経営を立て直したい。けれど、何から手をつければいいのか分からない。そう感じている中小企業の経営者は、少なくありません。この記事は、ベンチャーネットが考える「経営改革の全体地図」を一枚でお渡しするためのものです。
ツールは入れた。それでも、経営は楽にならない
新しいシステムを導入した。クラウドのツールも増えた。それなのに、経営は思ったほど楽にならない——。そんな声を、ベンチャーネットはよく耳にします。
数字は、いくらか見えるようになった。けれど、その数字が何を意味するのか、次に何をすればいいのかは、よく分からない。打ち手は増えたのに、どれもバラバラで、手応えがない。
問題は、ツールそのものではありません。取り組む「順番」が決まっていないことにあります。経営の立て直しには、踏むべき順番があるのです。
なぜ、打ち手はバラバラになるのか
かつて経営学者のドラッカーは、経営者にいくつかの問いを投げかけました。「われわれの事業は何か」「顧客は誰か」——会社の足元を問い直す問いです。
打ち手がバラバラになるのは、この問い直しを飛ばして、いきなり「手段」から入ってしまうからです。ツールは手段です。手段から入ると、自社が今どこにいるのかが見えないまま、施策だけが積み上がっていきます。
まず立てるべき問いは、ひとつです。「自社は今、どの段階にいるのか」。ここがはっきりすると、次の一歩が決まります。
なお、ドラッカーの問いを経営にどう活かすかは、序章の別記事でくわしく扱います。
経営改革には、3つの段がある
ベンチャーネットは、経営の立て直しを「3つの段」で考えています。見える化 → わかる化 → 儲かる化。この順番です。
- 見える化:数字が見える。売上・原価・在庫・稼働などが、いつでも把握できる状態。
- わかる化:数字の「裏」がわかる。なぜこの数字になるのか、どこに問題の構造があるのかが理解できる状態。
- 儲かる化:構造に手を打ち、利益が生まれる。理解した課題に、具体的な打ち手を当てる状態。
順番が大事です。見えていないものは、わかりません。わからないものには、正しく手を打てません。だから「見える化 → わかる化 → 儲かる化」の順でしか、経営は前に進まないのです。
そして、この3段を貫いてやり遂げる企業変革を、ベンチャーネットはコーポレートトランスフォーメーション(CX)——会社を根本から変える取り組み——と呼んでいます。
図:経営改革は「見える化 → わかる化 → 儲かる化」の順に上り、その全体がコーポレートトランスフォーメーション(CX)になります。
3つの段は、「弾み車」のように回る
この3段は、一度きりで終わるものではありません。儲かる化までたどり着くと、また新しい「見えていないもの」が現れます。そこから、ふたたび見える化が始まる。
経営学者のジム・コリンズは、著書『ビジョナリー・カンパニー2』で、優れた企業の成長を「弾み車(フライホイール)」にたとえました。最初は重くてなかなか回らないが、回り始めると勢いがつき、やがて自然に回り続けるようになる——という考え方です。
経営改革も、これと同じです。見える化・わかる化・儲かる化の循環を一周回すたびに、会社は少しずつ強くなります。CXのゴールは、一回の改革ではなく、変わり続ける力を会社に備えることにあります。
図:3つの段は一度きりで終わりません。一周するごとに新しい課題が見え、ふたたび見える化から回り始めます。回し続ける力が、変わり続ける力になります。
ベンチャーネット自身も、AIとNetSuite(クラウド型の統合経営システム)を経営の軸に置き、この順番で自社を見直し続けてきました。
あなたは今、どの段にいますか——各章への地図
ここから先は、あなたが今いる段に合わせて読み進めてください。この全体地図から、各章へご案内します。
- 「うちも何か変えるべきだろうか」と感じている方へ → 序章では、なぜ今、経営を見直すのかを掘り下げます。
- 人手不足に悩んでいる方へ → 第1章「人を増やさずに売上を伸ばす」へ。
- まず数字を把握したい方へ(見える化) → 第2章「経営を見える化する」へ。
- 数字は見えたが、原因がわからない方へ(わかる化) → 第3章「経営をわかる化する」へ。
- 具体的な打ち手がほしい方へ(儲かる化) → 第4章「わかる化から儲かる化へ」へ。
- 事業の形そのものを見直したい方へ → 第5章「ビジネスモデルを描き直す」へ。
- AIに何を任せられるか知りたい方へ → 第6章「AIと共に経営を変革する」へ。
どこから読んでも構いません。気になった段から始めれば、それがあなたのCXの第一歩になります。
その先にあるもの——変わり続ける経営へ
見える化・わかる化・儲かる化の弾み車を回し続けた先に、ベンチャーネットがめざす経営の姿があります。
それは、変化を前提にして、会社の形そのものを柔軟に変えていく経営です。この到達点については、終章でくわしくお話しします。
地図があっても、「自社が今どの段にいるか」の見極めだけは、外からの目があるほうが正確です。経営の立て直しは、一人で抱え込むものではありません。全体地図を片手に、今いる段から一歩を踏み出す。その一歩に、ベンチャーネットは伴走者として寄り添います。

