ERPの育て方は守破離|標準に合わせ、連携で広げ、AIで自社の形へ

「稼働の日に、ERPは完成する」

導入の計画書は、たいていこの前提で書かれています。

ところが稼働して数か月たつと、現場から声が上がります。

「標準の画面が、うちのやり方に合わない」

「あのサービスとつながっていないから、結局手で転記している」

「AIで何かできるはずなのに、何から手を付けていいか分からない」

全部に一度にこたえようとすると、ERPは重くなります。

作り込みが増え、つなぎ先が増え、やがて誰も全体を説明できなくなる。

ERPは、一度に完成させるものではありません。

段階を踏んで育てるものです。

NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットは、その段階を芸道や武道の言葉を借りて「守破離」と呼んでいます。

守は標準に合わせる、破は外とつなぐ、離は自社の形にする。

では、3つの段階をつなぐものは何か。

順番どおりに通過することではありません。答えは第6章にあります。

最後の「離」には、ベンチャーネット自身がまだ構想として検討している部分も含みます。

どの会社にも当てはまる正解ではなく、順番を考えるための枠組みとして読んでください。

目次

この記事で分かること

  • ERPの育て方を「守・破・離」の3段階で考える枠組み
  • 順番を飛ばすと、なぜうまくいかないのか
  • 各段階でやることと、次に進んでよい目安
  • 段階をまたいで残していくもの
  • AIを、どの段階でどう使えるか

ERPの守破離とは

守破離という言葉

守破離とは、まず型を守り、次に型を破り、最後に型から離れるという成長の段階を表す言葉です。

芸道や武道で使われてきました。

いきなり自己流で始めない。

まず型を身につけ、身についてから自分に合わせて崩す。

最後に、型にとらわれない自分の形をつくります。

ERPに当てはめると

ベンチャーネットは、この3段階をERPの育て方に重ねています。

段階やること中心になるもの次に進んでよい目安
守標準の機能に業務を合わせるERPの標準標準で回る業務と回らない業務の境目が見えた
破外のサービスとつなぎ、業務の幅を広げる連携どのデータがどこを流れているかを説明できる
離蓄積した知見をもとに、自社固有の仕組みをAIで組み立てる自社のナレッジ何を自社の形にし、何を標準に残すかを決められる

合わせる、つなぐ、自分の形にする。

一言で言えば、そういう順番です。

一度に完成させる進め方との違い

ERPの導入は、「稼働の日に完成させる」前提で進むことが多くあります。

段階で育てる進め方とは、次の点が違います。

観点一度に完成させる段階で育てる(守破離)
ゴール稼働の日にすべてをそろえる稼働の日は守の始まり
要件の決め方最初に全部を洗い出す標準で回してから、足りないものを見つける
作り込み最初に多くなりやすい必要と分かったものだけ、後から足す
稼働後の見直し予定されていないことが多い段階ごとに、次に進むかを判断する
知見の扱いプロジェクトの終わりで散らばる各段階で記録し、次の材料にする

一度に完成させる進め方が、いつも悪いわけではありません。

業務が単純で変わりにくい会社なら、それで十分なこともあります。

ただ、事業が伸びている会社ほど、業務は変わり続けます。

完成した日の設計は変わり続ける業務に追いつかない。

だからベンチャーネットは、育てる前提で最初の設計をすることを勧めています。

どこまでを型に合わせ、どこからを自社の形にするか。

これを決めるのは経営です。

その意味で、ERPはITのプロジェクトではなく、経営のプロジェクトです。

順番を飛ばすと、何が起きるか

3つの段階は、どれも必要です。

つまずくのは、順番を飛ばしたときです。

飛ばし方起きること
守を飛ばして、いきなり作り込む今までのやり方をERPの上に再現するだけになる。更新のたびに作り込みが壊れる
守を飛ばして、つなぎ始める連携が「標準に合わない部分の穴埋め」になり、本数だけが増える
破を飛ばして、自社の形をつくる外のサービスで済む小さな機能まで、自分で作って抱える

どれも、最初は速く見えます。

しかし、後から直す手間が大きくなります。

AIで「作れる」ようになった今こそ、順番が効く

AIのおかげで、仕組みを作る手間は大きく下がりました。

すると「作れるなら作ろう」という判断が増えます。

それでも、動かし続ける手間は下がらない。

順番を飛ばして作ったものほど、この手間が大きくなります。

詳しくは、AIで「作れる」時代の落とし穴で扱っています。

守:標準に業務を合わせる

Fit to Standardという考え方

守の段階の中心は、Fit to Standardです。

ERPを業務に合わせて作り変えるのではなく、業務をERPの標準の機能に合わせる考え方を指します。

ERPの標準には、多くの会社の業務のやり方が型として入っています。

まずその型に合わせてみる。それが守です。

「うちは特殊だから」を一度疑う

守の段階で、必ず出てくる声があります。

「うちは特殊だから」。

その業務は、本当に自社の強みでしょうか。

それとも、慣れたやり方なだけでしょうか。

強みでないなら、標準に合わせるほうが長い目で見て楽になります。

更新のたびに作り込みを直す手間も、担当者が替わったときに説明する手間も減るからです。

標準の機能と業務の差を見つける方法は、Fit&Gap分析の重要性で扱っています。

業務の属人化をほどく考え方は、業務属人化がDXを止めるをご覧ください。

それでも標準で足りないとき

標準に合わせても、足りない部分は残ります。

そのときも、いきなりプログラムは書きません。軽い手段から順に試します。

NetSuiteなら、画面の設定、ワークフロー、スクリプトの順に手段が重くなります。

使い分けは、NetSuiteのカスタマイズ完全ガイドで扱っています。

守の段階で残すもの

守のいちばんの成果物は、標準に合わなかった業務の一覧です。

合わなかった業務は、次の破で「外とつなぐ候補」になります。

一覧がないまま破に進むと、場当たりで連携が増えていきます。

破:連携で業務の幅を広げる

連携ハブという考え方

破の段階の中心は、連携です。

標準では足りない業務を、外のサービスとつないで補います。

請求書の発行、経費の精算、電子契約、銀行の明細。どれも、得意なサービスが別にある業務です。

ここでベンチャーネットが大切にしているのが、連携ハブです。

ERPと外のサービスのつなぎ方を、1か所に集めて管理する考え方を指します。

つなぎ先ごとにばらばらに作らず、つなぎ方の型をそろえる。

どこで何がつながっているかを、一覧で見られるようにします。

作るか、買うか、つなぐか

破の段階では、足りない業務ごとに次の3つから選びます。

選択肢向いている業務
ERPの中に作る自社の中で完結し、他の業務と強く結びついている
外のサービスを買ってつなぐ法改正への追従や専門的な機能が要る。変化が速い
つながずに運用で済ませる件数が少なく、つなぐ手間のほうが大きい

業務の性質から手段を引くと、次の図のとおりです。

足りない業務を、どう補うか:作る・買ってつなぐ・つながない 自社の中で完結し他の業務と強く結びつく業務はERPの中に作る。法改正への追従が要り変化が速い業務は外のサービスを買ってつなぐ。件数が少なくつなぐ手間のほうが大きい業務は、つながずに運用で済ませる。つなぐなら連携ハブで型と一覧を1か所に集める。 足りない業務を、どう補うか 足りない業務の性質 選ぶ手段 自社の中で完結し、 他の業務と強く結びつく ERPの中に 作る 法改正への追従が要る、 変化が速い 外のサービスを 買ってつなぐ 件数が少なく、 つなぐ手間のほうが大きい つながずに 運用で済ませる つなぐなら、連携ハブで型と一覧を1か所に
足りない業務を、どう補うか

判断の順番は、作るか、買うか、つなぐかで詳しく扱っています。

CSV・API・iPaaSといった手段の比べ方は、NetSuiteの連携方法まとめにあります。

iPaaSは、複数のサービスをつなぐ処理を、画面上で組み立てられるサービスです。

主な製品の比べ方は、iPaaSの比較で扱っています。

つなぐ相手の選び方

外のサービスは、機能の多さだけで選びません。

ベンチャーネットが見ているのは、次の2点です。

  • 小さく変化が速い業務か:法改正や商習慣で頻繁に変わる業務は、専門のサービスに任せたほうが追いつきやすい
  • 自社と一緒に伸びていけるか:つないだ後も長く使う。公開された接続の手段があり、改善が続いているかを見る

どちらにも当てはまらない業務には、つながずに運用で済ませる道も残しておきます。

破の段階で残すもの

破で残すのは、データの流れの記録です。

どのデータが、どちら向きに、いつ流れているか。

つないだ後に起きた例外の処理も、あわせて残します。

どのサービスで何が合わず、どう直したか。

この記録が、離の段階で「自社の形にする業務」を見つける材料になります。

離:蓄積した知見で、自社の形へ

離は、何でも自作することではない

離は、守と破で蓄積した知見をもとに、自社に固有の仕組みをAIで組み立てる段階です。

「離=全部を自分で作る」と読まれがちですが、そうではありません。

自社の形にするのは、競争力に関わる業務だけです。

見分ける問いは、1つです。

この業務が他社と同じになったら自社の競争力は落ちるか。

落ちないなら、標準と連携のままで構いません。

落ちるなら、その業務こそ自社の形にする価値があります。

考え方は、AIでスクラッチ開発とERP、どちらを選ぶべきかで詳しく扱っています。

離の段階でも、正本は決めておく

自社の形をつくるときも、何を正本にするかは先に決めます。

正本とは、社内で「これが正しい記録だ」と決めた、ただ1つの置き場所のことです。

仕組みが増えても、置き場所が1つに決まっていれば、数字は食い違いません。

AIの時代に何が残り、何が消えるかは、AI時代に「消えるシステム」と「残るシステム」で扱っています。

離に進む前にそろえる3つ

#そろえるもの欠けていると
1守と破の記録(合わなかった業務・データの流れ)何を自社の形にすべきか、根拠なしに決めることになる
2保守を担う人か、外部の相手作った人がいなくなると、誰も直せなくなる
3正本の置き場所自社の形にした仕組みとERPで、数字が食い違う

1つでも欠けていれば、離に進むのはまだ早い合図です。

先に、守と破の段階で補います。

ベンチャーネットにとっても、離は構想の段階

離の具体的な姿は、ベンチャーネット自身もまだ構想として検討している段階です。

見えているのは、方向です。

守と破で得た知見を資産として積み上げ、AIを前提にしたERPの形に近づけていく。

その道筋を、お客様と一緒に確かめながら進めたいと考えています。

AIを前提にしたERPの考え方は、AIクラウドERPとはで扱っています。

守破離は、段階ではなく「蓄積」の話

冒頭の問いに戻ります。

3つの段階をつなぐのは、各段階で残したものです。

守破離を「3つの段階を順に通過すること」と読むと、ここを見落とします。

残したものが、次の段階の材料になる。それが守破離の中身です。

段階残すもの次の段階での使われ方
守標準に合わなかった業務の一覧破で「外とつなぐ候補」になる
破データの流れと、例外の処理の記録離で「自社の形にする業務」を選ぶ材料になる
離自社固有の業務のやり方と、その判断の理由次に標準や連携を見直すときの基準になる

残さずに進むと、次の段階でまた一から調べることになります。

残しながら進めば、段階を進むほど判断が速くなります。

そして、離で残したものは守に戻ってきます。

ERPの標準が更新されたとき、「この業務は、もう標準で足りるのではないか」と見直す基準になるからです。

ERPの守破離:各段階で残すもの 守では標準に合わなかった業務の一覧、破ではデータの流れと例外の記録、離では自社固有のやり方と判断の理由を残す。離で残したものは、また守の見直しに戻る。 ERPの守破離|各段階で残すもの 守|標準に合わせる 残すもの: 標準に合わなかった業務の一覧 破|外とつなぐ 残すもの: データの流れと、例外の処理の記録 離|自社の形にする 残すもの: 自社固有のやり方と、判断の理由 離で残したものは、守に戻る 標準が更新されたときの見直しの基準になる
ERPの守破離:各段階で残すもの

AIは、どの段階でどう使えるか

AIは、離の段階だけのものではありません。

守の段階から、役割を変えて使えます。

段階AIの役割人が残すことAIとの親和性
守業務の手順書や、標準との差の一覧の下書き標準に合わせるかどうかの判断中:差分の整理には使いやすい。合わせるかどうかは経営判断
破つなぐ処理の設計や、データの変換の下書きどのデータを正本にするかの決定高:処理が定義として残り、変更のたびに支援を受けやすい
離自社固有の仕組みの組み立て何を自社の形にするかの決定と、保守の責任高:守と破の記録がそろうほど、AIが前提を読み取りやすい

どの段階でも、考え方は同じです。

AIは下書きまで。確定は人が行います。

NetSuiteの中にあるAIと、外からつなぐAIの違いは、内蔵AIと外部AIの違いで扱っています。

ERPの育て方でつまずく3つのパターン

どれも、順番を急いだときに、どの会社にも起こりうることです。

失敗①:守を飛ばして、最初から作り込む

起きること:導入の最初から、今までの帳票や画面をそのまま再現しようとする。稼働が遅れ、費用が膨らむ。ERPの更新のたびに、作り込みが動かなくなる。

原因:今までのやり方が正しい、という前提で始めている。その業務が強みなのか、慣れたやり方なのかを見ないまま、作り込みが決まる。

避け方:最初は標準に合わせ、合わなかった業務を一覧にする。

作り込むかどうかは、一覧がそろってから決めても遅くありません。

失敗②:破で連携を増やしすぎ、全体が見えなくなる

起きること:部門ごとに、別々の担当者が別々のつなぎ方で連携を作る。どこで何がつながっているか、誰も説明できない。1つのサービスが変わると、思わぬところが止まる。

原因:つなぎ方を1か所で管理していない。1本ずつは正しくても、全体として把握されていないと変更に弱くなる。

避け方:連携ハブの考え方で、つなぎ方の型と一覧を1か所に集める。

新しくつなぐ前に、「このデータの正本はどこか」を必ず決めます。

失敗③:離を急ぎ、AIで作ったものを誰も直せない

起きること:AIで短期間に仕組みを作った。作った人が異動し、中身を説明できる人がいない。法改正や業務の変更に追いつけなくなる。

原因:作ることと、動かし続けることを分けて考えていない。作る手間は下がっても、直し続ける責任は残る。

避け方:自社の形にする前に、誰が保守を担うかを決める。

対象は、競争力に関わる業務だけに絞ります。それ以外は、標準と連携で十分です。

3つに共通するのは、先に進むことを急いだ点です。

まず守を回し、合わなかった業務を記録していく。

その記録が、破と離の出発点になります。

ベンチャーネットならこう見る

守破離の3段階は、ベンチャーネットがふだんの導入で使っている2つの型と重なっています。

型1:見える化→整理整頓→Fit&Gap(守の入り方)

守の段階は、いきなり標準の画面に合わせるところからは始めません。

  1. 業務の見える化:いまの業務の流れを、現場に聞いて描く
  2. 整理整頓:やめる・まとめる・そろえる業務を決める
  3. Fit&Gap:残った業務を、ERPの標準機能と照らし合わせる

Fit&Gapは、業務と機能の合う・合わないを1つずつ見る作業です。

やめる業務を2段目で決めておくと、照らし合わせる数が減ります。

製品が決まっていても、見える化からやり直す。これがベンチャーネットの進め方です。

型2:標準に合わせる/開発する/残す(守から破への橋)

Fit&Gapで合わなかった業務は、3つのどれかに決めます。

  • 標準に合わせる:業務のほうを、ERPの標準機能に寄せる
  • 開発する:外のサービスとの連携や、追加の開発で補う
  • 残す:ERPには載せず、いまの仕組みや運用で続ける

この3つの仕分けが、そのまま守の「合わなかった業務の一覧」になります。

「開発する」を選んだ業務が、破で作るか・買うか・つなぐかを考える候補です。

ベンチャーネットの進め方:見える化→整理整頓→Fit&Gap→3つの選択 業務の見える化、整理整頓、移る先の製品の標準機能とのFit&Gap、そして標準に合わせる・開発する・残すの3択で決める。 ベンチャーネットの進め方業務の見える化いまの業務フローを現場に聞いて描く整理整頓やめる・まとめる・そろえる業務を決めるFit&Gap移る先の製品の標準機能と照らし合わせる3つの選択標準に合わせる/開発する/残す製品が決まっていても、見える化から始める
ベンチャーネットの進め方:見える化→整理整頓→Fit&Gap→3つの選択

次の段階に進む前に聞く3つの問い

  • 標準に合わなかった業務は、一覧になっているか
  • どのデータが、どこを流れているかを説明できる人がいるか
  • 自社の形にしたい業務は、本当に競争力に関わるか

ベンチャーネットの仕事は、ゼロからの導入よりも、他社のあとの引き継ぎ・立て直しと、他のシステムとの連携が多くを占めます。

引き継いだ仕組みを立て直すときも、まず守の一覧を作るところから始めます。

そして、守の段階で業務が十分に回っている会社に、破や離を急ぐことは勧めません。

いまの型を磨くほうが効果が大きいからです。

ベンチャーネットは、NetSuite・Odoo・AIスクラッチ開発を扱い、SAPからのリプレイスにも対応しています。

特定の製品に誘導しない立場から、段階ごとの判断を一緒に考えます。

今日できること:業務を3つに仕分ける

所要は30分です。

  1. 自社の主な業務を、10個ほど書き出す(受注、請求、支払、経費、在庫など)
  2. それぞれを、次の3つに仕分ける
    • A:標準で回っている/回せそう
    • B:外のサービスとつなぎたい
    • C:他社と同じになったら競争力が落ちる
  3. Cに入った業務について、「本当に強みか、慣れたやり方か」をもう一度考える

Aが大半なら、いまは守の段階です。焦って次に進む必要はありません。

Bが多ければ、破の設計が要ります。

Cが3つ以上残るなら、離を見据えて記録を残し始める時期です。

仕分けの結果の読み方を図にすると、次のとおりです。

仕分けの結果から、いまの段階を知る Aが大半ならいまは守の段階で、焦って次に進む必要はない。Bが多ければ破の設計が要る。Cが3つ以上残るなら、離を見据えて記録を残し始める時期。 仕分けの結果から、いまの段階を知る 業務をA・B・Cに仕分けた結果は? A(標準で回る)が大半 いまは守の段階 焦って次に進む必要はない B(外とつなぎたい)が多い 破の設計が要る C(競争力に関わる)が3つ以上 離を見据える 記録を残し始める時期 Cは「本当に強みか」をもう一度考える
仕分けの結果から、いまの段階を知る

よくある質問

Q1. 守破離は、どのくらいの期間で進むものですか

決まった期間はありません。

会社の規模や業務の数で、大きく変わります。

物差しは期間ではなく、第1章の表にある「進んでよい目安」を満たしたかどうかです。

守の段階が長く続くこと自体は、悪いことではありません。

Q2. すでにERPを作り込んでしまいました。いまから守に戻れますか

戻れます。

作り込みのうち、標準の機能で置き換えられるものを洗い出すところから始めます。

一度にすべてを戻す必要はありません。

更新のたびに手間がかかっている作り込みから、優先して見直すのが現実的です。

Q3. 連携ハブは、専用の製品を買わないと作れませんか

必ずしも要りません。

連携ハブは、製品の名前ではなく考え方です。

どこで何がつながっているかを、1か所で把握できれば目的は果たせます。

iPaaSを使う方法も、自社で開発する方法もあります。

Q4. 離の段階では、ERPを使わなくなるのですか

会社によって違います。

離は、何でも自作することではありません。

自社の形にするのは競争力に関わる業務だけで、それ以外は標準と連携のままで構いません。

どの場合も、何を正本にするかは先に決めておきます。

Q5. AIは、離の段階になってから使えばいいのですか

いいえ。守の段階から使えます。

手順書や、標準との差の一覧の下書きなどに向いています。

ただし、どの段階でもAIは下書きまでです。

合わせるかどうか、何を正本にするかの判断は、人が行います。

まとめ

  • ERPは一度に完成させず、段階で育てるもの。ベンチャーネットはそれを守破離と呼んでいる
  • 守=標準に業務を合わせる/破=外のサービスとつないで幅を広げる/離=蓄積した知見で自社の形にする
  • 順番を飛ばすと、作り込みや連携が増え、動かし続ける手間が大きくなる
  • 3つの段階をつなぐのは、各段階で残したもの。残したものが次の段階の材料になる
  • 離で自社の形にするのは、競争力に関わる業務だけ。何を正本にするかは先に決める
  • 離の具体的な姿は、ベンチャーネットにとっても構想の段階

ERPは、入れた日が完成の日ではありません。

まずは今日、業務を10個書き出し、A・B・Cに分けてみてください。

その一覧が、守の段階で残す最初の記録になります。

もう少し詳しく知りたい方へ

自社がいまどの段階にいて、次に何をすべきか。

ベンチャーネットが、いまの業務を前提に一緒に考えます。

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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