NetSuiteは楽天市場と直接つながらない|現実的な連携構成の考え方

楽天市場での売上が伸びてきた。それ自体は喜ばしいことです。

ところが売上が増えるほど、受注処理や在庫の更新に追われていないでしょうか。会計や在庫の基幹システムと楽天が別々のままで、二重入力やミスが起きやすくなる。そんな悩みは珍しくありません。

そこで「基幹システムをNetSuiteにして、楽天とつなげたい」と考える方が増えています。ところが調べても、楽天との直接連携の情報がなかなか出てきません。

楽天とNetSuiteの連携を検討するEC担当者の方に向けた、実務的な内容です。

この記事で分かること

  • なぜNetSuiteと楽天市場は直接つながらないのか
  • 間に一元管理ツールを挟む、現実的な連携構成
  • 連携手段(3つの型)の比較と選び方
  • 連携を成功させる勘所と、進め方

読了の目安:約7分

目次

楽天の売上が伸びるほど、管理が追いつかなくなる

楽天市場の運用は、売上が伸びるほど手作業の負担が増えていきます。その負担の正体を整理します。

受注・在庫管理、こんな手作業に追われていませんか

楽天で注文が入るたびに、受注情報を確認し、在庫を引き当て、出荷を指示する。

商品数や注文数が少ないうちは、これも手作業でこなせます。ですが売上が伸びると、処理件数が一気に膨らみます。

担当者が増えても、入力ミスや対応漏れのリスクは消えません。むしろ人が増えるほど、ルールの統一が難しくなることもあります。

基幹システムと分断されると何が起きるか

楽天の管理画面と、会計や在庫の基幹システム。この二つが別々だと、同じ情報を二度入力することになります。

たとえば、こんな問題が起きやすくなります。

  • 楽天の在庫と基幹システムの在庫がズレて、欠品や過剰在庫が出る
  • 受注データを手で転記するため、ミスや遅れが生じる
  • 売上の数字を集計するのに、毎回手間がかかる

人手不足が続くなか、こうした手作業は事業の足かせになりかねません。売上の拡大に管理が追いつかない。これが、連携を考え始める最初のきっかけになります。

なぜNetSuiteと楽天市場は「直接」つながらないのか

結論からお伝えします。NetSuiteと楽天市場は、標準では直接つながりません。理由は、両者の前提が違うからです。

Oracle純正・汎用の連携ツールが楽天をカバーしない理由

NetSuiteには、ECサイトと連携するための仕組みがあります。ただし、その多くは海外のECサービスを想定したものです。

Oracleの純正コネクタや、システム同士をつなぐ汎用のiPaaS(アイパース:クラウド上でシステム連携を担う基盤)も同様です。ShopifyのようなグローバルなECとの連携が中心になっています。

これらは、楽天市場専用の連携手段を公式に提供しているわけではありません。だから「つなごうとしても情報が出てこない」という状況が起きます。

楽天RMSという「日本独自の前提」

楽天市場には、RMS(アールエムエス:楽天市場の店舗運営システム)という独自の管理基盤があります。

出店者はこのRMSを通じて、受注や在庫、商品情報を扱います。これは日本の楽天市場に固有の仕組みです。

海外製のERPであるNetSuiteは、この日本独自の前提を最初から想定しているわけではありません。ここに、直接つながらない根本的な理由があります。

だから「あいだをつなぐ設計」が必要になる

海外製のERPと、日本独自のモール。この二つを無理に直結させようとすると、かえって遠回りになりがちです。

自社だけで抱え込まず、あいだをつなぐ適切な手段を選ぶ。そう考えると、現実的な道筋が見えてきます。

その「あいだをつなぐ設計」が、次の章のテーマです。

現実的な連携の考え方:中間に一元管理ツールを挟む

直接つながらないなら、どうするか。現実的なのは、楽天とNetSuiteの間に「一元管理ツール」を挟む構成です。

基本は「楽天 → 一元管理ツール → NetSuite」の2段構成

一元管理ツールとは、複数のECモールの受注や在庫をまとめて扱うためのサービスです。

この構成では、データはこう流れます。

  • 楽天市場(RMS)から、受注・在庫の情報を一元管理ツールが受け取る
  • 一元管理ツールが、その情報をNetSuiteへ連携する

楽天とNetSuiteを直接つなぐのではなく、間にハブ(中継役)を置く。これが基本の考え方です。

一元管理ツールが受注・在庫のハブになる

国内では、楽天市場と連携できる一元管理ツールがいくつかあります。代表的なものに、ネクストエンジンなどがあります。

こうしたツールとNetSuiteの間をつなぐAPI連携(システム同士を自動でつなぐ仕組み)を提供する事業者も登場しています。

たとえば、一元管理ツールとNetSuiteをつなぐ連携アプリを提供する事業者があります。これを使えば、楽天 → 一元管理ツール → NetSuite というデータの流れを構築できます。

ただし、各サービスの対応状況や仕様は変わることがあります。実際の構成を決めるときは、最新の対応範囲を確認することが大切です。

直接対応をうたう連携製品という選択肢も

もう一つの道として、楽天への対応をうたう連携製品を使う構成もあります。

楽天・Amazon・Yahoo!ショッピングなど、複数のモールとNetSuiteの連携に対応するとうたう製品も存在します。

こちらも、対応範囲や最新の状況は製品によって異なります。導入前に、自社が使うモールに対応しているかを確認するのがおすすめです。

NetSuite×楽天 連携手段の比較

連携の手段は、大きく3つの「型」に整理できます。自社の状況によって、向き不向きが分かれます。

3つの連携手段の全体像

  • 型A:一元管理ツール経由
    楽天と一元管理ツールをつなぎ、そこからNetSuiteへ連携する構成です。
  • 型B:楽天対応の連携製品
    楽天への対応をうたう連携製品を使い、NetSuiteへつなぐ構成です。
  • 型C:個別にAPIで開発
    自社の要件に合わせて、連携の仕組みを個別に開発する構成です。

比較表で見る向き不向き

比較軸型A:一元管理ツール経由型B:楽天対応の連携製品型C:個別API開発
構成のイメージ楽天→一元管理ツール→NetSuite楽天→連携製品→NetSuite楽天→自社開発の連携→NetSuite
対応モールの広さ複数モールをまとめやすい製品により異なる開発次第(自由だが都度開発)
導入の手早さ比較的早い(既存サービス活用)比較的早い時間がかかりやすい
柔軟性(自社要件への適合)標準機能の範囲製品の仕様の範囲高い(要件に合わせられる)
運用・保守の負担サービス提供元に依存製品提供元に依存自社・開発委託先で保守
こんな企業に向く複数モールを早く一元化したい楽天中心で定番構成を使いたい独自要件が多く作り込みたい

どの型にも、向いている場面とそうでない場面があります。

複数のモールを早くまとめたいなら型A。楽天を中心に定番の構成で進めたいなら型B。独自の要件が多く作り込みたいなら型C、という具合です。

なお、Shopifyなど他のチャネルとの連携については、別記事「BtoBでのEC利用に好機。Shopify×NetSuite連携」でも扱っています。あわせて参考にしてください。

連携を成功させるための勘所

連携は「つなげば終わり」ではありません。設計を誤ると、かえって業務が混乱することがあります。事前に押さえておきたい勘所を整理します。

在庫マスタをどこに置くかを最初に決める

連携でまず決めるべきは、「在庫の正しい数字を、どのシステムが持つか」です。これを在庫マスタと呼びます。

楽天とNetSuite、どちらを基準にするか。ここが曖昧だと、在庫の数字が食い違う原因になります。

複数モールを扱う場合は特に重要です。どこか一つを「正」と決めて、そこから各モールへ反映する設計が基本になります。

受注ステータスの連携設計が肝

受注には、「新規」「入金確認」「出荷済み」など、さまざまな状態があります。

この状態を、いつ、どちらのシステムに反映するか。ここを丁寧に設計しないと、出荷漏れや二重出荷につながりかねません。

あわせて、連携のタイミングも決めます。リアルタイムで反映するのか、一定間隔でまとめて処理するのか。業務の実態に合わせて選びます。

「つないだ後」の運用まで見据える

連携は、動き始めてからが本番です。

たとえば、連携が一時的に止まったとき、どう対応するか。手作業で補う手順を決めておかないと、現場が混乱します。

こうした運用ルールまで含めて設計できるかが、連携の成否を分けます。つなぐこと自体より、つないだ後を見据えることが大切です。

自社に合う連携構成は、要件で変わる|相談という選択

最適な連携構成は、扱う商品・モール数・出荷量によって変わります。だから、一般論だけでは「これが正解」とは決められません。

最適な構成は要件で変わる

ここまで見てきたように、楽天とNetSuiteの連携には、いくつかの現実的な道があります。

  • 標準では直接つながらない
  • 間に一元管理ツールなどを挟む構成が現実的
  • 手段は複数あり、それぞれ向き不向きがある
  • 在庫マスタやステータスの設計を誤ると、業務が止まりかねない

つまり、「自社にとってどの構成が最適か」は、要件を整理してはじめて見えてきます。

設計から相談できるパートナーという選択

楽天は日本独自のモールで、NetSuiteは海外製のERPです。この二つの「あいだ」を設計するには、両方への理解が要ります。

NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットは、こうした連携の設計から運用までを支援しています。

連携を自動化できれば、欠品や過剰在庫を減らせます。それは出荷ミスの削減にとどまらず、在庫に縛られる資金が減る、つまりキャッシュフローの改善にもつながります。

「自社の場合はどの構成が合うのか」を整理する段階から、ご相談いただけます。

まずは現状をお聞かせいただくところから始められます。

よくある質問(FAQ)

Q1. NetSuiteと楽天市場は直接連携できますか?

標準では、直接つなぐ専用の手段は用意されていないのが実情です。

Oracle純正や汎用の連携ツールは、海外のEC向け連携が中心です。楽天とつなぐ場合は、間に在庫・受注の一元管理ツールを挟む構成が現実的です。

Q2. ネクストエンジンのような一元管理ツールは必須ですか?

必須ではありませんが、有力な選択肢の一つです。

楽天対応をうたう連携製品を使う方法や、個別にAPI開発する方法もあります。どれが向くかは、扱う商品数・モール数・社内のリソースによって変わります。

Q3. 連携の構築にはどれくらい期間がかかりますか?

構成や要件によって幅があり、一概には言えません。

既存の連携サービスを活用する場合は比較的早く、個別開発では設計・テストに時間がかかる傾向があります。まずは自社の要件を整理することが、見積もりの第一歩になります。

Q4. 楽天だけでなく、Yahoo!ショッピングやAmazonも一緒に連携できますか?

複数モールをまとめて連携できる構成もあります。

一元管理ツールは複数のモールに対応していることが多く、楽天と他モールをまとめてNetSuiteにつなげる場合があります。対応範囲は手段によって異なるため、自社が扱うモールの組み合わせで確認するのがおすすめです。

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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