NetSuiteとSlack・Chatworkを連携する|通知・承認を効率化する方式の選び方【2026年版】

「承認待ちを、Slackで知らせられないか」

NetSuiteが動き始めて数か月たつと、よく出てくる声です。

承認をひとつ見るためだけに、NetSuiteにログインするのは面倒だからです。

NetSuiteとチャットの連携とは、NetSuiteの出来事をSlackやChatworkに知らせ、承認などを行いやすくする仕組みです。

答えは「できる」です。

ただし、SlackやChatwork向けの標準コネクタはありません。

つなぎ方は3つあり、運用し続けられるかで選びます。

  • 開発と保守の体制があるなら、SuiteScript+Webhookの自前開発
  • 連携をこれから増やすなら、iPaaS
  • まず通知から小さく始めるなら、ノーコードのツール

では、最初の1つの通知は、どう作ればよいのか。

「承認待ちが24時間を超えたら知らせる」を例に、設定の順番まで追います。

目次

この記事で分かること

  • チャット連携でできること(通知と承認)
  • 連携の3方式の違いと、保守の負荷
  • 「承認待ち24時間超え」をSlackに知らせる設定の順番
  • いまの連携を見直すときの目安
  • よくある3つの失敗と避け方

チャット連携でできること

中心は「通知」と「承認」です。

通知

  • 受注や発注が登録されたら、担当のチャンネルに知らせる
  • 承認待ちの申請がたまったら、承認者に知らせる
  • 期日を過ぎた案件を、関係者に伝える

承認

  • 発注書や経費の申請を、チャット上のボタンで承認する
  • NetSuiteを開かずに、外出先のスマホから判断する

承認をチャットに寄せると、待ち時間が短くなることがあります。

「在庫はいくつ?」と、AIに照会する使い方もあります。

こちらは、ClaudeやChatGPTなどのAIチャットとNetSuiteをつなぐ領域です。

NetSuiteの経営データをAIに直接聞くMCP活用ユースケースをご覧ください。

前提|標準コネクタはない

NetSuiteには、SlackやChatwork向けの標準コネクタがありません。

つなぎ方は、次の3つです。

  • SuiteScript+Webhookで自前開発する
  • iPaaSを使う
  • 外部ツールやノーコードでつなぐ
NetSuiteとチャットの3つのつなぎ方 NetSuiteとSlack・Chatworkは、①SuiteScript+Webhookの自前開発、②iPaaS、③外部ツール・ノーコードのどれかでつなぐ。標準コネクタはないため、運用し続けられるかで選ぶ。 NetSuiteとチャットのつなぎ方 NetSuite ①自前開発 SuiteScript +Webhook ②iPaaS 連携の 中継役 ③ノーコード 外部ツールで 画面で設定 Slack/Chatwork Webhookなどの受け口 標準コネクタはない。続けられるかで選ぶ
NetSuiteとチャットの3つのつなぎ方

言葉を補足します。

  • SuiteScript:NetSuiteの動きをプログラムで広げる仕組み
  • Webhook:ある出来事を、別のシステムへ自動で送る仕組み
  • iPaaS:複数のクラウドサービスをつなぐ、連携の中継役のサービス
  • API:システムどうしがデータをやり取りする接続口

チャット側の受け口

Slackには、Incoming Webhooksという受け口があります。

固有のURLにメッセージの内容を送ると、チャンネルに投稿されます。

Block Kitを使えば、ボタンなどの部品も載せられます。

一方で、投稿した後にメッセージを削除することはできません。

投稿先のチャンネルは、Slackアプリの設定で決まります(出典:Slack公式ドキュメント、2026年9月確認)。

Chatworkには、Chatwork APIがあります。

認証はAPIトークンとOAuth 2.0に対応し、Webhookの機能もあります。

パーソナルプラン以外では、利用に組織の管理者への申請が必要です(出典:Chatwork API公式ドキュメント、2026年9月確認)。

NetSuite側の送り口

SuiteScriptには、外部へHTTPSで送信するN/httpsモジュールがあります。

外部との通信には、平文の資格情報ではなく、TBAかOAuth 2.0を使うよう案内されています。

(出典:Oracle NetSuiteヘルプ、2026年9月確認)

iPaaSやツールがNetSuiteに接続する場合は、認証の変更に注意します。

2027.1以降、TBA(トークンベース認証)では新しい連携を作れません。

新しい連携はOAuth 2.0が前提です(出典:Oracle NetSuiteヘルプ、2026年9月確認)。

詳しくはNetSuite認証の「2027年問題」で扱っています。

標準コネクタがない構成は、NetSuiteに限った話ではありません。

考え方は、標準コネクタがない物流SaaSとの連携と共通しています。

連携の3方式を比べる

判断軸①SuiteScript+Webhook②iPaaS③外部ツール・ノーコード
初期コスト開発の工数次第(小さく始めれば低め)月額の利用料が中心比較的低め
必要なスキルSuiteScriptの開発設定が中心、開発は最小限ほぼ不要(画面で設定)
自由度高い中(用意された範囲+一部の作り込み)低〜中(ツールの機能の範囲)
保守・運用の負荷自社で保守(属人化に注意)提供元の更新に合わせやすいツール側が吸収しやすい
承認など双方向の連携作り込めば対応できる対応できる場合が多い通知が中心、単純な連携向き
向くケース開発の体制があり、独自の要件が多い連携を続けて増やしたいまず通知から小さく始めたい

いちばん差が出るのは、保守・運用の負荷の行です。

連携は、作る日より、何年も動かし続けるほうが難しい。

通知の前にAIで要約し、急ぎのものだけ知らせる使い方もあります。

これを組み込みやすいのは①と②で、③はツールの機能の範囲に限られます。

iPaaSは、CeligoとはやNetSuite向けiPaaSの比較が参考になります。

例:「承認待ち24時間超え」をSlackに知らせる

①の自前開発で、最初の1つを作る場合の順番です。

画面の操作はバージョンで変わるため、決めることの順番で書きます。

承認待ち24時間超えをSlackに知らせる流れ NetSuiteで承認待ちが24時間を超えた申請を見つけ、SuiteScriptのN/httpsモジュールでSlackのIncoming WebhookのURLに送り、承認者のチャンネルに投稿する。承認はNetSuiteの画面へのリンクで行う。 承認待ちを知らせる流れ NetSuite 承認待ちが24時間を超えた申請 SuiteScript(N/https) 番号・申請者・リンクを送る Slack Incoming Webhook 承認者の非公開チャンネルに投稿 承認はNetSuiteの画面で リンクから開いて判断する
承認待ち24時間超えをSlackに知らせる流れ

手順1:対象と条件を決める

どの承認を、どの条件で知らせるかを1つに絞ります。

例は「発注書で、承認待ちが24時間を超えたもの」です。

条件が決まらないうちに作り始めると、通知が増えすぎます。

手順2:送る項目を決める

通知に載せるのは、承認者が次に動くための最小限です。

  • 申請の番号と種類
  • 申請者と、待っている時間
  • NetSuiteの該当画面へのリンク

金額や取引先名を載せるかは、投稿先のチャンネルを見る人で決めます。

手順3:Slackの受け口を用意する

Slackアプリを作り、Incoming WebhookのURLを発行します。

投稿先のチャンネルは、アプリの設定で決まります。

承認者だけが入る非公開チャンネルにしておくと、手順2の迷いが減ります。

投稿は後から消せないため、テスト用のチャンネルで試してから切り替えます。

手順4:NetSuite側の送り口を作る

SuiteScriptで、条件に合う申請を見つけ、N/httpsモジュールでURLへ送ります。

ここでつまずきやすいのは、WebhookのURLの置き場所です。

URLは接続の情報として扱います。

スクリプトの中に直接書かず、管理者だけが触れる場所に置きます。

手順5:権限と担当を決める

処理は、権限を絞った専用のユーザーとロールで動かします。

管理者の権限のまま動かすと、見せなくてよい情報まで送れてしまいます。

設定の中身と更新の手順を文書に残し、担当は2人以上にします。

承認そのものは、最初はNetSuiteの画面へのリンクで行います。

チャットのボタンで承認まで済ませるには、押された結果をNetSuiteへ戻す仕組みも要り、作る量が増えます。

通知が回り始めてから、次の段階として考えれば足ります。

②iPaaS・③ノーコードの場合

②は、NetSuiteとチャットの間に中継サービスを置き、画面の設定でデータの流れを作ります。

よく使われる連携はテンプレートが用意されていることもあり、対応の範囲は提供元に確かめます。

③は、両方のシステムに接続し、対象を選び、項目を対応づけて通知を始めます。

ツールは、NetSuite SuiteApp.comなどで探せます。

どちらでも、手順1・2・5の決めごとは同じです。

どの方式が合うか

方式向いている会社向いていない会社
①自前開発SuiteScriptを保守できる人が2人以上いる詳しい人が1人だけ
②iPaaSチャット以外の連携も増やす予定がある通知1つだけのために月額を払いたくない
③ノーコード通知を1〜2種類、すぐに試したい承認の双方向や複雑な条件が要る

連携しなくてよい場合もあります。

承認が1日に数件なら、NetSuiteの画面とメールの通知で足りることがあります。

誰が・いつ・何を承認するかが決まっていないなら、チャットより先に承認の設計です。

こちらはNetSuiteの承認ワークフロー実装ガイドで扱っています。

すでに連携を使っている会社の見直しの目安

次のどれかに当てはまるなら、見直しの時期です。

  • 通知が多すぎて、チャンネルが読まれていない
  • 作った人が異動し、設定の中身が分からない
  • 連携がTBAやパスワードで接続している

まず、いまの通知を一覧にし、誰も行動しない通知を止めます。

接続は、2027.1の認証の変更に合わせて、OAuth 2.0への切り替えを計画します。

よくある3つの失敗

失敗1:通知を盛り込みすぎて、誰も見なくなる

起きること:すべての更新を通知にし、チャンネルが埋まる。重要な通知が埋もれ、やがて誰も開かない。

原因:通知は多いほど親切だと考えた。

避け方:通知は行動が要るものだけに絞ります。

承認待ち・例外・期日の超過などです。

効果の高い1つから始め、育てていきます。

失敗2:個人が作った連携がブラックボックスになる

起きること:詳しい1人が作り、記録がない。その人が異動すると誰も触れず、ある日突然止まる。

原因:連携は一度動くと手がかからず、記録と引き継ぎが後回しになる。

避け方:設定の中身・権限・更新の手順を文書に残し、担当を2人以上にします。

属人化の考え方は、属人化とはで扱っています。

失敗3:権限の設計が甘く、情報が広がりすぎる

起きること:管理者の権限のまま連携し、公開のチャンネルに金額や取引先名が流れる。

原因:チャットは情報が広がりやすい場なのに、誰に何を見せるかを決めていなかった。

避け方:権限を絞った専用のユーザーとロールで接続します。

接続はOAuth 2.0などのトークンを使う方式にし、パスワードを渡しません。

ロールの考え方は、NetSuiteの権限・ロール設計で扱っています。

ベンチャーネットならこう見る|標準で足りるか、作るか、いまのままか

NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットは、方式の比較から入りません。

最初に、知らせたい承認を1つずつ、3つに仕分けます。

  • 標準に合わせる:NetSuiteの画面とメールの通知で足りる。承認が少なく、いまの形で回っている
  • 作る:待ち時間が長く、件数も多い。SuiteScript・iPaaS・ノーコードのどれかでチャットにつなぐ
  • いまのまま残す:承認のルールがまだ決まっていない。連携より先に業務の設計をする
知らせたい承認の3つの仕分け 承認のルールがまだ決まっていなければ、いまのまま残して業務の設計を先にする。決まっていて、待ち時間が長く件数も多ければ作ってチャットにつなぎ、そうでなければ標準の画面とメールの通知に合わせる。 知らせたい承認を1つずつ仕分ける 承認のルールは決まっている? まだ 決まっている いまのまま残す 業務の設計が先 待ち時間が長く、件数も多い? いいえ はい 標準に合わせる 画面とメールの通知 作る チャットにつなぐ 手間とお金は「作る」に入った承認だけ
知らせたい承認の3つの仕分け

「作る」に入った承認だけに、手間とお金をかけます。

「連携しなくてよい」とお伝えすることも、珍しくありません。

チャット連携は、NetSuiteの外にあるSlackやChatworkとの連携です。

ベンチャーネットの仕事は、ゼロからの導入より、他社のあとの引き継ぎや他システムとの連携が多くを占めます。

作った人がいなくなった通知の中身を読み解き、動かし続けられる形に直す依頼もあります。

最初に伺うのは、次の3つです。

  • どの承認が、どれだけ待たされているか
  • 誰に何を見せてよいか(金額・取引先名の扱い)
  • 誰が保守するか

今日できること|承認の待ち時間を1つ測る

最近の承認を1種類選び、次の表を埋めてみてください。

項目記入例
承認の種類例:発注書
1か月の件数例:120件
申請から承認までの平均例:2日
承認者が気づくきっかけ例:NetSuiteを開いたとき
チャットで知らせたい相手例:部門長2人

例の数字は、いずれも架空です。

待ち時間が長く、件数が多い承認ほど、通知の効果は大きくなります。

この承認が、第4章の手順1の「対象」になります。

よくある質問

Q1. NetSuiteにSlack・Chatworkの標準コネクタはありますか

専用の標準コネクタはありません。

SuiteScript+Webhook、iPaaS、ノーコードのツールなどでつなぐのが一般的です。

どの方式で組むかは、保守を続けられるかで決めます。

Q2. プログラミングなしで連携できますか

通知であればノーコードのツールやiPaaSで始められます。

画面の設定だけで通知を始められる場合があります。

複雑な条件や承認の双方向の連携には、自前開発が向くこともあります。

Q3. チャット上のボタンで承認まで完結できますか

作り込めば可能ですが通知だけより作る量が増えます。

Slackのメッセージにはボタンを載せられますが、押された結果をNetSuiteへ戻す仕組みも要ります。

最初は通知とNetSuiteの画面へのリンクで始めるのが現実的です。

Q4. セキュリティや権限の管理は大丈夫ですか

設計しだいで安全に運用できます。

権限を絞った専用のユーザーで接続し、トークンを使う認証にします。

金額などの通知は、非公開チャンネルに限ります。

Q5. 「見るだけ・承認だけ」の人のライセンスは減らせますか

Oracleとの契約の条件によるため事前の確認が要ります。

チャット経由で承認や確認を行う人に、NetSuiteのライセンスが要るかは契約の内容で変わります。

連携を設計する前に、Oracleのアカウントの担当に聞いてください。

Q6. 2027.1の認証の変更は、チャット連携に関係しますか

iPaaSやツールがNetSuiteに接続する場合は関係します。

2027.1以降、TBAで新しい連携は作れず、OAuth 2.0が前提になります。

使っているツールの対応状況を、提供元に確かめてください。

まとめ

  • NetSuiteとSlack・Chatworkの標準コネクタはない
  • 方式は自前開発・iPaaS・ノーコードの3つ。保守の負荷まで含めて比べる
  • 最初は「承認待ち24時間超え」のような行動が要る通知を1つ。承認は画面へのリンクで
  • WebhookのURLと接続のユーザーは、管理者だけが触れる形にする
  • 承認を「標準に合わせる/作る/いまのまま残す」に仕分けてから方式を選ぶ

「承認待ちを、Slackで知らせられないか」。

答えは、測った待ち時間の長い承認を1つ選ぶところから始まります。

もう少し詳しく知りたい方へ

チャット連携や、その先の承認の設計について、自社に合う進め方をご相談いただけます。

通知の絞り込みから、開発・導入後の保守までご一緒します。

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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