「NetSuiteは、結局いくらかかるのか」
初めての打ち合わせで、ほぼ必ず聞かれます。
答えは、3名で150万円程度の会社もあれば、2億円程度の会社もあります。
どちらも同じNetSuiteです。
NetSuiteの料金は、毎年のライセンス費用、最初の導入費用、稼働後の保守費用の3つでできています。
ライセンスは、基本の部分・追加の業務・ユーザー数で決まります(出典:Oracle NetSuite公式、2026年9月確認)。
ライセンスだけなら、ミニマム構成で月額20万円〜が出発点です。
使う業務の範囲とユーザー数が増えるほど上がり、数百万円規模になることもあります。
150万円と2億円。
この差は、ライセンスの差だけでは開きません。
差を広げているのは、導入の中身です。
NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットが支援した導入を並べると、費用を動かす要因は4つに絞れます。
業務の範囲、開発の量、社内の体制、ユーザー数。
ただ、ライセンスの見積書をいくら眺めても、この4つは見えてきません。
では、見積書のどこを見れば、4つが見えるのか。
この記事で分かること
- 導入費用の4事例(3名程度・150万円程度から、100名程度・2億円程度まで)と、差を生む4つの要因
- 「月額20万円〜」の読み方と、ライセンスの構成(モジュール・ユーザーの種類・サービス階層)
- 見積書で見る14の項目と、4つの要因が出てくる場所
- ライセンス・導入・保守を、誰が担うのか
言葉の整理:ライセンスは、NetSuiteを使う権利に対して払う利用料です。
モジュールは、業務の範囲を広げるために追加する機能の単位です。
TCO(総保有コスト)は、システムを持ち、使い続けるためにかかる費用を、数年分まとめて見る考え方です。
NetSuiteの費用の全体像|見積書に載る3つと、載らない1つ
NetSuiteは、世界220地域・44,000社以上で使われているクラウドERPです(出典:Oracle NetSuite公式サイト、2026年9月時点)。
製品の基礎は、NetSuiteとはをご覧ください。
どの会社でも、費用は次の4つでできています。
| 費用 | 中身 | いつかかるか | 見落としやすい点 |
|---|---|---|---|
| ライセンス費用 | 年額の利用料(コアプラットフォーム・モジュール・ユーザー数) | 契約期間中ずっと | ユーザーの種類、サービス階層、オプション |
| 導入費用 | 要件定義・設定・データ移行・教育など | 主に初年度 | 前提の条件(移行の範囲、帳票の数、連携の数) |
| 保守・運用費用 | 稼働後の問い合わせ・設定の変更・改善の支援 | 稼働後ずっと | 範囲の外の作業、更新の前後の確認 |
| 社内の工数 | 業務の整理、受入テスト、データの準備、教育への参加 | 導入の前後に集中 | 見積書に出てこないため、予算から漏れる |
Oracle NetSuiteの公式サイトでは、ライセンスは年額で契約すると説明されています。
初期の設定には、初回限りの導入費用がかかります(出典:Oracle NetSuite公式、2026年9月確認)。
4つ目の社内の工数は、パートナーの見積書にもOracleの見積書にも載りません。
それでも、担当者が導入に割く時間は、会社にとって確かな費用です。
「月額20万円〜」の「〜」に何が入るか
「月額20万円なら、うちでも払える」
そう考えて、最初の見積もりを見て驚く会社は少なくありません。
20万円は、最小限の構成で始めたときの入口の金額です。
ここに、次の3つが足されていきます。
- 使う業務の範囲(モジュール)
- ユーザーの数と種類
- サービス階層と、サポートの種類やテスト環境などのオプション
それでも、ここまではライセンスの話にすぎません。
第3章の事例で金額を開かせていたのは、導入費のほうでした。
「〜」の中身と、その外にある費用を図にすると、次のとおりです。
ライセンスの構成|何が金額を決めるのか
Oracle NetSuiteの公式サイトでは、年額のライセンスは次の3つで構成されると説明されています。
(出典:Oracle NetSuite公式、2026年9月確認)
| 構成要素 | 中身 | 金額への影響 |
|---|---|---|
| コアプラットフォーム | すべてのアカウントに共通の土台。会計・在庫管理・受注管理・税務管理の機能を含む | 必ずかかる |
| オプションのモジュール | 製造、Eコマースなど、業務を広げる追加の機能 | 追加するモジュールごとにライセンス料が違う |
| ユーザー数 | NetSuiteにログインして使う人の数と種類 | 種類ごとに数え方と費用が違う |
このほか、アカウントの規模を示すサービス階層や、サポートの種類も見積りに入ります(2-4、第3章)。
コアプラットフォーム
コアプラットフォームは、NetSuiteを使う以上、必ず契約する土台です。
公式サイトでは、会計・在庫管理・受注管理・税務管理の機能がコアに含まれるとされています(出典:Oracle NetSuite公式、2026年9月確認)。
ただし、同じ「在庫管理」でも、高度な機能は別のモジュールになることがあります。
使いたい機能がコアの中か、追加か。見積書の品目で見分けてください。
オプションのモジュール
モジュールは、業務の範囲を広げるための追加の機能です。
製造管理や、SuiteCommerce(NetSuiteのEコマースの機能)などがあります。
公式サイトでは、モジュールは契約期間中いつでも個別にライセンスを取得できるとされています。
機能が違うため、ライセンス料もモジュールごとに違います(出典:Oracle NetSuite公式、2026年9月確認)。
追加はいつでもできます。
一方で、契約の途中で減らせるかどうかは、契約の条件しだいです。
だから、最初から広く取りすぎないことが、無駄な費用を防ぐ基本になります。
モジュールを選ぶときは、次の問いに答えてみてください。
- 稼働の初年度から、このモジュールを使う業務はあるか
- その業務の担当者は決まっているか
- いまExcelや別の仕組みで回っているなら、急いで移す理由は何か
3つとも答えられないモジュールは、後から追加する候補です。
主なモジュールの中身は、NetSuiteとはで紹介しています。
ユーザーの種類
ユーザーライセンスには、使う範囲に応じた種類があります。
Oracle NetSuiteのヘルプでは、次の種類が挙げられています(出典:Oracle NetSuiteのヘルプ、2026年9月確認)。
| 種類 | 対象となる使い方 |
|---|---|
| Full Licensed User | NetSuiteの機能を広く使う人(経理・営業の管理者など) |
| Employee Center | 勤怠の入力、経費の申請、給与明細の確認など、自分の手続きが中心の人 |
| Retail User | 小売の店舗での利用など、決められた役割で使う人 |
| Specialized User | CRM、プロジェクト管理、閲覧と承認、倉庫管理など、限られた役割で使う人 |
| SuiteCloud Plus | 同時に動く連携(Webサービス)の処理を支えるためのライセンス |
ヘルプによると、ユーザーライセンスはログインに使うメールアドレスごとに数えます(出典:Oracle NetSuiteのヘルプ、2026年9月確認)。
費用を左右するのは、誰にどの種類を割り当てるかです。
全員をFull Licensed Userにすると、ライセンス費用は大きく膨らみます。
社員の使い方から、種類の見当をつける目安は次のとおりです。
| 社員の使い方 | 検討する種類 | 見る点 |
|---|---|---|
| 仕訳の入力、請求、分析、承認を日常的に行う | Full Licensed User | 本当に毎日広く使うか |
| 勤怠の入力や経費の申請だけを行う | Employee Center | 承認の役割も持つかどうか |
| 決められた画面で見て承認するだけ | Specialized User(閲覧と承認など) | その役割で必要な操作が足りるか |
| 倉庫で入出庫だけを行う | Specialized User(倉庫管理など) | 使う機能が契約に含まれるか |
| ほかのシステムと自動でつなぐ | SuiteCloud Plus(連携の処理) | 同時に動く連携の数 |
この表は、あくまで見当をつけるためのものです。
どの種類で足りるかは、役割ごとの操作を担当者と一緒に洗い出して決めます。
種類ごとの条件と価格は、契約の時点で必ず聞いてください。
設計の考え方は、NetSuiteのタスク専用ライセンスとはで詳しく扱っています。
サービス階層|アカウントの「器の大きさ」
NetSuiteには、サービス階層(Service Tier)という区分があります。
ユーザー数、ファイルの容量、取引の量。アカウントが扱えるこれらの上限を決めるものです。
Oracle NetSuiteのヘルプでは、4つの階層が示されています(出典:Oracle NetSuiteのヘルプ、2026年9月確認)。
| 階層 | ユーザー数 | ファイルの容量 | 月間の取引行数 |
|---|---|---|---|
| Standard | 100まで | 100GBまで | 20万行まで |
| Premium | 1,000まで | 1,000GBまで | 200万行まで |
| Enterprise | 2,000まで | 2,000GBまで | 1,000万行まで |
| Ultimate | 4,000まで | 4,000GBまで | 5,000万行まで |
月間の取引行数は、すべての取引の行数を月ごとに合計し、直近6か月で平均したものです。
取引の件数が多い会社は、ユーザーが少なくても、この上限に近づくことがあります。
上限を超えると、管理者に画面の表示とメールで知らせが届きます。
猶予があるのはファイルの容量だけで、期間は90日です(出典:Oracle NetSuiteのヘルプ、2026年9月確認)。
階層を上げる場合は、注文の請求の後に切り替えが始まるとされています。
自社の取引の量は、次の手順で見当をつけられます。
- 月に発行する請求書・注文書・仕入の伝票の数を数える
- 1枚あたりの明細の行数の平均をかける
- 繁忙の月と、通常の月の両方で出してみる
正確な数え方は取引の種類で変わるため、目安にとどまります。
それでも桁の見当がつけば、見積りの場で階層の話が具体的になります。
階層によって、同時に動かせる連携の処理の量も変わります(出典:同上のヘルプ)。
連携の多い会社や、数年後に取引が増える見込みの会社は、そのときの階層と費用も聞いておきましょう。
小さく始める仕組み|SuiteSuccess
SuiteSuccessは、業種ごとの標準の進め方に沿って導入する方法です。
標準のテンプレートに沿うことで、要件定義や作り込みの工数を抑えやすくなります。
公式サイトでは、SuiteSuccessのStarter Editionを、小規模で成長の速い会社向けと説明しています。
財務管理の仕組みを必要とする会社が対象です(出典:Oracle NetSuite公式、2026年9月確認)。
対象の条件や中身は、見積りの段階で聞いてください。
詳しい仕組みは、NetSuite SuiteSuccessとはで扱っています。
複数の法人や海外の拠点がある場合
複数の法人や海外の拠点を一つで管理するなら、OneWorld(複数の法人・通貨・言語を扱う機能)が関わります。
構成が変わるため、ライセンスの費用も変わります。
いまは国内の一法人でも、数年後の子会社や海外の拠点の予定は見ておきます。
後から広げる前提で構成を選べば、入れ直しの手間を避けやすくなります。
中身は、NetSuiteのグローバル展開機能で扱っています。
導入費・保守費・社内の工数
総額の大きさを左右するのは、ライセンスよりも、むしろこちらです。
導入費用の中身と、4つの事例
導入費用は、要件定義から稼働までにかかる初期の費用です。
| 項目 | 内容 | 主に担う人 |
|---|---|---|
| 要件定義・設定 | 業務の流れを整理し、NetSuiteの設定に落とす | パートナー |
| カスタマイズ | 標準の機能で足りない部分の作り込み | パートナー |
| データ移行 | いまのシステムから、取引先・品目・残高などを移す | パートナー+自社 |
| 連携 | EC・物流・銀行などの外部の仕組みとつなぐ | パートナー |
| 教育 | 利用者への操作の説明 | パートナー+自社 |
| 受入テスト | 完成した仕組みを、自社の業務で試す | 自社 |
実際の金額を、ベンチャーネットが支援した導入の費用で並べます。
| 事例1 | 事例2 | 事例3 | 事例4 | |
|---|---|---|---|---|
| ユーザー数 | 100名程度 | 30名程度 | 20名程度 | 3名程度 |
| 機能範囲 | 購買・販売・在庫・会計 | 購買・販売・プロジェクト管理 | 購買・販売・在庫・会計 | 購買・販売 |
| 外部システム連携開発 | あり(他社SaaS・顧客独自システム) | あり(助言・QAのみ、開発は顧客側) | なし | なし |
| アドオン開発 | あり | あり | あり | なし |
| 期間 | 1.5年 | 1年 | 2年 | 1.5か月 |
| 顧客側体制 | 情シスあり | 情シス・開発会社あり | 情シスなし | 情シスなし |
| 導入費用 | 2億円程度(うち開発約7割) | 2,000万円程度 | 3,000万円程度 | 150万円程度 |
事例1の2億円は、約7割が開発の費用でした。
他社のSaaSや顧客独自のシステムとつなぐ開発が、金額を押し上げています。
事例3は、ユーザーが20名なのに、30名の事例2より高くつきました。
社内に情報システムの担当(情シス)がいないと、その分のサポートをベンチャーネットが厚くします。
期間も2年と、4つの中でいちばん長くなりました。
事例4は3名程度で、購買・販売だけ。開発はありません。
1.5か月・150万円程度で稼働しています。
4つを並べると、費用を決める要因が見えてきます。
- 業務の範囲:購買・販売だけか、在庫・会計やプロジェクト管理までか
- 開発の量:とくに外部システムとの連携。事例1では費用の約7割を占めた
- 社内の体制:情シスが少ないとサポートを厚くするため、期間も長くなりやすい
- ユーザー数:受入テストと教育の工数が増え、社内の調整で長くなりがち
どれも、導入の作業量で見積もられる費用です。
そのため、見積書に書かれた前提の条件で金額が大きく変わります。
- データ移行は、何年分を、どの項目まで移すか
- 帳票は、いくつ作るか
- 連携は、いくつの仕組みとつなぐか
- 標準の機能に業務を合わせる割合を、どこまで高めるか
最後の点は、開発の量に直結します。
標準で収まらない業務には、「標準に合わせる/開発する/残す」の3つの選び方があります。
いまの業務を見える化してから、業務ごとにどれにするかを決めます。
開発を選ぶほど、導入費用だけでなく、稼働後の保守の手間も増えます。
進め方は、NetSuite導入のFit&Gap分析で扱っています。
期間と費用も、つながっています。
期間が延びれば、パートナーの作業も社内の工数も増えるからです。
ライセンスの契約の開始日と、稼働の予定日の関係も聞いておきましょう。
稼働の前から費用が発生するかどうかで、1年目の負担が変わります。
保守・運用費用
稼働後の費用は、大きく2つに分かれます。
1つ目はOracleのサポートです。
公式サイトでは、BasicとPremiumの2つのサポートが案内されています。
Premiumには、24時間365日の電話のサポート、優先のケース対応、ライブチャットが含まれます。
(出典:Oracle NetSuite公式、2026年9月確認)
Basicでも、重大な問題は電話とオンラインのケースで問い合わせできるとされています。
どちらが要るかは、止まったときの業務への影響と、社内で対応できる時間帯で決めます。
2つ目はパートナーの保守です。
自社の設定や使い方の問い合わせ、設定の変更、作り込んだ部分の調査などを支えます。
範囲と費用は、パートナーとの契約で決まります。
| 作業の例 | 契約の前に聞く点 |
|---|---|
| 操作の問い合わせ | 受ける時間帯、返事までの目安、方法 |
| 帳票や項目の小さな変更 | 保守に含むか。月の上限はあるか |
| 作り込んだ部分の不具合の調査 | 他社が作った部分も見るか |
| 連携の停止の調査 | 連携先の会社との役割分担 |
| リリースの前後の影響の確認 | 保守に含むか、別の見積りか |
どちらも、ライセンスとは別に予算を組みます。
サポートの選び方は、NetSuiteのサポート・保守はどう選ぶ?で扱っています。
テスト環境(Sandbox)
Sandboxは、本番の環境に影響を与えずに、新しい設定や作り込みを試せる環境です。
取得は、担当者に問い合わせるよう案内されています(出典:Oracle NetSuiteのヘルプ、2026年9月確認)。
作り込みや連携が多い会社ほど、本番の前に試す場の価値は大きくなります。
要るかどうかと費用は、見積りの段階で聞いておきます。
詳しくはNetSuiteのサンドボックスとはをご覧ください。
更新への備え
NetSuiteには、年に2回の大きなリリースがあります(出典:Oracle NetSuiteのヘルプ、2026年9月確認)。
クラウドなので、入れ替えの作業は要りません。
ただし、作り込んだ部分や連携があれば、リリースの前後に影響を調べる作業が生まれます。
この作業を保守に含むのか、別の費用なのか。契約の時点で決めておきます。
社内の工数
見積書に載らない費用が、社内の工数です。
| 社内の役割 | 主に関わる時期 | 主な作業 |
|---|---|---|
| 経営層 | 導入の前、判断の場面 | 見たい数字と優先順位を決める。部門の間の調整 |
| プロジェクトの責任者 | 導入の期間ずっと | 進み具合の管理、社内の取りまとめ |
| 各部門の担当者 | 要件定義、受入テスト | 業務の説明、テストでの確認 |
| データの担当 | 移行の前 | 重複した取引先や、使っていない品目の片付け |
導入の期間中は、担当者の通常の仕事の一部を、ほかの人に任せる場面も出てきます。
誰が、何か月、どのくらいの時間を割くか。書き出して、人件費として見込んでおきます。
契約した後で費用が変わる場面
NetSuiteの費用は、契約した後も、使い方の変化に合わせて動きます。
| 場面 | 費用の動き | 事前に聞くこと |
|---|---|---|
| 社員が増え、ユーザーを追加する | ライセンスが増える | 追加するときの単価 |
| 新しい業務を始め、モジュールを追加する | ライセンスと設定の費用が増える | 追加の単価と、設定の見積り方 |
| 取引の量が増え、階層の上限に近づく | 上の階層への引き上げの費用 | いまの階層の上限と、引き上げの条件 |
| 連携を増やす | 連携の開発と保守の費用が増える | 同時に動く連携の上限 |
| 契約を更新する | 更新の条件で年額が変わることがある | 更新のときの価格の条件 |
成長に合わせて広げられるのは、クラウドのERPの利点です。
そのぶん、広げたときの費用の見通しを、最初の契約の時点で持っておきたいところです。
総額で考える|ライセンスだけで判断しない
ライセンスの金額だけで「高い・安い」を決めると、判断を誤りやすくなります。
費用は、年ごとの表に並べて見ます。
| 費用 | 1年目 | 2〜3年目 | 4〜5年目 |
|---|---|---|---|
| ライセンス(コア・モジュール・ユーザー・階層) | |||
| 導入 | |||
| Oracleのサポート | |||
| パートナーの保守 | |||
| 追加の開発・改善(見込み) | |||
| 社内の工数(人件費の見込み) |
1年目は導入の費用が重く、2年目以降はライセンスと保守が中心です。
空欄が残るなら、その費用はまだ見積りに入っていません。
ユーザーやモジュールを増やす予定があれば、その年の欄に書き込みます。
逆に、NetSuiteでやめられる費用も並べます。
| やめられる費用の例 | 見つけ方 |
|---|---|
| いまの会計・販売のシステムの保守費 | 保守の契約書と請求書を見る |
| サーバーや機器の費用 | 買い替えの予定と、毎年の費用を書き出す |
| Excelでの集計にかけている時間 | 月末の集計に、誰が何時間かけているかを聞く |
| 二重の入力にかけている時間 | 同じ数字を複数の仕組みに入れている業務を探す |
減らせる手間も同じ表に並べると、投資としての判断がしやすくなります。
5年の総額の見積もり方は、クラウドERPの費用・料金相場で詳しく扱っています。
ライセンス以外の「見えない費用」は、NetSuiteのライセンスは高い?をご覧ください。
見積書で見る14項目
見積書を受け取ったら、次の14項目を見てください。
書かれていない項目は、提示した会社に聞きます。
| # | 見る項目 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | 金額は月額か年額か、税抜きか税込みか | 比べる前提をそろえるため |
| 2 | 契約期間(単年か、複数年か) | 期間によって条件が変わる場合があるため |
| 3 | コアプラットフォームに含まれる機能 | 使いたい機能が追加のモジュールになっていないか |
| 4 | モジュールの一覧 | 最初の年から本当に要るものか |
| 5 | ユーザーの種類ごとの数 | 全員がFull Licensed Userになっていないか |
| 6 | サービス階層 | 自社の取引の量とユーザー数に合っているか |
| 7 | Oracleのサポートの種類(Basic・Premium) | 自社に必要な対応の時間帯か |
| 8 | Sandboxの有無と費用 | 作り込みや連携を試す場が要るか |
| 9 | 導入費用の範囲と前提の条件 | データ移行・帳票・連携の数が書かれているか |
| 10 | カスタマイズと連携の内訳 | 稼働後の保守の手間にもつながるため |
| 11 | パートナーの保守の範囲と月額 | 含む作業と含まない作業の境目 |
| 12 | 更新のときの価格の条件 | 2年目以降の費用の見通しを立てるため |
| 13 | 途中でユーザーやモジュールを増やすときの単価 | 成長したときの費用を見込むため |
| 14 | 途中で減らせるかどうか | 使わない分を払い続けないため |
4つの要因は、見積書のここに出る
冒頭の問いに戻ります。
第3章の4つの要因は、14項目のうち次の番号に表れます。
| 要因 | 出てくる項目 | 見る点 |
|---|---|---|
| 業務の範囲 | 3・4 | 初年度に使わないモジュールが入っていないか |
| 開発の量 | 9・10 | 連携とアドオン開発の数と中身が書かれているか |
| 社内の体制 | 9・11 | 社内で担う作業と、パートナーが担う作業の境目 |
| ユーザー数 | 5・6 | 種類ごとの人数と、受入テスト・教育の範囲 |
とくに9〜11は、金額の差の理由が隠れやすい項目です。
同じ金額に見えても、前提と範囲が違えば、中身は別物です。
注意したい見積書のサイン
次のような見積書は、中身を詳しく聞いてから判断します。
- ライセンス・導入・保守が「一式」でまとめられ、内訳がない
- 導入費用に、データ移行の範囲や帳票・連携の数が書かれていない
- ユーザーがすべて同じ種類で数えられている
- サービス階層やサポートの種類が書かれていない
- 2年目以降の費用が、どこにも書かれていない
どれも、後から費用が増える原因になりやすい点です。
聞いてすぐに答えが返ってくる会社なら、心配は小さくなります。
複数の会社から見積りを取るなら、同じ資料を渡し、条件をそろえてから比べます。
依頼の書き方は、ERP見積もり依頼書(RFQ)の書き方が参考になります。
見積りを頼む前にまとめておく5つ
- いまの課題:情報が分かれている、二重に入力している、月次の決算が遅い、など
- 使いたい業務の範囲:会計・販売・在庫・購買など、どこから始めるか
- 想定するユーザー:フルに使う人と、自分の手続きだけの人の内訳
- 使い始めたい時期:来期からか、半年後か、まだ検討中か
- 移すデータ:会計・取引先・在庫などを、どこまで移すか
全部がそろっていなくても構いません。
第11章の「今日できること」で作る下書きが、そのまま見積りを頼む資料になります。
購入から契約までの手続きは、NetSuiteの購入・契約の流れで扱っています。
判断の物差し|どんな会社に合うか
ミニマム構成から始めやすい会社
- 一つの法人で、まず会計と基本の業務をまとめたい
- フルに操作する人は経営層や経理の責任者など少人数で、ほかの社員は自分の手続きが中心
- 取引の件数が、Standardの階層の範囲に収まる
- 標準の機能に業務を合わせる方針を決められる
ミニマム構成で始め、定着に合わせて広げる進め方もあります。
初年度の負担を抑えながら、使いこなしを見て次の範囲を決められます。
数百万円規模の予算を見込んでおきたい会社
- 会計・販売・在庫・製造などを、複数の部門でまとめて使う
- 複数の法人や、海外の拠点を一つで管理したい
- 取引の件数が多い、または連携する仕組みが多い
- 作り込みが要る業務が多い
この場合は、ライセンスに加えて導入と保守の費用も大きくなりがちです。
第3章の事例1・事例3に近い形になります。
段階的に広げる計画を立て、年ごとの費用の形を先に描いておきます。
NetSuiteの費用の形が合いにくい会社
- 毎年のライセンスと保守の費用を、予算に組み続けるのが難しい
- 使う人がごく少なく、会計ソフトと表計算で困っていない
- 自社にしかない業務が中心で、作り込みがとても多くなりそう
- 導入を担う社内の担当者を、しばらく確保できない
NetSuiteが悪いのではありません。費用の形が合っていない可能性があります。
その場合は、ほかの選択肢と、年ごとの費用の形で比べます。
| 選択肢 | 費用の形 | 合いやすい会社 |
|---|---|---|
| NetSuite(ミニマム構成から) | 年額のライセンス+導入+保守。構成で広げる | 成長に合わせて業務の範囲を広げたい会社 |
| Odoo | アプリ単位で始めやすい | 費用を抑えて小さく始めたい会社 |
| 国産のERP・会計ソフト | 製品ごとに違う | 国内だけで、日本の商習慣に合う機能が要る会社 |
| AIを使ったスクラッチ開発 | 作る費用+動かし続ける費用 | 自社にしかない業務が中心の会社 |
| いまは入れない | 当面の費用は小さい | 業務の整理や「見たい数字」がまだ決まっていない会社 |
比べ方は、OdooとNetSuiteを徹底比較とERP・クラウドERPを徹底比較で扱っています。
スクラッチ開発との比べ方は、AIでスクラッチ開発とERP、どちらを選ぶべきかをご覧ください。
これから入れる会社と、いま使っている会社
これからNetSuiteを入れる会社
予算の見誤りを防ぐには、次の順で費用を詰めていきます。
- 稼働後に見たい数字を3つ決める
- その数字を出すのに要る業務の範囲を決める
- 範囲から、モジュールとユーザーの種類を決める
- 取引の量から、サービス階層の見当をつける
- 導入・保守・社内の工数を加え、年ごとの表にする
最初の一歩は、金額を聞くことではありません。
範囲が決まらないまま見積りを頼むと、提示する側は広めの構成で出さざるを得なくなります。
その結果、「思ったより高い」と検討が止まることもあります。
社内の稟議(りんぎ)では、金額を一つの数字ではなく、幅で示すと通りやすくなります。
「最小の構成」「計画どおりの構成」「広げた場合の構成」の3つを並べ、それぞれの5年の総額を出します。
どこで判断を分けるのかも書き添えます。
書き方は、ERP導入の社内稟議書の書き方で扱っています。
いまNetSuiteを使っている会社
すでに使っている会社は、ライセンスの更新の前が、費用を見直す機会です。
| 見直す点 | 見ること |
|---|---|
| ユーザー | ログインしていない人や、Employee Centerで足りる人がいないか |
| モジュール | 使っていないモジュールがないか。逆に、Excelで補っている業務はないか |
| サービス階層 | 取引の量やファイルの容量が、上限に近づいていないか |
| サポート・保守 | いまのサポートの種類とパートナーの保守で足りているか |
更新の条件は、契約ごとに違います。
数か月前から棚卸しを始め、条件を話し合う時間を取っておきます。
パートナーの支援を見直すなら、ERP導入失敗の原因はパートナーにあり?「パートナー変更」という選択肢も参考になります。
よくある失敗3つ
失敗1:「月20万円程度で済む」と思い込む
起きること:「月額20万円〜」を見て予算を組んだ。見積りを取ると、ユーザー・モジュール・導入費が積み上がり、予算を取り直すことになった。
原因:「〜」が最小の構成の入口であることを見落とした。ライセンス以外の費用を予算に入れていなかった。
避け方:「月額20万円〜」は出発点として読みます。
第4章の年ごとの表を作り、導入・保守・社内の工数まで含めた総額で予算を組みます。
失敗2:最初から広く取りすぎる
起きること:「いずれ使うだろう」と、多くのモジュールと、全員分のフルのライセンスを契約した。稼働後、ほとんどの人が使っていなかった。
原因:業務の定着の見通しより先に、構成を決めていた。ユーザーの種類を使い分けていなかった。
避け方:モジュールは契約期間中いつでも追加できます。
使い始める業務から小さく始め、定着に合わせて広げます。
ユーザーには、使い方に合わせて種類を割り当てます。
失敗3:ライセンスだけを見て、導入と保守を見落とす
起きること:ライセンスの見積りだけで予算を組んだ。稼働の時点でデータ移行や作り込みの費用が加わり、稼働後も保守の費用が続いた。
原因:ライセンスをNetSuiteの費用のすべてと考えていた。
避け方:見積りは、ライセンス・導入・保守を分けて受け取ります。
第5章の14項目で中身を見て、年ごとの表に並べます。
3つとも、根は同じです。
範囲を決める前に、金額を決めてしまったこと。
業務の範囲、使う人、取引の量が決まれば、構成が決まり、金額の幅も見えてきます。
費用の負担を軽くする方法
補助金
NetSuiteの導入が、デジタル化・AI導入補助金(旧 IT導入補助金)の対象になる場合があります。
対象の要件や補助の割合は、公募の回ごとに変わります。
必ず最新の公募要領を読んでください。
補助金を前提に予算を組むなら、採択されなかったときの進め方も決めておきます。
制度の詳細は、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)の活用法で扱っています。
契約と進め方の工夫
- 契約期間:複数年の契約で条件が変わる場合がある。単年と複数年の両方で見積りを取って比べる
- 段階的な導入:使い始める業務を絞り、定着してから広げる
- 標準に合わせる:作り込みを減らすと、導入と保守の両方の費用を抑えられる
- ユーザーの種類を使い分ける:全員をフルのライセンスにせず、使い方に合わせて割り当てる
- データを整えてから移す:使っていない取引先や品目を片付けると、移行の作業が軽くなる
どの工夫も、最初に範囲を決めることにつながっています。
範囲が決まっていれば、削ってよい部分と、削ってはいけない部分を分けられます。
ベンチャーネットならこう見る
料金の相談で、ベンチャーネットが最初に聞くのは金額ではありません。
「稼働の後、毎月どの数字を見たいですか」という問いです。
月次の損益、部門ごとの粗利、売掛金の残高。見たい数字が3つ決まれば、業務の範囲とユーザーの種類が決まります。
構成と金額は、その後からついてきます。
そのうえで、見積りを出すときに、2つのことを必ず添えます。
費用の担い手を3つに分ける|日本オラクル・ベンチャーネット・自社
NetSuiteの費用は、誰が何を担うかで分けると、何に対するお金かがはっきりします。
| 担い手 | 担うこと | 費用 |
|---|---|---|
| 日本オラクル | ライセンス・トレーニング・製品サポート | ライセンス費用、Oracleのサポート |
| ベンチャーネット | 要件定義・設定・カスタマイズ・アドオン開発・保守・PM | 導入費用、保守費用 |
| 自社 | 業務の整理、データの準備、受入テスト | 社内の工数(見積書に載らない) |
ライセンスの最終的な金額は、Oracle NetSuiteの担当営業が提示します。
ベンチャーネットが担うのは、その前の構成の整理と、導入から保守までです。
PMには、発注する会社側のPM業務や、Oracleとの調整も含みます。
事例3のように情シスがいない会社でも進められるのは、この分担があるからです。
契約は、請負契約に対応しています(準委任も相談可)。
常駐はせず、国内のチームがリモートで進めます。
パートナーの種類と役割は、NetSuite導入はパートナー経由が有利な理由で扱っています。
「変わること・注意が必要なこと」を金額と一緒に渡す
見積書の金額だけでは、稼働後に何が変わるかは分かりません。
ベンチャーネットは、次の点を見積りと同じ場で伝えます。
- ライセンス費用:ユーザーやモジュールの追加、更新の条件で上がることがある(3-6)
- 帳票:いまの帳票をどこまで作るかで、導入費用が変わる(3-1)
- 締め処理:締めの考え方が、いまのシステムと違うことがある
- 画面の操作感:いまのシステムとは変わる
- 給与・人事:導入の対象外。いまの仕組みを残す前提で予算を組む
安く見える見積りでも、これらを後から知れば「話が違う」になります。
話を進めた結果、NetSuiteではなく別の選択肢や「いまは入れない」をお勧めすることもあります。
今日できること|1時間で「費用の下書き」を作る
見積りを頼む前に、次の4つを社内で書き出してみてください。
① 見たい数字を3つ
経営として、毎月見たい数字を3つ書きます。
例:月次の損益、部門ごとの粗利、売掛金の残高。
② 使う人の一覧
NetSuiteを使いそうな人を、2つに分けて数えます。
| 区分 | 人数 | 主な使い方 |
|---|---|---|
| 広く操作する人(経理・営業の管理者など) | ||
| 自分の手続きが中心の人(勤怠・経費など) |
③ いまの費用
いまのシステムの保守費、サーバーの費用、Excelでの集計にかけている時間を書き出します。
NetSuiteで「やめられる費用」の手がかりになります。
④ 取引の量と社内の体制
月に発行する請求書・注文書・仕入の伝票の、およその数を書きます。
あわせて、情シスの有無と、導入に割ける人も書いておきます。
第3章の4事例のどれに近いか、見当がつきます。
よくある質問
Q1. NetSuiteは月額20万円程度で使えますか
月額20万円〜はミニマム構成の出発点です。
金額は、モジュール・ユーザー数・オプションで変わります。
中堅企業で複数のモジュールを使う場合、月額・年額ともに数百万円規模になることもあります。
さらに、導入費・保守費・社内の工数が別にかかります(第1章)。
Q2. NetSuiteの費用は何で決まりますか
ライセンス・導入・保守運用と社内の工数で決まります。
ライセンスは、コアプラットフォーム・オプションのモジュール・ユーザー数の3つで構成されます。
サービス階層やサポートの種類も、見積りに入る要素です(第2章)。
Q3. 全員分のフルのライセンスが必要ですか
使い方に合わせて種類を選べます。
Full Licensed UserのほかにEmployee CenterやSpecialized Userなどの種類があります。
勤怠や経費の申請が中心の人は、Employee Centerで足りるかを見ます(2-3)。
Q4. サービス階層とは何ですか
アカウントが扱えるユーザー数・容量・取引量の上限を決める区分です。
Standard・Premium・Enterprise・Ultimateの4つがあります。
取引の件数が多い会社は、ユーザーが少なくても上の階層が要ることがあります(2-4)。
Q5. 導入費用はどのくらいかかりますか
3名程度で150万円程度から100名程度で2億円程度までの例があります。
ベンチャーネットが支援した導入で差を生んだ要因は4つです。
業務の範囲、開発の量、社内の体制、ユーザー数。
事例1の2億円程度は、うち開発が約7割です(3-1)。
Q6. ライセンスと導入は、誰が担いますか
ライセンスは日本オラクル・導入と保守はパートナーです。
ベンチャーネットの場合は、要件定義・設定・カスタマイズ・アドオン開発・保守・PMを担います。
ライセンスの最終的な金額は、Oracle NetSuiteの担当営業が提示します(10-1)。
Q7. 補助金は使えますか
デジタル化・AI導入補助金(旧 IT導入補助金)の対象になる場合があります。
要件や補助の割合は、公募の回ごとに変わります。
最新の公募要領を読んでください(第9章)。
まとめ
- NetSuiteのライセンスは、ミニマム構成で月額20万円〜が出発点。構成で変わり、数百万円規模になることもある
- 導入費用の例は、3名程度・1.5か月で150万円程度から、100名程度・1.5年で2億円程度(うち開発約7割)まで
- 差を生む要因は4つ。業務の範囲、開発の量、社内の体制、ユーザー数
- 4つは、見積書の3〜6番と9〜11番に表れる。前提と範囲をそろえてから比べる
- 導入費・保守費・社内の工数まで含め、年ごとの表で総額を見る
「結局いくらかかるのか」への答えは、見積書の中にあります。
その前に、見たい数字を3つ決めてください。
それが、150万円と2億円のあいだで、自社がどこに立つかを決める最初の一歩です。
もう少し詳しく知りたい方へ
見たい数字は決まったが、どんな構成になるのか分からない。
見積りを受け取ったが、中身が妥当か判断できない。
そうした段階から、ご相談をお受けしています。
- 構成の整理から導入までの進め方を知りたい方:SaaS型クラウドERP導入支援
- NetSuiteの画面を見て、自社に合うかを確かめたい方:NetSuite無料デモのお申込み
- 見積りの読み方や、総額の見通しを相談したい方:お問い合わせ

コメント
コメント一覧 (3件)
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