NetSuiteには、販売・在庫・会計などのデータが日々蓄積されています。
しかし、そのデータを経営判断にすぐ活かせているでしょうか。「数字は溜まっているのに、見たい形で見えない」という声は少なくありません。
こうした課題を解決する選択肢のひとつが、BIツールの「Domo(ドーモ)」です。BI(Business Intelligence:データを集めて可視化・分析する仕組み)の代表的なクラウドサービスとして知られています。
この記事では、Domoの全体像と、NetSuiteとの相性をわかりやすく解説します。
読了の目安:約8分
Domoとは ── クラウド型のBIプラットフォーム
Domoは、データの収集・統合・可視化・分析を一元化するクラウド型のBIプラットフォームです。
ブラウザやモバイルアプリから、いつでもどこでも経営データを確認できます。米国Domo, Inc.(Nasdaq上場・2010年創業)が提供し、日本ではドーモ株式会社(東京都渋谷区)が展開しています。
「Modern BI」というコンセプト
Domoは「Modern BI」を掲げ、データの統合から可視化までをひとつのSaaS上で完結させます。
SaaS(Software as a Service:クラウド経由で使うソフトウェア)として提供されるため、自社でサーバーを用意する必要はありません。BIやプログラミングの専門知識がなくても、操作しやすい設計になっています。
ここで関連する用語も整理しておきます。
- BI:社内のデータを集めて可視化・分析し、意思決定に役立てる仕組み
- ETL(Extract・Transform・Load):データを抽出し、加工し、格納するまでの一連の処理
Domoが注目される背景
多くの企業では、データが複数のシステムに散らばっています。
販売は販売管理、会計は会計システム、広告はマーケティングツール、といった具合です。これらを手作業のExcelで集計していると、数字がそろうころには状況が変わってしまいます。
クラウド上でデータを統合し、リアルタイムに近い形で可視化したい。こうしたニーズが、Domoのようなクラウド型BIが注目される背景にあります。
Domoの主要機能
Domoには、データ接続から加工、可視化までを支える機能が備わっています。代表的な4つを紹介します。
1,000以上のコネクタ(データ接続)
Domoには、1,000種類以上のコネクタが標準で搭載されています(出典:Domo公式サイト 機能一覧)。
コネクタとは、データの取り込み口のことです。各種クラウドサービスやデータベースに、開発なしで接続できます。データ取得から分析までの時間とコストを大きく削減できる点が特徴です。
Magic ETL(ノーコードのデータ加工)
Magic ETLは、データの加工や結合をノーコードで行える機能です。
画面上でブロックをつなぐ操作(GUIベース)でデータを整形できるため、プログラミングの知識がなくても扱えます。複数のデータを結合したり、不要な行を除いたりといった処理を、視覚的に組み立てられます。
Beast Mode(計算フィールド)
Beast Modeは、既存のデータを変えずに新しい指標を計算する機能です。
たとえば「売上÷件数で平均単価を出す」といった計算式を、その場で追加できます。計算はグラフの描画時に行われ、新しいデータセットとして保存されないため、扱いが軽い点も特徴です。SQLや簡易な関数に対応しています。
Domo Workbench(オンプレデータの取込)
Domo Workbenchは、コネクタがないデータをDomoに取り込むためのツールです。
社内のサーバー(オンプレミス環境)にあるデータも、スケジュールに沿って自動でDomoに送れます。クラウド上にないデータも活用したい場合に役立ちます。
なお、Domoには「Domo buddies(ドーモ バディーズ)」という日本独自のユーザーコミュニティがあります。使い方を学び合う場があるため、運用面で情報を得やすい点も実務上のメリットです。
NetSuiteとDomoの相性 ── 標準BI(SuiteAnalytics)との使い分け
NetSuiteを使っている方が気になるのは、「NetSuiteにも分析機能があるのに、なぜDomoなのか」という点でしょう。
ここを整理しておきます。
NetSuiteにも標準BI(SuiteAnalytics)がある
NetSuiteには、SuiteAnalyticsという分析機能が標準で組み込まれています。
リアルタイムのダッシュボード、KPI(重要業績評価指標)、保存検索、ワークブックなどを使い、NetSuite内のデータをそのまま可視化できます。NetSuiteの業務データを見るだけなら、これで十分なケースも多くあります。
SuiteAnalyticsとDomoの違い
両者の違いを整理すると、次のようになります。
| 観点 | SuiteAnalytics(NetSuite標準) | Domo(外部BI) |
|---|---|---|
| 位置づけ | NetSuiteに組み込まれたBI | 独立したクラウドBIプラットフォーム |
| データの範囲 | NetSuite内のデータが中心 | NetSuite+他システムを横断(1,000超コネクタ) |
| データ加工 | 保存検索・ワークブック | Magic ETL(ノーコード)・Beast Mode |
| 向く用途 | NetSuiteの業務データをリアルタイムに見る | 複数ソースを統合した全社ダッシュボード |
| コスト | NetSuite内で完結 | 別途Domoの契約が必要 |
どちらが優れているという話ではありません。目的によって選ぶものです。
データがNetSuite内でほぼ完結しているなら、SuiteAnalyticsで足ります。販売管理や広告など他システムのデータも横断して見たいなら、Domoが選択肢になります。
組み合わせるという発想
NetSuiteとDomoは、組み合わせて使うこともできます。
NetSuiteのデータをDomoに取り込むための「Domo for NetSuite」コネクタが用意されています。提供元はSuiteApp.com(NetSuiteの拡張アプリ提供サイト)です。NetSuite内で完結する分析はSuiteAnalytics、他システムも含めた全社の可視化はDomo、という併用も現実的です。
Domoが向いている企業/慎重に検討すべき企業
Domoは万能ではありません。自社の状況に合うかを見極めることが大切です。
向いている企業
- 複数のシステムにデータが散らばっている
- 全社で同じ数字を見て意思決定したい
- 現場の担当者が自分でデータを分析したい(ノーコードで扱いたい)
慎重に検討すべき企業
- データがNetSuite内でほぼ完結している(SuiteAnalyticsで足りる可能性)
- そもそも、どのデータをどう使うかが整理できていない
ここで、ひとつお伝えしたいことがあります。
「ツールを入れれば見えるようになる」と考えがちですが、順序が逆になることがあります。まず「何を判断したいのか」を整理することが先です。
実際、BIツールを導入しても使われないケースには、共通した傾向があります。目的が曖昧なまま導入する、データがバラバラのまま可視化しようとする、作って終わりで運用されない。この3つです。ツール選びの前に、ここを押さえておくことが成功の近道になります。
NetSuite×Domoを活かすために大切なこと
NetSuiteとDomoを連携させるとき、見落とされがちな点があります。
それは、「コネクタをつなげば終わり」ではない、ということです。
本当に成果につながるかどうかは、「何の数字を・誰が・どう使うか」の設計で決まります。技術的に接続できても、見るべき指標が定まっていなければ、ダッシュボードは使われなくなります。
特に重要なのが、次の2点です。
- データ統合:NetSuiteと他システムのデータを、どう揃えて意味のある形にするか
- 運用定着:現場が毎日見て、行動に移す状態をどうつくるか
ベンチャーネットは、こうした連携の設計から定着までを支援しています。導入して終わりではなく、使われる状態になるまで一緒に進める伴走を大切にしています。
NetSuiteと外部ツールの連携実装には、業務の整理と設計が欠かせません。「自社の場合はどう繋げばいいか」と迷ったときは、相談できる相手がいると進めやすくなります。
NetSuiteのアドオン開発・外部システムとの連携実装について
👉 NetSuiteリブート(開発・連携支援サービス)
よくある質問(FAQ)
Domoは何ができるツールですか?
データの収集・統合・可視化・分析を、クラウド上で一元化できるBIツールです。
1,000以上のコネクタで各種データに接続し、Magic ETLでデータを加工、Beast Modeで独自の指標を計算できます。ブラウザやモバイルから、いつでもデータを確認できます。
NetSuiteの標準BI(SuiteAnalytics)と何が違いますか?
SuiteAnalyticsはNetSuiteに組み込まれたBIで、NetSuite内のデータを見るのに適しています。
一方Domoは独立したBIプラットフォームで、NetSuite以外の複数システムのデータも横断して統合できます。NetSuite内で完結するならSuiteAnalytics、他システムも含めて全社で可視化したいならDomo、という使い分けになります。
導入や運用に専門知識は必要ですか?
Domoはノーコードで扱える設計のため、プログラミングの専門知識がなくても操作できます。
ただし、「何を可視化するか」の設計や、複数システムのデータ統合には、業務理解にもとづく整理が必要です。ここは専門家の支援を受けると、立ち上げがスムーズになります。
NetSuiteのデータをDomoで見るにはどうすればいいですか?
「Domo for NetSuite」コネクタを使い、NetSuiteのデータをDomoに取り込む方法があります。
ただし、どのデータを・どの粒度で・どう見せるかは、目的に応じた設計が必要です。連携の実装に不安がある場合は、連携支援サービスを活用する方法もあります(例:NetSuiteリブート)。
まとめ
Domoは、1,000以上のコネクタでデータを統合し、ノーコードで可視化できるクラウド型のBIプラットフォームです。
NetSuiteには標準BIのSuiteAnalyticsもあるため、まずは「NetSuite内で完結するのか、他システムも横断したいのか」で判断するとよいでしょう。
そして、BIの成否を分けるのは、ツール選びそのものよりも「データ統合」と「運用定着」です。どんなに高機能なツールでも、使われなければ意味がありません。
自社のデータをどう活かすか。その設計から考えたいときは、ぜひ一度ご相談ください。
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