お客様が、あなたの会社を調べるとき。最近は、検索よりも先にAIへ尋ねる人が増えています。ChatGPTに「○○(あなたの会社名)ってどんな会社?」と聞くと、AIはすらすらと説明を返します。その説明は、正しいでしょうか。
まず、ご自身の会社名をAIに聞いてみてください
試しに、ChatGPTやGeminiに自社名を入れて「どんな会社ですか」と聞いてみてください。返ってきた答えに、古い情報や、事実と少し違う説明が混じっていないでしょうか。
ここで、いくつか押さえておきたい変化があります。
- お客様は、商談の前に、まずAIで会社を「下調べ」する
- AIが返すのは、10件のリンクではなく「ひとつの説明」
- その説明が、新しい第一印象になる
従来の検索なら、お客様は複数のサイトを見比べて、自分で判断していました。AI検索では、AIがまとめた「ひとつの答え」が返ってきます。海外では、その統合された答えが、その人にとっての「その会社の事実」になりやすいと指摘されています。
図:従来の検索では、お客様が複数のリンクを見比べて判断していました。AI検索では、AIの「ひとつの説明」が第一印象を決めます。
※AI検索とは、ChatGPTなどのAIに質問し、AIが要約した答えを受け取る情報の調べ方のことです。
調べ物の入口は、急速にAIへ移りつつあります。海外調査では、Google検索のおよそ6割は、どのサイトも開かずに終わる(ゼロクリック)とされます。AIの要約が表示されると、本文へのクリックは大きく減ります。海外の調査では、最も精緻なもので約6割減と報告されています。調査会社Gartnerは、2026年までに顧客の第一印象の約3割が生成AIによって形づくられると予測しています。
つまり、お客様がまだあなたのサイトに来ていない段階で、AIの説明が評価を決めはじめているのです。
なぜ、AIは「間違った説明」をしてしまうのか
AIは、魔法で答えているわけではありません。インターネット上の公開情報を学習し、それを要約して答えています。だから、説明がずれてしまう原因は、意外とシンプルです。
原因1:自社からの発信が薄いと、AIは「すき間」を埋めようとする
あなたの会社について、正確で新しい情報がネット上に少ないと、AIは断片的な情報や、ときに他社の情報で説明を埋めようとします。
原因2:古い情報が残っていると、それを使ってしまう
数年前のブログや、すでに変わった料金・サービスの記述が残っていると、AIはそれを「最新」として語ることがあります。
原因3:AIは、まれに事実でないことを生成する
AIは、もっともらしく、しかし事実と違う説明をすることがあります。しかも、自信のある口調で。お客様はそれを「AIが間違えた」ではなく「その会社の情報」と受け取りがちです。
※この現象を「ハルシネーション」と呼びます。AIが、事実と異なる内容をもっともらしく生成してしまうことです。
ひとつ補足します。AIの説明の大半は、中立か好意的だという調査もあります。約180万件を分析した結果では、否定的な言及は1%ほどでした。つまり問題は「悪く言われる」ことより、古い・薄い・ぼやけた説明のまま放置されることにあります。
AIに、自社を正しく説明してもらうために
AIの出力を、直接書き換えることはできません。できるのは、AIが参照している「もとの情報」を整えることです。ここが、AI時代のブランド管理の中心になります。
実は、AIが会社を評価する筋道は、慎重なお客様が会社を見極める筋道とよく似ています。海外でも、AIは慎重な買い手と同じように「その会社は信頼できるか」を見ている、と指摘されています。だから、特別なテクニックの前に、信頼の手がかりを自分の言葉で整えることが先決です。
中小企業の社長が、今日から始められることは、次の4つです。
① 自社の一次情報を、自社の言葉で書く
誰が、どんな実績で、何を強みにしているか。実際に手を動かしている人にしか書けない具体(数字・事例・手順)こそ、いちばん効く一次情報です。
② よくある質問に、結論から答える
「料金は?」「導入期間は?」「他社と何が違う?」。こうした質問には、まず1〜2文で結論を述べ、そのあとに詳しく説明します。この形は、人にもAIにも伝わりやすくなります。
③ 誰が語っているかを、はっきりさせる
書き手や監修者のプロフィール、会社情報、保有資格や実績。「誰が、どんな裏づけで語っているか」が、信頼の手がかりになります。
④ 古い情報を、こまめに更新する
変わった料金やサービスの記述を直し、最新の状態に保ちます。AIの中には、ネットを今この瞬間に見て答えるもの(例:Perplexity)もあり、情報の新しさがそのまま効きます。
図:AIに正しく説明してもらうために、社長が今日から始められる4つの行動。
これらは、いわゆるLLMOの基本でもあります。難しく構える必要はありません。突きつめれば「自社のことを、自社の言葉で、正確に、新しく」、この一点に尽きます。
とはいえ、いざ自社でやろうとすると、つまずきやすいところがひとつあります。それは、自社の強みを「お客様やAIに伝わる言葉」に翻訳する作業です。自分の会社の当たり前は、中にいる人ほど見えにくいもの。だからこそ、外からの目が一段、効きます。
※LLMOとは、Large Language Model Optimization の略。生成AIに自社の情報が正しく引用・参照されるよう整える取り組みのことです。
なお、「そもそもAIに見つけてもらう」という集客全体の話は、別記事「AI検索時代の見つけてもらう経営」で扱っています。本記事は、見つけてもらった後に「正しく説明されているか」へ絞っています。
整えると、何が変わるのか
もとの情報を整えると、AIの説明は少しずつ正確になります。その先に起きるのは、次のような変化です。
- AIが、自社を正しく説明するようになる
- 「ここに相談してみよう」と、会社名で検索されることが増える(指名検索)
- AIに引用される会社は、そうでない会社より多く選ばれやすい(海外調査では、引用された会社はクリックが約3割多いとされます)
※指名検索とは、会社名やサービス名で直接検索されること。お客様の信頼・関心の表れとされます。
ベンチャーネットは、この「AIに正しく伝わり、名前で選ばれる」状態づくりを、中小企業の経営の一部として支援しています。
よくある質問と、つまずきやすい点
Q AIに載せてもらうには、広告費が必要ですか?
いいえ。広告ではなく、信頼できる情報を整えることが軸です。お金よりも、正確さと継続が効きます。
Q 間違った説明を見つけたら、どうすればよいですか?
AIを直接直すことはできません。もとになっている自社サイトや公開情報を、正しく・新しく整えるのが基本です。第三者の媒体での正確な紹介も効きます。
Q すぐに効果は出ますか?
すぐには出ません。AIが情報を学び直すには時間がかかります。だからこそ、早く始めた会社が有利になります。
つまずきやすい点も、挙げておきます。
- 自画自賛・誇張で固める → AIは公平で具体的な情報を好み、誇張は引用されにくい
- 中身の薄い記事を量産する → かえって信頼を下げる。一本の濃い記事のほうが効く
- 一度直して、あとは放置する → 情報はすぐ古くなる。更新を続けることが大切
まとめ——決めるのは、AIではなく社長
AIは、会社を説明する手伝いをしてくれます。けれど、何を伝えるか、どこに責任を持つかを決めるのは、AIではありません。社長自身です。
AIは、便利な道具です。しかし、自社の強みや約束を「理解」し、それを言葉にする仕事は、人にしかできません。AIに任せきりにせず、伝えるべきことを自分の言葉で整える。その積み重ねが、AI時代のブランドを守ります。
次の一歩
- AIに「見つけてもらう」集客全体の話を知りたい → AI検索時代の「見つけてもらう経営」
- 自社の情報整備を、何から手をつければよいか相談したい → AI×経営の無料診断・ご相談へ

