DX(デジタルトランスフォーメーション)を進めたい。
そう考える経営者は増えています。一方で、こんな不安もよく聞きます。
- 進めたいが、それを率いる人材が社内にいない
- 担当を立てても、育つか・続くか不安
- ツールは検討しているが、誰が引っ張るのか決まらない
実は、DXの成否を分けるのは「何のツールを入れるか」だけではありません。「誰が、どう率いるか」で大きく変わります。
本記事では、DXを推進するプロジェクトマネージャーに必要な3つのスキルを整理します。あわせて、その人材を自社で揃えるのが難しい場合の、現実的な選択肢もお伝えします。
この記事で分かること
- DXの成否を分けるのは「ツール」より「誰が率いるか」である理由
- DX推進役に必要な3つのスキル
- 人と体制でつまずく4つの失敗パターンと回避策
- DX人材を「内製」するか「外部と組む」かの選び方
読了時間:約6分
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは
DXとは、デジタル技術を活用して業務を効率化し、企業を変革していく取り組みです。
具体的には、業務のデジタル化、システムの自動化、データの一元管理などが挙げられます。これらを通じて、企業は競争力と収益性を高めていきます。
ただし、DXはシステムを導入すれば完了するものではありません。業務プロセスの見直しや、組織文化の変革も必要になります。
そのため、DXのプロジェクトは複雑で、長期的なものになりがちです。だからこそ、これを率いる「人」の役割が重くなります。
DXの成否を分けるのは「ツール」より「誰が率いるか」
DXの相談を受けるとき、NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットがまずお伝えすることがあります。
それは、「どのツールを入れるか」の前に「誰が率いるか」を考えてほしい、ということです。
なぜなら、同じツールを導入しても、結果は会社によって大きく分かれるからです。うまく定着して成果を出す会社もあれば、使われずに終わる会社もあります。
その差を生むのは、多くの場合「推進役の存在」です。
業務プロセスの見直し、部門間の調整、経営層との合意形成。これらはツールではなく、人が担う仕事です。
つまり、DXは「ツール導入プロジェクト」ではなく、「人が動かす変革プロジェクト」だと捉える必要があります。
では、その推進役には、どんなスキルが求められるのでしょうか。
DXを推進するプロジェクトマネージャーに必要な3つのスキル
DXを率いる人材には、さまざまな力が求められます。ここでは特に重要な3つに絞って解説します。
| スキル | 何を意味するか | 欠けると何が起きるか |
|---|---|---|
| ①技術への理解力 | 最新技術を把握し、活用方法を判断する力 | 開発側と話が通じず、見当違いの仕様になる |
| ②変革をリードする力 | 業務や組織の変化を関係者と進める力 | 現場の抵抗で計画が止まる |
| ③ビジネス視点の判断力 | 投資対効果で優先順位を決める力 | 使わない機能に投資し、成果が出ない |
スキル①:技術への理解力
DXの推進には、技術への深い理解が欠かせません。
推進役は、最新の技術動向を把握し、それをどう使えば成果につながるかを考える必要があります。
システムの構造やデータの持ち方といった、技術的な概念の理解も重要です。これがあると、開発チームとの会話がかみ合います。
結果として、プロジェクトを正しい方向に進めやすくなります。
スキル②:変革をリードする力
DXは、単なるシステム導入ではありません。業務プロセスや組織文化の変革を伴います。
推進役には、この変革を引っ張る力が求められます。
変化には、必ず抵抗が伴います。推進役は、なぜ変える必要があるのかを関係者に示し、合意をつくっていきます。
状況に応じて方針を柔軟に修正する力も必要です。強いリーダーシップと、高いコミュニケーション能力が問われる場面です。
スキル③:ビジネス視点の判断力
DXの目的は、技術の導入そのものではなく、ビジネスの成果を高めることです。
そのため推進役には、技術判断だけでなく、ビジネス視点での意思決定が求められます。
投資対効果(ROI:投じたコストに対して得られる効果)を踏まえ、優先順位を決める。リソースの配分やスケジュールも、事業への影響を考えて調整する。
こうした判断ができる推進役は、経営層からも信頼されます。
NetSuiteは「人のスキル」をどう支えるか
ここまで、DXを率いる「人」のスキルを見てきました。
では、そうした人の力を、システムはどう支えられるのでしょうか。
クラウドERP(会社全体の業務を一つのシステムで見える化する仕組み)であるNetSuiteは、推進役の判断を支える土台になります。
たとえば、プロジェクトの進捗やコスト、収益性を一つの画面で把握できます。バラバラのデータを集める手間が減り、推進役は「判断」に集中できます。
ただし、システムはあくまで人を支える道具です。使いこなすのは、やはり人です。
NetSuiteのプロジェクト管理機能そのものについては、別記事で詳しく解説しています。
DXが頓挫する「人と体制」の失敗パターン
DXは、技術よりも「人と体制」が原因でつまずくことが少なくありません。
ここでは、ベンチャーネットが現場で見てきた、4つの失敗パターンと回避策をお伝えします。
これは、不安をあおるためではありません。事前に知っていれば、避けられるものばかりだからです。
パターン①:経営層が関与せず「担当者任せ」にする
よくある現象
- 「DXは現場の仕事」と任せきりにする
- 予算は承認するが、中身には関与しない
- 報告を受けるだけで、判断には加わらない
なぜ失敗するか
DXは、部門をまたぐ変革です。部門間の利害調整は、経営層の関与なしには進みません。
担当者任せにすると、必要な意思決定が止まり、計画が宙に浮きます。
どう回避するか
経営層がプロジェクトオーナーとして関わる体制を、最初から組みます。
ベンチャーネットでは、経営層を巻き込む進め方からご一緒します。「DXは経営の仕事」という共通認識づくりが、最初の一歩です。
パターン②:推進役が不在のまま、ツール導入を先行させる
よくある現象
- 製品選定が先に進む
- 「入れれば変わる」という期待が先行する
- 旗振り役が決まらないまま発注に至る
なぜ失敗するか
ツールは、使う人がいて初めて価値を生みます。
推進役が不在だと、業務の見直しも定着も進まず、導入したシステムが「使われない存在」になります。
どう回避するか
ツールを選ぶ前に、「誰が率いるか」を決めます。
推進役が社内で見つからない場合の選択肢は、後の章でお伝えします。一人で抱え込む必要はありません。
パターン③:推進役を一人に背負わせ、属人化させる
よくある現象
- DX担当が事実上1人だけ
- その人にしか分からない状態になる
- 異動や退職で、計画が白紙に戻る
なぜ失敗するか
DXは長期のプロジェクトです。一人に依存すると、その人がいなくなった瞬間に止まります。
「あの人しか分からない」という状態は、会社にとって大きなリスクです。
どう回避するか
推進役を支えるチームを、社内外で組みます。
知見を一人に閉じ込めず、複数で共有する形にします。ベンチャーネットは、その「支える側」として伴走します。
パターン④:必要なスキルを「全部社内で揃えよう」と抱え込む
よくある現象
- 中途採用に頼るが、なかなか採れない
- 育成に時間がかかり、変革の機を逃す
- 外部の活用を、最初から検討しない
なぜ失敗するか
先に挙げた3つのスキルを、すべて満たす人材は簡単には見つかりません。
採用や育成を待つうちに、競合に先を越されることもあります。「自社だけで」という発想が、かえって足かせになります。
どう回避するか
社内で揃える部分と、外部と組む部分を切り分けます。
すべてを抱え込まず、足りない力を外から借りる。この発想の転換が、DXを前に進めます。次の章で、その選び方を整理します。
DX人材は「内製」か「外部と組む」か
DXを率いる人材を、どう確保するか。大きく2つの道があります。
社内で育てる・採用する「内製」と、外部パートナーと組む道です。
どちらが正解ということはありません。自社の状況によって、向き不向きが分かれます。
| 観点 | 社内で育てる・採用する(内製) | 外部パートナーと組む |
|---|---|---|
| 立ち上がりの速さ | 採用・育成に時間がかかる | すぐに着手できる |
| スキルの幅 | 個人の経験に依存しやすい | 複数領域の知見を活用できる |
| ノウハウの蓄積 | 社内に残る(長期的な資産) | 伴走を通じて社内に移転していく |
| 属人化リスク | 担当者の異動・退職で止まりやすい | チームで支えるため止まりにくい |
| 向いている企業 | DXを継続的な中核業務にしたい企業 | まず動き出したい・専任者がいない企業 |
大切なのは、「どちらか一方」と決めつけないことです。
立ち上げは外部と組み、走りながら社内にノウハウを移していく。そうした組み合わせも、現実的な選択肢になります。
よくある質問
DXの推進役と人材確保について、経営者からよくいただく質問にお答えします。
Q1. DX推進のプロジェクトマネージャーは、社内のどんな人が向いていますか?
技術と業務の両方を理解し、部門をまたいで人を動かせる人が向いています。
肩書きよりも、関係者を巻き込んで合意をつくれる力が重要です。情報システム部門の経験者だけでなく、業務改善をリードしてきた人も候補になります。完璧に3つのスキルを満たす人は稀なので、足りない部分を補う体制とセットで考えるのが現実的です。
Q2. 必要なスキルを持つ人材が社内にいない場合、どうすればいいですか?
一人で抱え込まず、外部のパートナーと組む方法があります。
DXを率いる人材は、採用市場でも希少です。社内で見つからないことは、珍しくありません。その場合、外部の力を借りて立ち上げ、走りながら社内に知見を移していく進め方が現実的です。ベンチャーネットは、こうした「人材ごと伴走する」形でのご支援を得意としています。
Q3. 専任のDX担当を一人立てれば十分ですか?
一人に集約すると、その人の異動や退職で計画が止まるリスクがあります。
専任者を立てること自体は良いことですが、「その人しか分からない」状態は危険です。知見を共有できるチームの形を、社内外で整えておくことをおすすめします。
Q4. 外部パートナーに任せると、社内にノウハウが残らないのでは?
伴走型のパートナーであれば、ノウハウは社内に移っていきます。
「丸投げ」にすると、確かに社内に何も残りません。一方で、一緒に手を動かしながら進める伴走型なら、進める過程で社内に知見が蓄積します。ベンチャーネットは、対等な関係で伴走し、最終的にお客様が自走できる状態を目指します。
まとめ:DXは「何をやるか」の前に「誰とやるか」
DXを推進するプロジェクトマネージャーには、3つのスキルが求められます。
- 技術への理解力
- 変革をリードする力
- ビジネス視点の判断力
ただし、この3つをすべて満たす人材を、自社だけで揃えるのは簡単ではありません。
そこで大切になるのが、視点の転換です。
仕事は「誰とやるか」で、その成否がほとんど決まります。一人で抱え込まず、足りない力を外と組んで補う。これは、決して妥協ではありません。むしろ、変革を前に進めるための、現実的で前向きな選択です。
DXを率いる人材が社内にいない。育てる時間が足りない。
そう感じている経営者の方は、ぜひ一度ご相談ください。ベンチャーネットは、推進役を「人材ごと」支える伴走者として、御社にとって最適な進め方を一緒に考えます。
