業務フローの見直しを最小限に、スモールスタートで始めるSalesForce

今を遡ること40年以上前、「アメリカンスクールを日本の子どもたちに開放したい」と始まった、国際教育システム株式会社(以下、IES)の「子ども向け英会話教室。生徒と講師の距離が近い「少人数体制での教室運営」のスタイルを受け継ぎながら、2017年春からは、事業モデルを大きくシフトさせました。

現在は、アメリカンスクールを離れ、東京都調布市を中心に、関東圏および大阪市内に35の教室を展開中。この他にも、ネイティブの講師と一日中話しながら保育を行う「FUTURE児童園」の運営もスタートしています。

そんな中、IESがSalesForce導入の検討を始めたのは、2016年の秋。今回はスクール事業部マネージャーの平井雄二郎氏に、SalesForce導入のきっかけと現在の運用、将来の展望について、お話しを伺いました。

紙メインの運営から、ITによる情報管理へシフトする

SalesForce導入の検討を始めたきっかけは色々ありますが、一番大きな理由は「各々の業務を共有できていない」という現状に危機感を覚えたことです。
当時はまだ紙運用がメインであり、営業や運営については、一部の業務でファイルメーカーを使用していましたが、それでも多くの拠点での教室運営は、全体像がなかなか把握しきれません。

例えば、生徒さんの「在籍の傾向」を調べようとすると、まずは自分なりの「仮説」を立て、それに合致しそうな内容を、各拠点から上がってくる情報から探し出さなくてはなりませんでした。
そもそもの仮設が違っていた場合、また最初からやり直しです。これには非常に手間と時間をかけていました。
また、スクール運営での損益分岐を考えたとき、ネックとなるのが「講師への報酬」です。同じネイティブの講師でも、出身国や担当するクラスのレベル、担当する時間などにより、報酬単価が違います。また、同じ単価でも実際の勤務時間により、月当たりの報酬は変わります。

これをまとめ上げて、生徒さんからの月謝等を兼ね合わせようとしても、情報が散在していると、原価率がなかなか見えてこないのです。
毎月のことなのに、なかなか業務が改善されない。スクール運営の全体像がなかなか把握できない。
もし自分が倒れたらどうなるのか?情報をどう管理していけば他のスタッフと共有できるのか?こういったことに危機感を持ったのが、SalesForce導入を検討するきっかけでした。

これまでの業務フローの見直しと改善

実際にSalesForceの導入に至るまでは、実は比較検討したシステムがありました。もともと、基幹システムの導入を考えていましたが、当時も一部の業務で使用していたファイルメーカーが良いか、クラウドを利用した業務管理アプリが良いか、SalesForceが良いか、です。

今回、SalesForceを導入した決め手は、これまでの業務フローとの兼ね合いと、将来的な可能性を考えたからです。
まずは「業務フローの見直し」ですが、実は今回あまり大きく「それまでの業務フロー」を変えていません。こちらでの業務内容を説明し、何度も打合せを重ねながら、SalesForceの方が我々の業務フローに合わせてくれた、という流れでした。それだけ、SalesForceはカスタマイズできるシステムだったといえます。

但し、ここには私自身の反省も少しあります。
これまでの業務フローを大きく変えなくて済んだ代わりに、これまで固定観念で行ってきた部分、何らかのきっかけで見直しを検討すべきだった業務フローも、そのまま引き継いでしまった部分があるからです。

私自身の仕事内容として、スタッフの教育もあります。
今後、SalesForceで行っている業務を他のスタッフに引き継ぐのは、少し大変かもしれません。これは、これからの私自身の課題でもあります。

未来への可能性

私自身、弊社でのSalesForceの運用は、3段階くらいのフェーズで考えています。第1フェーズは「運営スタッフ側での情報共有」、第2フェーズは「講師陣との情報共有」、第3フェーズは「生徒さんたちとの情報共有」です。今は、やっと第1フェーズが軌道に乗って来たところですので、運営スタッフ側、私以外のスタッフとどう情報共
有を進めていくか、どうすればもっと使いやすくなるか、試行錯誤しているところです。

そこがクリアできれば、今度は、講師陣の勤怠管理から報酬計算まで、ある程度自動化でき、運営スタッフの手を離れるようになると良いですね。でも肝心な情報は社内で共有できる、これが理想です。
そこまで進めば、今度は生徒さんや親御さんへの情報発信と、スケジュール管理、教室への出欠管理などもできるようになると良いと考えています。業務の一部、小規模の運営からスタートして、徐々に社内での適応範囲を拡大していくというスタイルです。

それから、これは私自身の考え方ですが、「SalesForceが1人のスタッフとして働いてくれる会社」になると良いと思っています。人は常に色々な意味で「成長」しています。SalesForceも、システムとして成長しながら、全社内的に相互関係が築ければ良いですよね。

実際、私自身が今SalesForceと向き合っていて、SalesForceから学ぶこと、教えられることもあります。こちらの期待通り、業務フローに合わせてカスタマイズしやすい点は、成長する可能性を感じます。強いていえば、もう少し「SalesForceに優しさが欲しい」とは思います。この辺がクリアできれば、より使いやすいシステムとして、弊社で大きく成長していくのではないでしょうか。