なぜ今、経営を見直すのか

AIが、経営の前提を変えました。
この現実に、中小・中堅企業の経営者はどう立ち向かっていけるのか。
この課題を、真剣に考えていきたいと思います。

目次

人は増やせない。それでも、会社は強くしたい

「人を増やしたいのに、採れない」。
「忙しさは増しているのに、利益は思うように残らない」。
「変化が速くて、半年先の景色さえ読みにくい」。

いま、多くの中小企業の経営者が、こうした感覚を抱えています。どれも、がんばりが足りないわけではありません。走り続けているのに、手応えがつかめない。そんな苦しさです。

採用できても、育てる前に辞めてしまう。手をかけた分、抜けたときの穴も大きい。

実は、ベンチャーネットも、かつて「人」というボトルネックに苦しんだ時期がありました。

拡大するには、人がほしい。けれど、人に依存したビジネスは、人の取り合いになります。そこで消耗すれば、打てる手はどんどん減っていきます。

ただ、いまはAIが、その「人」のボトルネックをやわらげてくれます。人を減らすためではなく、一人ひとりの判断や経験を、より活かすために。だとすれば、経営をもう一度変革できるチャンスが、いま訪れている。私たちは、そう考えています。

代表の持田も、かつては経営を体系立てて考えていませんでした。判断は勘に頼り、ふり返りも後回し。事業は回っていても、「経営として何をすべきか」がはっきりしていなかった、とふり返ります。

うまくいっている会社のやり方をまねておけば大丈夫。そう言える時代は、もう終わりました。

経営を変革する前に、まず大事なのは、現実を正しく理解することです。いま、自社の経営はどうなっているのか。それを言葉にするところから始めましょう。

この記事は、その見直しの地図です。

「もっと頑張る」では、もう届かない

では、なぜこれまでのやり方では手応えが薄いのでしょうか。

理由のひとつは、「人を増やして成長する」という前提が、静かに崩れていることです。

日本の生産年齢人口(15〜64歳)は、1995年の約8,716万人をピークに減り続けています。総務省の人口推計では、2026年5月時点で約7,355万人。30年あまりで1,300万人以上が失われた計算です。(出典:総務省統計局「人口推計」2026年5月概算値)

つまり「採れないのは自社の努力不足」ではありません。社会全体で、人が減っている。だから、人手と気合いを足していく延長線では、いずれ限界が来ます。

私たちも、『次は、2028年』『壊れていく景色』といった書を通じて、時代の節目を読み取ってきました。

ただ、これは悲観する話ではありません。変化という逆風は、競合にとっても同じ条件です。同じ風の中で、舵の取り方を変えられた会社が、抜け出していきます。

では、何を、どう変えればいいのか。ここで「経営を見直す」という言葉の中身に入ります。

人手不足そのものへの具体策は → 第1章「人を増やさずに売上を伸ばす」へ

見直すとは、本質に立ち返ること

「経営を見直す」と聞くと、新しい施策を足すことだと感じるかもしれません。けれど、見直しの本質は逆です。足すのではなく、立ち返ること。

ベンチャーネットも、かつては売上の数字を追うことが経営だと思っていました。学び直すなかで気づいたのは、「成果」の定義そのものを問い直す必要がある、ということです。

成果とは、売上の大きさではありません。「誰に、どんな貢献をしているか」。そこに立ち返ると、日々の判断の基準が変わります。

経営学者のドラッカーは、経営は才覚でも、環境に流されることでもなく、使命からなされるべきだと説きました。(出典:P.F.ドラッカー『経営者に贈る5つの質問』)

自社は誰のために、何を成し遂げる会社なのか。この問いに立ち返ることが、見直しの出発点です。

「使命」をどう描き、経営にどう落とすかは → 終章「バーチャルトランスフォーメーションへ」で詳しく

ただ、問いを立てるだけでは前に進みません。次に、見直しを具体的に進める「4つの視点」を紹介します。

経営を見直す4つの視点

では、何から見直せばいいのか。ベンチャーネットは、ドラッカーが示した組織づくりの考え方を、中小企業の経営者向けに「4つの視点」として整理し直しました。

難しい組織論ではありません。順に問うていくだけです。

経営を見直す4つの視点 中心の問いから、4つの視点へ。それぞれが各章の入口になります。 経営を 見直す ① 何で抜きん出るか 守るべき価値・強み・致命的な弱点を見極める → 第3章 わかる化/第5章 ビジネスモデル ② 何が、何に効くか 成果・支援・情報の仕事を分ける → 第2章 見える化/第4章 儲かる化 ③ 誰が、どの決定をするか 決める人と階層を整える(任せる範囲) → 第1章 人材/第6章 AIに任せる範囲 ④ 誰と組むか 重要な協働を中心に最小で深く → 終章 伴走・チーム 4つは一度きりの点検ではなく、市場や技術が変わるたびに問い直す地図です。 出典:ドラッカーの組織構築の考え方を、ベンチャーネットが経営者向けに再構成

図1 経営を見直す4つの視点

① 何で抜きん出るか

自社が成功するために絶対に欠かせない活動はどれか。逆に、つまずくと致命傷になる弱点はどこか。そして、何があっても守りたい価値は何か。まずこれを見極めます。
→ 詳しくは第3章「経営を“わかる化”する」・第5章「ビジネスモデルを描き直す」へ

② 何が、何に効いているか

社内の仕事を「直接、成果を生む仕事」「それを支える仕事」「判断を助ける情報の仕事」に分けて考えます。役割が違えば、力の入れ方も変わります。
→ 詳しくは第2章「経営を“見える化”する」・第4章「“儲かる化”へ」へ

③ 誰が、どの決定をするか

すべてを経営者が抱える必要はありません。影響が長く広く、価値観に関わる決定はトップで。日々の細かい判断は現場で。決める人と階層を整えます。
→ 詳しくは第1章「人を増やさずに売上を伸ばす」・第6章「AIと共に経営を変革する」へ

④ 誰と組むか

本当に重要な協力関係はどれか。それを中心に置き、つながりは欲張らず最小限に。これが、部門間の壁(サイロ)を防ぎます。
→ 詳しくは終章「バーチャルトランスフォーメーションへ」へ

4つは、一度きりの点検ではありません。市場や技術が変わるたびに、くり返し問い直すための地図です。

あなたの会社は、どこから見直せるか

ここまで読んで、「うちはどの視点が弱いだろう」と思い浮かんだものがあれば、それが見直しの入口です。

4つすべてを一度に変える必要はありません。いちばん引っかかったところから、ひとつ手をつける。それで十分です。

変われない会社などありません。多くの場合、変われないのではなく、まだ手をつけていないだけです。

焦らなくて大丈夫です。一度立ち止まって問い直した経営者は、もう半歩、前に進んでいます。

見直しは、一歩ずつでいい——次の扉へ

「人を増やせないのに、会社は強くしたい」。冒頭のその思いは、けっして無理な願いではありません。人を足すのではなく、経営を見直す。その先に、人を増やさずに強くなる道があります。

この記事は、いわば全体の地図です。ここから先は、4つの視点に沿って、それぞれの扉が用意されています。

  • 人を増やさずに売上を伸ばす → 第1章
  • 経営を「見える化」する → 第2章
  • 「見える」を「わかる」に変える → 第3章
  • わかるを「儲かる」につなぐ → 第4章
  • ビジネスモデルを描き直す → 第5章
  • AIと共に経営を変える → 第6章
  • その先の経営の姿 → 終章

ベンチャーネット自身も、かつて同じように経営を見直し、人を増やさずに変わってきました。だからこそ、見直しの途中でつまずきやすい場所も分かります。一人で抱え込まず、第三者の視点を一つ加える。それも、立派な見直しの一歩です。

ベンチャーネットは、単なるコンサルタントとしてではなく、ともにゴールを目指すパートナーとして、経営の見直しに伴走します。

自社の現在地をまず確かめたい方には、経営診断(コーポレートドック)という入口もあります。気になった一章から読み進めるのでも、かまいません。会社を見直す旅を、ここから始めましょう。

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

株式会社ベンチャーネット 代表取締役
2005年に株式会社ベンチャーネットを設立後、SEOをはじめとするデジタルマーケティング領域のコンサルティングサービスを展開
広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で支援を行っています
著書に『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業 「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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