AIは内製か、外注か——中小企業が選ぶ”伴走”という第三の道

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その二択で、止まっていませんか

「AIを使いたい。でも、社内に詳しい人がいない」
「かといって、外注に丸投げするのも不安だ」

AI活用を考え始めた経営者の多くが、この二択の前で足を止めています。

実際、中小企業のAI導入率は約12%にとどまります。大企業の40%超と比べ、大きく出遅れた水準です(株式会社Leach「中小企業AI導入実態調査2026」)。

止まる理由は、技術の難しさやコストではありません。最も多い答えは「何から始めればいいか分からない」で、62%を占めました(同調査)。

つまり、多くの経営者は「やるか、やらないか」ではなく、「どう始めるか」で立ち止まっています。

この記事では、その入口にある「内製か、外注か」という二択を一度ほどき、第三の道を一緒に考えます。

なぜ「内製か、外注か」で止まるのか

二択で迷うのは、どちらにも見えにくい落とし穴があるからです。順に見ていきます。

内製の壁:人がいない、運用が回らない

内製とは、社内の人材でAI活用を進めることです。
自社を一番よく知る人が手を動かせる、という強みがあります。

ただ、現実には人材の確保が難しいのです。
生成AIのスキルを求める求人は急増していますが、応えられる人材は最も不足している部類です(人材サービスRandstadの調査)。

仮に一人見つけても、その人が辞めれば運用は止まります。
「詳しい人頼み」の状態は、思った以上に脆いものです。

外注の壁:丸投げだと、成果が続かない

外注とは、AIの構築を外部の専門会社に任せることです。
専門知をすぐ借りられる、という強みがあります。

ただ、丸投げにすると成果が続きません。
MITの調査(「The GenAI Divide」2025年)によれば、試しに導入したAIの約95%が、利益への測定可能な効果を生めなかったといいます。

原因は、AIの性能ではありません。
業務の流れにAIが馴染まず、現場で使われないまま止まる。これが多くの失敗の正体です。

しかも、つくって終わりの関係では、改善のたびに外部への依存とコストだけが増えていきます。

二択そのものが、罠

ここで気づくことがあります。
内製の弱点(社内に知見がない)を、外注は補える。
外注の弱点(社内に残らない)を、内製は補える。

つまり内製と外注は、対立ではなく補い合う関係です。
「どちらか一つを選ぶ」という前提そのものが、判断を狭めていたのです。

第三の道:外の知見を借り、社内に残す「伴走」

二択をほどくと、第三の道が見えてきます。
外部の専門知を借りながら、社内にノウハウを残していく進め方です。ここでは「伴走」と呼びます。

AI活用の3つの進め方 内製 社内の人材で進める 自社を一番よく知る 人材の確保が難しい 属人化で止まりやすい 外注(丸投げ) 外部にすべて任せる 専門知をすぐ借りられる 改善が続きにくい 依存が深まりやすい 伴走(第三の道) 外の知見を借り、社内に残す 外部の専門知を借りる 社内にノウハウが残る 小さく始めて積み上がる

図:内製・外注・伴走の比較。内製と外注はそれぞれに壁があり、伴走は両者の弱点を補う第三の道です。

米国では「部分稼働の専門家」が広がっている

補助線として、米国の動きを一つ紹介します。

近年、中堅企業のあいだで「fractional(部分稼働型)」のAI責任者を迎える動きが広がっています(WipfliやHatchworksなどの業界レポート、2025〜2026年)。

常勤を雇わず、外部の専門家が部分的に関わる。
戦略と土台を一緒に立ち上げ、軌道に乗ったら社内へ引き継ぐ。そんな「橋渡し」型の関わり方です。

丸投げでも、抱え込みでもない。
「外の知見を借りながら、社内に残す」という発想は、国を問わず求められ始めています。

鍵は「事例」と「選び方」を一緒に埋めること

中小企業が本当に困っているのは、ツールそのものではありません。

中小機構(中小企業基盤整備機構)が2026年3月に公表した調査(全国1万社対象)があります。
そこでも、導入の壁の上位には「活用事例の情報が足りない」「どの製品を選べばいいか分からない」が並びました。

これらは、製品を売るだけでは埋まりません。
自社の業務に即して「何から、どう始めるか」を一緒に考える相手がいて、初めて埋まる空白です。

成果を出す5%がしていること

先ほどのMIT調査には、続きがあります。
成果を出せた5%の企業には、共通点がありました。

  • 課題を一つに絞る
  • そこを着実にやり切る
  • 外部とうまく組む

派手な全社改革ではなく、小さく絞って、外部と組んで、業務に馴染ませる。
これが、止まらないAI活用の輪郭です。

伴走で、何が変わるか

伴走型で始めると、進み方が変わります。

まず、小さく始められます。
いきなり大きなシステムを作らず、身近な業務から試せます。

実際、中小企業が最初に取り組むAI活用は「書類処理・データ入力」が38%で最多でした(Leach調査)。
華やかな案件ではなく、日々の定型業務から、が現実です。

そして、社内に少しずつ知見が貯まります。
外部の専門家と一緒に手を動かすうちに、社員が自分で扱えるようになる。
これが「丸投げ」との大きな違いです。

国も、IT導入補助金や省力化投資補助金などで、中小企業のこうした投資を後押ししています(中小企業庁)。
追い風は吹いています。問われているのは、最初の一歩の踏み出し方です。

よくある疑問と、始めるときの注意点

Q. AIに仕事を奪われませんか?
A. 慢性的な人手不足に悩む中小企業にとって、AIは人を減らす道具ではなく、足りない人手を補う味方です。人を支える使い方から始めるのが現実的です。

Q. 何から始めればいいですか?
A. まずは負担の重い定型業務を一つ選びます。全社改革より、小さな一点突破のほうが定着します。

Q. 失敗しやすいのはどんなときですか?
A. 目的を決めずに「とりあえずAIを」と始めるときです。データが散らかったまま、現場の使い方も決めないまま進めると、成果が出る前に止まります。

まとめ——問いは「内製か、外注か」ではない

ここまで見てきたように、内製と外注は対立する二択ではありませんでした。
本当に大事な問いは、別のところにあります。

それは、AI活用を、どう「社内に残していくか」です。

外の知見を借りながら、社内に力を残す。
その伴走の進め方こそが、止まらないAI活用の第三の道です。

ただ、自社にとっての「最初の一点」は、社内からは意外と見えにくいものです。
毎日見ている業務ほど、どこから手をつけるべきかの判断が難しい。
外からの目が一つ入るだけで、その一点が定まりやすくなります。

ベンチャーネットは、中小企業のAI活用を、この伴走の姿勢で支えています。
「何から始めればいいか」で止まっているなら、その入口を一緒に整えるところから始められます。

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

株式会社ベンチャーネット 代表取締役
2005年に株式会社ベンチャーネットを設立後、SEOをはじめとするデジタルマーケティング領域のコンサルティングサービスを展開
広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で支援を行っています
著書に『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業 「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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