるというより、異なる強みを持つ選択肢として比較するのが適切です。自社の業務特性に応じて、どの強みを優先するかを判断する必要があります。

AIとの親和性 ─ #1 AI Cloud ERP との差

ERPに求められる役割が変わってきています。

これまでは「業務データを記録・管理する」ことが中心でした。これからは、蓄積されたデータをAIが分析し、経営判断を支援することが期待されています。

3製品のAI連携を、組込型AI / 外部AI連携型 / 直接連携 / 開発プラットフォームの4軸で比較します。

AI連携の軸SAP B1SAP BDNetSuite
組込型AI限定的(HANA予測機能等)機械学習・RPA(一部)組込型8つのAI機能(SuiteConnect 2026)
外部AI連携型個別連携・カスタム開発個別連携AI Connector Service(MCP対応・Bring Your Own AI)
ChatGPT/Claude等の直接連携カスタム開発要カスタム開発要標準対応
AI開発プラットフォームSAP BTP との連携SAP BTP との連携NetSuite AI Connector Service
市場ポジション#1 AI Cloud ERP(2026年)

SAP B1/BDは組込型AI機能を一部備えており、HANAの予測機能やRPAなどを段階的に拡張してきました。SAP BTP(Business Technology Platform)と連携することで、より高度なAI機能を構築できます。

NetSuiteは「#1 AI Cloud ERP」のポジションを確立し、2026年のSuiteConnect発表で組込型8つのAI機能を実装しました。

さらにAI Connector Serviceにより、ChatGPTやClaudeなどの外部AIを標準機能として直接連携できます。Bring Your Own AI(自社で使うAIをそのまま連携)のアプローチで、企業ごとに最適なAIを選べる柔軟性も特徴です。

「ERPに蓄積したデータをどう経営判断に活かすか」「AIを経営の柱に据えるか」という観点でERPを選ぶなら、AI連携の標準対応度は重要な判断軸になります。

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ERP選択の切り口 ─ 適合度マトリクス

ここからは、「これからERPを選ぶ」読者の方に向けた、選択の切り口を整理します。

SAPが良い、NetSuiteが良いという単純な二元論ではありません。自社の規模・業務特性・将来戦略に応じて、最適な選択肢は変わります。

規模・業種で選ぶ

国内中小製造業(50〜200名規模)で、業務にシステムを合わせる伝統的なスタイルを継続するなら、SAP Business Oneが適しています。20年以上の歴史で蓄積された業種別アドオンが、日本の製造業の商習慣にフィットしやすいためです。

一方、グローバル展開を視野に入れる中堅企業や、EC・サプライチェーンを統合管理したい企業にはNetSuiteが適しています。190通貨対応とオールインワン型の統合性が活きる領域です。

グローバル展開の有無で選ぶ

海外子会社や海外拠点を持つ場合、対応国・対応通貨・対応言語の範囲が重要な判断軸になります。

SAP B1は170か国・28言語、SAP BD(既存利用のみ)は160か国以上、NetSuiteは220地域・27言語・190通貨をカバーします。特に通貨対応の広さは、グローバル取引の多い企業にとって運用負担を大きく下げます。

クラウド徹底度で選ぶ

「真のクラウドERP」を求めるなら、NetSuiteが選択肢の中心になります。

最初からクラウド専用に設計され、マルチテナント型でバージョンアップが自動で行われるためです。

SAP B1はオンプレも選べる柔軟性がある一方、SaaSとしての徹底度ではNetSuiteが一歩リードします。

適合度マトリクス

企業特性SAP B1SAP BDNetSuite
国内中小製造業(50〜200名)
グローバル展開する中堅企業◎(既存のみ)
大企業の海外子会社◎(既存のみ)
プロジェクト型ビジネス◎(既存のみ)
EC・小売
AI活用を経営の柱に
真のクラウドERPを求める△(オンプレ可)○(新規不可)

SAP BDは「既存のみ」と注記しているとおり、2026年4月以降は新規導入できません。新規検討の場合は、SAP B1かNetSuite、またはSAP S/4HANA Cloudなどの他の選択肢になります。

ERPの選定全体については、【2026年版】ERPを徹底比較自社に最適なERPを見つけるための比較選定ポイント もあわせてご参照ください。製造業の場合は 製造業ERP14選 もご活用いただけます。

移管の切り口 ─ SAP B1/BDからNetSuiteへ移管する場合の論点

NetSuiteは、SAP Business OneやBusiness ByDesignからの移管先として選ばれる場面が増えています。

特に、ByDesignが2026年4月に新規販売を終了したことで、既存ByDesignユーザーの中で「次の選択肢」を本格的に検討する動きが出てきています。

ここでは、ベンチャーネットがこれまで多くの移管現場で見てきた、4つの失敗パターンと回避策をお伝えします。

これは、NetSuiteを売り込みたいから書くのではなく、お客様に「失敗してほしくない」という思いから書くものです。

私たちは、お客様との対等な関係を大切にしています。失敗のリスクを正直にお伝えし、一緒に乗り越える伴走者でありたい。そんな思いで、現場の知見を共有させていただきます。

パターン①:既存業務フローのままシステム移行を試みる

症状

「今のSAP B1/BDで動いている業務をそのままNetSuiteで再現したい」「業務を変えたくない」という要望が強いケースです。

なぜ失敗するか

NetSuiteは、Fit to Standard(世界標準の業務フローに自社を合わせる)を前提とした設計のSaaSです。

既存の業務をそのまま再現しようとすると、過剰なカスタマイズが必要になります。コストもリスクも跳ね上がります。

その結果、SaaSの強みである「自動アップデート」「拡張性」を失います。せっかくのクラウドERPを使いこなせなくなってしまいます。

どう回避するか

「世界標準の業務フローに自社を合わせていく」という発想に切り替えることが大切です。

業務フローの見直しを、NetSuite移管と同時に進めるプロジェクトとして捉えましょう。

全部を一度に変える必要はありません。まずは会計や販売管理から段階的に始めるのが現実的です。

パターン②:SAPの延長で考えてしまう

症状

「同じERPだから移行は簡単」「SAPで使えた機能はNetSuiteでも同じはず」と思い込むケースです。

なぜ失敗するか

SAP B1/BDとNetSuiteは、アーキテクチャが大きく異なります。

NetSuiteは最初からマルチテナント型クラウドネイティブERPとして設計されています。一方、SAP B1はオンプレも選べるハイブリッド型です。

この違いは、データ管理・カスタマイズ手法・バージョンアップ運用のすべてに影響します。

「同じERPだから」と捉えると、設計段階で本来不要な工数が発生してしまいます。

どう回避するか

移行前に、両製品の設計思想の違いを理解することが重要です。

NetSuite Solution Provider Partnerとの初期ディスカッションで、アーキテクチャの差分を踏まえた移行設計を行いましょう。

「SAPで動いていたから、NetSuiteでも同じように動くはず」という前提を、最初の段階でリセットすることが成功への近道です。

パターン③:アドオン開発で独自機能を作りすぎる

症状

「うちは特殊だから」を理由に、標準機能を使わずカスタマイズを重ねてしまうケースです。

なぜ失敗するか

日本企業には、伝統的に「業務にシステムを合わせる」考え方が根強くあります。

SAP B1/BDでも、独自のアドオンを多数抱えている企業が多くあります。これをNetSuiteでもそのまま再現しようとすると、拡張性や柔軟性が失われます。

年月を経るごとに、不具合が頻発し、改修も困難になります。「ブラックボックスの再生産」と呼ぶべき状態に陥ります。

どう回避するか

このタイミングで「本当に必要な業務」と「惰性で続けている業務」を仕分けることが重要です。

実データと現場ヒアリングの突合によって、本当に必要なロジックを導き出します。

「業務の廃棄」を進めるという発想が、リプレイスを成功に導きます。標準機能で対応できる範囲を最大化し、本当に必要な領域だけカスタマイズする。これが結果的にコストも下げ、長期運用も楽にします。

パターン④:パートナー軽視で自社だけで進める

症状

「コストを抑えたい」「自社の業務は自社が一番分かっている」という理由で、認定パートナーを介さずに進めるケースです。

なぜ失敗するか

NetSuiteはOracleが世界共通のサポート体制を持っています。ただし、日本特有の論点までは標準でカバーしきれません。

たとえば、日本の税制・電子帳簿保存法・インボイス制度への対応、移管プロジェクト固有の論点(データ移行・並行稼働・カットオーバー)などです。

これらは、認定パートナーとの伴走なしには乗り越えにくい領域です。

また、SAP B1/BDのパートナーとの関係性をそのままNetSuite移行に当てはめると、技術スタックの違いから期待値ギャップが生じます。

どう回避するか

NetSuite認定パートナー(Solution Provider)と、対等な関係で伴走する体制を組みましょう。

導入前のフィット&ギャップ分析、導入中の伴走、導入後の運用支援まで、一貫してサポートできるパートナーを選ぶことが重要です。

「全部を自社で抱え込む」のではなく、「お互いの強みを活かして役割分担する」という発想が、結果的にコストもリスクも下げます。

移管は「経営プロジェクト」として捉える

SAP B1/BDからNetSuiteへの移管は、単なるシステム入れ替えではありません。

「これからの自社経営をどう設計するか」を見直す経営プロジェクトです。

持田卓臣の言葉を借りれば、「ERPはITプロジェクトではなく経営プロジェクト」。完璧を目指すより、まず回す。動かしながら磨いていく。この発想が成功への近道です。

SAPの2027年問題は、ある意味、チャンスとも言えます。

今の延長線ではなく、5年後・10年後の会社の姿から逆算してシステムを選ぶ。そのタイミングは、まさに今かもしれません。

ベンチャーネットは、NetSuite認定パートナー(Solution Provider)として、移管プロジェクトの伴走を行っています。

SAP B1/BDをそのまま使い続ける選択肢も含めて、お客様の経営戦略から逆算した最適解を一緒に考えさせていただきます。

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SAP S/4HANAへの移行を検討される方は、こちらの記事もご参照ください ▶ SAP 2027年問題の解決策
移管全般の失敗パターンについては、こちらをご参照ください ▶ ERP導入はなぜ失敗するのか

FAQ ─ よくあるご質問

Q1. SAP Business One と NetSuite はどう違うのですか?

SAP Business Oneは中小企業向けに最適化されたERPで、オンプレ・クラウド両方を選べます。NetSuiteは世界初のクラウドネイティブERPで、Oracleグループの一員として「#1 AI Cloud ERP」の市場ポジションを確立しています。

規模面では、SAP B1は50〜500名の企業向けに設計され、NetSuiteは100名〜数千名規模まで対応します。

提供形態の面では、SAP B1はオンプレを選べる柔軟性が特徴で、NetSuiteは完全にクラウドネイティブな設計です。

グローバル対応では、SAP B1は170か国・28言語をカバーします。NetSuiteは220地域・27言語・190通貨に対応しており、海外展開を視野に入れる中堅企業にとって通貨対応の広さは大きな差別化要因となります。

AI連携の面では、NetSuiteはChatGPTやClaudeなどの外部AIを標準機能として直接連携できます。これはAI Connector Serviceの特徴で、SAPのアプローチ(BTP経由のカスタム開発)とは異なる強みです。

Q2. SAP Business ByDesign は2026年4月以降新規販売停止と聞きました。既存ユーザーはどうすればいい?

ご認識のとおり、SAPは2025年9月に、ByDesignを2026年4月20日付で価格表から除外することを発表しています。ただし、既存顧客のシステムは継続稼働し、保守も継続されるとSAPは公式にコミットしています。

既存ByDesignユーザーには、大きく3つの選択肢があります。

①このまま継続利用する(保守は継続、ただし長期的に新機能の追加は限定的)
②SAPのロードマップに沿ってSAP S/4HANA Cloud Public Editionへ移行する
③別のERPプラットフォーム(NetSuiteを含む)への移管を検討する

どの選択肢が最適かは、企業ごとに異なります。規模・業務特性・グローバル展開戦略・AI活用の優先度などによって変わります。

ベンチャーネットはNetSuite認定パートナーですので、NetSuiteへの移管を検討される場合の伴走は得意領域です。ただし、SAPのエコシステム内に留まる選択肢(S/4HANA Cloud等)のほうが適している企業もあります。その場合は、SAPの認定パートナーに相談されることをお勧めします。

Q3. SAP B1/BDからNetSuiteへの移管期間はどのくらいですか?

移管期間は6か月〜18か月が一般的な目安です。SuiteSuccess(NetSuiteの業種特化型導入パッケージ)を活用する場合は100日〜での導入も可能です。

ただし、SAP B1/BDからの移管は既存データの移行・並行稼働期間を含むため、通常の新規導入より期間が長くなる傾向があります。

移管期間に影響する主な要因は、以下の4つです。

①既存システムのカスタマイズ範囲
②データ移行の複雑さ(取引履歴・マスタデータの整備状況)
③並行稼働の有無
④組織内の業務フロー見直しの度合い

既存のSAP B1/BDで多数のアドオンを抱えている企業ほど、移管設計に時間がかかります。

ベンチャーネットの経験では、フィット&ギャップ分析を最初の1〜2か月で丁寧に行うことが、結果的に全体期間の短縮につながります。最初の段階で「本当に必要な業務」と「惰性で続けている業務」を仕分けることで、後工程の手戻りを大幅に減らせます。

Q4. 既存のSAPパートナーとの関係はどうなりますか?

既存のSAPパートナーとの関係は、NetSuite移管後も継続できるケースが多くあります。

たとえば、SAPパートナーが他のSAP製品(S/4HANA Cloud等)の保守を継続するケースがあります。また、ベンチャーネットとSAPパートナーが連携して、マルチクラウド環境を共に支える形になることもあります。

ERPの移管は、人と人との関係をリセットするものではありません。

ベンチャーネットは対等な関係でお客様と向き合う伴走者でありたいと考えています。既存のSAPパートナーとは敵対関係ではなく、それぞれの強みを活かして役割分担できる関係を築けることが多いです。

特に、SAP B1/BDを継続利用される海外子会社・特定部門があるケースがあります。本社・主要部門のみNetSuiteに移管する「ハイブリッド運用」のケースでは、両方のパートナーが連携することで、お客様にとって最も柔軟な体制を構築できます。

Q5. NetSuiteの料金はSAPと比べてどうですか?

NetSuiteは月20万円〜から始められるサブスクリプション型ERPです(ミニマム構成・出発点)。ただし、最終的な金額は利用するモジュール・ユーザー数・必要なオプションによって変動し、数百万円規模になることもあります。

価格表記ルールに沿ってお伝えすると、NetSuiteの最終金額の提示はOracle営業のみ可能です。概算もパートナー経由でOracle営業と共に対応いたします。

SAP B1 / SAP BDと比較した場合、提供形態の違いやライセンス体系の違いから、単純な金額比較は困難です。たとえばSAP B1のオンプレは初期投資が大きいなど、ライセンス体系が異なります。

ベンチャーネットはNetSuite認定パートナー(Solution Provider)として、お客様の業務要件をヒアリングします。その上で、Oracle営業と共に最適な構成と概算をご提示します。SAPとの比較見積もりが必要な場合は、SAPの認定パートナーにも並行して相談されることをお勧めします。

まとめ ─ 「未来から逆算して選ぶ」

ここまで、SAP Business One・SAP Business ByDesign・NetSuiteの3製品を、5つの軸で比較してきました。基本スペック・機能カバー範囲・AI連携・適合度・移管論点の5軸です。

3製品はそれぞれ異なる強みを持ちます。

SAP B1は中小製造業向けの伝統的な強み、SAP BDはプロジェクト型ビジネスでの実績、NetSuiteはオールインワン型の統合性とAI連携の標準対応度。

どれが「正解」というわけではありません。SAPが良い、NetSuiteが良いという単純な二元論ではないのです。

重要なのは、自社の未来から逆算して選ぶことです。

システムは一度入れると10年単位で使います。だからこそ、今の延長線ではなく、5年後・10年後の会社の姿を想像して決めることが大切です。

SAPの2027年問題は、ある意味、チャンスです。「いまの基幹システムをどうするか」を真剣に考えるきっかけになります。

ベンチャーネットはNetSuite認定パートナー(Solution Provider)として、NetSuiteの導入・移管支援を行っています。

ただし、無理におすすめすることはありません。SAP B1をそのまま使い続けることが最適なケースもありますし、SAP S/4HANA Cloudへの移行が適しているケースもあります。SAP B1/BDを選ばれる場合は、SAPの認定パートナーに相談されることをお勧めします。

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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