NetSuiteのグローバル展開機能|OneWorld・多通貨・多言語・海外拠点管理の全機能解説

目次

リード

海外子会社が増えてきた。連結決算の負荷が年々重くなっている。新しい拠点を立ち上げるたびに、現地で会計ソフトを選び直している。

このような悩みを抱えるグループ経理やCFO、海外展開を進める経営者は少なくないと思います。

海外展開は、市場や人材の話題が先に立ちがちです。一方で、基幹システム——つまりERPの設計は後回しになりやすい領域です。

ですが、ERPの設計を後回しにすると、拠点が増えるほど、連結の手間と現地対応のリスクが指数関数的に大きくなります。

NetSuiteのグローバル展開機能「OneWorld」は、こうした「拠点が増えるほど深刻化する課題」を1つのERPで吸収するために設計されたソリューションです。

本記事では、OneWorldの機能の全体像と、グローバルERP選定で見るべきポイント、そして選定でよくある失敗パターンまでを整理します。

: 本記事はOneWorldの機能解説に特化しています。海外進出時の「基幹システムをめぐる課題そのもの」については、関連記事「中小企業の海外進出で見落としがちな『基幹システム』の落とし穴」をご覧ください。

グローバル展開でERPに求められる4つの要件

海外展開を進める企業がERPに求める要件は、国内専業の企業とは大きく異なります。

#要件具体的な課題
多通貨対応拠点ごとに異なる現地通貨と、本社の標準通貨を両方扱えるか
多言語対応現地スタッフが母語で操作でき、本社が日本語でレポートを見られるか
拠点統合・連結対応子会社間取引(インターカンパニー取引)を自動で消去し、連結決算を組めるか
現地法規制対応各国の会計基準・税制・監査要件に標準で対応しているか

この4要件は、どれか1つを欠いても運用が破綻します。

たとえば、多通貨に対応していても、子会社間取引の自動消去ができないと、連結のたびに手作業で突合する必要が出てきます。

逆に、連結機能が優れていても、現地法規制に対応していないと、各国で別の会計ソフトを併用することになり、データが二重に存在する状態になります。

4要件は「拠点数」が増えるほど効いてくる

1拠点であれば、現地でExcelや簡易な会計ソフトを使っても何とかなります。

しかし2拠点、3拠点と増えると、拠点ごとに異なるシステムの寄せ集めになり、連結のたびに経理部門が疲弊します。

ベンチャーネットがお客様とお話ししていても、「最初は本社のシステムをそのまま海外で使おうとした」「あるいは現地ごとに最適なものを選んだ」というケースは多いです。

しかし、いずれのパターンも、拠点が3つを超えたあたりから運用が回らなくなる傾向にあります。

ERPは、海外拠点が1つだけのうちに将来構成を設計しておくと、後戻りのコストが小さくなります。

NetSuite OneWorldとは何か

NetSuite OneWorld(ネットスイート・ワンワールド)は、Oracle NetSuiteのグローバル展開対応エディションです。

通常版のNetSuiteは、単一法人での運用を前提としています。OneWorldは、複数法人・複数拠点・複数通貨・複数言語をまとめて1つのERPで管理できるように拡張された製品です。

OneWorldの主な対応範囲

項目対応内容
対応地域世界220地域
採用企業数全世界43,000社以上
対応通貨190通貨
対応言語27言語
各国対応国別の会計基準・税制・監査要件

(出典: Oracle NetSuite公式、2026年4月以降の最新数値)

「単一ERPで全拠点を統合する」という発想

OneWorldの最大の特徴は、本社と海外子会社のすべてを同一のERPで管理する設計思想です。

従来は、本社にSAPなどの大規模ERPを置き、海外子会社にはそれぞれ別の現地ソフトを入れる構成が一般的でした。

OneWorldの場合、本社も子会社も同じデータベースを共有します。子会社が現地通貨で記帳しても、本社のレポート上では自動的に標準通貨に換算された数値が見えます。

この仕組みにより、グループ全体の経営状況をリアルタイムで「見える化」できる点が、OneWorldが選ばれる主な理由になっています。

どのような企業に向いているか

OneWorldの設計が活きる典型的なケースは、以下のような企業です。

  • 海外子会社が2法人以上ある、もしくは1〜2年以内に増える計画がある
  • 現地通貨と本社通貨の換算を、毎月手作業で行っている
  • 連結決算の準備に毎四半期で何週間も費やしている
  • 海外M&Aを検討しており、買収先のシステム統合(PMI)も視野に入れている

なお、OneWorldのライセンス費用は月20万円〜(ミニマム構成/出発点)が目安です。実際の金額は、利用するモジュール・ユーザー数・必要なオプションによって変動します。

中堅企業で複数モジュールを利用される場合は、月額・年額ともに数百万円規模になることもあります。

最終的な金額は、NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットが、Oracle NetSuite担当営業と共に対応いたします。

多通貨対応|190通貨・為替変動・連結通貨換算

海外展開で最初にぶつかるのが、多通貨の壁です。

NetSuite OneWorldの多通貨対応の中身

NetSuiteの多通貨機能は、単に「外貨で入力できる」というレベルではありません。

機能内容
対応通貨数190通貨
為替レート自動取得・期末再評価に対応
為替差損益取引時と決済時の差を自動計算
連結通貨換算子会社の現地通貨を、本社標準通貨へ自動換算
過去レートの保持取引発生時のレートを保持し、過去データの再計算にも対応

特に重要なのは、過去の為替レートを保持する点です。

販売管理の現場では、注文発生時のレート、出荷時のレート、入金時のレートが異なります。これを正確に追跡できないと、売上の正味金額が後から分からなくなります。

多通貨対応の3段階

多通貨と一口に言っても、ERPごとに対応レベルが異なります。

段階対応内容海外展開の限界
段階1: 単一通貨日本円のみ海外取引は別ソフトで対応
段階2: 2通貨対応日本円+1外貨2拠点目で限界
段階3: 多通貨+連結190通貨+自動換算+連結拠点が増えても標準機能で対応

NetSuite OneWorldは段階3に該当します。

段階1や段階2のERPで海外拠点を運用しようとすると、Excelや別ソフトでの補完が必要になり、結局のところ二重管理が発生します。

為替変動の影響を「即時に」把握できる

為替が大きく動く局面では、海外子会社の業績が一晩で大きく変動します。

OneWorldでは、為替変動を反映した連結ベースの数値を、ダッシュボード上でリアルタイムに確認できます。

四半期決算を待たずに「為替で何億円のインパクトが出ているか」を把握できるため、経営判断のスピードが上がります。

これは、為替リスクヘッジの判断や、海外子会社への送金タイミング決定に直結する重要な機能です。

多言語対応|27言語UIと現地スタッフの業務効率

海外子会社で「現地スタッフが日本本社のシステムを使えない」という問題は意外と深刻です。

NetSuite OneWorldの多言語対応の中身

NetSuiteの画面UI(ユーザーインターフェース)は27言語に対応しています。

項目対応内容
UI言語数27言語(日本語・英語・中国語・フランス語・ドイツ語など)
ユーザー単位の切替各ユーザーが自分の使用言語を選択可能
データの一元管理表示言語が違っても、データベースは1つ
文書出力請求書・見積書などの帳票も多言語対応

「同じデータを、見る人ごとに違う言語で表示できる」点がポイントです。

たとえば、ベトナム拠点の現地スタッフは画面をベトナム語で操作し、本社の管理者は同じデータを日本語で確認できます。両者が見ているのは同じ1件のデータです。

なぜ多言語UIが重要か

現地拠点でERPを定着させるとき、最大の障害は「現地スタッフが日本語マニュアルを読まないと操作できない」という状態です。

この状態が続くと、以下のような問題が起きます。

  • 現地スタッフが操作を覚えず、日本人駐在員に依存する
  • 駐在員が帰任すると、操作できる人がいなくなる
  • 「現地ではExcelで管理し、月末に駐在員がERPに転記する」という二重作業が定着する

多言語UIが標準で備わっていることで、現地スタッフが自分の母語でERPを使える環境が整います。結果として、現地での業務標準化が進みやすくなります。

言語が違っても、ガバナンスは1つ

多言語対応のもう1つの効果は、本社からの統制が利きやすくなる点です。

各拠点が同じERPを使っていれば、勘定科目体系、承認フロー、入力ルールを本社が一括して定義できます。

「現地は現地のシステムで自由にやってください」という運用では、ガバナンスが効きません。多言語UIは、ガバナンス統一とローカル業務の両立を支える基盤になります。

海外拠点管理|子会社統合・インターカンパニー取引

海外展開でERPに最も期待されるのが、複数拠点の統合管理機能です。

NetSuite OneWorldの拠点管理の中身

OneWorldでは、本社・地域統括会社・各国子会社を「サブシダイアリー(subsidiary)」という階層構造で管理します。

階層役割OneWorldでの扱い
親会社最上位の連結対象ルートのサブシダイアリーとして登録
地域統括会社例:アジア統括親会社の下位に配置
各国子会社各国の現地法人地域統括会社の下位に配置

この階層を1つのERPに持たせることで、どの階層からも上位・下位のデータを集計できます。

インターカンパニー取引の自動消去

本社と海外子会社の間、もしくは子会社同士の間では、商品の取引や経費の付け替えが頻繁に発生します。これを「インターカンパニー取引」と呼びます。

連結決算では、このグループ内の取引を消去する必要があります。これを手作業で行うと、膨大な突合作業が発生します。

OneWorldは、インターカンパニー取引を自動で識別し、連結時に自動消去する機能を備えています。

  • 本社が子会社に商品を販売 → 子会社側で同時に仕入計上 → 連結時に両方を自動消去
  • 子会社Aが子会社Bに経費を付け替え → 両側で対応する仕訳を自動生成 → 連結時に消去

この自動化により、四半期決算ごとの連結作業時間が大幅に短縮されます。

海外展開のERP戦略——3パターン

実務上、海外展開時のERP構成は大きく3パターンに分かれます。

戦略内容向いている企業
単一ERP戦略本社も海外子会社もOneWorld拠点間の業務標準化を優先したい企業
2層ERP戦略本社は既存ERP、海外子会社にOneWorld本社のERPを刷新したくない企業
拠点別ERP戦略拠点ごとに別ERP推奨できない(連結負荷が大きい)

「2層ERP戦略」は、本社にSAPなどの大規模ERPがある企業でよく採用されるパターンです。海外子会社の業務をOneWorldで素早く立ち上げつつ、本社のERPは温存できます。

ベンチャーネットでは、お客様の状況に応じて、単一ERP戦略と2層ERP戦略のどちらが適合するかを一緒に検討します。

現地法規制対応|国別の会計基準・税制・監査要件

海外展開ERPで最も見落とされやすいのが、現地法規制への対応です。

各国で異なる会計・税務の要件

国ごとに、以下のような要件が違います。

  • 会計基準: IFRS、US-GAAP、各国の現地基準
  • 税制: 売上税(VAT)の税率と計算方法、源泉徴収、移転価格税制
  • 監査要件: 監査証跡の保持期間、電子保存要件、法定帳簿の様式
  • 書類フォーマット: 請求書・領収書の必須記載事項

これらに対応せずに海外子会社を運用すると、現地監査で指摘を受け、是正対応に多大な時間とコストがかかります。

NetSuite OneWorldの現地対応の仕組み

OneWorldは、国別のローカリゼーション(各国対応)機能を備えています。

対応項目内容
国別の会計基準切替同じ取引データを、IFRS基準と日本基準の両方で表示
税制対応各国の税率テーブル、税額計算ルールを標準搭載
帳票フォーマット国別の請求書・領収書テンプレートに対応
監査証跡全操作ログを保持。SOX法対応

「同じ取引データを、複数の会計基準で同時に管理できる」点は、特に重要です。

たとえば、海外子会社の業績を「現地基準では黒字、IFRSでは赤字」というように両方の視点で見られます。これは、グローバルに事業展開する企業の経営判断に直結します。

法規制は変わり続ける

各国の税制や会計基準は、毎年のように改正されます。

OneWorldはクラウドERPであるため、Oracle側で最新の法規制対応をアップデートとして提供します。導入企業は、自社で対応コードを開発する必要がありません。

オンプレミス型のERPで現地対応を行う場合、税制改正のたびに自社で改修開発を行う必要があります。これを各国・複数拠点で続けることは、現実的に難しいです。

法規制対応の「持続可能性」が、クラウドERPであるOneWorldの大きなアドバンテージです。

グローバルERP選定でよくある4つの失敗パターン

ここからは、ベンチャーネットがお客様と話している中で繰り返し見てきた、グローバルERP選定の失敗パターンを4つご紹介します。

これは、売り込みたいから書くのではなく、失敗してほしくないから書くものです。

ERP導入は「ITプロジェクト」と思われがちですが、海外展開を伴うERPは、それ以上に経営プロジェクトの性格が強くなります。

事業計画、組織設計、人材配置、ガバナンス設計が絡むためです。

以下の4パターンは、いずれも「経営判断の遅れ」や「論点の見落とし」によって起きるものです。

失敗パターン①:本社ERPの拡張で済まそうとして頓挫する

よくある現象

  • 本社にSAPなど大規模ERPがあるので、その拡張で海外対応できると考えた
  • 結果、ライセンス追加と現地対応の改修見積もりが想定の数倍に膨らんだ
  • プロジェクト自体が中断、もしくは海外拠点で別ソフトを使い続けることに

なぜ失敗するか

本社ERPの多くは、本社の業務に最適化されています。

海外展開を後から拡張する場合、以下のような追加コストが発生します。

  • 海外拠点用のライセンス追加
  • 各国対応モジュールの個別購入
  • 現地法規制対応の改修開発
  • 多通貨・多言語機能の追加実装

これらを積み上げると、最初から海外対応設計のERPを入れた場合より、総コストが大きくなることが珍しくありません。

どう回避するか

ベンチャーネットでは、本社ERPの拡張で対応するか、海外拠点向けに別途OneWorldを入れるか(2層ERP戦略)を、最初の検討段階で見極めることをおすすめしています。

経営層の判断ポイントは「本社ERPで何十億円かけて拡張するより、海外拠点だけ別ERPで素早く立ち上げる方が、事業展開のスピードが上がらないか」という比較です。

失敗パターン②:拠点ごとに別ERPを入れて連結が崩壊する

よくある現象

  • 「現地のことは現地に任せる」方針で、拠点ごとに最適なERPを選んだ
  • 本社は日本のERP、米国子会社はQuickBooks、東南アジア子会社は現地ソフト
  • 連結決算のたびに、各拠点からデータを集めて手作業で突合している

なぜ失敗するか

このパターンは、拠点単位で見れば正しい選択であることが厄介です。

各拠点で見れば、現地のERPは現地スタッフに馴染みがあり、コストも低いです。

しかしグループ全体で見ると、拠点が増えるほど以下が発生します。

  • 連結のたびにデータ突合の工数が増える
  • 勘定科目の対応マッピングを毎回確認する手間
  • 為替換算を手作業で行うミスのリスク
  • インターカンパニー取引の消去が手動でしか追えない

この状態で4拠点、5拠点と増えると、経理部門が決算のたびに疲弊し、月次決算が遅延します。

どう回避するか

回避策は、最初の海外拠点を立ち上げる時点で、グループ全体のERP戦略を決めておくことです。

ベンチャーネットでは、「動いている」と「活用できている」は別の話だと考えています。

各拠点でERPが「動いている」状態は作れます。しかし、グループ全体でデータを「活用できている」状態を作るには、最初の構想設計が必要です。

完璧を目指す必要はありません。まず1拠点から回しつつ、次の拠点で同じ仕組みを展開する設計があれば十分です。

失敗パターン③:現地法規制対応を後回しにして稼働後に手戻りする

よくある現象

  • まずは本社の業務をERPに乗せた
  • 海外子会社の対応は「稼働してから順次」と先送りした
  • いざ海外展開の段で、現地税制対応の改修が必要と発覚し、追加開発が発生

なぜ失敗するか

国内のERP導入では「会計基準=日本基準」「税制=日本の税制」が前提です。

しかし海外子会社では、現地の会計基準・税制・監査要件への対応が必須です。これは「機能のオプション」ではなく「運用の前提」です。

後から対応しようとすると、以下が発生します。

  • 既存のマスタ設計を組み替える
  • 既に入力済みのデータの再分類
  • 帳票テンプレートの全面差し替え
  • 内部統制の再評価

これらは、稼働前なら設計の話で済みますが、稼働後だと再設計+データ移行の話になります。

どう回避するか

海外展開を計画している場合は、現地法規制対応をスコープ初日から織り込みます。

OneWorldのように、現地対応が標準機能として用意されているERPを選ぶと、後追いの改修コストを抑えられます。

ベンチャーネットでは、お客様の事業計画に「海外展開のフェーズ」が含まれている場合、現地対応の要件をすべて要件定義に組み込んでから設計を進めます。

失敗パターン④:海外拠点導入をパートナーなしで進めて挫折する

よくある現象

  • 国内のERP導入経験があるから、海外も自社主導で進められると考えた
  • 現地のシステム会社に部分発注したが、現地と本社の連携が取れなかった
  • 結局、プロジェクトが中断、もしくは大幅に遅延

なぜ失敗するか

海外拠点のERP導入は、国内の導入と論点の質が異なります。

  • 現地の商習慣・税制・労務に詳しい人材が必要
  • 現地スタッフへのトレーニングが現地言語で必要
  • 本社と現地の業務フローを統合する設計力が必要
  • グループ全体のガバナンスと現地最適化のバランス調整が必要

これらを全て社内人材だけでカバーできる中堅企業は、現実にはほとんどありません。

外部に部分発注しても、「現地のシステム会社」と「本社のIT部門」の間で論点が噛み合わず、プロジェクトが空中分解することがあります。

どう回避するか

回避策は、グローバル展開に対応できるNetSuiteパートナーと、対等な関係で組むことです。

ここでベンチャーネットが大事にしているのは、「伴走者」というスタンスです。

ERP導入は、パートナーに丸投げする領域ではありません。経営層・経理部門・現地スタッフ・パートナーが対等な関係で議論し、自社にとっての最適解を一緒につくる作業です。

海外展開ERPは、特に「完璧を目指すより、まず回す」発想が大事になります。

最初から全拠点を完璧に統合するのは難しいです。1拠点で動かしながら、磨いていく姿勢が、最終的には早く確実な統合につながります。

このスタンスで進められるパートナーを選ぶことが、海外展開ERP成功の分かれ目になります。

FAQ|よくある質問

Q1. NetSuite OneWorldは通常版NetSuiteと何が違うのですか?

通常版NetSuiteは、単一法人での運用を前提としています。OneWorldは、複数法人・複数拠点・複数通貨・複数言語を1つのERPで統合管理するために拡張されたエディションです。

具体的には、以下の機能がOneWorldで利用できます。

  • 複数のサブシダイアリー(子会社)の階層管理
  • インターカンパニー取引の自動消去
  • 多通貨の連結通貨換算
  • 国別の会計基準・税制対応

海外子会社を持つ企業、もしくは1〜2年以内に海外展開を予定している企業は、最初からOneWorldを検討することをおすすめします。

Q2. 何カ国の拠点があればOneWorldが必要ですか?

厳密な基準はありません。ただし、2法人以上を持ち、通貨が異なる時点で、OneWorldの導入価値は十分にあります。

「1拠点だけだから不要」と判断する企業もありますが、その場合でも以下のチェックは必要です。

  • 1〜2年以内に2拠点目を立ち上げる計画があるか
  • 連結決算の負荷を将来的に減らしたいか
  • 為替変動の影響をリアルタイムに把握したいか

これらのうち1つでも該当する場合、OneWorldを最初から導入する方が、後から拡張するより総コストが低くなる傾向にあります。

Q3. 既存の本社ERPを残して、海外拠点だけにOneWorldを入れられますか?

可能です。これは「2層ERP戦略」と呼ばれる構成で、海外展開を進める中堅・大企業でよく採用されるパターンです。

本社のSAPやOracle ApplicationsなどのERPはそのまま残し、海外子会社にOneWorldを展開します。両者は連携設計を行うことで、必要なデータをやり取りできます。

この構成のメリットは、本社の業務に影響を与えずに、海外展開を素早く立ち上げられる点です。

Q4. 何カ国・何通貨・何言語まで対応していますか?

OneWorldは以下に対応しています。

  • 対応地域: 世界220地域
  • 対応通貨: 190通貨
  • 対応言語: 27言語(日本語・英語・中国語・フランス語・ドイツ語など)

採用企業数は、全世界43,000社以上(Oracle NetSuite公式・2026年4月以降の数値)です。

Q5. 現地の税制改正にはどう追随しますか?

NetSuite OneWorldはクラウドERPであるため、Oracle側で最新の法規制対応をアップデートとして提供します。

各国の税制改正、税率変更、新しい監査要件などは、Oracle側で対応コードが反映されます。導入企業側で個別に改修開発を行う必要はありません。

これは、オンプレミス型のERPでは難しい対応の持続可能性を提供する仕組みです。

Q6. ライセンス費用の目安はどのくらいですか?

NetSuite OneWorldのライセンス費用は月20万円〜(ミニマム構成/出発点)が目安です。

実際の金額は、利用するモジュール(機能範囲)・ユーザー数・必要なオプションによって変動します。中堅企業で複数モジュールを利用される場合、月額・年額ともに数百万円規模になることもあります。

最終的な金額は、Oracle NetSuite担当営業が対応します。

概算費用を知りたい段階でも、お気軽にご相談ください。NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットが、Oracle担当営業と共に対応いたします。

Q7. 導入期間はどのくらいかかりますか?

導入期間は、対象拠点数・モジュール構成・カスタマイズの有無によって大きく異なります。

NetSuite公式の業種特化型導入パッケージ「SuiteSuccess」を活用することで、導入期間を50〜70%短縮できるケースもあります(出典: NetSuite公式)。

海外展開の場合、1拠点目はゼロからの設計が必要ですが、2拠点目以降は1拠点目の設計を流用できるため、立ち上げ期間が大幅に短くなる傾向にあります。

まとめ|NetSuiteで海外展開を加速するために

ここまで、NetSuiteのグローバル展開機能「OneWorld」について、機能の全体像と選定でよくある失敗パターンを整理してきました。

要点を振り返ります。

  • グローバル展開ERPには、多通貨・多言語・拠点統合・現地法規制対応の4要件が求められる
  • NetSuite OneWorldは、世界220地域・190通貨・27言語に対応し、4要件を1つのERPで満たす
  • 拠点が増えるほど、最初の構想設計の有無が運用負荷の差として表れる
  • 「本社ERPの拡張で済まそうとする」「拠点別にERPを入れる」などの失敗パターンは、設計段階で回避できる

海外展開ERPは「経営プロジェクト」

繰り返しになりますが、海外展開を伴うERP導入は、ITプロジェクトの枠を超えて経営プロジェクトの性格を強く持ちます。

事業計画、組織設計、人材配置、ガバナンス設計の論点が絡むためです。

これらは、IT部門や経理部門だけで判断できるものではなく、経営層が意思決定に関与する必要があります。

完璧を目指すより、まず回す

海外展開ERPは、最初から全拠点を完璧に統合する必要はありません。

1拠点で動かし、そこで得た知見を2拠点目以降に展開する。完璧を目指すより、まず回す。動かしながら磨いていくアプローチが、結果的に早く確実な統合につながります。

ベンチャーネットの伴走スタンス

ベンチャーネットは、NetSuite認定パートナー(Solution Provider)として、お客様の海外展開ERPプロジェクトを伴走支援しています。

ベンチャーネットが大事にしているのは、お客様と「対等な関係」で議論することです。一方的に「これを入れれば大丈夫」というスタイルではなく、お客様の事業計画・組織状況・ガバナンス方針を一緒に考えながら、最適な構成を作っていきます。

具体的には、以下のような場面でお声がけください。

  • 海外展開を計画中で、ERPの方向性を整理したい
  • 既に海外拠点を持っていて、連結負荷の改善を検討している
  • 本社ERPの拡張か、OneWorld導入か、選択肢を比較したい
  • グローバル展開ERPの選定基準について、第三者視点で相談したい

「自社の海外展開ERPの方向性に確信が持てない」段階こそ、お気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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