NetSuiteで実現するプロジェクト管理|案件ごとの採算が見える経営へ

8月31日に終わった案件の採算が、9月22日にやっと分かる。

工数表、経費精算、会計ソフト。3つのファイルを突き合わせ、ようやく赤字だと気づきます。

そのときには、もう打てる手がありません。

プロジェクト管理とは、目標を達成するために人・時間・お金を配分し、案件を成功に導く取り組みです。

IT・コンサルティング・専門サービスの会社では、人の時間が主な原価になります。

案件の管理が、そのまま利益の管理です。

NetSuiteのプロジェクト管理は、工数や経費を会計とつなぎ、案件ごとの採算を進行中に見せる仕組みです。

「忙しいのに利益が残らない」会社の多くは、採算が終わってからしか見えていません。

では、進行中に見えると、何が変わるのか。

そして、どこから始めれば現場が疲れずに済むのか。

目次

この記事で分かること

  • プロジェクト管理が「経営の課題」である理由
  • Excelで足りる段階と、システムが要る段階の見分け方
  • NetSuiteで案件の採算を見える化する考え方と、導入費用の目安
  • 現場が疲れない始め方と、よくある3つの失敗

言葉の整理:ERPは、会計・販売・在庫・人事など、会社全体の仕事を1つのシステムで見える化する仕組みです。

採算は、案件の売上から、人件費・外注費・経費などの原価を引いた利益のことです。

プロジェクト管理は、なぜ経営の課題なのか

案件が増え、関わる人も増えると、全体は見えにくくなります。

プロジェクト管理を、現場の作業として片付けられないのはこのためです。

主な要素を、経営への効き方で並べると次のようになります。

要素経営にどう効くか経営者が見る数字の例
スケジュール管理遅れは、そのまま原価の増加になる予定より遅れている案件の数
コスト管理予算と実績の差を、進行中に知る案件ごとの予算の消化率
リソース管理人の過不足が、採算を左右する人ごとの稼働率
品質管理手戻りは、見えない原価になる手戻りにかかった工数
進捗の見える化同じ情報を見ると、判断が速くなる採算が分かるまでの日数

ガントチャート(作業を時系列で並べた図)やWBS(作業を分解して構造にしたもの)は、これらを支える手法です。

手法そのものは目的ではありません。

目的は、この情報を1つにまとめ、経営の判断に使える形にすることです。

なぜExcelの管理では限界が来るのか

多くの会社は、Excelや個別のツールで始めます。

最初はそれで回ります。

ところが、案件と関わる人が増えると、つなぎ目がほころび始めます。

観点Excel・個別のツールNetSuiteでの統合管理
採算の把握月次・事後にしか分からない進行中に把握
データの一元性転記・二重入力が起きる一度の入力で各所に反映
属人化担当者に頼りやすいルール化・標準化しやすい
全体の見える化案件をまたぐ比較が難しいダッシュボードで横断して見る
AIとの親和性ファイルの形がばらばらで、AIに任せにくい案件・工数・会計が同じデータにあり、赤字の兆しの点検をAIに任せやすい

Excelの一番の弱点は、データが分かれることです。

案件の管理・勤怠・会計が別々だと、つなぎ目はすべて人の手作業になります。

転記のミスが起き、月次のとりまとめに何日もかかる。

経営の判断は、いつも後手に回ります。

この流れを図にすると、次のとおりです。

データが分かれると、判断が遅れる 案件の管理・勤怠・会計が別々だと、つなぎ目が手作業になり、転記のミスや月次のとりまとめの遅れが起きる。その結果、経営の判断が後手に回る。 データが分かれると、判断が遅れる データが分かれている 案件の管理・勤怠・会計が別々 つなぎ目が手作業 転記・二重入力でミスが起きる とりまとめが遅い 月次の集計に何日もかかる 判断が後手に回る 赤字に気づくのは、終わってから 案件と人が増えるほど、つなぎ目がほころぶ
データが分かれると、判断が遅れる

NetSuiteでできるプロジェクト管理

NetSuiteのプロジェクト管理は、単独のツールではありません。

会計・販売・人事とつながった、統合の基盤の一部です。

NetSuiteは、世界220地域・44,000社以上で使われています(出典:Oracle NetSuite公式サイト、2026年9月時点)。

経営の視点で見ると、できることは4つです。

  • 案件ごとの採算:工数や経費が、案件ごとの利益として集計される
  • 予算とマージンの見積もり:収益と原価の予算を作り、マージンを見積もって実績と比べる
  • 人の稼働の見える化:誰がどの案件にどれだけ関わっているかを横断して見る
  • ダッシュボード:メンバーの入力に合わせてKPIが更新される

予算とダッシュボードの説明は、Oracleの公式ページにもとづいています(出典:Oracle NetSuite公式、2026年9月確認)。

プロジェクト管理の機能は「SuiteProjects」という名前で、アドオン・モジュールとして提供されます(出典:同上)。

機能の一覧と、専用ツールとの細かな比較は、NetSuiteのプロジェクト管理機能とはで扱っています。

リソース管理はリソース管理とは、工数管理は工数管理を「現場の作業」で終わらせないをご覧ください。

費用の目安

NetSuiteのライセンスは、ミニマム構成で月額20万円〜が出発点です。

モジュール・ユーザー数・オプションで変わり、数百万円規模になることもあります。

導入費用は、中身で大きく変わります。

NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットが支援したNetSuite導入の費用で見てみます。

購買・販売・プロジェクト管理を30名程度で入れた例は、期間1年・2,000万円程度でした。

アドオン開発はあり、外部システムとの連携は助言・QAのみで、開発は顧客側です。

ほかに、3名程度・購買と販売だけで150万円程度の例から、100名程度で2億円程度の例まであります。

差を生む要因と4つの事例は、NetSuiteの料金・費用・価格で詳しく扱っています。

あなたの会社はどちら型?「モノの管理」と「ヒトの管理」

中心の課題がモノの管理かヒトの管理かで、見るべき数字は変わります。

観点「モノの管理」型「ヒトの管理」型
中心の課題販売・在庫プロジェクト・工数
代表的な業種製造・小売・卸IT・コンサル・専門サービス
見える化したいものモノの流れ・在庫人の稼働・案件の採算
経営の鍵在庫の回転人の時間が利益に変わる率

優劣の話ではありません。

プロジェクト型のビジネスは、典型的な「ヒトの管理」型です。

誰が、どの案件に、どれだけ時間を使い、いくらの利益になったか。これが経営の生命線になります。

採算が進行中に見えると、何が変わるか(架空の例)

次の数字は、説明のための架空の例です。

受注金額1,000万円の案件を、予算の原価700万円で進めています。

予定の粗利は300万円です。

時点使った原価進み具合分かること
開始から1か月350万円30%予算の半分を使ったのに、進みは3割
終了時1,050万円100%粗利はマイナス50万円
同じ案件でも、気づく時点で打てる手が変わる(架空の例) 開始1か月で予算の半分を使い進みが3割と分かれば、追加費用の相談・担当の入れ替え・範囲の見直しができる。終了時に粗利マイナス50万円と分かっても、次の見積りに活かすことしかできない。 気づく時点で、打てる手が変わる 受注1,000万円・予算の原価700万円(架空の例) 進行中に気づく(開始1か月) 原価350万円で、進みは3割 打てる手 追加の費用を顧客と相談する 担当の入れ替え・範囲の見直し 終わってから気づく 原価1,050万円、粗利はマイナス50万円 打てる手 次の見積りに活かすことだけ
同じ案件でも、気づく時点で打てる手が変わる(架空の例)

1か月の時点で見えていれば、手を打てます。

追加の費用を顧客と相談する、担当を入れ替える、範囲を見直す。

終わってから分かった場合は、次の見積りに活かすことしかできません。

1つの案件なら、差は小さく見えます。

並行する案件が10本、20本と増えると、年間の利益の差になって表れます。

判断の物差し|Excelで足りる段階、システムが要る段階

Excelで足りる段階

  • 並行する案件が少なく、経営者が全体を頭で追える
  • 案件の採算が、月次の締めで分かれば間に合う
  • 工数を入れる人が少なく、ルールが守られている

この段階なら、急いでシステムを入れる必要はありません。

工数の入れ方と、案件ごとの原価の集め方を先に整えます。

システムが要る段階

  • 案件が増え、経営者の頭だけでは追えなくなった
  • 終わってから赤字に気づくことが、年に何度もある
  • 同じ数字を、複数のファイルやツールに転記している
  • 月次のとりまとめに、毎月何日もかかっている

「見えなくなってきた」と感じたときが、検討の合図です。

NetSuite以外が合う場合

  • 国内のプロジェクト型の業務だけで完結する:国産のプロジェクト型ERP(ZACとは、MA-EYESとは)
  • 小さく始めて社内で設定を触れる:Odooとは
  • 大規模で人の配置の最適化が本業:別製品のSuiteProjects Proとは
  • 見たい数字が決まっていない:いまは入れない

NetSuiteが強みを出すのは、海外の拠点や、販売・在庫など案件以外の業務もまとめたい会社です。

これから始める会社と、入れたのに見えない会社

2つの会社の最初の一手を図にすると、次のとおりです。

採算を見える化する最初の一手 これから始める会社は、見る数字・いつ誰が見るか・工数の入れ方の3つを決める。システムを入れたのに採算が見えない会社は、工数の入力・外注費や経費の結びつき・採算の画面が使われているかの3点を先に見直す。 採算を見える化する最初の一手 システムはもう入れた? まだ 入れたが見えない 最初に決める3つ ①見る数字 (案件の粗利など) ②いつ・誰が見るか ③工数を誰が、  どの細かさで入れるか 先に見直す3点 ①工数の入力が  実態と合っているか ②外注費・経費が  案件に結びつくか ③採算の画面を  誰か開いているか どちらも、機能より先に 見る数字と入力のルールから
採算を見える化する最初の一手

これから案件の採算を見える化する会社

最初に決めるのは、次の3つです。

  1. どの数字を見るか(案件の粗利、稼働率など)
  2. その数字を、いつ・誰が見るか
  3. 工数を誰が、どの細かさで入れるか

この3つが決まると、要る機能と入力の項目も決まります。

システムは入れたが、採算がまだ見えない会社

NetSuiteや別のシステムを入れたのに、採算は結局Excelで集計している。

こうした会社は、機能より先に次の3点を見直します。

  • 工数の入力が、実態と合っているか
  • 外注費や経費が、案件に結びついて入っているか
  • 採算を見る画面(ダッシュボード)を、誰も開いていないのではないか

原因の多くは、入力のルールと使い方にあります。

見直し方は、NetSuiteが使いにくい・活用できていないと感じたらで扱っています。

よくある3つの失敗

失敗1:採算を「終わってから」しか見られない

起きること:案件が終わってから赤字と分かる。次の見積りも、勘と経験に頼る。

原因:人件費や外注費が、案件ごとに集まっていなかった。案件の管理・勤怠・会計が別々で、つなぎ目が手作業だった。

避け方:進行中に採算が見える形を最初に作ります。

すべてをつなぐ必要はありません。

案件の粗利に直結するデータから、段階的に1つにします。

失敗2:進捗と工数が、個人の頭の中にある

起きること:担当者にしか進捗が分からない。工数の入力が形だけになり、異動や退職で情報が消える。

原因:管理が人に頼っていて、組織として再現できなかった。

避け方:入力の仕組みと運用のルールをセットで決めます。

現場に負担を強いるだけでは続きません。

入れた数字を会議で使って見せ、入力する理由を伝えます。

失敗3:最初から隅々まで管理しようとして止まる

起きること:全機能を一度に入れ、管理の項目を細かくしすぎる。現場が疲れ、Excelに逆戻りする。

原因:一度に多くを変えすぎ、現場が追いつかなかった。

避け方:完成形を目指すより先にまず回すことです。

効果の出る範囲で定着させ、習熟を見ながら広げます。

ベンチャーネットならこう見る

ベンチャーネットは、NetSuite・Odoo・AIスクラッチ開発を扱い、SAPからのリプレイスにも対応しています。

プロジェクト管理の相談で、最初に伺うのは次の3つです。

  • いま採算が分かるのは、終わってから・月末・進行中のどれか
  • 詰まっているのは、採算の見え方か、属人化か、データの分断か
  • 最初に見る数字を1つに絞るなら何か(多くの会社では案件の粗利)

そのうえで、2つの型で進めます。

型1:見える化→整理整頓→Fit&Gap

  1. 業務の見える化:工数・外注費・経費が、どこから入り、どこで集計されているかを現場に聞いて描く
  2. 整理整頓:誰も見ていない集計表や、二重に入れている項目をやめる・まとめる
  3. Fit&Gap:残った業務を、NetSuiteの標準機能と照らし合わせる

合わなかった業務は、標準に合わせる・開発する・残すの3つから選びます。

2段目で項目を減らしておくと、現場の入力の負担も軽くなります。

1段目で、Excelの運用を直せば足りると分かることもあります。

その場合は、そうお伝えします。

ベンチャーネットの進め方:見える化→整理整頓→Fit&Gap→3つの選択 業務の見える化、整理整頓、NetSuite標準機能とのFit&Gap、そして標準に合わせる・開発する・残すの3択で決める。 ベンチャーネットの進め方業務の見える化いまの業務フローを現場に聞いて描く整理整頓やめる・まとめる・そろえる業務を決めるFit&GapNetSuiteの標準機能と照らし合わせる3つの選択標準に合わせる/開発する/残す製品が決まっていても、見える化から始める
ベンチャーネットの進め方:見える化→整理整頓→Fit&Gap→3つの選択

型2:週次定例と課題管理表|導入そのものもプロジェクトとして回す

NetSuiteの導入も、1つのプロジェクトです。

ベンチャーネットでは、PM兼コンサルタントが提案からカットオーバーまで一貫して担当します。

週次の定例と課題管理表で、決めたことと残りの課題を文書で共有します。

受け身で待たず、情報を取りに行く。

案件の採算を進行中に見る考え方は、導入を進めるときも同じです。

今日できること|直近の3案件で「採算が分かった日」を書き出す

案件終了日採算が分かった日集計に使ったファイル・ツール
(例)C社業務改善コンサル8月31日9月22日工数表・経費精算・会計ソフト

終了日と、採算が分かった日の差を見ます。

差が大きいほど、赤字の案件に手を打つ機会を逃しています。

使ったツールの数は、統合で減らせる手作業の量の目安になります。

よくある質問

Q1. NetSuiteのプロジェクト管理は、専用ツールと何が違いますか

会計とつながり案件ごとの採算まで一続きで見える点です。

専用のプロジェクト管理ツールは、進捗やタスクの管理が得意です。

NetSuiteは統合の基盤なので、工数や経費がそのまま案件の利益として見えます。

Q2. 導入すると、現場の入力の負担が増えませんか

最初から多くを求めなければ負担は抑えられます。

入力の手間はゼロにはなりません。

最小限の項目から始め、効果を見ながら広げます。

Q3. 小さな会社でも、プロジェクト管理の基盤は要りますか

案件が並行し採算が見えにくいと感じるなら規模を問わず検討に値します。

経営者が全体を追えるうちは、Excelで足ります。

「見えなくなってきた」と感じたときが検討の合図です(第5章)。

Q4. 導入すると、経営はどう変わりますか

終わってから赤字に気づく状態から走りながら手を打てる状態に変わります。

進行中の採算が見えれば、問題のある案件に早く気づけます。

早く気づけば、打てる手も増えます(4-1)。

Q5. NetSuiteのプロジェクト管理は、標準で入っていますか

アドオン・モジュールとして提供されています。

いまの契約に入っているかは、アカウントの担当かパートナーに聞いてください(第3章)。

Q6. 導入費用はどのくらいかかりますか

購買・販売・プロジェクト管理を30名程度で入れた例は1年・2,000万円程度でした。

ベンチャーネットが支援したNetSuite導入の例です。

範囲・開発・体制・ユーザー数で変わり、150万円程度から2億円程度まで幅があります(3-1)。

Q7. システムを入れたのに採算が見えません。何から見直せばよいですか

機能より先に入力のルールと使い方を見直します。

工数の入力が実態と合っているか、外注費や経費が案件に結びついているかを見ます(第6章)。

まとめ|プロジェクト管理は、経営の見える化そのもの

  • プロジェクト型の経営は、人の時間がいくらの利益になっているかが見えにくい
  • Excelで足りる段階もある。見えなくなってきたときがシステムの検討の合図
  • NetSuiteは会計とつながっているから、進行中の採算が見える
  • 始めるときは「見える化→整理整頓→Fit&Gap」の順で、見る数字を1つに絞る

9月22日に分かっていた赤字は、1か月目なら手を打てたかもしれません。

まずは直近の3案件で、採算が分かった日を書き出してみてください。

もう少し詳しく知りたい方へ

自社の課題が「採算」なのか「属人化」なのか、どこにボトルネックがあるのか。

整理するところから、ご相談をお受けしています。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

目次