クラウドERP NetSuite ×RPAで業務自動化を実現
出荷関連業務を効率化

ピュアオンジャパン株式会社様は1980年に創業し、ダイヤモンドおよびCMP材料の輸入販売を手掛けている。販売製品の9割以上が、顧客からの要望に応じた標準品以外の商品であり、高い付加価値を持つ商品を生み出す調整能力が強みだ。今回の取り組みでは、スイス本社主導で導入されたNetSuiteの運用改善・業務標準化などを目的として、RPAによる出荷関連業務の自動化を実現している。

取材協力者:

  • ピュアオンジャパン 日本支社長 藤井智浩様

取材協力者

1.NetSuite導入の経緯

ピュアオンジャパン様では、スイス本社主導のもと、基幹システムとしてNetSuiteを導入した。NetSuiteでは日々の受注処理や仕入れ処理を行っており、標準機能の活用を基本としている。NetSuiteの導入前は出荷処理量が多く、各社ごとに特別なルールがあることから間違いが起こりやすい状況であった。この状況を是正しつつ、経営層が全拠点の在庫状況を把握できるようにとの目論見から、NetSuiteが採用された。

【ITに関してはスイス本社の意向がマスト】

NetSuiteの導入は日本支社の意向ではなかったが、本社主導で進められた以上は運用していかなくてはならない。一方で、日本支社での受注、出荷作業や月次決算の締め処理などには、NetSuiteの標準機能がマッチしていない部分もあった。また、日本支社にはカスタマイズや追加開発の権限が付与されておらず、本社が導入した標準状態での運用がマストであった。

一般的にERPのような企業向けIT製品は、企業ごとの業務プロセスの差を吸収するために、カスタマイズや追加開発の余地が提供される。これらを駆使して、標準機能と業務プロセスやオペレーションの差を埋めていくのが王道だ。

しかし、ピュアオンジャパン様では、ビジネスの戦略的な部分においては裁量権が与えられているものの、ITに関しては本社の決定に従う必要があった。

2.NetSuite導入後の課題

【導入当初は使いにくさが目立つ】

日本支社長である藤井様によれば、「導入直後は使いにくさが目立った」とのこと。機能的には十分であるものの、感覚的・直感的に使いにくい部分があり、慣れるまでに時間を要した。この点については、UIの出来・不出来というよりも、「海外製品のマニュアルを読んだ時の違和感」に近いと考えられる。ERPに限らず、海外製品の多くは日本人が考える「使い勝手の良さ」を体現していないことが多い。日本人が使いやすいとされるUIは「グラフィカル」でなおかつ「繊細」なものだ。一方で、NetSuiteのようなグローバルで普及する製品は、各国から吸い上げられた商慣習を汎用化するため、日本人の感覚には合わないことがある。藤井様も「ぱっと見たときの使いやすさは、NetSuiteの前に使っていた国内製品のほうが上」とおっしゃっていた。

【業務から属人性を排除し、仕組み化を目指す】

ピュアオンジャパン様では、以下2つの点から、NetSuiteの運用においても可能な限り「仕組み化」を目指すという目標が掲げられた。

①優秀なメンバーの離脱による苦い経験

ピュアオンジャパン様は、藤井様以下、9-10人程度の少数精鋭体制で事業を運営している。メンバーのオペレーション能力の高さもあり、少人数でありながら売り上げは右肩上がりだ。一方で、過去にはメンバーの優秀さが仇になったケースもある。オペレーション能力の高いメンバーが抜けたことで、一気に業務負荷が高まったのだ。この苦い経験を糧に、NetSuiteの運用においても可能な限り属人性を排除するという目標が掲げられた。

藤井様によれば「組織にはある程度の人数が必要で、なおかつ新鮮さも維持する必要がある」とのこと。毎日のように同じメンバーでオペレーションを行うのではなく、時にはメンバーの組み合わせが異なる状況を作り出すことがパフォーマンスの維持に役立つとの考えだ。この点は「人の能力」を重視しながらも、「ビジネスモデルを人依存にしない」という、経営者としての優れたバランス感覚が垣間見える。

②リピードオーダー主体のビジネスモデル

また、「リピードオーダーが主体」というビジネスモデル的な特徴もある。ピュアオンジャパン様が取り扱うのは、ダイヤモンドを使用したBtoB向けの消耗品だ。基本的には一度契約した顧客から数か月おきにリピートオーダーが入るビジネスである。常に新しい商材を売り続けるビジネスとは異なり、一度生み出された業務プロセスはパターン化されるため、自動化が容易である。

3.取組みの内容・成果

上記2つの理由から、NetSuiteを使用した業務の自動化・標準化を進めた。しかし、前述のとおり日本支社にはカスタマイズ権限や開発権限がないため、NetSuiteと「別の何か」を組み合わせた施策が必要である。そこで、NetSuiteの中身に手を加えずに自動化を進められる「RPA」に白羽の矢が立った。

【サポートを(株)ベンチャーネットに依頼】

ベンチャーネットは、NetSuiteを提供するOracleのアライアンスパートナーであり、NetSuiteの導入・運用支援を提供している。同時に、RPAソリューション「Power Automate Desktop」とNetSuiteを組み合わせた業務効率化・自動化のサービスも提供している。RPAを用いたNetSuite運用の効率化・自動化は、カスタマイズや追加開発に頼らない業務改善が可能だ。ピュアオンジャパン様のように「本社の指導によってカスタマイズが禁じられている」という状況であっても、NetSuiteの高度な機能を最大限に引き出すことができる。この点を評価いただき、弊社に直接ご依頼いただいた。

【出荷指示と在庫突合を自動化】

今回の取り組みにおける対象業務は、以下3つである。

1. 出荷指示Excelの確認
2. 統合まとめ配送
3. 在庫突合

いずれもNetSuiteの標準機能を用いていたが、RPAによって業務の自動化が進められた。かなり煩雑な作業なため、人が行うとミスが生じやすい。また、ミスが起きてしまうと業務に大きな支障が出てしまう。そして、定期的に発生する作業であるため、社員への負荷も大きい。

【NetSuite×RPA導入後の成果】

NetSuiteに切り替えたあとは、全体的な作業効率が向上した。手順書の作成についても、ZOOMを介して作業を録画していただき、それをふまえてワークフローを確認いただくことで効率よく進められた。エラーハンドリングについては、時期によってNetSuiteが遅いことや無線LANの負荷によって動きが遅い時があるなど、RPAのシナリオの想定外のケースがいろいろ出たが、1つずつ丁寧につぶしていくことで、安定稼働に持っていくことが出来た。

4.ピュアオンジャパン様がベンチャーネットに求める「価値」とは

今回の取り組みに関し、弊社のどの部分に「価値」を感じたかについてお話を伺ったところ、以下のように回答いただいた。

藤井様:
「現在お付き合いしている方々は、相手が理解できるコミュニケーションと高い技術力を兼ね備えた方です。そういった人材からのサービスをこれからも提供できるように、ぜひとも持田さんには(とても大変と思いますが)組織作りをしていただければと思います。」

また、今後の弊社に期待すること、望むことについては、以下3点をいただいた。

・初期導入時にスタッフ派遣をして、クライアントで駐在作業をすることができると尚よい
・RPA化が可能な業務について提案が欲しい
・ヒアリングの頻度とタイミングを増やしてほしい

5. (株)ベンチャーネット持田から

今回のプロジェクトでは、日本支社長である藤井様の経営者としての能力の高さを痛感いたしました。藤井様は「何かを買うときに、製品の中身よりも”提供する人”を重視する」という考えを持っておられます。一方で、組織やビジネスは属人性から脱しなければならないという、近年の経営の王道ともいえる考えも自然に身につけられている点が印象的でした。一見、相反する考え方なのですが、「人を重視しつつ、依存しすぎない」という点は、中小企業が生き残っていくための処方箋であると思います。そのための仕組み化であり、今回の取り組みなのだなというのが率直な感想です。

また、人の能力に頼りすぎた経験から、属人性の排除、さらには「仕事の廃棄(自動化、効率化)」に行き着き、さらにメンバーとしっかり向き合いながらそれを進めていく点に、経営者としての力を感じました。

ちなみに、ピュアオンジャパン様では藤井様の主導のもと、月次決算処理の効率化にも努めています。日本の中小企業は月次決算を精密にやらない場合が多いのですが、経営の可視化や舵取りの精度向上という意味では必須に近いです。NetSuiteは、一見すると使いにくい面もありますが、機能的にはかなりのものを持っており、月次決算処理にも十分対応できます。ピュアオンジャパン様では国内の会計ソフトとの並行運用で実現していますが、ほかのツールで作成したデータを取り込んでの処理も可能です。今回はNetSuiteをベースにしたRPAによる取り組みでしたが、今後はNetSuite自体の運用などにおいてもご相談いただければと思います。