「うちは、どうやって儲けているのか」に答えられますか
「自社は、どうやって利益を生んでいるのか」。そう問われて、すぐに筋道立てて説明できる経営者は、意外と多くありません。
日々の仕事が回っていると、儲けの”仕組み”そのものを問い直す機会は、なかなか訪れないからです。
ですが、ベンチャーネットは、事業が順調な今こそ、その仕組みを見直すべきだと考えています。
環境の変化が激しい時代に、いまの稼ぎ方がいつまでも通用するとは限りません。うまくいっている時期にこそ、次の仕組みづくりに着手しておく。それが、中小企業が生き残るための備えになります。
この「儲ける仕組み」を、誰にでも伝わる形に言葉化したもの。それが「ビジネスモデル」です。この記事では、ビジネスモデルとは何かを、定義・代表的な種類・自社への活かし方の順にやさしく解説します。
ビジネスモデルとは何か
ビジネスモデルとは、ひとことで言えば「事業の儲ける仕組み」のことです。「誰に」「何を」「どのように」価値を届け、その結果どう収益を上げるのかを明らかにしたものを指します。
近年はもう一歩進んで、「どのように価値を生み出し、顧客に届けるかを、論理的かつ構造的に記述したもの」という定義も使われます。ベンチャーネットは、この後者の考え方を採用しています。
理由は、中小企業ほど「他者を巻き込む力」が必要だからです。人手や資金が限られるなかで事業を伸ばすには、社内外の協力者を得なければなりません。そのためには、複雑なビジネスの流れを単純化せずに説明し、誰もが納得できる”共通言語”に置き換える必要があります。
逆に言えば、儲ける仕組みが頭の中だけにある状態では、人もお金も集まりにくいということです。仕組みを言葉にして初めて、相手は「自分も関わる意味がある」と判断できます。
ビジネスモデルの3つの土台
一般に、優れたビジネスモデルには次の3つの要素が必要だとされています。
- 有用性:顧客に何らかの付加価値を提供できるか(誰のどんなニーズに、何を、どう届けるか)
- 実現可能性:資金・人・ノウハウ・技術の面で、現実に成り立つか
- 持続可能性:継続的に収益を生み出し続けられるか(稼ぐプロセスに穴がないか)
ビジネスモデルの3つの土台。有用性・実現可能性・持続可能性のどれか1つでも欠けると成り立たず、3つがそろって初めて機能します。
この3つは、どれか1つでも欠けると成り立ちません。役に立っても続かなければ事業にならず、続いても顧客の役に立たなければ選ばれないからです。3つがそろって初めて、ビジネスモデルは機能します。
さらに大切なのが、これらを「いま自社で起きていること(現象)とワンセットで考える」という視点です。既存事業の状況、競合の動き、業界のトレンド、現場の課題。こうした現実を踏まえたうえで、仕組みに落とし込んでいきます。
代表的なビジネスモデル9種
ビジネスモデルを考えるうえでは、過去の型を知っておくと役立ちます。ここでは代表的な9つの型を整理します。
| モデル | 収益の取り方 | 身近な例 | 相性が良い場面 |
|---|---|---|---|
| 物販モデル | 自社で作った商品を売る | メーカーの製品販売 | 製品の品質そのものが価値になるとき |
| 小売モデル | 仕入れた商品を売る | 小売店・EC | 仕入れと販売ルートに強みがあるとき |
| 広告モデル | 媒体に広告を載せ広告料を得る | メディア・インフルエンサー | 集客力・発信力があるとき |
| 継続課金(サブスク) | 定額を周期的に支払ってもらう | 音楽・動画配信 | 継続利用される商材のとき |
| フリーミアム | 基本無料+一部を有料化 | 基本無料アプリ | 無料で広げ有料へ転換したいとき |
| 従量課金 | 使った分だけ支払ってもらう | 電気・水道料金 | 無形商材・利用量が読みにくいとき |
| マッチング | 需要と供給をつなぎ成功報酬を得る | 仲介・クラウドソーシング | 売り手と買い手の橋渡しができるとき |
| ライセンス | 使用する権利を許諾し対価を得る | キャラクター・特許の許諾 | 知的財産を持っているとき |
| レンタル | 一定期間貸し出し料金を得る | カーシェア・レンタル | 資産を貸し出せるとき |
大事なのは、ビジネスモデルに決まった「正解」は無いということです。企業によって最適解は違います。
近年は、複数の型を組み合わせる例も増えています。物販を軸にしながら継続課金やフリーミアムの要素を足す、といった具合です。型が絡み合うほど、「構造化」して整理する力が問われます。
とくに中小企業は、資金や販路、人の体制が安定しないこともあり、ビジネスモデルを何度も組み替える場面が出てきます。だからこそ、型そのものに加えて、ビジネスモデルを描くための「考え方(フレームワーク)」を持っておきたいところです。その代表が「ビジネスモデルキャンバス」で、これは別記事でくわしく解説します。
なぜ中小企業こそ、ビジネスモデルを描き直すのか
ビジネスモデルの見直しは、大企業だけのテーマではありません。むしろ中小企業にこそ必要だと、ベンチャーネットは考えています。
新しい価値を生み出す取り組みは、ふつう「技術革新」や「画期的な新製品」が思い浮かびます。ですが、これらは資本力と直結するため、中小企業が正面から挑むのは簡単ではありません。
一方で、組織のあり方を変えたり、機会を見つけてビジネスモデルそのものを描き直したりする道なら、資本の大小に左右されにくいのです。すでにある資源を組み合わせ、新しい仕組みをつくる。ここに中小企業の勝ち筋があります。
たとえば同じ商品でも、「誰に届けるか」を変えるだけで新しい価値が生まれることがあります。設備や技術を一から作らなくても、組み合わせ方を変えれば勝負できる。これは、大きな投資を前提としない中小企業向けの戦い方です。
その核になるのが、ビジネスモデルの改革です。仕組みが論理的で、第三者にも理解できる形になっていなければ、ステークホルダー(取引先・協力者・社員などの利害関係者)を巻き込むことはできません。資金や人が潤沢でない中小企業ほど、ビジネスモデルを共通言語として描き直し、周囲を巻き込んでいく意味があります。
ベンチャーネットは、この流れを「見える化(現状を掴む)→わかる化(意味を読み解く)→儲かる化(仕組みを描き直す)」と捉えています。まず自社の数字や業務を見える化し、そこから「なぜそうなっているか」をわかる化する。その理解の上で、ようやく儲ける仕組みを描き直せます。順番を飛ばさないことが大切です。
経営をよくする3段階の流れ。見える化→わかる化→儲かる化と進み、ビジネスモデルの描き直しは最後の「儲かる化」にあたります。
ビジネスモデルの描き直しは、その最後の”儲かる化”にあたる、生存のための一手です。
ビジネスモデルを描き直すときの3つの落とし穴
ビジネスモデルの見直しは、進め方を誤ると効果が出ません。ベンチャーネットが現場で見てきた、つまずきやすい3つのパターンを共有します。
これは、相談を売り込むためではなく、遠回りを避けてほしいからお伝えするものです。
① 流行りの型を、そのまま借りてしまう
「サブスクが流行っているから自社も」と、型だけを当てはめるケースです。
ですが、型は自社の現実と噛み合って初めて機能します。いま自社で何が起きているのか(現象)を見ないまま型を借りても、収益にはつながりません。
→ 型より先に、自社の現象を見ること。型は、現象とワンセットになって初めて機能します。
② 自社を見ずに、フレームから入ってしまう
便利なフレームワークを埋めること自体が目的になり、中身が空っぽになるケースです。
枠は埋まっても、「誰に・何を・どう届けるか」の実態が言葉になっていなければ、絵に描いた餅で終わります。
→ まずは自社の「誰に・何を・どのように」を具体的に言語化することから始めます。
③ 一度描いて、そのまま固定化してしまう
ビジネスモデルは、一度つくれば完成、というものではありません。
とくに中小企業は、資金や人の体制が変わりやすく、何度も組み替える前提が現実的です。固定化すると、環境の変化に取り残されます。
→ 「完璧を最初から目指すより、まず描いて回しながら磨く」。この姿勢が、結果的に強い仕組みを育てます。
よくある質問(FAQ)
Q. ビジネスモデルと、経営戦略・事業計画は何が違うのですか?
ざっくり言うと、戦略は「どの市場でどう戦うか」という方向性、ビジネスモデルはそれを「誰に何をどう届けて儲けるか」という仕組みに落としたもの、事業計画はさらに行動や数値に落としたものです。ビジネスモデルは、戦略と計画をつなぐ”仕組みの設計図”にあたります。
Q. 中小企業にも、ビジネスモデルの設計は本当に必要ですか?
必要だと考えています。資金や人が限られるからこそ、儲ける仕組みを論理的に整理し、協力者を巻き込む必要があるからです。仕組みが共通言語になっていれば、社員にも取引先にも伝わりやすくなります。
Q. ビジネスモデルは、どこから作り始めればいいですか?
まずは自社の現状を「誰に・何を・どのように・どう稼ぐか」で書き出すところからです。その整理を体系的に行うために、「ビジネスモデルキャンバス」というフレームワークが役立ちます。具体的な手順は、別記事で解説しています。
Q. うちは複数のモデルが混ざっています。問題でしょうか?
問題ではありません。近年はむしろ複数の型を組み合わせる例が一般的です。ただし型が増えるほど全体像が見えにくくなるため、構造を整理して可視化することが大切になります。
Q. ビジネスモデルを変えると、現場が混乱しませんか?
急にすべてを変える必要はありません。まず小さく試し、うまくいった部分から広げるのが現実的です。描き直しは一度きりの大手術ではなく、回しながら少しずつ調整していくものです。
まとめ:描いて終わりではなく、回しながら磨く
ビジネスモデルとは、「誰に・何を・どのように届けて儲けるか」を、誰にでも伝わる形に言葉化した、事業の儲ける仕組みです。
そして、一度描いて終わりではありません。環境が変われば、仕組みも描き直す。その繰り返しが、中小企業の生存力を育てます。描き直しは、弱点ではなく、強みになります。
ベンチャーネットは、経営をよくする流れを「見える化 → わかる化 → 儲かる化」で捉えています。ビジネスモデルの描き直しは、その最後の”儲かる化”にあたります。
とはいえ、複雑なビジネスを”共通言語”に置き換える作業は、一人で進めるのは簡単ではありません。だからこそベンチャーネットは、対等な立場で一緒に考える伴走者でありたいと考えています。
次の一歩として、ビジネスモデルを実際に描くためのフレームワーク「ビジネスモデルキャンバス」の使い方を、別記事で具体的に解説しています。あわせてご覧ください。

