NetSuiteで工数削減|少人数でも業務が回る仕組みのつくり方【2026年版】

「うちは人手が足りない」「担当者が1人しかいない」。

そんな悩みを抱える中小・中堅企業は少なくありません。だからこそ、いま「工数削減」が注目を集めています。

ですが、「工数削減とは何か」「ただ作業を減らすことなのか」と迷う方も多いのではないでしょうか。

この記事では、工数削減の意味から、少人数でも業務が回る仕組みのつくり方までをご紹介します。NetSuiteを活用した手法と、やりがちな失敗の両面からお伝えします。

目次

工数削減とは?その意味と、いま少人数の会社で重要な理由

工数削減とは、ある作業を終えるまでにかかる時間と人数を見直し、最適化することです。

ここでの「削減」は、ただ減らすことではありません。効率的に改善することまでを含みます。

工数削減の2つの目的

工数削減の主な目的は、次の2点です。

  • コスト削減:人件費や間接費を抑える
  • 生産性向上:限られた人手で、より多くの成果を生む

少人数の会社にとっての重要性

特に少人数の会社では、工数削減は経営に直結します。理由は次の3つです。

  • 競争力の強化:業務が速くなり、柔軟な経営判断ができる
  • 人材の有効活用:定型作業を減らし、より大切な仕事に時間を回せる
  • 顧客満足度の向上:対応が速くなり、顧客との関係が深まる

人が少ないほど、一人ひとりの時間の使い方が経営を左右します。だからこそ、工数削減の価値は大きくなります。

なぜ工数削減が「待ったなし」なのか

工数削減が急がれる背景には、日本の構造的な課題があります。ここでは2つの観点でご説明します。

労働力人口の減少

日本では少子高齢化が進み、働く人の数が減り続けています。

内閣府の予測では、2060年には総人口のうち労働力人口の割合が約44%まで低下するとされています(出典:内閣府)。

人手が減る中で成果を保つには、業務効率化が避けて通れません。

「2025年の崖」問題

2018年に経済産業省が指摘した「2025年の崖」問題も、工数削減の必要性を高めました。

ITシステムの老朽化、サポートの終了、IT人材の退職などにより、最大12兆円もの経済損失が生じると指摘されたものです(出典:経済産業省)。

この課題に対応するためにも、業務プロセスの見直しと効率化が欠かせません。

NetSuiteで工数を減らす5つの手法

ここでは、世界220地域・43,000社以上で利用されるクラウドベースのERP「NetSuite」を活用した工数削減の手法をご紹介します。

なお、ERP(Enterprise Resource Planning)とは、会社全体の業務を1つのシステムで見える化する仕組みのことです。

データ入力の自動化

NetSuiteでは、販売管理・財務会計・在庫管理などの機能が1つにまとまっています。

そのため、複数のシステムへの重複入力が不要になります。データ入力の工数を大きく減らせます。

  • 受注データの自動連携:一度入力すれば、在庫・会計・出荷に自動で反映される
  • マスターデータの一元管理:顧客・商品・取引先の情報を1か所で管理し、全体で共有する

なお、NetSuiteに一本化しない場合でも、APIやCSVでの連携で自動化・効率化は可能です。

レポート作成の効率化

NetSuiteのレポート機能により、手作業だった集計や分析が自動化されます。

  • リアルタイムレポート:最新データのレポートをワンクリックで作成
  • カスタマイズ可能なダッシュボード:必要な情報を一目で見られる画面を、各自で設定できる
  • ドリルダウン機能:集計データから詳細データまで、掘り下げて確認できる(ドリルダウン=数字をクリックして内訳を見る操作)

承認プロセスの簡素化

NetSuiteのワークフロー機能で、複雑だった承認の流れを簡単にできます。

  • 電子承認:紙の回覧が不要で、どこからでも承認できる
  • 条件分岐:案件に応じて、適切な承認ルートを自動で選ぶ
  • 承認状況の可視化:いまどこで止まっているかが分かる

在庫管理の最適化

NetSuiteは、タイムリーな在庫情報を提供します。

  • 適正在庫量の自動計算:過去の実績や季節変動から、最適な在庫量を提案
  • 発注の自動化:設定した在庫量を下回ると、自動で発注書を作成
  • マルチロケーション管理:複数の倉庫や店舗の在庫を一元管理(マルチロケーション=複数拠点)

カスタマーサポートの効率化

NetSuiteの顧客情報の一元管理により、問い合わせ対応が速くなります。

  • 360度の顧客ビュー:取引履歴・問い合わせ履歴・支払い状況を1画面で確認
  • ナレッジベースの活用:よくある質問と回答をためておき、効率よく対応できる

個別ツールで部分自動化 vs NetSuiteで一気通貫

工数削減には、大きく2つのアプローチがあります。

1つは、業務ごとに個別のツールを組み合わせる方法。もう1つは、NetSuiteのようなERPで業務全体をつなぐ方法です。

どちらが良い・悪いではありません。会社の状況によって、向き不向きがあります。

観点個別ツールを組み合わせるNetSuiteで一気通貫
得意なこと特定業務の自動化(経理・勤怠など)業務全体をつなげて削減
データの持ち方ツールごとに分散一元管理(二重入力が消える)
向いている規模部分的に困っている段階全体の流れを整えたい段階
削減の効きどころ各業務の中の作業時間業務と業務の「つなぎ目」の時間
担当者1人での運用ツール間連携の管理が負担に連携を意識せず1人でも回しやすい

まずは部分的に困っている業務から個別ツールで始める。それも一つの正解です。

一方で、業務と業務のつなぎ目に手間がたまっているなら、一気通貫のアプローチが効いてきます。

工数削減でやりがちな4つの失敗

工数削減に取り組む会社は多くあります。ですが、進め方を誤ると、かえって現場が疲れてしまうこともあります。

ここでは、NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットが現場で見てきた「やりがちな失敗」を4つ、回避策とあわせてお伝えします。

これは、NetSuiteを売り込むために書くのではありません。「失敗してほしくない」という思いから共有するものです。

ツールを増やしすぎて、かえって工数が増える

よくある現象

  • 業務ごとに別々のツールを導入する
  • ツール間でデータを手入力で転記している
  • 「どのツールに何を入れたか」を管理する手間が生まれている

なぜ失敗するか

部分的な自動化は、一見すると効率的に見えます。

ところが、ツールが増えるほど、ツール同士をつなぐ作業が発生します。結局、人が間に立ってデータを移す手間が残ってしまうのです。

どう回避するか

ツールを足す前に、「業務と業務のつなぎ目」に注目してみてください。

削減効果が大きいのは、各作業の中ではなく、つなぎ目に隠れた手間であることが多いからです。

自動化したのに、現場が元のやり方に戻る

よくある現象

  • 新しい仕組みを入れたが、Excel併用が続いている
  • 「前のやり方のほうが早い」という声が出る
  • 一部の人しか新しい仕組みを使っていない

なぜ失敗するか

仕組みを「入れること」がゴールになってしまうケースです。

本当のゴールは、現場で使われ、業務が回り始めることです。定着への手当てがないと、人は慣れたやり方に戻ります。

どう回避するか

導入後の数か月を「定着の期間」として、最初から計画に入れておきましょう。

操作に慣れる時間、運用ルールを決める時間。これらを見込んでおくと、逆戻りを防げます。

全部を一度に変えようとして、止まる

よくある現象

  • 「せっかくなら全業務を一気に変えたい」と考える
  • 移行・研修・運用切り替えが同時に発生する
  • 現場が混乱し、プロジェクトが停滞する

なぜ失敗するか

一度に変える範囲が大きいほど、現場の負担も大きくなります。

特に少人数の会社では、変化を受け止める人手が限られます。結果として、どこかで止まってしまうのです。

どう回避するか

まずは効果の出やすい業務から、小さく始めることをおすすめします。

一つの業務で成功体験をつくり、次へ広げる。この順序が、少人数でも無理のない進め方です。

担当者1人に任せきりで、属人化する

よくある現象

  • 仕組みの管理を、担当者1人に任せている
  • その人にしか分からない設定や運用がある
  • 担当者の異動・退職時に、業務が止まるリスクがある

なぜ失敗するか

少人数の会社では、担当者1人に頼りがちです。

ですが、現場任せにすると、どこかで歪みが出ます。仕組みがブラックボックス化し、会社全体のリスクになります。

どう回避するか

工数削減は、担当者1人の仕事にしてはいけません。

経営と現場が一体となって進めることが大切です。社内に最低2人は分かる人を置き、外部の伴走者も活用しながら、ノウハウを会社に残していきましょう。

これら4つの失敗は、どれも「事前に知っていれば避けられる」ものです。

「うちもこのパターンかも」と感じた方は、お気軽にご相談ください。一緒に、御社に合った進め方を考えさせてください。

ベンチャーネットが大切にしている考え方

最後に、ベンチャーネットが工数削減のご相談で大切にしている考え方をお伝えします。

それは、「完璧を目指すより、まず回す。動かしながら磨いていく」という姿勢です。

少人数の会社ほど、最初から100点を目指すと動けなくなります。まず効果の出る業務から始め、現場で使いながら改善していく。この進め方が、結果的に近道になります。

そして、もう一つ。工数削減は、担当者1人の作業改善で終わらせないことです。

現場任せにすると歪みが出ます。経営と現場が一体となって進めてこそ、仕組みは会社に根づきます。

ベンチャーネットは、導入して終わりではなく、その後も一緒に改善を重ねる伴走者でありたいと考えています。

よくある質問(FAQ)

工数削減やNetSuiteの活用について、よくいただく質問にお答えします。

Q1. 工数削減は、まず何から手をつければいいですか?

まずは「業務と業務のつなぎ目」を見直すことをおすすめします。

各作業の中の時間より、業務間でデータを移したり、確認したりする手間に、削減できる工数が隠れていることが多いからです。最初に効果の大きい業務を1つ選び、小さく始めるのが現実的です。

Q2. 担当者が1人しかいなくても、NetSuiteは運用できますか?

運用しやすくなる側面があります。

NetSuiteは業務全体を1つにまとめるため、ツール間の連携を担当者が管理する負担が減るからです。ただし、設定や運用が1人に集中すると属人化のリスクが残ります。社内に分かる人を増やしつつ、外部の伴走支援を活用する形が安心です。

Q3. ツールを入れれば、工数は自動的に減りますか?

ツールを入れただけでは、自動的には減りません。

工数が減るのは、業務プロセスを見直し、現場で使われるようになってからです。仕組みの導入と同時に、業務の整理と定着への手当てが必要になります。

Q4. 工数削減の効果は、どのくらいで実感できますか?

始める業務の範囲によって変わります。

効果の出やすい業務から小さく始めれば、比較的早く手応えを感じられます。一方で、全体を一気に変えようとすると、定着に時間がかかり、効果の実感も遅れます。小さく始めて広げる進め方が、効果を早めるコツです。

まとめ:工数削減の先にある「経営の統合」

工数削減は、少人数の会社にとって避けて通れない経営課題です。

NetSuiteのような統合型ERPを活用すれば、業務をつなげて、より効果的に工数を減らせます。

ただし、忘れてはいけないことがあります。工数削減は、あくまで「手段」だということです。

国内の多くのツールは、日々の作業時間を減らすことに特化しています。一方でNetSuiteは、経営全体を1つにつなげることを重視しています。思想が違うのです。

つまり、工数削減の先には「経営の統合」というゴールがあります。バラバラだった情報が1つにつながると、経営判断のスピードそのものが上がります。

工数削減は一朝一夕には実現できません。ですが、本記事の手法と、避けるべき失敗を知っておけば、着実に前へ進めます。

まずは、自社の工数がどこにたまっているのか。そこを一緒に整理することから始めてみませんか。

もう少し詳しく知りたい方へ

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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