「NetSuiteにも分析の機能があるのに、なぜDomoが要るのか」
BIの相談を受けると、NetSuiteを使う会社からまず出てくる問いです。
Domo(ドーモ)とは、データの収集・統合・可視化・分析を、クラウドでまとめて行うBIのサービスです。
BI(ビジネスインテリジェンス)は、社内のデータを集めて見える形にし、判断に役立てる仕組みを指します。
Domoは、その手前のデータの加工(ETL)まで、一つのサービスで引き受けます。
答えの核は短く言えます。
NetSuite以外のデータも横断して全社の数字を見たいなら、Domoが候補になる。
データがNetSuiteの中でほぼ完結するなら、標準のSuiteAnalyticsで足りることが多い。
なお2026年9月、Domoの事業はProgress Softwareが取得しました。
では、自社はどちらに当たるのか。
分かれ目は、ツールの機能より手前にあります。
この記事で分かること
- Domoの主な機能(ETL・BI・AI)と、いまの位置づけ
- NetSuite標準のSuiteAnalyticsとの違いと使い分け
- Progress Softwareによる事業の取得で、提供元に聞いておくこと
- Domoが向く会社と、ほかのBIや「いまは入れない」が合う会社
- BIが使われなくなる3つの失敗と、避け方
Domoとは|ETLからBIまでを一つに
Domoは、データの統合から可視化までを、一つのクラウドサービスで行うBIです。
ブラウザやモバイルのアプリから、経営のデータを見られます。
SaaS(クラウド経由で使うソフトウェア)なので、自社でサーバーを用意する必要はありません。
いまの公式サイトでは、Domoは「AIとデータのプラットフォーム」と説明されています。
データをつなぎ、AIエージェントやアプリを作り、分析を届ける基盤という位置づけです。
日本語サイトの紹介は「AIネイティブプラットフォーム」。
BI・データ分析・ダッシュボード・データ基盤を、一つにまとめた案内です(出典:Domo公式サイト・日本語サイト、2026年9月確認)。
2026年9月、Progress Softwareが事業を取得
Progress Softwareは2026年9月22日、Domoの「AIとデータのプラットフォーム事業」の取得を完了しました。
対象はこの事業の実質的にすべての資産で、金額は4億ドルです。
Domoの事業は、Progressの既存のデータプラットフォームの製品群に加わるとされています。
2,400社を超える顧客基盤が加わる、とも説明されています(出典:Progress Software公式発表、2026年9月確認)。
日本では、ドーモ株式会社(東京都千代田区)が展開してきました(出典:Domo日本語サイト、2026年9月確認)。
取得の後、日本での提供体制や契約がどう変わるか。
公式発表からは、そこまでは読み取れませんでした。
検討中の会社も、いま使っている会社も、提供元に直接聞いてください(第5章)。
ETLとは|Domoが一つにまとめてきたもの
多くの会社では、データが複数のシステムに散らばっています。
販売は販売管理、会計は会計システム、広告はマーケティングのツール、という具合です。
手作業のExcelで集計していると、数字がそろうころには状況が変わっています。
ETL(抽出・加工・格納)は、データを取り出し、形を整え、分析用の場所に入れる一連の処理です。
BIの画面を作る前に、この下ごしらえが要ります。
Domoは、ETLから可視化までを一つのサービスにまとめてきました。
流れを図にすると、次のとおりです。
Domoの主な機能
| 機能 | 中身 | 経営から見た意味 |
|---|---|---|
| コネクタ | 1,000以上のデータソースにつなぐ取り込み口 | 開発なしで、複数のシステムのデータを集められる |
| Magic ETL | コードを書かずに、画面上でデータを加工・結合する | プログラミングなしでデータを整えられる |
| Beast Mode | 元のデータを変えずに、平均単価などの指標を計算する | 見たい指標を、その場で足せる |
| Workbench | 社内に置いたデータを、Domoと同期する | オンプレミスのデータも一緒に見られる |
| Domo AI・AIエージェント | 会話でデータに質問する。AIエージェントで業務を自動にする | 数字を探す手間を減らせる可能性がある |
出典:Domo公式サイトのプラットフォームと機能のページ(2026年9月確認)。
日本には、Domo buddies(ドーモ バディーズ)というコミュニティがあります。
日本のDomoユーザーによるユーザーコミュニティです(出典:Domo日本語サイト、2026年9月確認)。
使い方を学び合う場があるのは、運用の面で心強いところです。
ただ、AIでデータに質問できても、答えの質は元のデータの質で決まります。
品目や顧客のマスタがシステムごとにばらばらなら、AIも正しく集計できません。
SuiteAnalyticsとの使い分け|NetSuiteを使う会社の場合
NetSuiteには標準のBIがある
NetSuiteには、SuiteAnalyticsという分析の機能が標準で組み込まれています。
ダッシュボード、KPI、保存検索、ワークブックなどで、NetSuiteのデータを見える形にできます。
リアルタイムのレポートやKPIを組み込みで備える、と案内されています(出典:Oracle NetSuite公式サイト、2026年9月確認)。
KPIは、目標に向けた進み具合を測る重要な指標のことです。
保存検索の使い方は、NetSuiteの保存検索で扱っています。
SuiteAnalyticsとDomoの違い
| 観点 | SuiteAnalytics(NetSuite標準) | Domo(外部のBI) |
|---|---|---|
| 位置づけ | NetSuiteに組み込まれたBI | 独立したクラウドのBI・データ基盤 |
| データの範囲 | NetSuiteの中のデータが中心 | NetSuiteとほかのシステムを横断(1,000以上のコネクタ) |
| データの加工 | 保存検索・ワークブック | Magic ETL・Beast Mode |
| 向く使い方 | NetSuiteの業務データをリアルタイムに見る | 複数のデータをまとめた全社のダッシュボード |
| 費用 | NetSuiteの中で完結 | 別にDomoの契約が要る |
| AIの使い方 | そろったNetSuiteのデータを分析の土台にする | 複数のシステムのデータに、会話型のAIやAIエージェントを使う |
優劣ではなく、データの範囲で選びます。
データがNetSuiteの中でほぼ完結するなら、SuiteAnalyticsで足ります。
販売管理や広告など、ほかのシステムも横断して見たいなら、Domoが選択肢に入ります。
組み合わせるという考え方
Domoの公式サイトには、NetSuiteとの連携を案内するページがあります。
NetSuiteのデータを、CRMや人事などのデータと組み合わせて見る使い方です(出典:Domo公式サイト、2026年9月確認)。
取り込みの具体的な方法は、提供元に聞いてください。
NetSuiteの中で完結する分析はSuiteAnalytics、全社の可視化はDomo。
この併用も、現実的な形の一つです。
連携の実装は、NetSuite×Domo連携で扱っています。
判断の物差し|見たい数字の元データはどこにあるか
冒頭の問いへの答えは、製品の比較から始まりません。
見たい数字の元データが、どこにあるか。これで道が分かれます。
図の分かれ道を、言葉にすると次のとおりです。
元データがNetSuiteの中だけなら、まずSuiteAnalyticsで作ってみる。
ほかのシステムにもあるなら、Domoなど外部のBIを比べる。
見たい数字がまだ決まっていないなら、BIはいま入れない。
Domoが向いている会社
- 複数のシステムにデータが散らばっている
- 全社で同じ数字を見て、判断をそろえたい
- 現場の担当者が、自分でデータを加工・分析したい
ほかの選択肢が合う会社
| 状況 | 合いやすい選択肢 |
|---|---|
| データがNetSuiteの中でほぼ完結している | SuiteAnalytics(まず標準で足りるかを試す) |
| NetSuiteのデータを、大量に深く分析したい | NetSuite Analytics Warehouse(NSAW)も比べる |
| Microsoft 365を全社で使い、Excelに慣れた人が多い | Power BIも比べる |
| 見せ方の自由度や、分析の専門家の使い勝手を重視 | Tableauも比べる |
| どのデータをどう使うかが決まっていない | いまはBIを入れない。見たい数字を先に決める |
各BIの選び方は、NetSuite × BIツール比較で扱っています。
製品ごとの説明は、NSAW・Power BIとは・Tableauとはをご覧ください。
これから選ぶ会社と、Domoを使っている会社
これからBIを選ぶ会社
経営会議で毎月見たい数字を、10個まで書き出します。
NetSuiteの中だけで出せる数字は、SuiteAnalyticsで作ってみる。
出せない数字は、足りないデータがどのシステムにあるかを書き出して、Domoなどと比べます。
Domoを候補にするなら、取得の後の契約とサポートの体制も聞いておきます。
すでにDomoを使っている会社
提供元が変わる時期は、BIの使い方を見直す機会です。
まず、いまの契約の更新時期と、取得の後の契約・サポートの扱いを提供元に聞きます。
そのうえで、次の3つの点で、いまの使い方に点を付けてみてください。
| 見る点 | 見ること |
|---|---|
| 使われ方 | 毎週見られているダッシュボードは、全体の何割か |
| データの範囲 | NetSuite以外のデータを、実際にどれだけ使っているか |
| 作り手 | ダッシュボードを直せる人が、社内に何人いるか |
NetSuite以外のデータをほとんど使っていないなら、SuiteAnalyticsへの集約も候補です。
逆に、ほかのシステムのデータが中心なら、外部のBIを使い続ける意味は大きい。
使われているダッシュボードが少なければ、契約の範囲を見直す材料にもなります。
よくある3つの失敗
3つの失敗と避け方を図にすると、次のとおりです。
失敗1:目的が曖昧なまま入れる
起きること:ダッシュボードはできたのに、誰も見なくなる。
原因:「何を判断したいのか」を決めずに、ツールから入った。
避け方:経営会議で使う数字と、その数字で決めることを先に書き出します。
失敗2:データがばらばらのまま見える形にする
起きること:システムごとに数字が合わず、会議が「どの数字が正しいか」の議論で終わる。
原因:品目・顧客・部門のコードが、システムごとに違う。
避け方:見える形にする前に、マスタのコードをそろえ、正しいデータの置き場所を決めます。
失敗3:作って終わりで運用されない
起きること:最初は見られたが、指標や組織が変わっても更新されず、使われなくなる。
原因:ダッシュボードの持ち主と、見直しの時期を決めていない。
避け方:ダッシュボードごとに持ち主を決め、四半期に一度、使われ方を見直します。
ベンチャーネットならこう見る|BIは「攻め」の道具
ベンチャーネットは、NetSuite認定パートナー(Solution Provider)です。
NetSuite・Odoo・AIスクラッチ開発を扱い、SAPからのリプレイスにも対応しています。
Domoを売る立場ではありません。
そのぶん、BIの相談では製品の名前を最後に決めます。
型1:守り→攻め→次へ
基幹システムが定着した先には、3つの段があると考えています。
- 守り:業務が回る。販売・在庫・会計のデータが1か所にそろい、マスタのコードが一致している
- 攻め:データで打つ。売れ筋や在庫を分析し、集計の手作業を減らす
- 次へ:経営が変わる。KPIや管理会計で、判断の仕方そのものが変わる
DomoのようなBIが力を出すのは、2段目の「攻め」です。
守りが固まっていないと、第6章の失敗2が起きます。
画面はきれいでも、会議は「どの数字が正しいか」で止まる。
だから、先にマスタとデータの置き場所をそろえます。
型2:1業務・1KPIから始める1周目
全社のダッシュボードを、一度に作ろうとはしません。
1つの業務と1つのKPIに絞り、最短90日で1周目を回します。
たとえば「部門別の粗利」を1つ決め、元データをそろえ、毎週見る場を作る。
1周目で使われる形が見えれば、2つ目の数字やDomoのような外部のBIを足す判断がしやすくなります。
最初の打ち合わせで伺うのは、次の3つです。
- 何を判断したいか:経営会議で決めることと、そのための数字
- 数字はどこにあるか:NetSuiteの中で完結するか、ほかのシステムにもあるか
- 誰が持ち主か:作る人と見直す人を、社内に置けるか
Domoを選ぶ場合も、NetSuite側のデータの整え方と連携は、ベンチャーネットで引き受けられます。
Domo自体の導入や契約は、提供元にご相談ください。
今日できること|1時間で「見たい数字の表」を作る
次の表を、1時間で埋めてみてください。
| 見たい数字 | いま誰が作っているか | 元のデータの場所 | 作るのにかかる時間 |
|---|---|---|---|
| (例)部門別の粗利 | 経理 | NetSuite・販売管理のExcel | 月に2日 |
「元のデータの場所」がNetSuiteだけの行は、SuiteAnalyticsで作れる候補です。
ほかのシステムが混ざる行が多いほど、Domoのような外部のBIの価値は大きくなります。
「作るのにかかる時間」の合計は、BIで減らせる手間の目安です。
経営の数字の選び方は、経営ダッシュボードの作り方で扱っています。
よくある質問
Q1. Domoとは何ができるツールですか
データの収集から可視化までをクラウドでまとめて行えます。
1,000以上のコネクタでデータを集め、ノーコードで加工し、ダッシュボードで見せます。
いまはAIでデータに質問する機能や、AIエージェントも案内されています(第2章)。
Q2. DomoのETLとは何ですか
データを取り出し形を整えて分析用の場所に入れる処理です。
Domoでは、Magic ETLを使い、コードを書かずに画面上でデータを加工・結合できます。
BIの画面を作る前の下ごしらえに当たります(第1章・第2章)。
Q3. NetSuiteの標準のBI(SuiteAnalytics)と何が違いますか
SuiteAnalyticsはNetSuiteの中のデータを見るのに向きます。
Domoは、NetSuite以外のシステムも横断してまとめられます。
NetSuiteで完結するならSuiteAnalytics、全社を横断するならDomo、という使い分けです(第3章)。
Q4. NetSuiteのデータをDomoで見るには、どうすればよいですか
Domoは公式にNetSuiteとの連携を案内しています。
取り込みの具体的な方法は、提供元に聞いてください。
どのデータを、どの粒度で見せるかは、目的に合わせて設計します。
Q5. Progress SoftwareによるDomoの取得で、何か変わりますか
2026年9月22日に取得が完了したと発表されています。
Domoの事業は、Progressのデータプラットフォームの製品群に加わるとされています。
日本での契約やサポートの扱いは、提供元に聞いてください(第1章)。
Q6. BIは、いつ入れるべきですか
見たい数字が決まってからです。
データがNetSuiteで完結するなら、まずSuiteAnalyticsで足りるかを試してください。
1つの業務と1つのKPIに絞って始めると、使われる形が見えやすくなります(第4章・第7章)。
まとめ
- Domoは、ETLから可視化までをクラウドでまとめるBI・データ基盤
- NetSuiteで完結するならSuiteAnalytics、ほかのシステムも横断するならDomoが選択肢
- 2026年9月、Domoの事業はProgress Softwareが取得。契約と体制の今後は提供元に聞く
- BIは「守り→攻め→次へ」の攻めの道具。マスタがそろってから効く
- 見たい数字が決まっていなければ、いまは入れないのも選択肢
「なぜDomoが要るのか」と聞かれたら、まず見たい数字の表を開いてください。
元データの場所の列が、その答えを示します。
もう少し詳しく知りたい方へ
NetSuiteのデータで経営のダッシュボードを作りたい方や、Domoなど外部のBIとの連携を相談したい方へ。
製品に偏らず、見たい数字から一緒に整理します。

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