NetSuite Redwood UI(新画面)とは?移行の影響と、現場が戸惑わない切替のコツ

月曜の朝、経理の担当者がNetSuiteにログインする。

画面の色もアイコンも、先週までと違っている。

ところが隣の席の同僚の画面は、昔のままだ。

Redwood(レッドウッド)とは、Oracleが自社の製品で共通に使う、新しい画面デザインの仕組みです。

NetSuiteでは「Redwood Experience」というテーマとして提供されています。

変わるのは、主に同じ機能の見え方と触り方です。

そして既存のアカウントでは、利用者ごとに切り替わります。

冒頭の場面は、その仕組みから起きています。

放っておけば、社内で画面がばらばらのまま進む。

では、会社としてどの順番で切り替えれば、現場は戸惑わずに済むのか。

目次

この記事で分かること

  • Redwoodとは何か、従来の画面(Classic)と何が違うか
  • 新しいアカウントと既存のアカウントで、切り替わり方がどう違うか
  • 画面のデザインと、AI機能(Ask Oracleなど)の違い
  • 自社の環境で試してから広げる、4週間の切替の進め方
  • 今日から始められる準備

言葉の整理:Classicは、Redwoodより前からある従来の画面です。テーマは、画面の色・アイコン・文字などの見た目の組み合わせです。

Redwoodとは|何が変わるのか

Oracleの公式ヘルプでは、Redwood Experienceを、NetSuiteの見た目を変えるテーマと説明しています。

多くの画面や機能で、色・アイコン・文字が変わります(出典:Oracle NetSuite公式ヘルプ、2026年9月確認)。

日本オラクルは2025年7月23日のSuiteConnect Tokyoで、Redwoodの導入を日本向けの発表の1つに挙げました。

ダッシュボード・リスト・フォームなど、使う頻度の高い領域から導入するとしています(出典:日本オラクル公式発表、2026年9月確認)。

Classicとの違い

観点Classic(従来の画面)Redwood(新しい画面)
見た目情報の密度が高く、タブが中心余白が広く、整理された印象
操作慣れた人には速い初めての人にも分かりやすさを目指す
機能同じ同じ(見え方と触り方が変わる)
既存のアカウントでの扱いいまの標準利用者ごとに有効にする
向く組織操作に慣れ、当面は変えたくない新しい社員が多い、教育の負担を下げたい

Classicが「悪い」わけではありません。

慣れた担当者にとっては、従来の画面のほうが速い場面もあります。

いつ・どう切り替わるのか

新しいアカウントと既存のアカウントで違う

公式ヘルプには、次のように書かれています。

  • 新しく用意されたアカウントでは、全員にRedwoodが最初から有効
  • それ以外のアカウントでは、ログインと秘密の質問の画面だけに適用
  • 全体で使いたい場合は、個人の設定(外観)から「有効にする」を押す
  • 無効に戻すときは、理由を聞くアンケートが表示される

(出典:Oracle NetSuite公式ヘルプ「Personal Preferences for Appearance」、2026年9月確認)

既存のアカウントでは、利用者ごとの設定です。

会社として決めなければ、冒頭の場面のように、人によって画面がばらばらになります。

切り替わり方を図にすると、次のとおりです。

Redwoodの切り替わり方(新規と既存) 新しく用意されたアカウントでは全員に最初から有効。既存のアカウントではログインと秘密の質問の画面だけに適用され、全体は利用者ごとに個人の設定(外観)で有効にするため、誰からいつかを会社で決める。 Redwoodの切り替わり方 アカウントは 新しく用意されたものか はいいいえ 新しいアカウント 全員に 最初から有効 手引きも最初から Redwoodの画面で 既存のアカウント ログインと 秘密の質問の画面だけ 全体は利用者ごとに 個人の設定(外観)で 「有効にする」 既存は、誰からいつかを会社で決める 決めないと、人によって画面がばらばらになる 無効に戻すときは、理由を聞くアンケートが出る
Redwoodの切り替わり方(新規と既存)

リリースごとに対象が広がる

公式ヘルプでは、リリースのたびにRedwoodが適用される機能が増え、その内容はリリースノートに載ると説明しています。

「いまどこまで新しい画面か」は、その時点のリリースノートで見るのが確実です。

年2回の大きなリリースへの備え方は、NetSuiteのバージョンアップへの備え方で扱っています。

環境の見分けがつきやすくなる

Redwoodでは、本番・リリースプレビュー・サンドボックス・開発のアカウントで、画面の上の帯の色が変わります。

ロールごとに色を決めることもできます(出典:Oracle NetSuite公式ヘルプ、2026年9月確認)。

本番とテスト環境を取り違える誤操作が減る。

見落とされがちですが、切り替える理由になる利点です。

テスト環境の使い方は、NetSuiteのサンドボックスとはで扱っています。

画面のデザインとAI機能は別もの

Redwoodと一緒に、「自然な言葉で聞ける」AIの話題を目にすることがあります。

これらはRedwoodの上で動くAI機能で、画面のデザインとは別の話です。

Oracleは2025年10月7日のSuiteWorldで、次世代の「NetSuite Next」を発表しました。

中身は次の4つです。

  • Ask Oracle(自然な言葉で聞けるAIの助手)
  • AI Canvas(計画づくりの作業場)
  • エージェント型のワークフロー(AIが手順を順に進める仕組み)
  • Redwoodのデザイン

公式発表では、AIの動きは既存のロールと権限の範囲で管理されると説明しています。

提供は、まず北米の顧客からとされていました(出典:Oracle公式発表、2026年9月確認)。

2026年7月の公式記事によると、Ask OracleはNetSuite 2026.2で、いまの画面の中でも使えるようになりました。

ただし対象は米国とカナダの顧客で、ほかの国は今後とされています(出典:Oracle NetSuite公式サイト、2026年9月確認)。

日本の会社から見ると、次の3段になります。

段階中身日本の会社の動き方
いま日本で使えることRedwoodの画面切替の計画と教育を進める
開発で補えること画面の項目の並び、フォームの整理標準で足りない部分は、アドオン開発(NetSuiteリブート)で整える
順次提供されることAsk OracleなどのAI機能日本での提供をアカウントの担当に聞いて待つ

AI機能を待つ間にも、できる準備があります。

AIが答えを出す元は、NetSuiteの中のデータです。

品目や取引先の重複を減らし、入力のルールをそろえておけば、提供が始まったときに効果が出やすくなります。

考え方はAI導入の成否は「データの整い方」で決まるで扱っています。

AI機能の詳細は、NetSuite NextとはとAsk Oracleとはをご覧ください。

判断の物差し|いつ、どう切り替えるか

早めに切り替えたほうがよい会社は、新しい社員が多く、教育の負担を下げたい会社です。

画面の操作の問い合わせが担当者に集中している会社や、本番とテスト環境の取り違えが起きた会社も当てはまります。

急がなくてよい会社もあります。

操作に慣れた少人数で回していて、当面は人の入れ替わりがない。

決算や大きな繁忙期が近い。

カスタムの画面が多く、表示を見る時間がまだ取れない。

Redwoodに早めに切り替える会社、急がなくてよい会社 新しい社員が多い、操作の問い合わせが集中している、本番とテスト環境の取り違えが起きた会社は早めに。慣れた少人数、繁忙期が近い、カスタムの画面の表示を見る時間がない会社は急がなくてよい。困りごとの原因が画面でないなら、切替より先に標準と作り込みを分け直す。 早めに切り替えるか、急がないか 早めに切り替える ・新しい社員が多く、  教育の負担を下げたい ・操作の問い合わせが  担当者に集中している ・本番とテスト環境の  取り違えが起きた 急がなくてよい ・慣れた少人数で回し、  人の入れ替わりがない ・決算や大きな繁忙期が  近い ・カスタムの画面が多く  表示を見る時間がない 困りごとの原因が画面でないなら 切替より先に、標準に合わせる部分と 作り込む部分を分け直す 急がない場合も、判断を先送りし続けない
Redwoodに早めに切り替える会社、急がなくてよい会社
やり方合う条件注意点AIとの親和性
全員を一度に利用者が少なく、業務が単純戸惑いが一度に集中する中
部門ごとに順に部門で画面の使い方が違う期間中は画面が混ざる高。先に慣れた部門でAI機能も試しやすい
新しい社員から採用が多く、教育を新しい画面にそろえたい先輩と後輩で画面が違う高。これからの画面で覚える
当面はClassic繁忙期、または確認の時間が取れない判断を先送りし続けやすい低。AI機能の土台に乗り遅れやすい

困りごとの原因が、画面ではないこともあります。

画面が変わっても入力の手順が多すぎる、標準に合わない業務を手作業で補っている、必要な数字がどの画面にも出てこない。

こうした声が多いなら、切替より先に、標準に合わせる部分と作り込む部分を分け直します。

考え方はNetSuite導入のFit&Gap分析で扱っています。

業務によっては、Odooや国産ERP、AIスクラッチ開発のほうが合う場合もあります。

これから入れる会社と、いま使っている会社

これから入れる会社のアカウントは、最初からRedwoodです。

デモもRedwoodの画面で見ておくと、稼働した後との差が小さくなります。

社内の操作の手引きも、最初からRedwoodの画面で作ります。

いま使っている会社は、次の3つを会社として決めます。

  1. 誰から、いつ、有効にするか
  2. カスタムのフォームやダッシュボードの表示を、誰が見るか
  3. 戻したい人が出たときに、どう扱うか

切り替える前に、次の5か所を見ておきます。

見る所見ること担当の例
カスタムのフォーム項目の並びと、必須の項目が見やすいかシステムの管理者
ダッシュボードよく見る数字が、最初の画面に出ているか各部門の責任者
保存検索とレポート一覧の列や絞り込みの見え方経理・営業の担当
社内の手引き画面の写真を差し替える場所教育の担当
本番とテストの見分け帯の色やロールの色を、社内でどう決めるかシステムの管理者

見方は、Redwoodを有効にした管理者のアカウントで、実際の業務の画面を順に開くだけです。

問題が見つかった画面は、切り替える時期を後ろにずらすか、表示を整えてから広げます。

操作に慣れるまでの支え方は、NetSuiteの操作は難しい?学習コストと定着の進め方で扱っています。

よくある失敗3つ

失敗1:切替を各自に任せ、画面がばらばらになる

起きること:一部の人だけRedwood、ほかはClassicのまま。手引きの画面の写真が人によって合わない。

原因:既存のアカウントでは、利用者ごとの設定だと知らなかった。

避け方:誰から有効にするかを会社として決め、手引きの画面もそろえます。

失敗2:繁忙期に全員を一度に切り替える

起きること:「ボタンはどこ」という問い合わせが一度に集中し、担当者が対応しきれない。

原因:画面の変化が、全員の毎日の操作に同時に効くことを軽く見ていた。

避け方:決算や繁忙期を避け、部門ごとに順に進めます。変化点の一覧と短い手引きを先に用意します。

失敗3:画面とAI機能を混同し、判断を先送りする

起きること:「日本でもAIがすぐ使える」と期待しすぎる。あるいは「関係ない」とClassicのまま放置する。

原因:画面のデザインと、その上で動くAI機能の提供状況を分けて見ていなかった。

避け方:画面はいま進め、AI機能は日本での提供を聞いて待つ、と分けて決めます。

ベンチャーネットならこう見る|「試す→伝える→広げる」の4週間

NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットは、画面の切替を、定着の手順の一つとして扱います。

画面が変わることは、現場の毎日の仕事が変わることだからです。

進め方は、次の3段です。

段1:試す|自社の環境で先に確かめる

Oracleが示す標準の画面を、そのまま全員に広げることはしません。

先に管理者と各部門の代表が、自社のフォームやダッシュボードで試します。

カスタムの画面ほど、標準の説明どおりに見えるとは限らないからです。

段2:伝える|変わることを正直に言う

画面の操作感は、変わります。

慣れた人には、従来の画面のほうが速い場面もある(1-1)。

そのことを隠さず、切り替える前に伝えます。

あわせて、使わない項目やボタンは画面に盛らず、変化点は1枚の手引きにまとめます。

段3:広げる|段階的に、相談先をつけて

一度に全員ではなく、先に慣れる部門から広げます。

困ったときに誰に聞けばよいかも、同じタイミングで決めておきます。

3段を、利用者が数十名の会社に当てはめた例が次の表です。

週やること終わりの目安
1週目(試す)管理者と各部門の代表が、自社の画面で試す戸惑った点の一覧ができる
2週目(伝える)変化点の手引きを作り、表示を整える1枚の手引きができる
3週目(広げる)先に慣れる部門で有効にする問い合わせが落ち着く
4週目(広げる)ほかの部門に広げる戻したい人の扱いが決まる
Redwoodへの切替:試す→伝える→広げる 1週目は自社の画面で試し、2週目に変化点の手引きを作って伝え、3週目に先に慣れる部門、4週目にほかの部門へ広げる。各週の終わりの目安を決めて進む。 切替の4週間 1週目 試す 代表者が自社の画面で試す → 戸惑った点の一覧 2週目 伝える 変化点を1枚の手引きにする → 操作感が変わることも伝える 3週目 広げる 先に慣れる部門で有効にする → 問い合わせが落ち着く 4週目 広げる ほかの部門に広げる → 戻したい人の扱いが決まる 利用者が数十名の会社の例
Redwoodへの切替:試す→伝える→広げる

期間は、会社の規模とカスタムの画面の量で変わります。

それでも、各週の終わりの目安を先に決めてから進む点は同じです。

目安を満たさないまま次の週に進むと、問い合わせが後ろの週にたまります。

今日できること|利用者の表を作る

次の表を、部門ごとに1行ずつ埋めてみてください。

部門・人数毎日使う画面繁忙の時期切り替える候補の時期
(例)経理・4名仕訳・支払月末・決算決算の翌月

あわせて、自分のアカウントで個人の設定(外観)を開き、Redwoodを1日だけ試してみます。

戸惑った点を3つ書き留めれば、そのまま1週目の一覧の素材になります。

よくある質問

Q1. Redwoodはいつ自社に切り替わりますか

既存のアカウントでは利用者ごとに有効にします。

新しく用意されたアカウントでは、最初から有効です。

対象の画面はリリースごとに広がるため、その時点のリリースノートで確かめます。

Q2. 元のClassicに戻せますか

戻せます。

無効にするときは、理由を聞くアンケートが表示されると公式ヘルプにあります。

Q3. UIが変わると機能も変わりますか

見え方と触り方が変わるのが中心です。

カスタムのフォームやダッシュボードは、自社の画面で表示を試しておくと安心です。

Q4. 日本でAI機能(Ask Oracleなど)は使えますか

2026年9月時点でAsk Oracleの対象は米国とカナダです。

ほかの国は今後とされています。

日本での提供は、アカウントの担当に聞いてください。

Q5. 現場が戸惑わないコツは何ですか

自社の画面で試してから部門ごとに広げることです。

変化点の一覧と短い手引きを先に用意し、操作感が変わることも前もって伝えます(第7章)。

Q6. 何から始めればよいですか

部門ごとの利用者の表を作ることです。

誰が、どの画面を、いつ使うかが分かると、切り替える順番が決まります。

Q7. 新しい社員だけRedwoodにしてもよいですか

よい進め方の1つです。

これからの画面で覚えてもらえるため、教育をそろえやすくなります。

先輩と画面が違う期間があるため、手引きは両方の画面で用意しておきます。

まとめ

  • Redwoodは、Oracleの新しい画面デザイン。機能は同じで見え方が変わる
  • 新しいアカウントは最初から有効、既存のアカウントは利用者ごとに有効にする
  • 対象の画面は、リリースごとに広がる
  • AI機能は別の話。Ask Oracleは米国とカナダから提供
  • 切替は「試す→伝える→広げる」。部門ごとに順に進め、繁忙期を避ける

冒頭の月曜の朝は、会社として順番を決めていないときに起きます。

まずは部門ごとの利用者の表を作り、誰から切り替えるかを決めてください。

もう少し詳しく知りたい方へ

切替の順番、手引きの作り方、カスタムの画面の確認から、ご相談をお受けしています。

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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