「見える」と「わかる」は違う——現象の裏にある構造

売上の数字も、競合の動きも、見えてはいる。けれど、何から手をつければいいのかは、はっきりしない。そんな経験はないでしょうか。

この記事では、「見えている」ことと「わかっている」ことの違いを整理します。経営課題の見つけ方に悩む方が、最初の一歩を踏み出すための考え方です。

目次

その数字、見えてはいるけれど

たとえば、こんな状況です。

  • 自社の売り上げが落ちている
  • 競合他社に勢いがある
  • 業務の無駄が多い気がする
  • 「DX」という言葉が世の中で飛び交っている
  • 「パーパス経営」「両利きの経営」が大切だと言われる

どれも、目には入っています。数字やニュースとして「見えて」います。

それでも、いざ「では、何をすればいいのか」となると、手が止まる。多くの経営者が、ここでつまずきます。

見えているのに、動けない。この“もやもや”には、理由があります。

「見える」と「わかる」は、何が違うのか

見えているのは、表に現れた出来事です。これを現象と呼びます。

その裏には、出来事を生み出している仕組みがあります。これを構造と呼びます。

売上が落ちているのは現象です。なぜ落ちているのか——その理由をつくっている仕組みが構造です。

ベンチャーネットが大切にしているのは、「現象は、構造とセットで考える」という一点です。

現象だけを見て対策を打つと、打ち手はずれます。「売上が落ちた → とにかく広告を増やす」では、原因がわからないまま走ることになるからです。

現象の裏にある構造まで届いて、はじめて「わかった」と言えます。

現象は「構造」とセットで考える 現象(見える) 目に見える出来事 売上が落ちている 競合に勢いがある 業務の無駄が多い なぜ? 構造(わかる) 出来事を生み出している仕組み 現象だけ見て対策を打つと、打ち手はずれる。 裏の構造まで届いて、はじめて「わかった」と言える。 ここを“わかる化”する

図:経営者が目にする「現象」は、その裏の「構造」とセットで考える。現象だけで動くと打ち手がずれ、構造まで降りて初めて「わかった」と言える。

現象から構造へ降りる——「わかる化」という考え方

では、現象から構造へ、どう降りていくのか。

入口はシンプルです。目の前の現象に、「なぜ、こうなっているのか」と問い続けることです。

  • 売上が落ちている → なぜ? → どの商品が、どの顧客で落ちたのか
  • 業務の無駄が多い → なぜ? → どの工程で、なぜ手戻りが起きるのか

「なぜ」を一段ずつ降りると、表からは見えなかった仕組みが姿を現します。これが、構造を理解するということです。

ベンチャーネットは、この「数字の裏にある構造を理解する」ことを、社内で“わかる化”と呼んでいます。

経営の歩みは、3つの段で考えるとわかりやすくなります。

  1. 見える化:数字や状況が見える
  2. わかる化:その数字の裏にある構造がわかる
  3. 儲かる化:構造に手を打ち、利益につなげる

まず数字を見えるようにする。次に、その裏の構造をわかるようにする。そして、構造に手を打つ。この順番です。

数字を見えるようにする「見える化」については、〔内部リンク:2-1 経営の見える化とは何か〕で整理しています。本記事は、その次の段である「わかる化」の入口です。

なぜ、構造まで見るのか

現象だけを追いかけると、対処は場当たりになります。今月は広告、来月は値下げ。現象が変わるたびに、振り回されます。

構造がわかると、打ち手に再現性が生まれます。同じ仕組みから生まれる問題には、同じ筋で手が打てるからです。

これは、人手不足のような悩みでも同じです。人手不足は、根性ではなく、仕事の構造で解く。ベンチャーネットがこの考え方を大切にしているのは、構造に向き合うことが、遠回りに見えていちばんの近道だからです。

成果は、たまたまではなく、構造から生まれます。だからこそ、現象の手前で止まらず、構造まで降りる価値があります。

よくある誤解(FAQ)

Q. データを集めて「見える化」すれば、課題はわかるのでは?
データが見えることと、構造がわかることは別です。見える化は出発点で、そこから「なぜ」を問う作業が「わかる化」です。グラフがきれいに並んでも、裏の仕組みに届かなければ、打ち手は決まりません。

Q. 構造を考えるのは、大企業の話では?
むしろ中堅・中小企業ほど効きます。打てる手の数が限られるからこそ、現象に振り回されず、構造の急所に絞ることが大切になります。

Q. 専門知識がないと、構造はわからない?
出発点は「なぜ、こうなっているのか」という問いだけです。難しい理論より、現場の事実を一段ずつたどるほうが、構造の理解には役立ちます。

まとめ:見えたら、次は「わかる」へ

数字が見えるようになったら、次はその裏の構造を「わかる」へ。これが、経営課題の見つけ方の土台になります。

  • 現象だけで判断せず、「なぜ」を問いかけて構造まで降りる
  • 見える化 → わかる化 → 儲かる化、の順で進める
  • 構造がわかると、打ち手に再現性が生まれる

まずは次の記事〔内部リンク:3-2 成果は「構造」が創る〕で、構造そのものをもう一歩深く見ていきます。構造のどこに手を打つか(〔内部リンク:第4章 わかる化から「儲かる化」へ〕)、事業の形ごと描き直すか(〔内部リンク:第5章 ビジネスモデルを描き直す〕)は、この先の章で扱います。

自社の構造は、中にいると意外と見えにくいものです。だからこそ、外からの目を一つ加えると、急に像を結ぶことがあります。

自社の現象の裏にある構造を、一度いっしょに見てみたい——そう感じた方は、ベンチャーネットにお声がけください。

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

株式会社ベンチャーネット 代表取締役
2005年に株式会社ベンチャーネットを設立後、SEOをはじめとするデジタルマーケティング領域のコンサルティングサービスを展開
広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で支援を行っています
著書に『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業 「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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