NetSuiteで何ができる?機能・モジュール一覧と業種別の推奨セット【2026年版】

目次

NetSuiteで何ができる?機能・モジュール一覧と業種別の推奨セット【2026年版】

「NetSuiteって、結局何ができるシステムなの?」

クラウドERPを検討している経営者の方から、私たちがよくいただくご質問です。

NetSuiteは、Oracle社が提供する世界No.1クラウドERPです。会計・販売・在庫・CRM・プロジェクト管理など、企業活動に必要な機能を1つのクラウドプラットフォームで提供しています。

ただ、機能の幅が広いがゆえに、「全体像がつかみにくい」「自社にどの機能が必要なのかわからない」というお声もいただきます。

そこでこの記事では、NetSuiteの機能・モジュールを11カテゴリで網羅的に整理しました。あわせて、業種・規模別に「最初に必要な機能」「後回しでよい機能」をベンチャーネットの導入支援現場の知見をもとに整理しています。

ベンチャーネットは、Oracle NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるITソリューション企業です。中堅・中小企業のNetSuite導入・運用支援に専門特化しています。本記事は、私たちが現場で見てきた実例と、Oracle・NetSuite公式の最新情報をもとに構成しました。

NetSuiteとは?機能を見る前に押さえておきたい基本

NetSuiteは、Oracle社が提供するクラウド型ERPです。

ERP(Enterprise Resource Planning)とは、企業の経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を一元管理する仕組みを指します。NetSuiteはこのERPをクラウド上で提供することで、サーバー構築や保守の手間なく利用できるのが特徴です。

NetSuiteの基本データ(2026年4月時点・公式情報)

  • 世界220地域・43,000社以上で導入
  • 43言語・190通貨に対応
  • 1998年設立、世界初の本格的クラウドERP(Salesforceより1ヶ月早く誕生)
  • 2016年にOracle社が買収、以降も継続的に機能拡張

他のERPと何が違うのか

NetSuiteの大きな特徴は、設計思想から完全にクラウドネイティブで作られている点です。

多くのERPがオンプレミス(自社サーバー)で開発されたものをクラウドに「載せ替えた」のに対し、NetSuiteは最初からクラウドを前提に設計されています。そのため、自動アップデートや拡張性、グローバル対応の柔軟性に強みがあります。

加えて、会計・販売・在庫・CRM・プロジェクト管理などの機能が1つのプラットフォームで完結するのも特徴です。複数のシステムを連携させる手間がかからず、データが分断されません。

NetSuiteの全体像や導入背景についてもっと知りたい方は、こちらの記事も合わせてご覧ください。
👉 NetSuiteとは?中堅・中小企業の経営者が知っておきたいクラウドERP入門【2026年版】

本記事では、NetSuiteで「具体的に何ができるか」「どの機能を選ぶべきか」に絞ってお伝えします。

NetSuiteの機能カテゴリ全体像【11分類】

NetSuiteの機能は、大きく11のカテゴリに整理できます。

最初にお伝えしておきたいことが1つあります。この全機能を最初から使う必要は、まったくありません。

機能一覧を見ると、「これも使ったほうがいいかな」「あれも便利そう」と欲が出るのは自然なことです。しかし、NetSuiteを成功させているお客様の多くは、自社の経営課題に直結する機能から段階的に導入されています。

まずは全体像を俯瞰したうえで、自社にとって本当に必要な機能を見極めていきましょう。

NetSuiteの機能カテゴリ一覧表

カテゴリ主要モジュール概要日本での提供標準/オプション
財務・会計Financial Management, Advanced Financials, Fixed Assets, Revenue Management総勘定元帳・買掛/売掛・決算・予算・固定資産・収益認識⭕ 提供標準/一部オプション
受注・販売管理Order Management見積→受注→出荷→請求の業務フロー⭕ 提供標準
在庫・購買管理Inventory Management, Advanced Inventory, Procurement在庫管理・需要予測・購買管理⭕ 提供標準/オプション
製造・生産管理Manufacturing, WIP & Routings, MRP, Demand Planning工程管理・部品表・需要予測⭕ 提供オプション
倉庫管理Warehouse Management System(WMS)ピッキング・入出荷・棚卸⭕ 提供オプション
プロジェクト管理Project Management, OpenAir PSA, Resource Allocationプロジェクト原価・リソース配分・工数管理⭕ 提供オプション
CRM・営業支援CRM, Customer Service顧客管理・SFA・カスタマーサービス⭕ 提供標準
eコマースSuiteCommerce, SuiteCommerce AdvancedB2C/B2B ECサイト構築⭕ 提供オプション
人事(HR)SuitePeople HCM人事管理(従業員データベース・組織管理)⭕ 提供オプション
給与計算(Payroll)SuitePeople U.S. Payroll給与計算・源泉徴収・年末調整日本未対応(米国のみ)(日本では国内給与SaaS連携)
グローバルOneWorld多通貨・多言語・多拠点管理⭕ 提供オプション
プラットフォームSuiteCloud(SuiteScript, SuiteFlow, SuiteBuilder)開発・カスタマイズ基盤⭕ 提供標準

日本での提供状況に関する注意点

NetSuiteは多くのコア機能を日本市場で提供していますが、いくつか押さえておきたいポイントがあります。

  • SuitePeople HCM(人事情報管理): 日本でも利用可能。従業員データベース・組織図など。
  • SuitePeople U.S. Payroll(給与計算): 米国のみ提供。日本ではマネーフォワード・freee・SmartHRなどの国内給与SaaSとの連携が前提。
  • 電子帳簿保存法・インボイス制度: SuiteApp(NetSuite用の追加アプリ)で対応するケースが多い。

ここから、コア機能の3〜6章、拡張機能の7章と章を分けて、それぞれの機能を詳しく見ていきます。

コア機能① 財務会計(Accounting)

財務会計は、NetSuiteの中核となる機能です。

総勘定元帳・買掛金/売掛金・決算処理など、会計業務に必要な機能が標準で揃っています。加えて、予算管理・固定資産管理・収益認識といった高度な機能もオプションで利用可能です。

NetSuiteの財務会計でできること

  • 総勘定元帳(GL): すべての取引仕訳を一元管理
  • 買掛金管理(AP)/売掛金管理(AR): 取引先別の入出金状況を可視化
  • 決算処理: 月次・四半期・年度決算の自動化
  • 予算管理: 部門別・プロジェクト別の予算と実績を比較
  • 固定資産管理: 減価償却計算の自動化
  • 収益認識: サブスクリプション・複数要素契約の収益計上を自動化
  • 複数通貨対応: 海外取引の為替換算を自動処理

各モジュールはお互いに連動しており、たとえば販売モジュールで受注を計上すると、自動的に売掛金が発生し、入金処理を行えば総勘定元帳に反映されます。データが分断されないことが、NetSuiteの最大の強みです。

日本固有の論点

NetSuiteを日本で使う場合、いくつかの留意点があります。

たとえば、NetSuiteは「売上原価対立法」を採用しており、変更できません。日本企業で広く使われる「三分法」とは異なる仕組みです。どちらが良い悪いではなく、自社の会計処理の考え方とNetSuiteの考え方が一致しているかを、導入前に確認することが大切です。

また、電子帳簿保存法・インボイス制度・消費税対応などは、NetSuite単体ではなくSuiteAppや国内システムとの連携で対応するケースが多くあります。

ベンチャーネット視点

中小企業の場合、最初から財務会計をNetSuiteに移すよりも、販売・在庫から始めるほうが成果が出やすい傾向があります。財務会計は既存の会計ソフトでも一定の運用ができているケースが多く、切り替えのインパクトが見えにくいためです。

詳しくは後述の9章「機能選定の落とし穴」をご覧ください。

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コア機能② 販売・在庫・購買管理(SCM)

販売管理・在庫管理・購買管理は、サプライチェーン(SCM)の中核です。

NetSuiteでは、見積→受注→出荷→請求→入金までの業務フローが、1つのシステムで完結します。複数の販売チャネル(店舗・EC・代理店など)からの注文も、一元的に管理できます。

NetSuiteの販売・在庫・購買管理でできること

販売管理(Order Management)

  • 見積・受注・請求書発行
  • 複数チャネル(店舗・EC・代理店)の受注一元管理
  • 価格マスター(顧客別・チャネル別)の管理
  • 受注承認ワークフローの自動化

在庫管理(Inventory Management)

  • リアルタイム在庫の可視化(複数倉庫対応)
  • ロット・シリアル番号管理
  • 棚卸の効率化
  • 在庫評価額の自動計算

購買管理(Procurement)

  • 発注書発行
  • 仕入先マスターの一元管理
  • 検収・支払承認ワークフロー
  • 仕入価格の履歴管理

経営者にとってのメリット

販売・在庫・購買が1つのシステムで連動すると、経営者の方が体感しやすい変化が起きます。

  • 今、いくらの売上があって、在庫はどれくらいか」がリアルタイムでわかる
  • この商品は売れているのに、在庫が薄い」という気づきが早く得られる
  • この取引先からの仕入は、過去3年でどう推移してきたか」が瞬時にわかる

複数のExcelやシステムを行き来していた状態から、1つのダッシュボードで経営状況が見える状態になります。

ベンチャーネット視点

中小企業の場合、販売・在庫・購買の流れを整えることが、経営の見える化への近道です。

財務会計より先に、まずこの領域でNetSuiteの価値を体感していただくのが、ベンチャーネットの推奨アプローチです。リアルタイムの在庫情報や売上情報が見えると、経営判断のスピードが大きく変わります。

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コア機能③ CRM(顧客関係管理)

NetSuiteのCRMは、ERPと完全に統合された顧客管理機能です。

一般的なCRM製品は「顧客管理ツール」として独立しているため、ERPや会計と連携するには追加のシステム連携が必要です。NetSuiteはERP・CRM・受注管理が1つのシステムに統合されているため、顧客との接点情報と販売実績・売掛金情報が、シームレスにつながります。

NetSuite CRMでできること

  • 見込み客管理: リード獲得から商談化までの進捗を可視化
  • 顧客マスター管理: 取引履歴・問い合わせ履歴・契約情報を一元管理
  • SFA(営業支援): 商談管理・売上予測・営業活動のタスク管理
  • マーケティング: メール配信・キャンペーン管理・効果測定
  • カスタマーサービス: 問い合わせチケット管理・対応履歴の蓄積
  • 見積・受注連携: CRMの商談データから、そのまま見積書・受注処理へ
  • コミッション管理: 営業担当者の成果報酬を自動計算

統合型CRMの強み

NetSuiteのCRMは、顧客のライフサイクル全体を1つのプラットフォームで扱えます。

最初のコンタクトから、商談化、受注、入金管理、契約更新、アップセル、サポートまで。これらすべての情報が同じ顧客レコードに紐づいて蓄積されていきます。

たとえば、営業担当者が商談を進めているお客様が、過去にどんな問い合わせをしてくれていたか、どんな商品を購入してくれていたか、入金状況はどうかが、1つの画面で確認できます。

「営業はSFA、サポートは別ツール、会計はExcel」と分かれている状態では、お客様への対応が断片的になりがちです。NetSuiteなら、全社で同じ顧客像を共有できます。

ベンチャーネット視点

CRMツールを単に導入しただけでは、期待する成果は得られません。

現場との温度差があって入力が定着しない、入力・管理コストの負担に見合わないなど、定着に失敗するケースは枚挙にいとまがありません。

ベンチャーネットでは、CRM導入を「ツール導入」ではなく「営業プロセスの再設計」として捉え、定着まで伴走支援することを大切にしています。

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コア機能④ プロジェクト管理(PSA)

プロジェクト管理機能は、サービス業・コンサルティング業・受託開発業など、プロジェクト単位で売上と原価を管理する企業に重要な機能です。

NetSuiteは、Project Managementという標準機能に加え、より高度な要件に対応するOpenAir PSA(Professional Services Automation)というサービスを提供しています。

NetSuiteのプロジェクト管理でできること

  • プロジェクト原価管理: 案件別の売上・原価・粗利をリアルタイムに把握
  • リソース配分: 人員の稼働状況・空き時間を可視化
  • 工数管理: メンバーの作業時間を案件単位で集計
  • 進捗管理: マイルストーン・タスク・依存関係の追跡
  • 請求管理: 工数や進捗に応じた請求書発行(時間単価・固定単価・成果報酬など)
  • 収益認識: 進行基準・完成基準など、案件特性に応じた収益計上

個別原価計算との接続

プロジェクト管理機能は、個別原価計算を行う企業との相性が良い領域です。

製造業のなかでも受注生産を行う企業、ソフトウェア開発・建設・コンサルティングなどの案件型ビジネス。こうした企業では、案件ごとに「いくら売れて、いくらかかったか」を正確に把握することが、経営の根幹になります。

NetSuiteのプロジェクト管理機能を使うと、案件と会計が直接つながるため、案件別の収益性が日々の業務のなかで自然に見えるようになります。

ベンチャーネット視点

サービス業・コンサル業の経営者にとって、プロジェクト原価管理は経営の核そのものです。

ただ、プロジェクト管理ツールを単独で導入しても、会計との分断が残ります。「現場ではプロジェクトを管理しているが、経理は別軸で集計している」という状態では、案件別の真の収益性は見えてきません。

NetSuiteのように、プロジェクト管理と会計が同じシステム上で動く仕組みは、経営判断のスピードと正確性を大きく変えます。

拡張機能 製造・EC・人事・グローバル(OneWorld)

ここまで紹介した4つのコア機能(財務会計・販売/在庫/購買・CRM・プロジェクト管理)に加え、NetSuiteは業種特化の拡張機能も用意しています。

ここでは、主要な拡張機能を簡潔に紹介します。

製造・生産管理(Manufacturing)

製造業向けの機能群です。部品表(BOM)、工程管理、ワークオーダー、需要予測(Demand Planning)、資材所要量計画(MRP)などが含まれます。

複数の工程を経て製品を組み立てる工場、ロット単位の品質管理が必要な現場、需要変動に応じて生産計画を調整する事業に向いた機能です。

倉庫管理(WMS)

物流現場向けの機能です。ピッキング・梱包・出荷・棚卸の作業を効率化します。

倉庫スタッフがハンディ端末で作業しながら、リアルタイムに在庫情報がNetSuiteに反映される仕組みです。EC事業や卸売業など、出荷量の多い企業で効果が大きい機能です。

eコマース(SuiteCommerce)

ECサイト構築機能です。B2C・B2Bの両方に対応し、受注管理・在庫管理・顧客管理とシームレスに連携します。

「ECシステムとERPを別々に運用して、データ連携に苦労している」企業にとって、SuiteCommerceは大きな解になります。在庫がリアルタイムで連動し、ECの注文がそのままNetSuiteの受注として処理されます。

人事(SuitePeople HCM)

人事情報管理機能です。従業員データベース・組織管理・休暇管理・パフォーマンス管理などが含まれます。

ただし、給与計算機能(SuitePeople U.S. Payroll)は米国のみの提供です。日本で給与計算をNetSuiteに統合したい場合は、マネーフォワード・freee・SmartHRなど国内給与SaaSとの連携が前提となります。

グローバル機能(OneWorld)

海外展開する企業のための機能です。220地域・43言語・190通貨に対応し、海外子会社を含む経営状況をひとつのプラットフォームで管理できます。

子会社間取引の自動連結、各国の会計制度への対応、IFRS対応など、グローバル経営に必要な機能が揃っています。中堅企業の海外展開を後押しする機能です。

ベンチャーネット視点

拡張機能は、自社の事業モデルに直結するものから選ぶのがコツです。

製造業なら製造管理、EC事業ならSuiteCommerce、海外展開ならOneWorld。事業の中核に直接効く機能から検討するほうが、投資対効果が見えやすくなります。

「気になるから全部入れたい」と欲を出すと、運用負荷が膨らみがちです。9章の失敗パターン①でも詳しく触れていますが、スモールスタートを基本に考えましょう。

業種・規模別の推奨機能セット【差別化の核】

「結局、自社の場合はどの機能が必要なのか?」

これは、NetSuiteの検討を始めた経営者の方から最も多くいただくご質問です。

公式のモジュールガイドは網羅的ですが、「自社の場合」という観点での整理は載っていません。ここでは、ベンチャーネットの導入支援現場で見てきた知見をもとに、業種・規模別の推奨機能セットを整理してお伝えします。

業種・規模別の推奨機能セット

企業タイプ必須機能(日本提供OK)推奨追加(日本提供OK)後回し/別途連携注意点
製造業(中堅)財務会計・在庫管理・受発注製造管理・MRP・WMSEC・SuiteCommerce/給与計算は国内SaaS連携工程の複雑さに応じてMRPの優先度を判断
商社・卸売(中堅)財務会計・在庫管理・受発注OneWorld・需要予測製造管理・MRP/給与計算は国内SaaS連携海外取引があるならOneWorld優先
サービス業・コンサル財務会計・プロジェクト管理PSA・経費管理在庫管理・製造/給与計算は国内SaaS連携プロジェクト原価管理が経営の核
EC事業財務会計・受注管理・在庫SuiteCommerce・倉庫管理製造・MRP/給与計算は国内SaaS連携チャネル数に応じて在庫機能の優先度を判断
グローバル展開企業財務会計・OneWorld既存業種に応じて追加給与計算は各国別に対応(米国はSuitePeople Payroll可)多通貨・多言語が必須。米国子会社があればPayrollの活用も検討

このマトリクスの使い方

このマトリクスは、検討の起点として活用してください。

  • 必須機能: NetSuiteの価値を体感するためのコア機能。最初のフェーズで導入する候補。
  • 推奨追加: 必須機能が安定運用に乗ったあと、半年〜1年単位で追加していく候補。
  • 後回し/別途連携: 自社の事業モデルに合わない、または日本市場で別途SaaS連携が必要な機能。

日本市場での留意点

NetSuiteは多くのコア機能を日本市場で提供していますが、給与計算機能(SuitePeople U.S. Payroll)は米国のみの提供です。日本で給与計算をNetSuite内に取り込みたい場合は、マネーフォワード・freee・SmartHRなど国内給与SaaSとの連携が前提となります。

電子帳簿保存法・インボイス制度などへの対応も、SuiteApp(追加アプリ)や国内システムとの組み合わせで対応するケースが一般的です。

どの機能をNetSuiteに統合し、どの機能を外部連携で補うか。 この設計こそが、日本でNetSuiteを上手に活用するためのカギになります。

ベンチャーネット視点

このマトリクスはあくまで「一般的な目安」です。

実際には、同じ業種でもビジネスモデル・事業フェーズ・規模・組織文化によって、必要な機能は変わります。たとえば、同じ「商社・卸売」でも、扱う商材によって在庫管理の精度要件は大きく異なります。

自社の場合の最適な機能セットを整理したい方は、お気軽にご相談ください。機能の選定は、経営の優先順位設計と同じ。一緒に考えるパートナーがいたほうが、判断の精度が上がります。

機能選定の落とし穴ーベンチャーネットが見てきた失敗パターン

機能一覧を眺めただけで「これで安心」と思ってしまうのは危険です。

NetSuiteには確かに豊富な機能が揃っています。しかし、機能を「選び方」「使い方」「育て方」を間違えると、せっかくの投資が経営の足かせになることもあります。

ここでは、ベンチャーネットがこれまで導入支援の現場で見てきた4つの失敗パターンと、その回避策をお伝えします。

NetSuiteを売り込みたいから書くのではありません。お客様に「失敗してほしくない」という思いから書くものです。私たちは、お客様との対等な関係を大切にしています。失敗のリスクを正直にお伝えし、一緒に乗り越える伴走者でありたい。そんな思いで、現場の知見を共有させていただきます。

落とし穴①:全モジュールを最初から有効化したがる

症状

「うちは全部使いたい」「将来必要になりそうな機能も最初から入れておきたい」というご要望です。

機能一覧を見ると、つい欲が出てしまうのは自然なことです。

なぜ失敗するか

問題は、運用負荷とコストが一気に膨らむことです。

複数のモジュールを同時に有効化すると、設定・教育・データ移行・テストの工数が掛け算で増えます。担当者の負担も増し、現場の習熟が追いつきません。

その結果、「導入したけど誰も使っていない機能」が積み上がります。本来解決したかった経営課題への集中力も落ちてしまいます。

どう回避するか

スモールスタートを基本にしましょう。

まずは会計または販売・在庫から始めて、半年〜1年単位で機能を追加していく。これがベンチャーネットの導入支援現場でも、最も成果が出やすいアプローチです。

NetSuiteは「使いながら会社の状況に合わせて変化させていく」システムです。最初から100点を目指す必要はありません。80点で動かして、運用しながら改善していくほうが、結果的に早く成果につながります。

落とし穴②:自社の独自業務に機能を寄せすぎる

症状

「うちの業務フローは特殊だから、NetSuiteをカスタマイズで合わせたい」というご要望です。

日本企業には伝統的に「業務にシステムを合わせる」考え方が根強くあります。

なぜ失敗するか

過剰なカスタマイズは、SaaSの強みを失わせます。

NetSuiteは世界標準の業務フローを前提に設計されたクラウドERPです。アドオン開発を重ねていくと、自動アップデートや拡張性が損なわれます。

年月を経るごとに不具合が頻発し、改修も困難になります。気がついたら、せっかくのクラウドERPが「動かせないオンプレ」に近い状態になっていた、というケースもあります。

どう回避するか

「世界標準の業務フローに自社を合わせる」という発想に切り替えることが大切です。

NetSuite導入と同時に業務フローを見直すプロジェクトとして捉えましょう。全部を一度に変える必要はありません。まずは会計や販売管理から、世界標準の流れに合わせて業務を整えていくのが現実的です。

「業務にシステムを合わせる」から「システムに業務を合わせる」へ。この発想の転換が、長期的にNetSuiteを使い続けるためのカギになります。

落とし穴③:財務会計から始めようとする

症状

「経営の見える化のため、まず会計を一本化したい」というご要望です。

経営者の方からよく聞くお話で、その動機はとてもよくわかります。

なぜ失敗するか

財務会計は、既存の会計ソフトでも一定の運用ができている企業が多い領域です。

つまり、NetSuiteに切り替えても「業務改善のインパクトが見えにくい」のです。「導入したけど、何が変わったのかわからない」となりがちです。

加えて、日本の会計には独自のルール(売上原価対立法ではなく三分法を採用する企業が多いなど)があります。NetSuiteの標準会計処理と日本の慣行のすり合わせには、相応の工数がかかります。

最初に取り組む領域として、難易度のわりに成果が見えにくい組み合わせになりやすいのです。

どう回避するか

中小企業の場合、財務会計よりも先に「販売管理・在庫管理」から始めることをおすすめします。

リアルタイムに在庫がわかる、受注から請求までを一気通貫できる、複数拠点の販売状況が一目で見える。経営者にとって体感しやすい変化が起きやすい領域です。

「経営の見える化」を実現したいなら、まず販売・在庫の流れを整えるのが定石。ベンチャーネットでも、この順序をご提案するケースが多くあります。

会計はフェーズ2以降、業務の流れが整ってきた段階で取り組むほうが、スムーズに進みます。

落とし穴④:機能の網羅性だけでベンダーを選んでしまう

症状

「機能が多いから自社に合う」「業界シェアが大きいから安心」と考えてベンダーを選んでしまうケースです。

なぜ失敗するか

機能の多さは、自社の課題解決とイコールではありません。

自社の経営課題に直結しない機能がいくら多くても、宝の持ち腐れになります。むしろ機能が多すぎることで、社員が「どこから手をつけていいかわからない」と立ちすくむこともあります。

そして、ERPは「導入して終わり」ではありません。「使いながら会社の状況に合わせて変化させていく」システムです。だからこそ、伴走するパートナーとの相性が、長期的な成否を分けます。

機能だけ見て選んでしまうと、「製品は良かったがパートナーと話が合わなかった」というミスマッチが起きやすくなります。

どう回避するか

「機能の網羅性」より「経営課題との接続性」と「導入パートナーとの相性」を重視しましょう。

確認したい3つの観点があります。

  • 自社の経営課題を、パートナーがどこまで理解してくれているか
  • 「世界標準への合わせ込み」を一緒に伴走してくれる姿勢があるか
  • 導入後の運用フェーズまで継続的にサポートしてくれるか

これらが揃っていれば、NetSuiteの機能を「自社の経営課題に向けて使いこなす」体制が整います。

失敗パターンに共通する根本原因

4つの失敗パターンを並べると、共通する1つの根本原因が見えてきます。

それは、「機能ありき」で考えてしまう ことです。

「何の機能を選ぶか」「どこをカスタマイズするか」「どの順番で導入するか」。これらはすべて、自社の経営課題が決まって初めて答えが出る問いです。

機能の一覧を眺めながら「どれを使おうか」と考えるのではなく、「自社の経営課題は何か」「その解決に直結する機能はどれか」と考える。順序を逆にすると、結果が大きく変わります。

機能の選定は、経営の優先順位設計と同じです。「何をやって、何をやらないか」を決めることが、本当の意味での選定作業です。

もし自社の経営課題と機能の対応関係を整理するのが難しいと感じたら、お気軽にご相談ください。ベンチャーネットは、機能を売るのではなく、経営課題から逆算する伴走者として、一緒に整理させていただきます。

NetSuiteの機能に関するよくある質問(FAQ)

NetSuiteの機能について、検討段階の経営者の方からよくいただくご質問をまとめました。

Q1. NetSuiteで何ができるのか?主要な機能を簡単に教えてください

NetSuiteは、財務会計・販売管理・在庫管理・CRM・プロジェクト管理など、企業経営に必要な機能を1つのクラウドプラットフォームで提供するERPです。

本記事の2章で11のカテゴリに整理して全体像をお伝えしました。コア機能は「財務会計・販売/在庫/購買・CRM・プロジェクト管理」の4つで、製造管理・倉庫管理・eコマース・人事・グローバル機能などの拡張機能を、必要に応じて追加していく構成です。

データが分断されないこと、サーバー構築や保守の手間が不要なこと、世界220地域・43言語・190通貨に対応していることが、NetSuiteの大きな特徴です。

Q2. NetSuiteの機能は日本でもすべて使えるのですか?

多くのコア機能は日本でも使えますが、給与計算機能(SuitePeople U.S. Payroll)は米国のみで日本未対応です。

日本対応している主要機能は以下のとおりです。

  • コア機能: 財務会計・販売/在庫/購買管理・CRM・プロジェクト管理
  • 拡張機能: 製造管理・倉庫管理(WMS)・eコマース(SuiteCommerce)・人事(SuitePeople HCM)・グローバル(OneWorld)

日本未対応の領域への対応策は次のとおりです。

  • 給与計算: マネーフォワード・freee・SmartHRなど国内給与SaaSとの連携で対応
  • 電子帳簿保存法・インボイス制度: SuiteApp(NetSuite用の追加アプリ)や国内システムとの組み合わせで対応

「どの機能をNetSuiteに統合し、どの機能を外部連携で補うか」の設計が、日本でNetSuiteを活用するカギになります。

Q3. 中小企業でもNetSuiteの全機能を使う必要がありますか?

いいえ、全機能を最初から使う必要はまったくありません。自社の経営課題に直結する機能から段階的に導入することをおすすめします。

ベンチャーネットの導入支援現場でも、まずは会計または販売・在庫から始めて、半年〜1年単位で機能を追加していくスモールスタートを推奨しています。

全機能を一度に有効化すると、設定・教育・データ移行の工数が掛け算で膨らみ、現場の習熟が追いつきません。「導入したけど誰も使っていない機能」が積み上がる失敗パターンに陥りやすくなります。

詳しくは、本記事の9章「機能選定の落とし穴 ① 全モジュールを最初から有効化したがる」もご覧ください。

Q4. NetSuite導入で、最初にどの機能から始めるべきですか?

中小企業の場合、財務会計よりも先に「販売管理・在庫管理」から始めることをおすすめします。

理由は、経営者にとって体感しやすい変化が起きやすいためです。

  • リアルタイムに在庫がわかる
  • 受注から請求までを一気通貫できる
  • 複数拠点の販売状況が一目で見える

財務会計は既存の会計ソフトでも一定の運用ができている企業が多く、NetSuiteに切り替えても「業務改善のインパクトが見えにくい」傾向があります。

「経営の見える化」を実現したいなら、まず販売・在庫の流れを整えるのが定石です。会計はフェーズ2以降、業務の流れが整ってきた段階で取り組むほうが、スムーズに進みます。

詳しくは、本記事の9章「機能選定の落とし穴 ③ 財務会計から始めようとする」もご覧ください。

Q5. NetSuiteの機能はカスタマイズできますか?どこまで自由に変えられますか?

NetSuiteはSuiteCloudというカスタマイズ基盤を備え、画面・ワークフロー・帳票・スクリプト開発など幅広く調整できます。

ただし、過剰なカスタマイズは推奨しません

NetSuiteは世界標準の業務フローを前提に設計されたSaaSです。「業務にシステムを合わせる」発想で過度にカスタマイズすると、自動アップデートや拡張性を損ねるリスクがあります。年月を経るごとに不具合が頻発し、改修も困難になります。

おすすめは、「世界標準に自社を合わせる」発想で運用を見直すことです。NetSuite導入と同時に業務フローを見直すプロジェクトとして捉えると、結果的にコストと品質の両面で有利になります。

詳しくは、本記事の9章「機能選定の落とし穴 ② 自社の独自業務に機能を寄せすぎる」もご覧ください。

まとめ:機能ありきではなく、経営課題ありきで考える

ここまで、NetSuiteの機能・モジュールを11カテゴリで整理し、業種・規模別の推奨機能セット、機能選定の落とし穴、よくある質問をお伝えしてきました。

最後にお伝えしたいことが1つあります。

機能の選定は、機能ありきで考えてはいけないということです。

「どの機能を選ぼうか」と機能一覧を眺めるのではなく、「自社の経営課題は何か」「その解決に直結する機能はどれか」と考える。順序を逆にすると、結果が大きく変わります。

機能の選定は、経営の優先順位設計と同じです。

  • 何をやって、何をやらないか
  • どの順番で取り組むか
  • どこに経営資源を集中させるか

これらを決めることが、本当の意味での選定作業です。NetSuiteの機能は、その選定の後ろにある「道具」にすぎません。

ベンチャーネットは「経営課題から逆算する伴走者」です

ベンチャーネットは、Oracle NetSuite認定パートナー(Solution Provider)として、中堅・中小企業のNetSuite導入・運用支援に専門特化しています。

私たちは、機能を売るのではなく、経営課題から逆算する伴走者でありたいと考えています。NetSuiteは「導入して終わり」ではなく、「使いながら会社の状況に合わせて変化させていく」システムだからこそ、長期的なパートナーシップが大切です。

自社の経営課題と機能の対応関係を整理するのが難しいと感じたら、いつでもご相談ください。一緒に整理させていただきます。

次のステップ

NetSuiteについてさらに知りたい方は、以下のステップがおすすめです。

① まずは機能を実際に体験する

無料デモで、NetSuiteの実際の操作画面を確認できます。
👉 NetSuite無料デモのお申込み

② 導入支援サービスを見る

ベンチャーネットの導入支援サービスの詳細はこちらです。
👉 SaaS型クラウドERP – NetSuite導入支援

③ 自社の場合を一緒に整理する(30分無料相談)

「自社にどの機能が必要か」を整理する個別相談を承っています。
👉 30分の無料相談を予約する

機能ありきではなく、経営課題ありきで。一緒に整理しましょう。

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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