NetSuite最新アップデートまとめ|SuiteConnect/SuiteWorld 2025-2026の新機能を総覧【2026年版】

NetSuiteは、2025年から2026年にかけて、過去にないペースで新機能を発表しました。

中心にあるのは「AI」です。SuiteWorld 2025では次世代基盤「NetSuite Next」が、SuiteConnect 2026では8つのAI機能が登場しました。

ただ、情報が多すぎて「結局、何がどう変わったのか」「日本でいつ使えるのか」がつかみにくい、という声もよく聞きます。

この記事は、NetSuite認定パートナー(Solution Provider)であるベンチャーネットがまとめました。主要な発表を時系列で総覧し、各機能の概要と「日本での提供状況」をあわせて整理しています。

なお本記事は、執筆時点(2026年5月)の情報をもとに随時更新していきます。

この記事で分かること

  • 2025-2026年にNetSuiteで何が発表されたか(イベント年表)
  • 「NetSuite Next」と、SuiteConnect 2026のAI機能の中身
  • 北米先行の機能が、日本でいつ・どう使えるのか
  • 新機能を自社にどう取り入れるべきか

読了目安:約8分

目次

2025-2026のNetSuiteを一言でいうと「AIが主役になった2年間」

この2年間のNetSuiteを一言で表すなら、「AIが付加機能から中核になった2年間」です。

これまでAIは「便利な追加機能」という位置づけでした。それが2025年以降、業務そのものを動かすエンジンへと変わってきています。

象徴的なのが2つの動きです。

  • SuiteWorld 2025(2025年10月):次世代基盤「NetSuite Next」を発表
  • SuiteConnect 2026(2026年〜):財務・開発などに効く8つのAI機能を発表

NetSuiteは現在、Oracle NetSuite公式で「#1 AI Cloud ERP」と位置づけられています。世界の規模感としては、220を超える地域、43,000社以上が利用し、190通貨・27言語に対応します。

(出典:Oracle NetSuite公式/SuiteConnect London 2026年3月・San Francisco 2026年4月)

中堅・中小企業にとって重要なのは、これらAI機能の多くが追加ライセンス費用なしで既存の契約に含まれる方向で提供されている点です。

【年表】SuiteConnect/SuiteWorld 2025-2026 主要イベントと発表一覧

まず全体像を、イベントの時系列でつかみましょう。

NetSuiteのイベントには2種類あります。SuiteWorldは年1回の大型カンファレンス(秋・ラスベガス)、SuiteConnectは世界各都市を巡回する中規模イベントです。

時期イベント場所主な発表内容
2025年7月SuiteConnect Tokyo東京日本市場向けに最新動向を紹介
2025年10月SuiteWorld 2025ラスベガスNetSuite Next(Redwood UI・Ask Oracle・AI Canvas・エージェント型ワークフロー)
2026年2月SuiteConnect New York米国AI機能群(Intelligent Close Manager 等)を発表
2026年3月SuiteConnect Chicago米国AI機能の拡充
2026年3月SuiteConnect London英国AI Connector Service の追加など
2026年4月SuiteConnect San Francisco米国AI拡充・最新の利用規模を公表

※今後のSuiteWorld 2026は、2026年10月にラスベガスで開催予定です。

このうち、内容として特に大きいのが「SuiteWorld 2025のNetSuite Next」と「SuiteConnect 2026のAI機能群」です。次章から順に見ていきます。

SuiteWorld 2025の目玉「NetSuite Next」(次世代NetSuite)

SuiteWorld 2025(2025年10月、ラスベガス)の目玉が、次世代基盤「NetSuite Next」です。

NetSuite Nextは、画面・操作・AIをまとめて刷新する、創業以来でも最大級のアップデートと位置づけられています。主な要素は次の4つです。

Redwood UI(新しい画面デザイン)

Oracleの新デザイン体系「Redwood」にもとづく、刷新された画面です。

従来より見やすく、モダンなSaaSらしい操作感になります。現時点ではオプションで切り替えて利用可能で、今後は標準化が進む見込みです。

Ask Oracle(自然言語アシスタント)

「先月の売上を地域別に見せて」のように、日常の言葉で質問するとデータを返してくれるアシスタントです。

これまで保存検索(Saved Search)を組まないと出せなかった集計を、会話で取り出せるようになります。

AI Canvas(シナリオ分析)

ライブデータを使って、複数のシナリオを比較・計画できる分析の場です。

予算策定や将来予測(FP&A)といった、経営計画の検討に役立ちます。

エージェント型AIワークフロー

決算や消込のような複数ステップの作業を、AIが順番に進めてくれる仕組みです。

重要なのは、AIエージェントが既存の権限の範囲内でのみ動く点です。担当者ができないことを、AIが勝手に行うわけではありません。

⚠️ 日本での提供について:Redwood UIは利用可能になっています。一方、Ask OracleやAI Canvasは北米先行で、2026年を通じて順次提供される見込みです。日本での提供時期は機能ごとに異なるため、最新状況は個別にご確認ください。

NetSuite Nextの詳細は、別記事「NetSuite Nextとは」で解説しています。

SuiteConnect 2026で発表されたAI機能(北米先行)

2026年のSuiteConnect(ニューヨーク2月・シカゴ3月ほか)では、業務に直結するAI機能が相次いで発表されました。

創業者のエバン・ゴールドバーグ氏は、これを「創業以来最大の更新」と表現しています。財務・開発を中心に、代表的なものを整理します。

財務・経理に効くAI機能

  • Intelligent Close Manager:決算の進捗をひとつの画面で管理し、AIが差異や遅れを見つける「決算の司令塔」
  • AIによる銀行取引マッチング:入金・出金を勘定科目に自動で突き合わせ、消込を効率化
  • EPMエージェント:経営計画・予算管理(EPM)の予測精度を高める支援
  • Advanced Pricing:ルールにもとづく価格設定と、AIによる価格サマリー

財務AIの活用は、別記事「NetSuiteの財務・経理をAIで自動化する」でも解説しています。

営業・開発・在庫に効くAI機能

  • Customer 360:CRMのサポート案件をAIが要約し、顧客状況を素早く把握
  • Developer Assistant:自然言語の指示から、SuiteScript(NetSuite専用のプログラミング言語)のコードを生成
  • 在庫ナラティブ:在庫レポートの要点をAIが文章で要約

⚠️ 日本での提供について:これらの多くは2026.1リリースで提供・順次展開されていますが、機能や言語対応は北米先行のものを含みます。日本での提供可否・時期は変動するため、計画に組み込む前に最新状況の確認をおすすめします。本記事は提供状況の変化にあわせて更新します。

組込型AI と 外部AI連携(MCP)の違い

NetSuiteのAIには、大きく2つの方向性があります。

ひとつは組込型AI(NetSuite純正のAI)、もうひとつは外部AI連携型です。後者は、手持ちのChatGPTやClaudeなどから、NetSuiteのデータを直接やり取りする使い方です。

観点組込型AI(NetSuite純正)外部AI連携型(MCP)
できることNetSuite内の業務をAIが支援(決算・消込・予測)外部AIから経営データを直接照会・分析
代表的なものAsk Oracle/Intelligent Close Manager/エージェント型WF/AI CanvasAI Connector Service(MCP対応・Bring Your Own AI)
使うAINetSuiteに組み込まれたAI手持ちの外部AI(ChatGPT・Claude等)
向くケース標準業務をAIで効率化したい既存のAI資産を活かし、自由に対話分析したい

「Bring Your Own AI(自分のAIを持ち込む)」という考え方で、外部のAIをNetSuiteにつなげられるのが、近年の大きな特徴です。

2つの違いと使い分けは、別記事「NetSuite純正AIと外部AI(MCP連携)の違いと使い分け」で解説しています。

外部連携の仕組みは「NetSuite AI Connector Service(MCP)」をご覧ください。

年2回リリースの仕組みと備え方

NetSuiteの新機能は、年2回のリリースで届きます。

春(Release 1)と秋(Release 2)の2回、すべてのアカウントに自動で適用されます。個別にスキップすることはできません

そのため大切なのが「事前の検証」です。本番に適用される前に、テスト用のサンドボックス環境へ先行配信されます。この期間に、自社のカスタマイズや連携が問題なく動くかを確認しておくと安心です。

年2回リリースへの具体的な備え方は、別記事「NetSuiteのバージョンアップへの備え方」で解説予定です(※公開後にリンクを追加)。

NetSuiteの運用を担当者ひとりに任せきりにすると、このリリース対応が負担になりがちです。ベンチャーネットは「管理者をひとりにしない」運用支援を通じて、リリースごとの検証も一緒に進めます。

新機能を追うときに陥りがちな3つの落とし穴

NetSuiteは毎年、多くの新機能を発表します。

ただ、新機能を「追うこと」そのものが目的になると、かえって遠回りになりがちです。

ベンチャーネットが現場で見てきた「追いかけ方の失敗」を、3つお伝えします。新機能を否定するためではありません。自社にとって本当に価値のある形で取り入れてほしい、という思いからです。

落とし穴① 新機能の導入が「目的」になってしまう

よくある現象

  • 「AIが話題だから、うちも入れたい」
  • 「競合が使い始めたらしい」
  • 発表のたびに検討に追われ、自社の課題と結びついていない

なぜ遠回りになるか

ERP導入でもっとも多い失敗は「目的の曖昧さ」です。

「業務効率化のため」だけでは、本当に必要な機能を見極められません。結果として、使わない機能にコストをかけてしまいます。新機能でも同じことが起こります。

どう避けるか

先に決めるべきは「その機能で、自社のどの数字を動かしたいか」です。

たとえば「月次決算を5営業日短縮する」のような具体的な目標があれば、必要な機能は自然に絞れます。ベンチャーネットは、その“選球眼”を一緒に持つ壁打ち相手でありたいと考えています。

落とし穴② 北米先行の機能を「日本でもすぐ使える」と思い込む

よくある現象

  • 海外ニュースで見た機能を前提に、導入計画を立ててしまう
  • 日本語対応や提供時期を確認していない

なぜ遠回りになるか

NetSuiteのAI機能は、北米で先行提供されるものが少なくありません。

日本での提供時期は機能ごとに異なり、変動します。前提が崩れると、計画そのものが揺らいでしまいます。

どう避けるか

ニュースを見たら「日本で今使えるのか/提供予定なのか」を必ず確認しましょう。

ベンチャーネットは、日本の提供状況を踏まえた現実的なロードマップを一緒に描きます。「いつ・何が使えるようになるか」を見据えた計画づくりが、遠回りを防ぎます。

落とし穴③ 発表された機能を「全部入れよう」とする

よくある現象

  • 年2回のリリースのたびに、すべての新機能を検討しようとする
  • 現場の習熟が追いつかないまま、次の機能に手を出す

なぜ遠回りになるか

機能を盛り込みすぎると、現場に定着しません。

これはアドオンを作りすぎる「過剰な造りこみ」と同じ構造です。使いにくくなり、「前のやり方のほうが早い」と元に戻ってしまいます。

どう避けるか

近年は「Fit to Standard」(業務を標準機能に合わせる考え方)が重視されています。

新機能も同じで、使えるものから段階的に取り入れるのが現実的です。焦らなくて大丈夫です。現場が定着してから、次へ進めばいいのです。

大切なのは「自社に効くものを見極める選球眼」

新機能の波の中で本当に大切なのは、すべてを追うことではありません。

自社の経営課題に効くものを見極める「選球眼」です。

「何でもできます」と要望をすべて受け入れるより、「それは今の自社には不要です」と言える視点のほうが、結果的に成功につながります。

どの新機能を、どの順番で取り入れるべきか。迷ったときは、ベンチャーネットにご相談ください。自社にとって最適な進め方を、一緒に考えさせてください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 2025-2026の主要なNetSuiteアップデートは?

二大トピックがあります。ひとつはSuiteWorld 2025の「NetSuite Next」(Redwood UI・Ask Oracle・AI Canvas・エージェント型ワークフロー)です。もうひとつはSuiteConnect 2026のAI機能群(Intelligent Close Manager など)です。

詳しくは本記事の年表(第2章)と、各機能の章(第3〜4章)をご覧ください。

Q2. 北米で発表された機能は、日本でいつ使えますか?

NetSuiteのAI機能は北米で先行提供されるものが多く、日本での提供時期は機能ごとに異なり、変動します。

「いつ・何が使えるか」は計画づくりの前提になります。最新の提供状況は、お気軽にお問い合わせください。

Q3. 年2回リリースとは?スキップできますか?

NetSuiteは春・秋の年2回、すべてのアカウントに自動で適用されます。個別のスキップはできません

本番適用の前にサンドボックス環境へ先行配信されるので、その期間に自社の動作確認をしておくのがおすすめです(第6章参照)。

Q4. NetSuite Nextは今すぐ使えますか?

2025年10月に発表されました。Redwood UIは利用可能になっています。Ask OracleやAI Canvasは北米先行で順次提供されており、日本での提供時期は要確認です(執筆時点:2026年5月)。

詳細は「NetSuite Nextとは」をご覧ください。

まとめ:新機能の波を、自社の経営にどう活かすか

2025-2026年のNetSuiteは、AIを中核に大きく進化しました。

NetSuite Next、そしてSuiteConnect 2026の数々のAI機能。次々と登場する新機能は、たしかに魅力的です。

ただ、本当に大切なのは「すべてを追うこと」ではありません。自社の経営課題に効くものを、見極めて取り入れることです。

  • どの機能が、自社のどの数字を動かすのか
  • 北米先行の機能は、日本でいつ使えるのか
  • 何から、どの順番で取り入れるべきか

こうした問いに一緒に向き合い、御社にとって最適な進め方を考えるのが、ベンチャーネットの役割です。

「次々出る新機能を、自社はどう取り入れるべきか」と感じたら、ぜひ一度ご相談ください。

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

持田 卓臣(もちだ たくおみ)
株式会社ベンチャーネット 代表取締役

ヒューレット・パッカード社でITコンサルタントとして従事した後、2005年に株式会社ベンチャーネットを設立。
Oracle NetSuite Solution Provider Partner として、中堅・中小企業向けクラウドERP「NetSuite」の導入・運用支援を提供しています。
SEO・広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で培ってきたデジタルマーケティング領域の業務知見を活かし、NetSuiteを軸とした経営DXを支援しています。
著書:『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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