コストを適切に管理し、利益を生み出すこと。これは企業経営の基本であり、重要な課題です。
ところが多くの会社で、こんな状態が起きています。部門や案件ごとに別々のシステムを使い、データがあちこちに散らばっている。その結果、全社のコストを正しく把握できなくなっているのです。
経営者の方とお話ししていると、よくこう感じます。コストを見ているつもりで、実は全体では見えていない、と。
そこで注目したいのが、クラウド型ERPの「NetSuite」です。ERPとは、会計・販売・在庫などの基幹業務を一つの仕組みでまとめて管理するシステムを指します。
NetSuiteを使うと、部門や案件を越えてコストを一元管理し、タイムリーに把握できるようになります。本記事では、NetSuiteを軸にしたコスト管理の進め方と、利益最大化の実現方法を解説します。
そもそもコスト管理はなぜ難しいのか
コスト管理が難しい最大の理由は、データが一か所にまとまっていないことです。
費用は、日々さまざまな場所で発生します。部門ごと、案件ごと、拠点ごと。それぞれが別の管理表やシステムで動いていると、全社の数字を集めるだけで一苦労です。
集計に手間がかかると、こうなります。
- 数字が出てくる頃には、すでに状況が変わっている
- どこに無駄があるのか、見当がつかない
- 部門間でコストの基準がバラバラになる
つまり「見えない」ことが、コスト管理を難しくしているのです。逆に言えば、コストを見える化できれば、管理の半分は終わったようなものです。
コストの種類と内訳を把握する
コスト管理の第一歩は、コストの種類と内訳を把握することです。
コストは大きく、直接費と間接費に分けられます。直接費は、特定の製品やサービスに直接ひもづく費用です。原材料費や労務費などが当てはまります。間接費は、複数の製品やサービスにまたがる費用です。光熱費や本社の管理費などが該当します。
さらにそれぞれを、材料費・労務費・経費の3つに分類できます。整理すると次の表のようになります。
| 区分 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 直接費 | 特定の製品・サービスに直接ひもづく費用 | 原材料費、直接労務費 |
| 間接費 | 複数の製品・サービスにまたがる費用 | 光熱費、本社管理費 |
| 材料費・労務費・経費 | 上記をさらに分けた3分類 | 材料、人件費、その他経費 |
NetSuiteでは、これらのコストを部門別・案件別に集計できます。どこにどれだけの費用がかかっているのかを、明らかにできるのです。
細分化されたコストデータを分析すると、無駄な支出や改善点が見えてきます。コストの実態を可視化すること。それが、効果的なコスト管理の出発点です。
製造原価と売上原価の違いを押さえる
コストを管理するうえで押さえたいのが、製造原価と売上原価の違いです。
製造原価は、製品を製造するためにかかったすべての費用を指します。一方の売上原価は、実際に販売された製品にかかった費用だけを示します。
そして、売上高から売上原価を引くと、売上総利益が算出されます。ここを混同すると、利益の見え方が変わってしまいます。
NetSuiteなら、製造原価と売上原価をタイムリーに把握し、利益率をモニタリングできます。原価率の高い製品や案件を特定すれば、価格戦略や製造プロセスの見直しに活かせます。
製造原価と売上原価のバランスを適切にコントロールすること。それが、収益性を高めるカギになります。
なお、原価計算そのものをもっと詳しく知りたい方は、関連記事もあわせてご覧ください。個別原価計算と総合原価計算の違いや、配賦の考え方を扱った記事があります。
販売管理費を最適化してコストを削減する
利益を生み出すには、コスト削減が欠かせません。なかでも販売管理費の最適化は、重要な課題です。
販売管理費は、2つに分けられます。販売活動に必要な「販売費」と、企業全体の管理業務にかかる「一般管理費」です。
NetSuiteでは、これら販売管理費の内訳を詳しく分析できます。無駄な支出がないかを検証できるのです。
たとえば、売上高に対する販売費の比率(販売費率)を算出してみます。過去の実績や同業他社と比べることで、適正な水準を見極められます。
販売費率が高すぎる場合は、対策が必要かもしれません。広告宣伝費の見直しや、営業効率の改善などです。販売管理費の最適化に取り組むことで、コスト削減を実現できます。
プロジェクト・サプライチェーンで全体最適を図る
NetSuiteのメリットは、データの一元管理だけではありません。業務プロセス全体の効率化にもつながります。
プロジェクト管理機能を使えば、案件ごとの予算と実績を対比できます。コストオーバーラン、つまり予算の超過を防げるのです。
予算を超えそうな案件には、早めに対策を打てます。赤字化を食い止めることができます。
また、サプライチェーン管理機能も役立ちます。サプライチェーンとは、調達から在庫管理、物流までの一連の流れのことです。
この機能で、次のような施策が可能になります。
- 需要を予測して、適正な在庫を維持する
- 最適な調達先を選定する
- 在庫の偏りや欠品を減らす
結果として、調達コストを下げる効果が期待できます。コストを多角的に捉え、業務プロセス全体の効率化を図ることが大切です。
NetSuiteでコスト管理を始めるときによくある失敗
最後に、コスト管理に取り組む際の「つまずきやすいポイント」をお伝えします。先に知っておくだけで、回避しやすくなります。
失敗1:ツールを入れれば終わりだと考える
NetSuiteを導入すれば、自動的にコスト管理ができる。そう考えてしまうケースです。
実際には、ツールはあくまで土台です。データを見て、判断し、改善するのは人です。導入がゴールになってしまうと、せっかくの仕組みが活かされません。
ベンチャーネットでは、導入して終わりにしません。導入後も一緒に使い方を考え、運用が定着するまで伴走します。
失敗2:現場のコスト意識が伴わない
可視化されたコスト情報も、現場に届かなければ意味がありません。
数字が一部の管理者だけのものになっていると、改善は進みません。社員一人ひとりがコスト意識を持つこと。それが、コスト管理を成果につなげる前提です。
どう情報を共有し、どう目標を設定するか。ここはツールだけでは解決できない部分なので、一緒に設計していきます。
失敗3:コスト項目の分類設計を最初に詰めない
コストをどう分類するか。この設計を曖昧なまま進めると、後で集計が合わなくなります。
部門別・案件別の集計も、分類の土台がしっかりしていてこそ機能します。最初の設計が、その後の使い勝手を大きく左右するのです。
ベンチャーネットは、この初期設計から相談に乗ります。自社の業務に合った分類のつくり方を、対等な立場で一緒に考えます。
よくある質問
Q1. コスト管理はExcelではダメなのですか?
会社の規模によっては、Excelでも管理できます。
ただ、部門や案件が増えてデータが散らばってくると、集計の負担が一気に増えます。数字が合わない、最新版がどれか分からない、といった問題も起きやすくなります。
全社のコストをタイムリーに見たい段階になったら、一元管理できる仕組みを検討するタイミングです。
Q2. NetSuiteを入れればコスト管理は自動でできますか?
いいえ、導入するだけで自動的にできるわけではありません。
NetSuiteは、コスト管理に必要なデータを整え、見える化する基盤です。その基盤を使って、改善のサイクルを回すのは人の役割です。
だからこそベンチャーネットは、導入後の運用も含めて伴走することを大切にしています。
Q3. 原価計算とコスト管理は何が違うのですか?
原価計算は、製品やサービスにかかった費用を計算する手続きです。コスト管理は、その結果を使って費用を抑え、利益を高める活動全体を指します。
原価計算は、コスト管理の一部と考えると分かりやすいです。原価計算の具体的な方法は、関連記事で詳しく解説しています。
まとめ|コスト意識を全社で育てる
ここまで、NetSuiteを軸にしたコスト管理の進め方を見てきました。
繰り返しになりますが、NetSuiteを導入すれば自動的にコスト管理ができるわけではありません。大切なのは、現場の社員一人ひとりがコスト意識を持つことです。
可視化されたコスト情報を社員に共有し、削減目標を設定する。コストダウンのチームを編成し、定期的に進捗を確認する。優れた事例を表彰したり、アイデアを募ったりするのも効果的です。
NetSuiteは、こうした改革の基盤となるデータを提供します。そして、PDCAサイクルを回す環境を整えてくれます。
ただ、仕組みを入れただけでは会社は変わりません。仕組みを活かす体制を、一緒につくっていくこと。私たちはそこに価値があると考えています。
ベンチャーネットは、NetSuiteの導入から運用まで、対等な立場で伴走するパートナーです。コスト管理を「見える化」から「成果」につなげたい。そうお考えの方は、一度ご相談ください。
