経営を見直す道具は、5つの質問——使命・顧客・価値・成果・計画

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見直したいのに、何から手をつければいいのか

年の変わり目や期の節目に、「今年こそ経営を見直そう」と思う。けれど、いざ机に向かうと、何から手をつけていいか分からない。気づけば日々の業務に戻り、見直しは先送りになる。

しかも、いまは状況が違います。AIの登場で、これまで通用していたやり方の前提が、足元から揺らいでいます。「このままでいいのか」——そう感じる経営者は、少なくありません。

見直したい。でも、何から手をつければいいか分からない。意欲がないからではありません。見直すための「手がかり」が、手元にないだけです。

「気合い」ではなく「道具」がある

経営の見直しは、根性や気合いの話になりがちです。でも、見直しには道具があります。それが「問い」です。

経営学者ピーター・ドラッカーは、著書『経営者に贈る5つの質問』で、組織が自らを問い直すための5つの問いを示しました。

  • われわれの使命は何か:自社は何のために在るのか
  • われわれの顧客は誰か:本当に応えるべき相手は誰か
  • 顧客にとっての価値は何か:その人が本当に求めているもの
  • われわれにとっての成果は何か:何をもって「できた」とするか
  • われわれの計画は何か:次にどこへ資源を向けるか

たった5つです。むずかしい理論ではなく、誰でも口に出せる問いばかりです。この5つを順にたどるだけで、見直しは「気合い」から「作業」に変わります。

(それぞれの問いの中身は、この記事では深追いしません。後ほど、ひとつずつ実践する道へご案内します。)

社長自身が学び、自社で試して、何が変わったか

正直に言えば、ベンチャーネットの代表・持田も、最初からこの問いを使いこなせたわけではありません。問いを「知っている」ことと、「使える」ことは、別ものです。

やったことは、いたってシンプルでした。5つの問いを手元に置き、1年あまり、自社にあてはめては考える。それを、ただ続ける。毎回、「何が分かったか」よりも「まだ分かっていないことは何か」を書き出す。頭で納得して終わりにせず、現場で試す。

派手な話ではありません。でも、経営に効いてくるのは、こういう地味なほうです。その積み重ねから、見えてきたことがあります。

ひとつは、理想と現実のギャップから始める、ということ。あるべき姿を問いで描き、今の自社との差を見る。その差が、そのまま「次に手をつける課題」になります。

もうひとつは、成果の見方が変わったこと。はじめは自社の売上や利益だけを見ていました。今は「お客様がどれだけ良くなったか」を成果として見るようになりました。

正直な気づきもありました。たとえば、目標の数字を最初は勢いで決めていた、と本人が書き残しています。問いは、魔法ではありません。立てて終わりにせず、試し、振り返り、また問い直す。この繰り返しのなかで、経営に少しずつ効いてきます。

(学びには、AIも使いました。ただし、最後に何を選ぶかを決めるのは、いつも人の側です。)

AIで、多くのことが速く・安くできるようになりました。だからこそ、かえって価値になるのは、人にしか積み上げられない判断と、自社ならではの学びの蓄積です。問いを立て、試し、振り返る。その地道な繰り返しが、他社には簡単に真似できない蓄積になっていきます。

12のテーマを1周し、また問いへ戻る

ベンチャーネットでは、この5つの問いを起点に、経営を見直すための12のテーマを1周する形で整理しています。

成果のとらえ方、計画の立て方、何を「やめる」かの見極め、顧客にとっての価値、勝てる市場の選び方。ひとつずつ問い、実践し、また最初の問いに戻る。経営の見直しは、一度きりの作業ではなく、ぐるりと回り続ける円環です。

5つの問い 使命・顧客・価値・成果・計画 問いを立てる 自社で試す 振り返る また問いへ 経営を見直したい

図:経営を見直す「円環」。5つの問いを起点に、問いを立てる→自社で試す→振り返る、と一周して、また最初の問いへ戻る。外周の点は、その途中で巡る12のテーマを表す。

この記事は、その円環の入口にあたる地図です。気になるテーマから、ひとつずつ実践の記事へお進みください。

  • 5つの問いを実践する → ドラッカー実践シリーズ(D-1〜D-12)
  • 「成果」をどう見るか/「計画」をどう立てるか/何を「やめる」か → 各テーマの対応記事へ

一人で抱えなくていい

問いは、立てるよりも「回し続ける」ほうがむずかしいものです。答えが一つに決まるわけでもありません。

代表自身も、この学びを一人で進めたわけではありません。気づきを書き留めては、見てくれる場に持ち寄り、振り返りを重ねてきました。問いは、一人で回すより、誰かと一緒に見るほうが続きます。

ベンチャーネットは、経営者と同じ船に乗る伴走者でありたいと考えています。答えを押しつけるのではなく、問いを一緒に立て、振り返りを一緒に見る。そういう関わり方を大切にしています。

もう一度、問いへ

経営の見直しは、5つの問いから始められます。気合いではなく、道具として。

まずは、いちばん気になる問いをひとつ選んでみてください。そして、立てた問いを、3か月後にもう一度見直してみる。その小さな一周が、経営を変えていきます。

→ まずはここから:ドラッカー実践シリーズ 第1回(D-1)へ
→ 円環の出発点に戻る:序章「なぜ今、経営を見直すのか」(序-1)へ

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

株式会社ベンチャーネット 代表取締役
2005年に株式会社ベンチャーネットを設立後、SEOをはじめとするデジタルマーケティング領域のコンサルティングサービスを展開
広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で支援を行っています
著書に『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業 「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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