「OBIC7は、うちの会社の候補に入るのか」
国産ERPを比べ始めた経営者から、よく出る問いです。
OBIC7(オービックセブン)とは、株式会社オービックが提供する統合型のERPです。
ERPは、会計・人事・販売・生産などの業務を、1つの仕組みでつなぐシステムを指します。
答えの核は、はっきりしています。
日本の法令や業種の業務に合わせて作り込みたい中堅〜大企業なら、OBIC7は有力な候補です。
業務を世界共通の標準に寄せたい会社や、海外拠点が主役の会社は、別の型のERPも並べる価値があります。
どれが優れているかではなく、それぞれに長所があります。
では、自社はどちらの側にいるのか。
分かれ目は機能の数ではありません。
「いまの業務のやり方を、3年後も続けたいか」という問いへの答えです。
この記事で分かること
- OBIC7の全体像と、業務の領域ごとの主な機能
- 業種別ソリューションと、プライベート型のクラウドの仕組み
- 費用と期間を左右する4つの要因と、見積もりで聞くこと
- 他の選択肢と「合う条件」で比べる物差し
- いまOBIC7を使っている会社の3つの道と、作り込みの仕分け方
(読了時間の目安:約15分)
OBIC7とは|統合型ERPの全体像
提供元と提供形態
OBIC7は、会計・人事給与・販売管理・生産管理などを1つの基盤でつなぎます。
提供元の株式会社オービックは、ERPの開発から導入・サポートまでを手がけるベンダーです。
全体像を図にすると、次のとおりです。
提供形態は2つあります。
自社にサーバーを置くオンプレミス型と、クラウド型の「OBIC7クラウドソリューション」です。
クラウド型は、顧客ごとのプライベート型で提供されます。
顧客専用の環境が作られる形です(出典:オービック公式サイト「OBIC7クラウドソリューション」、2026年9月確認)。
公式サイトでは、専用環境によるセキュリティの確保と、システムの柔軟性が特徴に挙げられています。
多重化した構成や、複数の世代のバックアップといった運用の体制も紹介されています。
クラウド型なら、サーバーの構築や機器の管理は要りません。
ネットにつながれば、場所を選ばず使えます。
自社一貫の体制
オービックは、コンサルティングから構築、サポートまでを自社で一貫して提供する体制を掲げています(出典:オービック公式サイト、2026年9月確認)。
導入の前も後も、相談の窓口が1つにまとまる。
情シスの人手が限られる会社には、これが利点になります。
OBIC7が想定する経営課題
想定している課題は、主に3つです。
- 部門ごとにばらばらなデータ管理による情報の分断
- 手作業中心の業務の流れによる生産性の頭打ち
- リアルタイムに数字が見えないことによる判断の遅れ
販売と在庫のデータが連動すれば、在庫の過不足を早く見つけられます。
経理の決算期の仕訳も、人事の異動や給与の処理も、1つの仕組みの中で片づきます。
複数のシステムを行き来する手間が減るわけです。
OBIC7の主な機能|業務の領域別
| 業務の領域 | 主な機能 |
|---|---|
| 会計 | 仕訳処理/財務諸表の作成/IFRS対応/為替差損益計算/原価収支管理/固定資産管理 |
| 財務 | 与信管理/有価証券管理/ファクタリング(一括支払信託の仕組み) |
| 人事 | 異動情報の登録/世代管理/操作履歴のロギング |
| 給与計算 | 保険・財形の管理/支給差額の自動計算・調整/入退社の申請書の作成 |
| 就業管理 | 勤務シフト管理/勤務実績管理/時間外状況管理/休暇管理 |
| 販売 | 受注・出荷・売上の管理/請求管理/在庫管理/仕入管理 |
| 生産 | 複数の生産形態に対応する生産管理/部品表(BOM)との連携/販売・会計との統合 |
(出典:オービック公式サイトの会計・財務・人事・給与・就業・販売・生産の各ソリューションのページ、2026年9月確認)
会計・財務
公式サイトでは、包括利益への対応や過年度の遡及修正といったIFRS対応の機能が紹介されています。
IFRSは国際財務報告基準、遡及修正は過去の期の数字をさかのぼって直すことです。
為替差損益の計算にも対応します。
固定資産は、台帳への登録から分割・売却・除却・移動といった異動まで扱えます(出典:オービック公式サイト「会計情報ソリューション」、2026年9月確認)。
- 仕訳:外部システムの取引明細から、会計の仕訳データを自動で作れる
- 原価収支管理:間接費の配賦や、完成・仕掛の振替とあわせて管理
- 与信・有価証券:信用格付による与信の管理と、有価証券の残高・時価評価の管理
人事・給与・就業
社員の異動の履歴は、世代ごとに残ります。
給与では、昇給の時期と決定の時期がずれたときの差額を自動で計算し、調整します。
勤怠では、36協定のチェックや、時間外勤務の注意・警告を画面に出します。
フレックスなどの変形労働制や交代勤務の設定にも対応しています(出典:オービック公式サイトの人事・給与・就業の各ページ、2026年9月確認)。
販売・生産・物流
受注・出荷指示・出荷・売上の流れは、業務の形に合わせて選べます。
請求は、事業所別の請求や親子請求、複数の締日に対応します。
POS、物流のマテハン(倉庫で物を運ぶ・仕分ける機器)、バーコード・ICタグともデータをつなげます。
生産では、複数の生産形態・管理方式に対応し、部品表(BOM)の情報と連携します。
輸出入・工事・保守・修理・レンタルなどの業務も組み合わせられます。
(出典:オービック公式サイト「OBIC7販売情報システム 機能概要」「販売情報ソリューション」「生産管理情報ソリューション」、2026年9月確認)
OBIC7の3つの特徴
ワンストップの統合型
会計・人事・販売・生産を、1つの基盤の上で動かせます。
部門ごとに別のシステムを入れ、つなぐ開発をする必要がありません。
ある部門の入力が、ほかの部門の数字にすぐ反映されます。
二重入力や、部門の間の伝達の漏れも減ります。
業種別ソリューションの厚み
公式サイトで紹介されている業種は、次のとおりです(出典:オービック公式サイト「ソリューション・サービス」、2026年9月確認)。
| 業種 | 検討のときに見たい点(例) |
|---|---|
| 化学・鉄鋼・機械・メーカー・食品 | 生産計画・原価・品質の追跡(トレーサビリティ)の範囲 |
| 流通・小売 | 店舗や拠点の売上・在庫の見え方 |
| 商社・物流 | 複数拠点の在庫、多通貨の取引、与信の管理 |
| 不動産 | 物件ごとの契約と収支の管理 |
| 建設工事 | 工事ごとの予算と実績の比較 |
| IT・メディア | 案件ごとの収益とコストの管理 |
| 金融 | 取引先の信用リスク、資金繰りの管理 |
右の列は、ベンチャーネットが検討の場面で見るとよいと考える点です。
トレーサビリティは、製品が「いつ・どこで・どう作られたか」を追える状態を指します。
業種ごとのページでは、たとえば次の機能が紹介されています(出典:オービック公式サイトの各業種のページ、2026年9月確認)。
- 化学:製品や原料のロット番号・有効期限別の在庫管理
- 建設工事(設備工事):実行予算・原価計算・見通しの管理
- 金融:与信の申請から信用リスクの管理、債権の回収の管理まで
- IT・メディア:設備工事・コンサルティング・IT関連業・広告関連業に対応したプロジェクト管理
国内の法令への対応
日本の法令・税制への対応が手厚い点も特徴です。
- 電子帳簿保存法:スキャナ保存に求められる「真実性の確保」「可視性の確保」への対応が紹介されています。出典:オービック公式サイト「会計情報ソリューション」、2026年9月確認
- J-SOX:金融商品取引法にもとづく内部統制の報告制度。IT全般統制への対応が紹介されています(同上)
インボイス制度など、ほかの制度への対応の範囲は提供元に聞いておくと安心です。
法令対応は、機能の有無だけを並べても差が見えません。
候補ごとに、次の2点を聞いてそろえます。
- 法令の改正への追随は、通常の保守の中で届くか、別の費用がかかるか
- 自社で作り込んだ部分は、改正のときに誰が直すか
導入で期待できる変化と、効果が出る条件
特徴を、会社の中で起きる変化に置き換えると、次の3つになります。
| 変化 | 中身 | 効果を出すための条件 |
|---|---|---|
| 業務の効率化 | 会計・勤怠・在庫などの定型の業務が自動になり、ミスと作業時間が減る | 手作業の手順を、導入の前に洗い出しておく |
| 経営の見える化 | 販売が在庫や生産の進み具合を見られ、経営層は売上やコストをすぐにつかめる | 部門ごとのコードや区分を、全社でそろえる |
| 法令対応の負担の軽減 | 電子保存などの対応をシステムで処理する | 運用のルールを、システムに合わせて見直す |
右の列は、ベンチャーネットが導入の場面で欠かせないと考える条件です。
機能があっても、使い方がいまのままなら、効果は出にくい。
この条件は、第9章の「見える化」とつながっています。
費用の考え方と導入の流れ
費用は要問い合わせ
OBIC7の具体的な金額は、要問い合わせです。
会社の規模・導入する機能・カスタマイズの内容で、大きく変わります。
ERPの入れ替えで費用と期間を左右する要因は、ベンチャーネットの支援の経験では4つです。
- 機能範囲:会計だけか、人事・販売・生産まで含むか
- 開発:とくに外部システムとの連携。作り込みが多いほど重くなる
- 社内の体制:情シスが少ないと、支援を厚くする分だけ期間も延びやすい
- ユーザー数:受入テストや教育の工数、社内の調整の時間が増える
見積もりは、5年ほどの総額で比べます。
作り込みが多いほど、保守や法令改正への追随の費用が後から効いてくるからです。
費用の見方の全体像は、クラウドERPの費用・料金相場で扱っています。
見積もりで聞いておく5つのこと
金額だけを並べても、判断はできません。
次の答えを、候補の製品ごとにそろえます。
| 質問 | 聞く理由 |
|---|---|
| 標準で回る業務と、カスタマイズが要る業務はどれか | 作り込みの量が、費用と更新の負担を決める |
| カスタマイズした部分は、製品の更新のときにどう扱われるか | 更新のたびに追加の費用が出るかが分かる |
| 保守の費用は、何をもとに決まるか | 5年ほどの総額を比べるため |
| 導入の後、相談の窓口はどこか | 運用の体制を、自社でどこまで持つかが決まる |
| データを外に出す方法(API・CSVなど)は何か | 将来、AIや他のシステムとつなぐときに困らないか |
導入の流れ(4ステップ)
- 導入前の準備:いまの業務の流れと課題を洗い出し、部門ごとの要件を決める
- 設計・カスタマイズ:データ移行の設計、機能の設定、画面の調整。クラウド型は環境の構築が短く済むが、業務に合わせる設計の検討は要る
- テストと運用の準備:実際の業務データで、入力から出力までを流す。各部門の担当者が参加する
- 導入後のサポート:使われ方を見て調整する。法令改正への対応の進め方は、保守の契約とあわせて提供元に聞く
判断の物差し|OBIC7が合う会社、別の型も比べたい会社
OBIC7が合いやすい会社
- 多拠点・複数の事業部門で業務が別々に動いている:全国に支店を持つ小売業なら、各店の売上と在庫を本社がすぐにつかめる
- 属人化をなくしたい:担当が替わっても同じ手順で回したい。経理なら、承認の流れで処理の品質がそろう
- 数字をすぐに見たい:複数の事業を持つ会社や急成長中の会社ほど、経営のダッシュボード(数字を1画面にまとめる機能)が判断を速める
- 法令対応を固めたい:電子帳簿保存法や内部統制(IT全般統制)を、システムの側で支えたい
- 成長の段階にある中堅・大企業:Excelの管理では追いつかず、機能を足しながら広げたい
別の型も比べたほうがよい会社
「向いていない」と決めつける話ではありません。
自社の課題に合うかを見極めるための観点です。
- グローバル展開が主な要件:海外子会社の連結、各国の法規制、多言語の画面の要否を、導入前に確かめたい
- 業務を世界標準に合わせたい:Fit to Standard(業務を製品の標準に合わせる考え方)を採るなら、別の型のERPも合いやすい
- 小規模・スタートアップ:機能が過剰になり、費用が合わないことがある。軽いSaaSから始め、成長に合わせてERPへ進む道もある
- 情シスの体制が手薄:作り込みを生かすには、社内かパートナーに運用の担い手が要る。誰が何を担うかを、選定の段階で決めておく
他の選択肢と「合う条件」で比べる
| 選択肢 | 合う条件 | 注意点 |
|---|---|---|
| OBIC7 | 国内の法令・業種の業務に合わせて作り込みたい。窓口を1つにしたい | 作り込みの量で、費用と更新の負担が変わる |
| NetSuite | 拠点やグループを1つのクラウドでまとめたい。更新は自動で受け取りたい | 標準の業務の型に合わせる姿勢が要る |
| Odoo | 必要なアプリから小さく始め、費用を抑えて広げたい | 設計と運用を担う体制が要る |
| AIスクラッチ開発 | 独自の業務そのものが事業の強み | 作った後の保守を誰が担うかを先に決める |
| いまは替えない | いまのシステムが業務に合い、保守期限にも余裕がある | 次の判断の時期を決めておく |
NetSuiteは、Oracleが提供するクラウドERPです。
世界220地域・44,000社以上で使われています(出典:Oracle NetSuite公式サイト、2026年9月確認)。
OBIC7との違いは、NetSuiteとOBIC7を徹底比較で、機能・カスタマイズ性・グローバル対応・費用の軸で扱っています。
ERP選定の全体の考え方は、NetSuite導入で失敗しないERP選定ガイドをご覧ください。
AI時代に比べる軸|提供形態の違いは優劣ではない
ERPを入れた直後は、たいてい業務が回るようになります。
問題が出てくるのは、その先です。
- 海外拠点が増え、連結の数字が見えにくくなる
- グループ会社が増え、管理会計の見える化が追いつかない
- 足りない部分をExcelで埋め、その運用が膨らんでいく
こうした課題は、製品の優劣からは生まれません。
選定のときに見ていなかった軸から生まれます。
AIの活用が話題に上るいま、その軸に「データの持ち方」と「更新の受け取り方」が加わりました。
ERPのクラウドには、大きく2つの型があります。
顧客ごとに専用の環境を用意するプライベートクラウド型と、全顧客が同じ基盤を共有するマルチテナント型です。
OBIC7のクラウドサービスは、前者にあたります(出典:オービック公式サイト「OBIC7クラウドソリューション」)。
| 軸 | プライベートクラウド型 | マルチテナント型 |
|---|---|---|
| 環境の持ち方 | 顧客ごとに専用の環境を構築 | 全顧客が同一の基盤を共有 |
| アップデート | 自社の計画に合わせて適用 | 全社一斉・自動で適用 |
| カスタマイズ | 自社の業務に合わせて作り込みやすい | 標準に自社を合わせる前提 |
| AIとの親和性①(組込型AI) | ベンダーの提供計画による | 基盤側の更新で順次届く |
| AIとの親和性②(外部AIとの連携) | 環境ごとに接続を設計する | 共通のAPI(外部とつなぐ窓口)で接続しやすい |
左が悪く右が良い、という表ではありません。
専用の環境は、柔軟性とセキュリティの要件の作り込みに向きます。
共有の基盤は、更新の速さと外部との接続のしやすさに向きます。
自社が優先したいものが左寄りか右寄りかを見るための表です。
上の3行で迷ったら、「いまの業務のやり方を、3年後も続けていたいか」と問いかけてみてください。
続けたいなら左の列、見直したいなら右の列が近くなります。
冒頭の問いの答えは、ここで分かれます。
下の2行は、後から変えにくい軸です。
機能は後から足せます。
しかしデータの持ち方と更新の受け取り方は、選定のときにほぼ決まってしまいます。
ここまでを図にすると、次のとおりです。
製品ごとのAIへの対応状況は、ERPとは何か——AIの登場で変わったシステムを正しく理解するで、実名・出典つきで比べています。
いまOBIC7を使っている会社の3つの道
これからOBIC7を候補に入れる会社は、製品を比べる前に2つを決めておきます。
法令や取引先の都合で「変えない業務」と、慣れだけで続いている「変えてよい業務」。
そして、3年後に海外拠点やグループ会社が増えるかどうかです。
| 業務 | 変えない理由 | 変えてよい点 | 判定 |
|---|---|---|---|
| (例)請求書の発行 | 取引先の指定の書式がある | 社内の承認の回数 | 書式は残し、承認は標準に合わせる |
| (例)月次の集計 | なし | Excelでの手作業 | 標準の帳票に置き換える |
「判定」で残す業務が多いほど、作り込みの自由度が要る会社です。
変えない業務が多く国内中心なら、OBIC7の作り込みの強みが生きます。
一方、オンプレミスのOBIC7をいま使っている会社は、機器や保守の期限が見直しの節目になります。
道は3つです。
| 道 | 合う条件 | 注意点 |
|---|---|---|
| オンプレミスのまま更新 | 自社で環境を持つ理由があり、いまの作り込みが業務に合っている | 機器の更新と保守の費用が、次の期限でもかかる |
| プライベート型のクラウドへ移す | 作り込みは残したいが、サーバーの管理は手放したい | 更新の適用は、自社の計画で進める |
| 別のERPに乗り換える | 業務を見直したい。海外やグループが増える | 業務の見直しとデータの移行に、時間と人手が要る |
どの道でも、先に決めるのはこれまでの作り込みをどこまで持っていくかです。
すべて持っていく前提だと、どの道でも費用がかさみます。
使われていない作り込みや、標準の機能で足りるものは、少なくありません。
棚卸しをしてから道を選べば、見積もりの比べ方も定まります。
比べ始める時期は、保守の期限から逆算して決めます。
期限の直前に比べ始めると、選べる道は実質1つに狭まります。
更新なら機器と保守の見積もり、クラウドなら移行の手順、乗り換えなら業務の見直し。
3つの道は、それぞれ準備に要る時間が違うからです。
どの道を選ぶにしても、作り込みの一覧が手元にあれば、提供元にもパートナーにも同じ条件で聞けます。
乗り換えの進め方は、基幹システムのリプレイスとは?で扱っています。
ERP選定でつまずく3つのパターン
パターン①:「クラウドかオンプレか」だけで決めてしまう
起きること:議論が二択に集まり、それが決まると選定が終わった気分になる。
原因:提供形態と設計思想を、同じものとして扱っている。
「クラウド」は、サーバーの置き場所を指すこともあれば、全顧客が同じ基盤を共有する仕組みを指すこともあります。
置き場所だけそろえても、更新の受け取り方はそろいません。
避け方:「更新を自社の計画で適用したいか、自動で受け取りたいか」に答えます。
この問いで、型の違いが正確に見えてきます。
置き場所の議論は、その後で十分に間に合います。
パターン②:「日本の商慣習に合う」を理由に、業務の見直しを先送りする
起きること:業務の流れをそのまま移す。導入は滞りなく進むが、非効率な手順や属人的な運用が新しいシステムの中に残る。
原因:ERPの導入を、業務を見直す機会として捉えていない。
日本の商慣習への対応には、大きな価値があります。
ただ、それは「いまの業務をそのまま続けてよい」という意味ではありません。
避け方:選定に入る前に、変えない業務と変える業務を仕分けます。
法令や取引先の都合で変えられないものと、担当者の慣れだけで続いている手順。
この2つを分けると、製品を評価する軸がはっきりします。
仕分けには、第7章の「変えない理由/変えてよい点」の表がそのまま使えます。
パターン③:AIの活用を「後で足すもの」として外す
起きること:数年後、データを外に出す口がなく、AIとつなぐのに大きな作業が要る。
原因:データの置き場所と形、外から触れる口は、基盤側の設計で決まる。
AIの機能そのものは後から足せても、ここは後から変えにくい。
避け方:選定の段階で、ベンダーに2つだけ聞きます。
- 標準で用意されているAPIやデータ連携の口はどれか
- 組込型のAI機能は、どの提供形態でいつ使える計画か
聞くこと自体に費用はかかりません。
答えを残しておけば、数年後の選択肢が狭まりません。
ベンチャーネットならこう見る|製品名より先に、業務の見える化
NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットは、NetSuite・Odoo・AIスクラッチ開発を扱っています。
SAPからのリプレイスにも対応しています。
国産の統合型ERPとの比較では、「どれが優れているかではなく、それぞれに長所がある」という立場を取ります。
ベンチャーネットの仕事は、ゼロからの導入より、他社のあとの引き継ぎ・立て直しや、他システムとの連携が多くを占めます。
そこでよく目にするのは、いまの機能の一覧をそのまま要件にした結果、使っていない帳票まで新しいERPに運んだ姿です。
だから、乗り換えるかどうかを決める前に、業務の見える化から始めます。
型1:見える化→整理整頓→Fit&Gap
- 業務の見える化:いまの業務の流れを、現場に聞いて描く
- 整理整頓:やめる・まとめる・そろえる業務を決める
- Fit&Gap:残った業務を、候補の製品の標準機能と照らし合わせる
Fit&Gapは、業務と機能の合う・合わないを1つずつ見る作業のことです。
やめる業務を2段目で決めておけば、3段目で照らし合わせる数が減ります。
型2:標準に合わせる/開発する/残す
Fit&Gapで合わなかった業務は、3つのどれかに振り分けます。
- 標準に合わせる:業務のほうを、ERPの標準機能に寄せる
- 開発する:追加の開発や、外部の仕組みとの連携で補う
- 残す:新しいERPには載せず、いまの仕組みや運用で続ける
「残す」と「開発する」が多い会社ほど、OBIC7の作り込みの強みが生きます。
「標準に合わせる」が多い会社は、マルチテナント型も並べる意味があります。
第7章の作り込みの棚卸しは、この仕分けの材料になります。
図の3段目はNetSuiteを例にしていますが、照らし合わせる相手がOBIC7でも、順番は同じです。
変わることは、見積もりの前に伝える
ERPを替えれば、帳票の形、締め処理の考え方、画面の操作感が変わります。
ライセンス費用が、いまより上がることもあります。
NetSuiteへ替える場合、給与・人事は対象外で、別の仕組みが要ります。
OBIC7は人事・給与・就業まで1つの基盤で持てるため、ここは比べるときの大きな差です。
ベンチャーネットは、こうした点を先にお伝えします。
要件を伺うのも、営業ではなく導入コンサルタントです。
聞いた内容が伝言で薄まらないようにするためです。
最初の打ち合わせで伺うのは、主に次の3つです。
- 変えない業務はどれで、その理由は法令・取引先・慣れのどれか
- 3年後の会社の形(海外拠点・グループ会社・事業の数)
- 更新は自社の計画で適用したいか、自動で受け取りたいか
変えない業務の多くが法令や業種の商慣習によるもので、3年後も国内中心なら、OBIC7が合うことも多いと考えています。
海外やグループの拡大が見込まれ、業務も見直したいなら、マルチテナント型も並べて比べることを勧めます。
30秒の自己診断と、今日できること
次の5問に、はい/いいえで答えてみてください。
- 3年以内に、海外拠点またはグループ会社が増える見込みがある
- 連結や管理会計の数字を、月内に見たいと思っている
- いまの業務のやり方は、見直す余地があると感じている
- 生成AIや分析ツールを、基幹のデータにつなぎたい
- システムの更新は、自社で計画するより自動で受け取るほうがよい
「はい」が3つ以上なら、世界標準型・マルチテナント型のERPも比較に入れる価値があります。
2つ以下なら、作り込みの自由度を重んじる選び方が合っている可能性が高いでしょう。
OBIC7は、その選択肢の1つです。
どちらの結果でも、第9章の型1で業務を描いてから製品を比べる順番は変わりません。
今日できること|データの出口と、作り込みの一覧
まず、いま使っているシステムからデータを外に出す方法を、情シスの担当者に聞いてください。
APIがあるのか、CSVの書き出しだけなのか、画面でしか見られないのか。
これが分かると、次のERPに求める要件が1つ決まります。
いまOBIC7を使っている会社は、作り込みも書き出してみてください。
| 作り込み | 使っている部門 | 月に使う回数 | 標準の機能で代わりになるか |
|---|---|---|---|
| (例)独自の売上の集計の帳票 | 経理 | 1回 | 分からない(ベンダーに確認) |
使う回数が少なく、代わりが効くものは、次のシステムに持っていかない候補です。
この一覧が、更新・クラウドへの移行・乗り換えのどれを選んでも、見積もりの前提になります。
よくある質問
Q1. OBIC7はクラウド型ERPですか
オンプレミス型とプライベート型のクラウドの両方から選べます。
クラウド型は「OBIC7クラウドソリューション」として提供され、顧客ごとに専用の環境が作られます(出典:オービック公式サイト)。
全顧客が同じ基盤を共有するマルチテナント型とは、仕組みが異なります。
Q2. OBIC7の費用はどのくらいかかりますか
要問い合わせです。
モジュールの範囲、会社の規模、カスタマイズの程度で変わります。
入れ替えの費用と期間は、機能範囲・開発(特に外部連携)・社内の体制・ユーザー数の4つで大きく動きます(第4章)。
Q3. OBIC7はどんな企業規模に向いていますか
中堅企業から大企業向けの統合型ERPです。
複数の部門や多拠点を持ち、業務の流れが複雑な会社で効果を出しやすい設計です。
小規模企業やスタートアップには、機能が過剰になることもあります。
Q4. OBIC7の導入にはどのくらいの期間がかかりますか
会社の規模とカスタマイズの範囲と社内の体制で大きく変わります。
準備・設計・テスト・導入後のサポートの4ステップで進みます。
カスタマイズの範囲が広いほど、設計とテストに時間がかかります。
Q5. OBIC7と他のERPで迷っています。どう判断すればよいですか
機能を比べる前に業務を見える化し仕分けます。
いまの業務を描き、やめる業務を決めてから、残りを標準機能と照らし合わせます。
合わない業務を「標準に合わせる/開発する/残す」に分けると、作り込み型と標準型のどちらが近いかが見えます(第9章)。
海外展開の有無と、外部のAIから触れる口が標準であるかも、あわせて比べます。
Q6. いまオンプレミスのOBIC7を使っています。次はどうすればよいですか
更新・クラウドへの移行・乗り換えの3つを並べて比べます。
先に、これまでの作り込みをどこまで持っていくかを決めます。
保守期限から逆算して、比べ始める時期を決めておきます(第7章)。
Q7. OBIC7とNetSuiteの違いは何ですか
型が違います。
OBIC7のクラウドは顧客ごとの専用環境(プライベート型)で、作り込みやすさに強みがあります。
NetSuiteは全顧客が同じ基盤を共有するマルチテナント型で、更新は自動で届きます。
詳しくはNetSuiteとOBIC7を徹底比較をご覧ください。
まとめ|OBIC7は「自社に合うか」で選ぶ
- OBIC7は、会計・人事・販売・生産を1つの基盤でつなぐ、オービックの統合型ERP
- 強みは、業種別ソリューションの厚み、国内の法令への対応、自社一貫の体制
- クラウド型は、顧客ごとの専用環境で提供されるプライベート型
- 費用は要問い合わせ。機能範囲・開発・社内の体制・ユーザー数で動く
- 比べる前に業務を見える化し、「標準に合わせる/開発する/残す」に仕分ける
「OBIC7は、うちの候補に入るのか」。
その答えは、いまの業務を3年後も続けたいかどうかで決まります。
まず業務の流れを描き、変えない業務の理由を書き出してみてください。
もう少し詳しく知りたい方へ
OBIC7を含めた複数の候補の比べ方から、ご相談をお受けしています。
- NetSuiteの画面を実際に見て比べたい方へ:NetSuite 無料体験デモ
- 今のERPからの乗り換えを考えている方へ:基幹システムリプレイス(ERP乗り換え)支援
- ERP選定で迷っていることを相談したい方へ:お問い合わせ
OBIC7の見積もりや個別の機能については、提供元の株式会社オービックにお問い合わせください。
