なぜ日本の中小企業は生産性が上がらないのか?真因とNetSuiteによる解決策

日本の生産性の低さが、長く課題として語られてきました。

特に中小企業では、「人手が足りない」「忙しいのに利益が残らない」という声が絶えません。

ただ、その原因を「働き方」や「ツール不足」だけに求めると、解決策を見誤ります。

本記事では、日本の低い労働生産性の現状を整理したうえで、その本当の原因を掘り下げます。そして、NetSuiteを活用した生産性向上の考え方と、よくある失敗パターンまでを解説します。

目次

日本の労働生産性はなぜ低いのか|現状とデータ

日本の労働生産性は、国際的に見て長く低い水準にあります。

公益財団法人 日本生産性本部「労働生産性の国際比較2025」によると、2024年の日本の時間当たり労働生産性は60.1ドル(5,720円)でした。OECD加盟38カ国中28位です。

主要先進7カ国(G7)の中では、最も低い状況が続いています。

主要国と比べると、その差は次のようになります。

項目日本
時間当たり労働生産性60.1ドル(5,720円)
OECD加盟国中の順位38カ国中28位
G7内での位置づけ最下位

出典:公益財団法人 日本生産性本部「労働生産性の国際比較2025」

日本企業の99.7%は中小企業です。

つまり、中小企業の生産性は、日本経済全体の生産性をほぼそのまま左右します。だからこそ、中小企業の生産性向上は、国全体の重要な経営課題になっています。

生産性が上がらない本当の原因|4つの構造的要因

では、なぜ日本企業の生産性は上がらないのでしょうか。

中小企業の現場では、次の4つの要因がよく見られます。

  • 長時間労働への依存:時間をかければ成果が出る、という前提が残っている
  • アナログな管理手法:紙の申請承認や手作業の集計が続いている
  • 評価制度のミスマッチ:残業の多さが評価され、短時間で成果を出す人が報われにくい
  • 裁量権の小ささ:現場が自分で判断できず、意思決定に時間がかかる

これらはどれも、確かに生産性を下げる要因です。

ただ、ここで一つ立ち止まって考えたいことがあります。

これら4つの要因には、共通する「根っこ」があるのです。それが次の章のテーマです。

真因は「データの分断」|どんぶり経営から抜け出せない理由

生産性を上げたい、という相談を、これまで多くの経営者からいただいてきました。

その現場で見えてきたのは、生産性が上がらない会社に共通する一つのパターンです。

それは、社内のデータがバラバラに散らばっているという状態です。

会計は会計ソフト、販売は販売管理ソフト、在庫は別のExcel。

データが分断されていると、何が起きるでしょうか。

まず、経営者が「今どうなっているのか」をすぐに把握できません。数字を集めるだけで時間がかかり、判断が後手に回ります。いわゆる「どんぶり経営」から抜け出せなくなります。

次に、同じ情報を何度も入力する手間が生まれます。部門ごとにデータを持つため、転記やすり合わせの作業が増えていきます。

前章で挙げた4つの要因も、元をたどればここにつながります。

アナログな管理が残るのも、現場が判断できないのも、必要なデータが一つの場所にまとまっていないからです。

NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットは、企業経営の変革は「データ統合」から始まると考えています。バラバラのデータを一つにまとめること。それが、生産性向上の出発点なのです。

NetSuiteが生産性を高める仕組み|データ統合という発想

ここで、NetSuiteがどう役立つのかをお話しします。

NetSuiteは、Oracle社が提供するクラウド型のERPです。ERP(Enterprise Resource Planning)とは、会計・販売・在庫・購買などの基幹業務を一つにまとめて管理する仕組みを指します。

NetSuiteの本質は、機能の多さではありません。バラバラだったデータを、一つの場所に統合することにあります。

ツールを個別に足していく場合と、データを統合する場合では、生産性への効果が大きく変わります。

観点ツールを個別に導入(部分最適)データ統合型ERP(NetSuite)
データの置き場所部門ごとにバラバラ1か所に統合
経営判断集めるのに時間/どんぶり勘定リアルタイムに把握できる
業務の重複同じ入力を複数システムで繰り返す入力は一度きり
生産性への効果部分的・限定的全社の流れが速くなる

データが統合されると、具体的には次のようなことが可能になります。

  • 業務プロセスの効率化:受注から請求、会計までを一元管理し、転記や二重入力を減らす
  • タイムリーな経営判断:売上・利益率・在庫・キャッシュフローをダッシュボードで把握する
  • 柔軟な権限設定:役割に応じて権限を分け、現場に適切な裁量を持たせる
  • 場所を選ばない働き方:クラウドなので、どこからでも同じデータにアクセスできる

ダッシュボードとは、重要な数字を一画面にまとめて表示する機能のことです。経営者は、見たい数字をすぐに確認できます。

こうして、前章で挙げた「データの分断」という真因が解消されていきます。

業務改善の具体的な進め方については、別記事「NetSuiteで実現する業務改善|「ツール導入で終わらせない」プロセス最適化のポイント」でも詳しく解説しています。

生産性を上げようとして失敗する3つのパターン

ここからは、少し正直なお話をさせてください。

「生産性を上げたい」とNetSuiteの導入を決めた企業が、すべて成功するわけではありません。

ツールを入れただけで生産性が上がった会社を、あまり見たことがありません。

これは、NetSuiteを売り込みたいから書くのではありません。同じ失敗を避けてほしいから書いています。

ベンチャーネットは、お客様と対等な関係でありたいと考えています。だからこそ、つまずきやすいポイントを正直にお伝えします。

生産性向上を目指す企業が陥りやすいのは、次の3つのパターンです。

パターン①:目的が「生産性向上」だけで具体性がない

よくある現象

  • 「DXのため」「効率化のため」とだけ言って導入を進める
  • 何を、どれだけ改善するのかが決まっていない
  • 導入後も、効果が出たのかどうかを測れない

なぜ失敗するか

目的が抽象的だと、本当に必要な機能を見極められません。

結果として、提案されるまま使わない機能に投資してしまいます。生産性が「上がった」という実感も得られません。

どう回避するか

「月次決算を5営業日短縮する」のように、測定できる目標を先に決めましょう。

ベンチャーネットは、最初に「どのボトルネックを外すのか」をご一緒に言語化することから始めます。

パターン②:今のやり方をそのままシステムに移すだけ

よくある現象

  • 「業務は変えたくない」という思いが強い
  • 紙やExcelの手順を、そのままシステムで再現しようとする
  • 属人化したやり方を、誰も説明できない

なぜ失敗するか

非効率なやり方を残したまま、器だけを替えても生産性は上がりません。

むしろ、複雑なカスタマイズが積み重なり、前より使いにくくなることもあります。古い課題が、そのまま新しいシステムに引き継がれてしまうのです。

どう回避するか

近年は「Fit to Standard」という考え方が注目されています。業務を、システムの標準機能に合わせていく発想です。

このタイミングで「本当に必要な業務」と「惰性で続けている業務」を仕分けましょう。ベンチャーネットは、その仕分けから伴走します。

パターン③:ツールを入れたら終わり、と考える

よくある現象

  • 本番稼働日をゴールに設定している
  • 操作研修や定着の取り組みに、予算を割かない
  • 結局、現場がExcelに逆戻りしてしまう

なぜ失敗するか

ERPの本当のゴールは、本番稼働日ではありません。システムが現場に定着し、業務が回り始めた日です。

定着を軽視すると、現場が新しいシステムを使わなくなります。それでは、生産性は元のままです。

どう回避するか

稼働後3〜6か月の定着計画を、最初から組み込んでおきましょう。操作研修、マニュアル整備、運用ルールの明文化が必要です。

ベンチャーネットは、この定着フェーズまで伴走します。

3つのパターンに共通するのは、ある一つの認識のズレです。

それは、ERP導入を「ITプロジェクト」として扱ってしまうこと。次の章で、この点を掘り下げます。

なお、ERP導入の失敗パターンをより広く知りたい方は、別記事「ERP導入はなぜ失敗するのか」もあわせてご覧ください。

ツール導入だけでは生産性は上がらない|経営プロジェクトとしてのERP

生産性向上を、システム部門だけの仕事にしてはいけません。

NetSuiteの導入は、単なるシステムの入れ替えではないからです。

業務プロセスを見直し、部門の壁を取り払い、会社のデータを一本につなぐ取り組みです。これは、経営そのものに関わるテーマです。

つまり、ERPはITプロジェクトではなく、経営プロジェクトなのです。

だからこそ、経営者の関与が欠かせません。

  • 経営者がプロジェクトの責任者として関わる
  • 「なぜ生産性を上げるのか」を経営者自身が語れる
  • 必要なリソースを、投資として確保する

これらは「コスト」ではなく「投資」です。

生産性向上は、ツールを買えば自動的に進むものではありません。経営者が旗を振って、初めて前に進みます。

よくある質問(FAQ)

NetSuiteを導入すれば生産性は上がりますか?

ツールの導入だけでは、生産性は上がりません。

NetSuiteは、データを統合して経営判断を速める強力な仕組みです。ただし、効果が出るのは、業務の見直しとセットで進めた場合です。

前章でお伝えした3つの失敗パターンを避けることが、生産性向上への近道になります。

中小企業でも導入できますか?大企業向けではないですか?

NetSuiteは、中堅・中小企業でも導入できるクラウドERPです。

最初から全機能を使う必要はありません。まずは会計や販売管理など、課題の大きい領域から始めるのが現実的です。

ベンチャーネットは「完璧を目指すより、まず回す」という考え方を大切にしています。動かしながら、少しずつ磨いていきましょう。

情シス担当が一人しかいなくても運用できますか?

運用できます。

NetSuiteはクラウドERPなので、サーバーの保守やシステム更新はベンダー側が担います。「一人情シス」でも回せる設計を前提に、要件を整理することが大切です。

ベンチャーネットは、限られた人員でも無理なく運用できる形を一緒に考えます。

何から始めればよいですか?

まず、自社のボトルネックがどこにあるかを整理することから始めましょう。

課題が「モノの管理」(販売・在庫)なのか、「ヒトの管理」(プロジェクト)なのか。それによって、最初に手をつける領域が変わります。

どこから始めるべきか迷ったら、お気軽にご相談ください。

まとめ|生産性向上の第一歩は「自社のボトルネックを知ること」

日本の中小企業の生産性が上がらない本当の原因は、ツール不足ではありません。

社内のデータが分断され、経営判断が後手に回っていることにあります。

NetSuiteは、このデータの分断を解消し、生産性向上の土台をつくる仕組みです。

ただし、ツールを入れただけでは生産性は上がりません。目的を具体化し、業務を見直し、定着まで取り組むこと。そして、経営者自身が関わること。これらがそろって、初めて成果につながります。

焦る必要はありません。

まずは、自社の課題が「モノ」なのか「ヒト」なのか。そこを整理することから、ご一緒に始めましょう。ベンチャーネットは、対等な関係の伴走者として、生産性向上をお手伝いします。

導入を丸投げするのではなく、二人三脚で進めたい方は、別記事「伴走型のNetSuite導入支援とは?」もご覧ください。

もう少し詳しく知りたい方へ

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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