ECの受注は増えたのに、ERP(基幹システム)への入力は今も手作業。在庫はShopifyとERPで二重管理になっている。そんな悩みを抱える企業は少なくありません。
ERP(Enterprise Resource Planning:会社全体の業務データを一つに統合するシステム)は、企業の基幹システムです。これとEC(電子商取引)をつなぐと、受注から在庫、会計までが一気通貫になります。
この記事では、ShopifyとNetSuiteを連携する3つの手段と、自社に合う選び方を解説します。あわせて、連携プロジェクトでよくある失敗パターンもお伝えします。
ShopifyとNetSuiteを連携すると何ができるのか
ShopifyとNetSuiteを連携すると、商品・在庫・受注・顧客のデータを自動で同期できます。手作業の入力やシステム間の転記が不要になります。
ここでいう連携とは、片方のシステムのデータ変更を、もう片方に自動で反映させる仕組みのことです。
受注・在庫・顧客データの一元管理
Shopifyで受けた注文が、自動でNetSuiteに取り込まれます。NetSuite側で管理する在庫数も、Shopifyの販売ページに反映されます。
これにより、注文から発送、請求、在庫・会計データの管理までを、一つの流れで扱えるようになります。
手入力のミスと業務負荷の削減
連携設定がないと、これまで次のような作業が発生していました。
- Web受発注のデータを毎日エクスポートし、基幹システムにインポートする
- CSVの形式が違うため、手作業で修正する
- 新しい商品が出るたびに、両方のシステムにマスタ情報を入力する
データの自動連携を設定すると、こうした入力管理の作業が不要になります。入力ミスや反映の遅れも防げます。
なぜいまBtoB領域でEC連携が重要なのか
BtoB(企業間取引)の領域でも、ECの利用は年々広がっています。連携の重要性は、以前より高まっています。
経済産業省の調査によると、BtoBのEC化率は43.1%まで上昇しました(前年比3.1ポイント増)。商取引の電子化は引き続き進んでいます(出典:経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査」2025年8月発表)。
電話・FAX・メール受注からの脱却
これまで一般的だった電話・FAX・メールでの受注に加えて、ECで注文を受ける体制が増えています。
ECを使うと、次のメリットが生まれます。
- 取引先からの電話対応をWeb上で完結できる
- 24時間365日、注文を受けられる
- 受注や出荷の状況をリアルタイムで把握できる
人の手を介していた業務をECに移すことで、自社と取引先の双方に利点が生まれます。
取引先ごとの価格・商品出し分け
BtoBでは「取引先ごとに違う商品や価格を見せたい」というニーズがよくあります。
ERPとECを連携すると、ERPに登録した商品・価格データを、そのままECで使えます。商品マスタを一度ERPに設定すれば、ECにも反映されます。
ERPは顧客情報も管理しています。ECの購買データと組み合わせれば、取引先に合わせた出し分けも容易になります。
Shopify×NetSuite連携の3つの手段【比較表】
ShopifyとNetSuiteの連携には、大きく3つの手段があります。それぞれ特徴と向き不向きが異なります。
| 比較軸 | ① NetSuite Connector(Oracle公式) | ② iPaaS型(Celigo・Boomi等) | ③ サードパーティ製アプリ |
|---|---|---|---|
| 提供元 | Oracle NetSuite | Celigo、Boomi など | 各アプリ開発元 |
| 連携データ | 商品・価格・在庫・受注・フルフィルメント(B2C/B2B/POS対応) | 設計次第で柔軟に対応 | 注文・在庫・価格・商品など(アプリにより差) |
| カスタマイズ性 | 標準範囲は手早い/範囲超はパートナー支援 | 高い(複雑な要件向き) | 限定的 |
| 価格の目安 | 月額199.92ドル〜 | 要見積(規模・要件による) | 月額49ドル〜など低価格帯も |
| 向くケース | 標準的な連携を早く始めたい | 業務が複雑・複数チャネル統合 | 小規模・シンプルな同期 |
| 注意点 | 標準超の要件はパートナー支援が必要 | 設計・構築に専門知識が要る | 機能・サポート範囲が限定的 |
※価格は2026年5月時点。為替・プランにより変動します(出典:Shopify App Store)。
NetSuite Connector(Oracle公式)
NetSuite Connectorは、Oracle NetSuiteが公式に提供する連携ツールです。
商品・価格・在庫・受注・フルフィルメントのデータを、NetSuiteとShopify(B2C・B2B・POS)の間で自動同期します。標準的な連携を比較的早く始められるのが特徴です(出典:Shopify App Store)。
iPaaS型(Celigo・Boomiなど)
iPaaS(Integration Platform as a Service:システム連携を行うクラウド基盤)は、CeligoやBoomiなどが提供します。
設計の自由度が高く、複雑な業務や複数システムの統合に向いています。一方で、設計・構築には専門的な知識が必要です。
サードパーティ製アプリ
Shopifyのアプリストアには、低価格帯の連携アプリもあります。月額49ドルからのものもあります(出典:Shopify App Store)。
小規模でシンプルな同期から始めたい場合の選択肢になります。ただし、機能やサポートの範囲は限定的です。
連携手段の選び方──自社に合うのはどれか
連携手段は、自社の状況に合わせて選ぶことが大切です。判断の軸は主に3つあります。
- 連携する業務の範囲と複雑さ
- 自社のリソース(社内に対応できる人がいるか)
- かけられる予算
標準的な連携を早く始めたいなら公式コネクタ、複雑な統合なら iPaaS型、小規模からならアプリ、というのが大まかな目安です。
ただし、自社にとっての「最適」は、業務の実態を見てみないと分かりません。同じ業種でも、受注の流れや在庫の持ち方は会社ごとに違うからです。
ベンチャーネットは、どの手段が自社に合うかを、お客様と一緒に見極めるところから支援します。ツールありきではなく、業務に合わせて選ぶ。その順序を大切にしています。
連携プロジェクトの落とし穴──現場で見てきた失敗パターン
連携ツールを入れれば、すべて解決する。残念ながら、そうではありません。
ベンチャーネットがこれまで見てきた中で、連携プロジェクトには共通する落とし穴があります。ここでは4つの失敗パターンと回避策を共有します。
これは、ツールを売り込みたいから書くのではありません。お客様に「失敗してほしくない」という思いからお伝えするものです。
パターン①:ツール選びから入ってしまう
症状
「どの連携ツールがいいか」という比較から、検討を始めてしまうケースです。
なぜ失敗するか
連携すべき業務範囲やデータの流れが、整理されないまま進みます。結果として、入れたものの使いこなせないという事態になります。
どう回避するか
先に「何を・どこまで・どの方向に連携するか」を業務設計で決めます。ツール選びは、その後です。
パターン②:連携範囲を最初から欲張る
症状
商品・在庫・受注・顧客・会計を、一度に全部つなごうとするケースです。
なぜ失敗するか
設計が複雑になりすぎます。不具合が起きたとき、どこが原因か切り分けるのが難しくなります。
どう回避するか
効果の大きい範囲から、段階的に始めます。まずは在庫や受注の連携から、というのが現実的です。
パターン③:在庫・マスタの二重管理が残る
症状
連携した後も、Shopify側とNetSuite側で別々にマスタを手修正しているケースです。
なぜ失敗するか
「どちらが正しいデータか」が曖昧になります。在庫数や価格がずれ、データの不整合が起きます。
どう回避するか
マスタの「正」をどちらに置くか、連携の方向を最初に決めます。これだけで二重管理の多くは防げます。
パターン④:運用ルールを決めずに本番稼働する
症状
同期のタイミングや、エラー時の対応を決めないまま稼働してしまうケースです。
なぜ失敗するか
エラーが起きても、誰も気づきません。受注漏れや在庫差異が、後から発覚します。
どう回避するか
同期の頻度、エラーの検知方法、運用担当者を、稼働前に明文化します。
これら4つは、いずれも「事前に知っていれば防げる」落とし穴です。
連携は、あくまで手段です。本当の目的は、ばらばらだった経営データを一本につなぐことにあります。
「自社の場合はどう進めればいいのか」と感じた方は、お気軽にご相談ください。御社にとって最適な進め方を、一緒に考えさせてください。
よくある質問(FAQ)
ShopifyとNetSuiteの連携について、よくいただく質問をまとめました。
Q1. ShopifyとNetSuiteは、どんな方法で連携できますか?
公式コネクタ・iPaaS型・サードパーティ製アプリの3つの手段があります。
自社の連携範囲、社内リソース、予算に応じて選びます。標準的な連携なら公式コネクタ、複雑な統合なら iPaaS型、小規模ならアプリが目安です。
Q2. NetSuite Connectorは日本でも使えますか?
現在は利用可能になっています。
NetSuite Connectorは、Oracle NetSuiteが公式に提供する連携ツールです。Shopify(B2C・B2B・POS)との間で、商品・在庫・受注などのデータを自動同期できます。出典はShopify App StoreおよびNetSuite公式です。
Q3. 連携の設定や開発は、自社だけでできますか?
標準的な範囲なら、比較的容易に始められます。
ただし、自社の業務に合わせた設計やカスタマイズには、専門知識が必要です。「どこまで自社で、どこからパートナーに」を見極めることが大切です。連携の設計・開発はパートナーが担当するのが一般的です。
Q4. 連携にかかる費用はどれくらいですか?
連携ツールの利用料に加えて、設計・構築の費用がかかります。
費用は手段や連携範囲によって幅があります。具体的な金額は、要件を整理したうえで見積もる必要があります。まずは連携したい業務範囲を整理することをおすすめします。
Q5. 連携すると、業務はどう変わりますか?
手入力や二重管理が減り、受注から在庫、会計までが一気通貫になります。
データがリアルタイムでつながるため、在庫差異や入力ミスが減ります。結果として、経営データの一元化が進み、判断のスピードも上がります。
まとめ──連携は「手段」、目的は経営データの一元化
ShopifyとNetSuiteの連携には、公式コネクタ・iPaaS型・アプリの3つの手段があります。どれが最適かは、自社の業務の実態によって変わります。
そして、連携で大切なのは順序です。ツール選びより先に、業務設計があります。「何を・どこまで・どの方向につなぐか」を決めることが、成功への近道です。
連携は手段にすぎません。本当の目的は、ばらばらだった経営データを一本につなぎ、より速く正確な経営判断を可能にすることです。
ベンチャーネットは、NetSuite認定パートナー(Solution Provider)として、連携の設計から運用までを伴走支援します。「自社の場合はどうか」を一緒に考えるところから始めましょう。
